クラス/【キット】

Last-modified: 2021-12-25 (土) 19:50:41

原語は「Kit」。
意味は道具箱、装具、服装、装備一式など。
AD&D第2版の用語であり、選択ルールの1つ。
下記の通り、AD&D第2版初期から採用されたルール。AD&D第1版の反省から作られたクラスに付随するという形式で作られている。クラスを新たに作ることなく、各クラスで均一化しがちな装備やロールプレイに個性を付けることができるため「The Complete Book」シリーズで次々と追加されていった。

概要

AD&D第1版では基本クラス以外に様々な追加のクラスが時間の経過と共に追加されていった。しかし追加されたクラスはその特徴を押し出そうとして、基本クラスと比較して優位な部分が多く徐々にゲームバランスが崩れていったという問題があった。
第2版でもダンジョンマスターズガイドにクラスの追加に関する項目があるが、実際にはオフィシャルルールでは追加クラスはあまり作られていない。その代わり、コンプリートハンドブックと呼ばれるサプリメントで盛んに追加された要素が「キット」である。キットは新しいクラスの追加ではなく、既存のクラスに付随するサブクラスのような形で作られている。
キットは複数所持できるものではなく、取得条件が明記されており、なおかつレベル1から取得することが原則となっている。基本的にはクラスの特徴を伸ばしたり追加の能力を得たりする一方で制限や制約を課す部分もある。
このキットという要素の追加により、AD&D第2版はプレイヤーキャラクターのゲームバランスの崩壊をある程度抑制していたという評価もある。

仕様、ルール

上述の通り、キットは1レベルの時の取得が条件であり、後になって変更はできない。さらにキットを取得するためには特定の武器技能や一般技能の習得が必須条件となる。一部のキットには能力値制限がある。
キットは解説されるような特別な長所を得るが、特別な短所も併せて持つことになる。
一部のキットには種族制限がある他、マルチクラスのキャラクターはキットを取得できない。デュアルクラスのキャラクターの場合は最初の1レベルの時にキットを取得しなかった場合に限り、転職した先のクラスに関連するキットを取得することが可能になる。もっとも、それなりの理由付けは必要になるだろう。ファイターハンドブックでは例として、メイジとして開始したキャラクターが、グラジエーターのキットを持つファイターへの転職を挙げている。
特定のキットの必須技能を習得することで、同じキットを得ている他のキャラクターと同じような扱いを受けることは不可能ではない。しかしこの場合、キットの特別な利点は得られない。
キャラクターが何らかの理由でキットを放棄するという事態もあり得る。キットを放棄した場合、キャラクターはキットにより得ていた特別な長所(と一緒に特別な短所も)失う事になる。ボーナスとして習得した武器技能や一般技能は失わないが、代わりにそれ以降に得た技能ポイントは必ずボーナス技能のために費やさなければならない。*1
なお「副次技能」のルールを採用していて、キットが特定もしくは数種類の副次技能を指定していることがある。その場合はキットで指定されたルールが優先されることになる。

ファイターハンドブック

数多い「The Complete Handbook」の中で唯一、日本語版が発売された。
追加されたキットは以下の通り。

The Complete Thief's Handbook

AD&D第2版初期に展開されたキットであるため、ロールプレイや雰囲気重視のものが多く、特別な利点や欠点が「なし」になっているキットが多い。

The Complete Priest's Handbook

  • Amazon Priestess
  • Barbarian/Berserker Priest
  • Fighting-Monk
  • Nobleman Priest
  • Outlaw Priest
  • Pacifist Priest
  • Peasant Priest
  • Prophet Priest
  • Savage Priest
  • Scholar Priest

The Complete Wizard's Handbook


*1 要するに、ボーナスとして得た技能の技能ポイントは「前借り」という扱いになり、その返済が優先される。