ダイの大冒険
22巻で大魔王【バーン】が放った台詞。
バーンが放った【メラ】の威力があまりにも強力で、思わず【ポップ】のこぼした「大魔王の【メラゾーマ】はおれの呪文の何倍も威力があるのかよ」という台詞に対しての一言。
より正確には「…今のはメラゾーマでは無い…」で一旦区切り、「メラだ…」の部分は次のコマになっている。
なお、「では無い」という漢字表記は原文準拠。
本来は「ではない」のように否定の意味の「ない」は平仮名に開くのが通例であるためか、ウェブ上で引用される場合には「メラゾーマではない」と表記されていることが多い。
なお、余談ではあるが、少年誌に限らず、どのように漢字を使うかといった表現は(出版社の自主規制や誤植を除けば)作者の意志が尊重される。
バランの亡骸に向けてバーンが放ったほんの小さな火の粉。
亡骸にくっつくと同時に巻き起こる凄まじいまでの火柱は亡骸を完全に焼き尽くしてしまう。
同じものが倒れた【ダイ】にも放たれ、それを阻止すべく同属性のメラゾーマをぶつけるポップ。
だが相殺どころか勢いを削ぐことすらできず、ポップのメラゾーマが一方的に破られてしまい、驚愕するポップを余所に着弾するや否や同じ火柱がポップを飲み込み、かろうじてポップは助かったものの炎に強い特殊素材で編まれた【パプニカの法衣】がいとも簡単に燃え尽きてしまう。
バーンの「メラゾーマ」の威力に戦慄する一行。
そこへ追い打ちをかけるがごとく投げられたのが冒頭の台詞であった。
これほどの破壊力を持つ呪文がメラゾーマでないのなら、一体どんな強力な呪文を使ったのか…。
その答えはまさかの「メラ」。
そう、【魔法使い】が最初に覚える最弱と言ってもいい初歩呪文だったのだ。ゲーム本編で序盤に少しは役立っても早々と戦力外となってしまうアレが、こんな強烈な描写となって大化けしたのである。
「ケタ外れの実力者が振るう攻撃は、例え同じ攻撃方法であっても並み程度の力しか持たない者のそれをはるかに凌ぐ力を帯びる」という実力差の理論を登場人物および読者へ示すこれ以上無いシーンであり、まさに大魔王に相応しい名台詞だろう。
思えばポップが初登場時に放ったのを皮切りに、連載当時の最上級【メラ系】呪文メラゾーマの使い手は作中に続出した後。その上で大魔王が初手から「あえて手加減したメラゾーマ」などで押し返したのでは、格の演出として数段インパクトが劣ったろう事は想像に難くない。やはりここは「大魔王のメラ」こそ相応しかったのである。
さらにこの後、バーンは「同じメラでも魔力の絶対量によりその威力ははるかに異なる」と自ら解説しつつ、「これが余のメラゾーマだ」という一言と共に【カイザーフェニックス】を放つ。
火力ばかりが取りざたされるが、そのサイズも非常に恐ろしいものがある。
物語序盤、魔法の扱いに全く慣れていなかったダイの使用したメラはおおよそバスケットボール大だったにもかかわらず、バーンのメラは「指先サイズ」。
竜の血で蘇ったポップの「【ギラ】を収束させ、花びらに穴を空ける」(=本来ならギラのエネルギーで花びらは燃え尽きてしまうはず)という技からもわかる通り、「ただでさえ絶大な魔力を極小の火の粉に凝縮させる」という単なる力任せではない妙技が窺えるシーンである。
元々ゲーム作品ではメラが「敵一体に小さな火の玉をぶつける」という設定なのだが、それを踏襲した上で「小さな火の玉」という一見とても強そうに見えないものをバーンの技量の高さに結びつけているのが秀逸なポイント。
再現
ダイ大が連載されていた時期までのドラクエ本編では魔法の効果はその【呪文】ごとに定められた固定幅内での規定値が決められていて、誰が使ってもその範囲から変わらない仕様だった(たとえばDQ3では大魔王【ゾーマ】が使おうが中盤の雑魚敵である【エビルマージ】が使おうが【マヒャド】のダメージは55~66)が、DQ8からは特定のステータスによって呪文の威力が上がる仕様に変更。
更に【テンション】や耐性を下げる効果も登場したため「メラゾーマとしか思えないメラ」を再現できるようになった。
ダイ大コラボでの引用
スーパーライトや星ドラでも「メラを唱えた!」というメッセージの後にこの台詞を喋るほか、
スーパーライトでは【大魔王のメラ】という呪文が、星ドラでは「余のメラ」という呪文が登場した。
DQタクトではバーンは特性として「今のはメラだ」を持ち、その効果でメラの威力を800%上昇させるというなんとも極端なものになっている。
インフィニティストラッシュ
ストーリーの範囲は【鬼岩城】編までだが、【記憶の神殿】で【バーン】を倒すとこの【絆の記憶】が貰える。
効果は魔法力アップ+120~+210。
火炎呪文の極意(【ダイ】または【ポップ】が装備している場合、メラのダメージが64%(最大100%)アップしCTを4(最大8.5秒)短縮する)。
余談
大魔王の実力を示す名言からか、ネタにされることが多いセリフである。有名なものでは「今のはメラではない…メラゾーマだ」と逆転させるネタがある。こうなるともはや雑魚キャラ。
「メラゾーマだ」の部分をくり抜いて答えさせる大喜利も未だに出回ることがある。
もう一つ有名なものは「ファイナルファンタジー11」の魔法使いシャントットの「今のはフレアじゃない......ファイアよ...」というネタも存在する。こちらは、シリーズ最凶の魔法使いであるシャントットの強さを示している事から、「ネタではなくオマージュ」とも言われている。