クラス/【グラジエーター】

Last-modified: 2021-08-19 (木) 23:30:53

原語は「Gladiator」。
gladiatorは現実世界の古代ローマ時代において見世物として闘技場で戦った剣闘士のこと。転じて現代では討論で派閥を代表する論客という意味も持つようになった。この名は、当時のローマ軍団が使用していたグラディウスという武器に由来する。ただし実際の試合では様々な武器を用いている。
剣闘士は他国との戦争で得た奴隷や捕虜、犯罪者が多く、社会的な地位は低かった。しかし共和制、帝政を問わず古代ローマ時代では長らく人気があったため、市民だけでなく貴族にも剣闘士になる事例があり、ついには皇帝でありながら闘技場で戦ったコンモドゥスという人物まで現れている。
剣闘士の試合は基本的に娯楽であり、防具は少なく肌の露出が多かった。そのため負傷により命を落とす者も多かったが、剣闘士は興行主である主人や闘技場の運営側にとって損失になるため降参も可能だった。もっとも無様な内容の試合だった場合は観客が許さないこともあった。また捕らえた野生の獣と戦わせることもあったが、これは闘獣戦と呼ばれており剣闘士に対する事実上の処刑だった。
剣闘士は死ぬまで戦わねばならないというわけではなく、木剣を与えられて引退したり賞金を積み立てて自身を買い取ることで自由民としての身分を勝ち取ることもできた。もっとも喝采を浴びた経験を忘れられず、闘技場に戻ることもあったらしい。
剣闘士による興行は長らく続いたが、4世紀末にローマ帝国の国教がキリスト教になった頃からその影響で剣闘士による興行は縮小していき、7世紀には完全に禁止された。
剣闘士を題材にした作品としてファンタジー映画では「ソード&サンダル」という1ジャンルを築いている。1960年の米国映画『スパルタカス』や2000年の『グラディエーター』が有名。
小説では19世紀英国のエドワード・ブルワー・リットン作の『ポンペイ最後の日』が有名で、何度も映画化されたり日本語版も昔から出版されていた。
剣闘士自体はそれなりに知名度があるため近年のファンタジー作品、特に漫画や小説でも登場しないことはない。ただしキャラクターが元剣闘士だったり、主人公がイベントで闘技場で戦うという一場面くらいの扱いが大半であり、剣闘士自体を描いた作品は少ない。

アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ

AD&D第2版のファイターハンドブックに登場する、ウォーリアーキットのひとつ。表記は「グラジエーター」。
見世物としての戦いを行う戦士で、剣闘競技がある程度公けに行われている社会に存在する。
グラジエーターは観衆を喜ばせるため、富を得るため、あるいは主人の名誉のために戦うことになる。ファンタジー世界では人間相手だけでなく、デミヒューマンモンスターとも戦うことになるだろう。
グラジエーターが存在する為には剣闘競技が行われている文明がなくてはならず、このキットを取得するためにはそうした文明に生まれ育つか、少なくとも一時的に剣闘競技が行われる社会で暮らしたことがなくてはならない。グラジエーターは現在も剣闘士として出場しているか、かつては剣闘士だったが現在は冒険者として生活しているかのどちらかになる。
グラジエーターの特徴や制限は以下の通り。

  • 能力値制限はない。ただしクラスそのものが自然に根差した存在であるレンジャーは、完全に都会的なグラジエーターには全く向かないと記述されている。
  • 副次技能
    その背景世界に存在する職業であればよいが、DMの裁量による。扱いとしては、グラジエーターになる前に就いていた職業ということになる。
  • 武器技能
    必須武器技能はショートソード(グラディウスとして扱う)、トライデントネット。またDMの裁量次第だが、普通に使われる武器とグラジエーターに相応しい武器の両方を交互に取得することになるかもしれない。
  • 一般技能
    ボーナス技能として《ウォーリアー技能》:戦車(チャリオット)運転術。《ローグ技能》:曲芸(競技戦での演出のため)の2つを得る。
    修得が望ましい技能は《共通技能》:動物の扱い方、動物調教、礼儀作法、騎乗/陸上生物。《プリースト技能》:治療。
  • 特別な利点
    グラジエーターは激しい訓練を受けているため、武器技能ポイントを消費することなく、専門武器を1つ習得する。
    ボーナス専門武器は以下の中から1つを選択する。ボウ類、セストゥスダガードルーススラッソーネットシミターショートソードスピアトライデントホウィップ?
  • 特別な欠点
    グラジエーターは、その名前はともかく剣闘士であるということが知られており、有名人として追跡や調査が容易にされてしまう。
    また現役の剣闘士である場合はそれに加えて、競技場のプロモーターやマネージャーの介入が冒険を阻害することがある。現役を引退した剣闘士であっても、改めてグラジエーターを傘下に加えようと企む者たちが接触を図ってきて冒険や探索の妨げになることがある。このあたりはDMのマスタリング次第ではあるが。
  • 種族
    グラジエーターというキットになる種族は問われない。特にデミヒューマンは珍しい剣闘士として注目を集めることができるため、元剣闘士のデミヒューマンというのは無理のない設定ではある。

AD&D第2版初期のキットとしては条件付きとはいえ武器専門化が1つ得られるという、やや有利なキット。
前述した通り剣闘士という特性上、レンジャーには向かないが、パラディンにとっては悪くない。特に「専門武器」が武器技能の専門化と解釈すると、パラディンとレンジャーが武器専門化できることになり強くなる。
設定としては「元剣闘士奴隷だったが、奴隷身分から解放されたパラディンもしくはレンジャー」というのが定番だろう。

関連用語

ウォーリアー