モジュール/【スパイラルシティー】

Last-modified: 2020-06-07 (日) 06:38:09

ゴボゴボと音を立てる泥の中をゆっくりと進んで行くと、いつしか沼地の生き物に包囲されている事に気がつくだろう。果たしてカグマイヤーに辿り着く事はできるのだろうか?急がねばならないのだ。日に日に、その古き港街カグマイヤーは海に飲み込まれているのだ。
それだけではない。カグマイヤーの市民は恐ろしい熱病の猛威にもさらされているのだ。しかも君達さえも、絡みあったツタの影から様子をうかかっている小さな輝く目に狙われているのだ。果たして奴らが、カグマイヤーを包囲し、近くを通る商船を襲っている連中なのだろうか?奴らが、カグマイヤーの市民を飢餓に追込み、全滅させようとしているのだろうか?

 

 ジャングルに巣喰う奴らを追払え。

 

(中略)
用意はいいか?船や馬、物資を整えて、カグマイヤーの市民を救出する為に出発しよう。

X6モジュール「スパイラルシティー」日本語版裏表紙より
 

コードX6、原題は「Quagmire!」。
原語版はMerle M.Rasmussen(メルル・M・ラスムッセン)により執筆され、1984年に出版された。
日本語版は新和から1987年10月に翻訳販売された。当時の販売価格は2,200円。メタルフィギュア用フロアタイル付き。
表紙絵はSteve Peregrine(スティーブ・ペレグリン)。構図は、木々の生い茂る沼地の中で、大蛇と対峙する女戦士と、その奥に杖を持った髭を生やしローブを着た男が沼地に足腰までつかっている。
本文イラストはジェフリー・バトラー。
表紙カバーは三つ折りであり、右端の1枚はプレイヤーに見せる手紙と、プレイヤー用のカラー地図が付いている。小冊子の本文は32ページ。

概要

プレイヤーキャラクター達は、ワイルドランドと呼ばれる地方にあるカグマイアー市を探す旅に出る。彼らがその街を発見するためには、モンスターがはびこる沼地を渡らねばならない。
ワイルドランドはエキスパート・ルール・セットで紹介されている地図の範囲よりも西方に存在する。
対象となるプレイヤーキャラクターは2~8人。レベルは4~10レベルで、パーティには6レベル以上のクレリックがいることが望ましいとされる。

評判

フリー百科事典ウィキペディアによると、グラハム・ステープルハートはホワイトドワーフ誌で論評している。それによると10段階評価で8、「特に本格的な荒野への最初の斬新な試みとして、あらゆるD&Dプレイヤーにとっての有用な買い物」と呼んだ。さらに、「より局地的なシナリオやモジュールに欠けている、背景色や奥行きと一体になった総合的な環境や生態系が丸ごとの「体験」を促進する。デザイナーは、DMには訳知り顔の解説ではなくひらめきを与え、プレイヤーには彼らのキャラクターの世界が息づいてくるのを感じさせ、少しずつ見聞するのを持ち望ませる、ような広範囲の荒野を描写するという良い仕事を成し遂げた」と述べて、このモジュールを絶賛した。彼はモジュールの名称の基となった都市が「独創的なデザインの素晴らしい要素」と呼んだが、彼はこのシナリオを行うDMは「この都市は少々人口が希薄なため、シナリオに付け加えるために都市を潤色することを望むだろう」と指摘した。ステープルハーストは「天候、旅の疲労、疾病、食糧品の問題、等々は全て、キャラクターの関心毎に大きな役割を果たし、そしてこれがゲームの楽しみを大いに盛り上げる。非常に良いシナリオだ」と述べて論評を結論づけた。
ローレンス・シックは、1991年の彼の著書Heroic Worldsでこのシナリオの要約を、頭韻を踏んで記した。「Sea slowly swallows seashell-shaped swamp city(海がゆっくりと貝殻形の沼地の都市を飲み込む)」


オフィシャルD&Dマガジン12号のモジュールガイドでは、対応レベルの幅が広いのでパーティ内のキャラクター同士のレベルをできるだけ揃えた上で、エンカウンターを調整した方がよいと助言している。