【呪文】

Last-modified: 2025-06-01 (日) 12:09:35

概要

呪文とは、一種のおまじないや、普通の行動では起こせないような不思議な現象を発生させるために発する決まり文句などを指す。有名どころでは “Open Sesame!(開けゴマ)” なども呪文の一種。
ドラゴンクエストシリーズでは「呪文」「じゅもん」というと大きく分けて以下の意味がある。

  1. キャラクターがMPを消費して唱え、ダメージや回復、状態変化など様々な現象を引き起こす技能。一般的にいう魔法のことを指す。シリーズ初期の【取扱説明書】では復活の呪文との区別のため「魔法の呪文」と表記している。
  2. 数十文字のひらがなによる、いわばパスワード。DQ1とDQ2のコンティニューのため「復活の呪文」が有名。他に「転送の呪文」などがある。詳しくは【復活の呪文】を参照。
  3. ストーリー上で登場する封印を解くための言葉や、特定の扉を開けるための合言葉など。上記冒頭で述べた意味の「呪文」に近い。

 
以降、本ページでは1.の魔法の呪文全般について解説する。
シリーズに登場する全ての魔法の呪文の一覧はこちらを参照。

魔法の呪文についての基本事項

ほとんどの呪文は【MP】(=魔法力)を消費する。消費MPは呪文ごとに設定されており、キャラが持っているMP以上の消費MPを持つ呪文は唱えられないか、唱えても効力を発揮しない。そのため、長丁場の【ダンジョン】やボス戦ではMPの温存や回復など計画的な運用が求められる。
 
呪文は用途によって攻撃呪文、補助呪文、回復呪文、移動呪文の4つに大別される。
その他に、どんな効果をもたらすかわからない謎の呪文も存在する。
一般的に、攻撃呪文や補助呪文は【戦闘】で使うための呪文で、移動中は使用できない。移動呪文はその逆である(一部作品の【ルーラ】を除く)。
【ホイミ】など多くの回復呪文は戦闘中・移動中どちらでも使うことができる。
また、【マダンテ】【グランドクロス】のように、作品によって呪文扱いだったり【特技】扱いだったりするものもある。
 
呪文を唱える際は、その詠唱者が呪文名を直接叫んで効果を発揮させるというイメージが一般的なようだ。
シリーズ初期のDQ3の時点で【パルプンテ】の効果の一つとして「パルプンテ パルプンテ パルプンテ…」という山彦が台詞として表現されており、DQ6では実際にNPCが「ホイミ!」と叫んで傷を治している場面もある。4コママンガなどの関連作品でも一部を除いて呪文名を直接叫ぶ描写が多い。
ただし、DQ11Sなどの戦闘中もボイスがついた作品では呪文を詠唱しない場合がある(例:「炎よ!(ギラ)」「凍りつけ!(マヒャド)」)。
呪文を唱えた時の効果音は一貫して「ピロリロリロロ!」。6音だと思われがちだが実際は7音であり、音階で表すと「ド・ミ♭・ド♯・ミ♮・レ・ファ・ファ♯」となる。
 
プレイヤーが習得可能な呪文の一部が古代呪文や封印された呪文として特別な扱いを受け、イベントで習得することもある。
DQ5のルーラ・パルプンテ(失われた古代呪文)、DQ6のマダンテ(究極呪文、だたしシステム上は特技)、DQ7の【マジャスティス】【ギガジャティス】【マナスティス】の対抗呪文およびその上位呪文)がその例である。
作品によっては、イベント専用でプレイヤーは習得できないという呪文も登場する。DQ7のマナスティスがその代表で、その他DQ6には非常に詠唱の長いイベント専用呪文がいくつか存在する。
 
呪文の名称については、『週刊ファミ通』1996年2月9日号の【堀井雄二】インタビューによると、

  • とにかくゴロがよいもの
  • 語尾に濁音がついていると強力
  • パッと読んでその効果がわかる

を基準に付けているそうである。
文字数はDQ1からDQ5までは5文字以内(呪文として扱われるリメイク版の特技を除く)、DQ6・DQ7は7文字以内、DQ8以降は8文字以内となっている。
6文字以上の呪文は圧倒的に数が少なく、拍数で言えばほぼ5拍以内に収まる。【マジックバリア】【コーラルレイン】がドラクエ呪文っぽく聞こえないのは、これも原因の1つ。最長は【ディバインスペル】の8文字で7拍。
モンスターズシリーズから逆輸入された【メラガイアー】【ギラグレイド】【イオグランデ】は6拍になっており、長い歴史を持つメイン属性の呪文として慣習に従わないネーミングとなった。
一方、同時期に登場した極大呪文では【ジゴデイン】【ドルマドン】は5文字、【マヒャデドス】【バギムーチョ】は6文字だが5拍である。
ちなみに上述の「語尾に濁音がついていると強力」の法則はあまり適用されておらず、極大呪文の中で語尾が濁音になっているのはDQ8以前はマヒャドのみ、DQ9でイオグランデ、DQ10以降でギラグレイドがそれぞれ追加されたが、未だ過半数どころか1/3にも満たない。むしろ初級呪文の【ヒャド】【バギ】の語尾が濁音なので、語尾というよりは「場所によらず濁音が増える」もしくは単に「文字数が増える」と強くなる傾向の方が強い。

コマンドの「じゅもん」

本編作品では、移動中・戦闘中ともひらがなの「じゅもん」という【コマンド】があり、これを選択することで呪文を任意に使用できる。移動中・戦闘中ともナンバリングタイトル全作品で登場している。
 
旧来のパソコンRPG『ウィザードリィ』では魔法の使用時には文字を入力する必要があったが、DQシリーズでは「じゅもん」コマンドを選択すると呪文の一覧が表示されるので、その中から唱えたいものを1つ選ぶ。
【MP】が足りない場合は「MPが たりない!」と表示されて唱えることができない。戦闘で呪文を指示した後、自分の行動が回ってくる前にMPダメージを受けるなどしてMPが足りなくなった場合は不発に終わる。
 
オリジナル版のDQ4とDQ5、リメイク版『DQ1・2』、HD-2D版DQ3では未習得の呪文枠に?マークが表示される。
DQ5からはカーソルを動かすとその呪文の消費MPと現在MPが分数の形で表示されるようになった。さらにDQ6以降では消費MPに加えて呪文の効果が簡潔に表示されるようになった。
 
DQ10オンライン以降では、呪文名にジャンルごとのカラーアイコンが併記される。色は以下のように分けられている。アイコンは特技と同じ円形だが、DQ10オフラインでは六角形になり差別化された。

回復系攻撃系補強系
弱体系移動系

 
(以下、機種を表記しない場合はオリジナル版を示す)

戦闘中

戦闘中コマンド
【たたかう】【にげる】【じゅもん】【どうぐ】【ぼうぎょ】【こうげき】【さくせん】【いれかえ】【とくぎ】【そうび】【はなす】【おどかす】【ためる】【しらべる】【ひっさつ】【れんけい】【きりかえ】【あきらめる】

各キャラクターの個別コマンドに「じゅもん」があり、そのキャラクターが戦闘で使える呪文のみが表示される。選択した呪文によってはターゲットを選択する。呪文リストは横方向2列であることが多いが、DQ9など一部作品は1列のみになっている。
 
DQ1の呪文選択リストは移動中と共通で10種類すべての呪文が縦一列に表示される。
戦闘中に移動用の呪文を使おうとすると「それは たたかいに つかえない!」と表示されてコマンド入力を受け付けない。
また敵味方とも単体なので、呪文を選択した時点で効果が発動する。
 
DQ2から戦闘中には戦闘で使える呪文のみがウィンドウに表示されるようになった。
DQ3では【魔法使い】【僧侶】の両系統を扱えるキャラの呪文を選択する際は両系統が分かれて表示され、「まほうつかい/そうりょ」のいずれか選択してから唱える呪文を選ぶ。
またDQ3(ガラケー版まで)とFC版DQ4でターゲットを選択可能な戦闘呪文は、ページを切り替えることで【パーティアタック】ができる。
 
DQ2(リメイク版含む)とDQ3では戦闘中コマンドが4つまでしか表示されない一方、全体コマンドがないため、先頭キャラにのみ【にげる】コマンドが追加される仕様である。
このため、これらの作品では戦闘中呪文を使えるキャラが先頭に立つとコマンドが「たたかう/じゅもん/どうぐ/にげる」となり、【ぼうぎょ】コマンドが潰れて防御ができなくなる。
ただし、のちのち戦闘中呪文を覚えるキャラでも、まだ覚えていないうちは「じゅもん」コマンドが表示されず、「ぼうぎょ」コマンドは潰れない。
DQ4でも同様だが、第五章で【勇者】以外の仲間キャラがいるときもしくは馬車を連れている場合は、全体コマンドが表示されてそちらに「にげる」コマンドが移るため、勇者の個別コマンドでは「じゅもん」と「ぼうぎょ」が共存する。
 
DQ5ではリメイク版も含めて戦闘中に「じゅもん」コマンドが表示されるのは【人間】キャラ(妖精の【ベラ】を含む)のみ。
【仲間モンスター】は「じゅもん」が「とくぎ」に置き換わり、戦闘中呪文は特技(特殊攻撃)とともに「とくぎ」コマンドの中にまとめられる形となっている。
 
DQ6からは、人間キャラ・仲間モンスターのどちらの場合でも、戦闘コマンドとして「じゅもん」とともに「とくぎ」が標準で表示されるようになり、「じゅもん」コマンドでは呪文のみが扱われるようになった。これはHD-2D版DQ3でも同様となっている。
ただし、リメイク版DQ4では追加された勇者や【ピサロ】の特技は「じゅもん」コマンドで扱われる。逆にリメイク版DQ6では戦闘中の「じゅもん」コマンドがなく、「とくぎ」コマンドで呪文・特技の両方が扱われる。
 
DQ7では「じゅもん」コマンドを選択すると「とくぎ」同様に、「ダメージ/かいふく/そのた」の3カテゴリに分かれて表示されるという独自仕様である(リメイク版含む)。
 
DQ10オフラインでは移動中の【さくせん】コマンドで、バトルでの「じゅもん」ウィンドウ内の各呪文の配置を変えることができる。

移動中

移動中コマンド
【はなす】【じゅもん】【つよさ】【どうぐ】【かいだん】【しらべる】【とびら】【とる】【そうび】【さくせん】【なかま】【せんれき】【とくぎ】【おもいで】

移動中は「じゅもん」コマンドを選んだ後、キャラクター→唱える呪文の順に選択する。単体回復呪文の場合は呪文選択後に対象のキャラを選択する。
呪文リストは一貫して縦方向に1列に表示される仕様である。
 
DQ1では上述のように移動中・戦闘中とも呪文リストが共通であり、10種類すべての呪文が表示される。移動中に戦闘用の呪文を使ってもMPを無駄にするだけで何も起こらない。
DQ2から移動中の「じゅもん」コマンドでは移動中に使える呪文のみが表示されるようになった。移動中に戦闘中の呪文を確かめたい場合は【つよさ】コマンドで調べられる。
DQ3では戦闘中と同じく【魔法使い】【僧侶】の両系統が分かれて表示され、矢印アイコンでページを切り替えて唱える呪文を選ぶ。
 
移動中の特技が登場したDQ6以降では、「じゅもん」コマンドで移動中の特技も一括して扱う仕様になったため、呪文と特技がリスト内に混在する。DQ7以降でもこの仕様は踏襲され、移動中特技が追加されたリメイク版DQ3(HD-2D版除く)・DQ4・DQ5でも同様となっている。
 
しかしHD-2D版DQ3では移動中でも「とくぎ」コマンドが「じゅもん」から独立するとともに、FC版DQ1以来38年ぶりに、移動中の「じゅもん」コマンドで戦闘中の呪文も表示されるようになった。ただしグレーで表示されており、使うことはできない。

呪文の使用者

多くの作品では、僧侶・魔法使いの職業や、それに準ずるキャラクターが呪文を得意とする。
【職業】が導入されたDQ3以降はキャラの役割分担がより明確になり、職業によって扱える呪文に傾向が認められる。
主に、以下の4タイプが存在するが、DQ9の【魔法戦士】などこれらに当てはまらない職も登場している。

  • 【僧侶】タイプ…主に回復呪文、バギ・ザキ系攻撃呪文、【ニフラム】等の補助呪文を覚える。
  • 【魔法使い】タイプ…主にメラ・ギラ・ヒャド・イオ系攻撃呪文、【マホカンタ】等の補助呪文、ルーラ等の移動呪文を覚える。
  • 【賢者】タイプ…僧侶系と魔法使い系の両方の呪文を覚える。DQ9以降は両者のハイブリッド・上位ではなく中間のポジションになった。
  • 【勇者】タイプ…僧侶系・魔法使い系の一部呪文の他、デイン系等の独自の呪文を覚える。

僧侶の呪文と魔法使いの呪文が分かれているのはウィザードリィ時代からのRPGのお約束だが、同作の補助系呪文は呪文名こそ違えど、両者とも同じ効果のものが割と多かった。
しかしDQでは、補助系も僧侶系の職業・キャラと魔法使い系の職業・キャラで被ることは少ない。
ただし、各種補助呪文が僧侶の呪文に属するか、魔法使いの呪文に属するかの線引きは作品によって変わることもある。例えば、DQ4以降はスカラ系は僧侶の呪文、【ルカニ系】は魔法使いの呪文として扱われることが多いが、職業が初登場したDQ3ではルカニ系は僧侶、スカラ系は魔法使いの呪文となっている。
上記の通り、Wizadryでは守備力に関する呪文は僧侶でも魔法使いでも覚えられる(一応異なる呪文なので習得時期や性能に差はあるが)。
 
なお、DQ6では僧侶系・魔法使い系の枠以外に【盗賊】【フローミ】【レミラーマ】【商人】【インパス】【遊び人】【パルプンテ】【魔物使い】【ドラゴラム】【レンジャー】【トラマナ】【トヘロス】を覚えるなど、職業特性に合わせて固有の呪文が割り振られている。

戦闘における呪文の性質

呪文は強力な効果のものが多いが、それゆえに対抗手段も多い。
呪文を封じる【マホトーン】、呪文を反射する【マホカンタ】、呪文を無効化する【マホステ】などがその代表である。
【あやしいきり】によって全員の呪文を無効化される場合もある。
また、常に呪文を無効化する空間や、最初からマホカンタがかかっている敵も存在する。
呪文への対抗手段については、こちらも参照。
 
一方で、特技にない呪文だからこそ受けられる恩恵もある。
【やまびこのぼうし】【やまびこのさとり】【やまびこの心得】の効果を使えば、「呪文が山彦となって繰り返される」という設定で、1度のMP消費で呪文の効果を2連続で発動させることができる(マダンテなど一部例外あり)。
 
敵に対して使う攻撃呪文や補助呪文は、【属性】を持っている場合が多い。つまり、相手の【耐性】によって成功率やダメージが左右される。
DQ8までは【通常攻撃】と違って【命中率】【みかわし率】によって攻撃自体を外すことがないが、DQ9以降では一部攻撃呪文が【盾ガード】【武器ガード】によって回避されることもある。

各呪文の特徴

攻撃呪文

敵を攻撃する呪文。DQ10・PS4版DQ11では赤色のアイコンとなっている。
その性質から、【メラ】【イオ】などの直接相手の【HP】を減らすタイプと【ザキ】【メガンテ】など相手を【即死】・消滅させるタイプに二分される。
 
ダメージを与える呪文は、ナンバリング作品では【メラ系】【ギラ系】【イオ系】【バギ系】【ヒャド系】【デイン系】【ドルマ系】【ジバリア系】の8系統が登場している。
モンスターズシリーズでは、これに加えて【ベタン系】【ザバ系】も登場する。
 
DQ7までは攻撃呪文の威力は使用者のステータスに依存せず、各呪文に設定された値の範囲内のダメージを与える。
例えばDQ6の【メラミ】は「敵1体に70~90のメラ系ダメージを与える」呪文。
敵がメラ系耐性を持っていない場合はこのダメージがそのまま通るが、耐性を持っているとダメージを軽減されたり無効化される。
ただし、同じ攻撃呪文でも敵が使用した場合は、味方が使用した場合と比べてダメージ規定値が低く設定されていることが多い(システム的に見れば同名の別呪文扱い)。
再びDQ6のメラミを例に挙げると、味方が使用した場合70~90に対して、敵が使用した場合は52~62となっている。
 
DQ8以降は、使用者の【かしこさ】【こうげき魔力】によって威力が変動するようなった。
このような作品でも、敵モンスターにはそれらのステータスが設定されていない(=0扱い)ことで、やはり味方の呪文よりも威力が低くなったりする。
 
なお、キャラクターやモンスターに具わっている耐性による影響は、作品によって異なる。
DQ4までは「味方は耐性によって呪文で受けるダメージが減少するが、敵は耐性によって呪文を確率で無効化する(=命中するかしないか)」方式だったが、DQ5からは「敵味方問わず耐性によって呪文で受けるダメージが減少する」方式に統一された。DQ9からは「弱点を突けばダメージが増大する」ようにもなった。
詳しくは【属性】【耐性】【耐性貫通力】を参照。
 
DQ1からDQ3までは、敵側の攻撃を「攻撃系呪文」として一括りにしていたが、SFC版DQ2のみ【ギラ】だけ別枠になっている(このため【イオナズン】のみ【まほうのよろい】以外では軽減不可)。
DQMJ1やDQ9では、上級呪文を凌ぐさらに上位の呪文が登場。これらの作品で登場しなかったギラ系やデイン系も別作品にて上位呪文が登場した。
 
DQ5以降【攻撃力】に依存する【複数攻撃武器】や味方が使える強力な【特技】が登場するようになり、その一方で攻撃呪文はDQ7までダメージ規定値が固定であったために、相対的な価値低下が見られた。
これを不遇と評価されることもあるが、要所要所では攻撃呪文が活躍する場面も少なくない。
DQ8以降は、すでに述べたように使用者のかしこさやこうげき魔力が上がれば威力も上昇するようになり、うまく棲み分けがなされている。
総じて、序盤から中盤は呪文が優位、強力な特技が増える終盤からクリア後は特技や物理攻撃が優位になるバランスとなっている。
そもそもDQ5以降は敵の耐性による影響が軽減式になったため、ダメージ予想が立てやすくなった点は有利に働いている。
MMORPGであるDQ10では定期的に調整が入る都合上、攻撃呪文が不遇と言われることはなくなった(逆に物理攻撃が不遇と言われたことはある)。
DQ11では終盤まで攻撃呪文が大活躍する。
この攻撃呪文と他の攻撃手段の関係については、下記「呪文の歴史」の項目で説明していく。
 
即死を引き起こす【ザキ系】やメガンテは、HPに対するダメージを伴わずに「即死」の効果のみ与える。このため、即死呪文は他の攻撃呪文よりも状態異常系の補助呪文に近い性質を持っている。
他のRPGでは即死を完全に状態異常扱いしているものもあるが、基本的にDQシリーズはザキ系を攻撃呪文としているため、本辞典もこれに従うこととする。
 
その他、【マホトラ】はかつては弱体系の補助呪文に属していたが、DQ10など一部作品では敵のMPにダメージを与えることから「攻撃呪文」に分類され、攻撃魔力に応じて吸収量が変動するようになった。

補助呪文

様々な形で戦闘を有利に進める効果をもたらす呪文。
 
DQ7までの【公式ガイドブック】では、「味方の攻撃をより効率的なものにする呪文(攻撃補助)」と「敵の攻撃から身を守る呪文(防御)」に細分化されている。
例えば【ルカニ】【バイキルト】などは味方の攻撃を強化するものなので明確な攻撃補助呪文、
【スクルト】【フバーハ】【マヌーサ】などは敵の攻撃を防ぐor弱体化させるものなので明確な防御呪文なのだが、
敵の呪文攻撃を防ぎつつ跳ね返してダメージを与える【マホカンタ】、敵の行動を防ぎつつ同士討ちでダメージを狙う【メダパニ】、素早さを操作する【ピオリム】【ボミオス】など、攻撃補助と防御・回復支援の両方の効果を持つ呪文も多く、これらの呪文の的確な分類は難しいと言える。
 
近年の作品では「味方に能力アップや補助効果をもたらす呪文(強化)」と「敵に能力ダウンや状態異常をもたらす呪文(弱体化)」という分類が採用されている。
DQ10、PS4版DQ11では、強化呪文は青色で上向き矢印のアイコン、弱体呪文は紫色で下向き矢印のアイコンとなっている。
また、海外ゲーム起源でMMORPGの普及とともに日本でも一般的になりつつある用語として、強化は「バフ」、弱体化は「デバフ」と呼ばれることもある。
 
強化呪文は瞬時に敵を無力化することはできないが、確実な効果を望めるため、ボスや強敵との戦いで役立つ。
ただし、攻撃強化で言えば【バイキルト】は物理攻撃しか強化できないし、防御強化についても【スクルト】【フバーハ】【マジックバリア】など特定のカテゴリのみを防ぐものがほとんどなので、使いどころを間違えないように注意。
 
弱体呪文は、敵に状態異常を与えるものと、敵のステータスをダウンさせるものに分かれる。
どちらも確率で成功・失敗を判定する。
呪文自体の基本成功率(または貫通力)と対象の耐性の組み合わせによって実質的な成功率が決まり、「成功」の判定となった場合にその効果を発揮する。
前述のザキ系と同じく「効くか効かないか」であり、例えばルカニ耐性が高ければ守備力の減少量が減る、というわけではない。
DQ9以降は、仕様変更により弱体呪文の基本成功率が従来より引き下げられて弱体化した。
敵が使用する補助呪文は命中率が味方側より低く調整されている場合が多いが、DQ8以降の作品ではまれに味方仕様の補助呪文を使う敵がいる。
 
【ラリホー】【メダパニ】といった状態異常系の呪文は全体的に効果が大きく、瞬時に敵を無力化できる。敵の数が多いザコ戦で力を発揮することが多い。
即座に倒すことができないような敵の群れであっても、これらの呪文で無力化すれば、余計なダメージを受けることなく戦闘を有利に進めることができる。
逆にこのような呪文はボスにはあまり効かない傾向が強い。
 
一方で、【ヘナトス】【ルカニ】といった能力ダウン系の呪文は多くのボスにも有効で、強化系の呪文同様相手の行動の抑制にはならないが、確実な効果が見込める。
特にルカニは守備力の高いボスに効率よく攻撃を通すことができる、便利な呪文といえる。
 
このように、攻撃呪文以上に敵や状況をよく選びよく考えて使用することが重要となる呪文である。
攻撃呪文や回復呪文と比べると地味な存在だが、その効果は多岐に渡り、その恩恵は侮れない。
補助効果を使いこなせれば、遥かにレベルの高い敵にも打ち勝つことができるだろう。
 
状態異常系の呪文に似た効果を持つ特技として、例えばラリホーに対して【あまいいき】、メダパニに対して【メダパニダンス】、マホトーンに対して【まふうじの歌】などがある。
DQ6・7ではこれらの特技を味方が任意に使えることで、補助呪文もまた(攻撃呪文以上に)活躍の場を奪われていた。この点もよく批判が挙がっている。
DQ8以降は、その多くが敵専用になるか消費MPが設定されるようになったため、概ね問題は解決している。
一方で、ステータス変化系の呪文は、代替特技が少ないため、そこまでの影響を受けていない。
問題となるのは、DQ7の【たたかいの歌】、DQ8の【かぶとわり】くらいか。

回復呪文

減少した味方の【HP】を増加させたり、悪い【状態変化】【戦闘不能】を解除する呪文。DQ10・PS4版DQ11では緑色のアイコンとなっている。
 
移動中に使用できるものも多く、戦闘終了後に改めて態勢を立て直すこともできる。
「HPを回復する呪文(HP回復)」「状態異常を回復する呪文(治療)」「死亡した仲間を生き返らせる呪文(蘇生)」に細分化されるが、単に回復呪文と呼ぶことが多い。
【ホイミ】【キアリー】【ザオラル】などが該当する。
 
回復呪文は味方に対して使用する呪文であるため、全て確実に効果が出る(【ザオ】、ザオラルを除く)。
敵からダメージを受けることはほぼ不可避なので、この系統の呪文は非常に大切。
 
翻って、強敵が相手の時にマホトーンなどで回復役の呪文が封じられると、非常に厳しい戦いになることが多い。
DQ6やDQ7のように転職が自由にでき誰でも回復呪文を習得可能な環境にあるならば、できるだけ多くのキャラクターに高位の回復呪文を習得させておくことで安全に冒険できる。
逆に、回復呪文を使用しないというだけで、相当厳しい【縛りプレイ】となる。
 
ジョーカー1、DQ9から回復量がかしこさや【かいふく魔力】に依存するようになった。
攻撃呪文と同様に敵が使用する【ベホマズン】なども、作品によっては敵が使用した場合の効果が異なる(回復量が少ない)ことがある。
 
回復呪文は攻撃呪文や補助呪文とは異なり、特技では代用がきかない効果が多い。
全体回復技としては【ハッスルダンス】があるが、単体の回復に関しては代替の特技がほぼ無く、【めいそう】は自分自身しか回復できない。
道具にしても全体的に効果が小さく、さらには消耗品だったり貴重品だったりするため、結局は単体回復に関しては呪文のほぼ独壇場であり、状態異常の治療や蘇生に関しても呪文に頼らざるを得ない面が多々ある。

移動呪文

移動中にのみ使用でき、様々な形で冒険をサポートする呪文。DQ10、PS4版DQ11では黄色のアイコンとなっている。
「その他の呪文」「冒険補助呪文」「移動補助呪文」などと呼ばれることもある。
 
「離れた場所へ瞬時に移動する呪文(瞬間移動)」「歩行中の安全性を上げる呪文(移動補助)」「建物や【宝箱】などを調べる呪文(調査探索)」などに細分化できるが、やはりまとめて移動呪文と呼ぶことの方が多い。
【ルーラ】【リレミト】【トラマナ】【インパス】などが該当する。
 
便利な呪文が多く、使いこなせば快適な旅が約束される。
これらの呪文がいつでも使えるよう、MPを気にしつつ冒険する人は多いだろう。

謎の呪文

以上の分類に分けることのできない呪文が、「謎の呪文」である【パルプンテ】
この呪文は唱えるたびに様々な効果が起こり、何が起こるかは唱えてみるまでわからないという呪文。
発生する効果も作品ごとに異なっており、敵味方関係なく有利・不利にする効果が数多く揃っている。
HD-2D版DQ3では補助呪文(強化)に分類された。

呪文の歴史

DQ1

【主人公(DQ1)】は最初は1つも呪文を使えず、【レベル】が一定の値に達することによって呪文を習得していく。
呪文を覚えた際には「じゅもんを 1つ おぼえた!」と表示されるのみで、覚えた呪文が何なのかはウィンドウを確かめる必要がある。これは次々作まで続く。
 
登場した呪文は10種類で、味方が初めて覚える呪文は【ホイミ】である。
敵が初めて使ってくる呪文は通常【ギラ】になり、このどちらかを「シリーズ初の呪文」と言うことができる。
最強の攻撃呪文は【ベギラマ】、最強の回復呪文は【ベホイミ】である。
またダンジョンで周囲を明るくする【レミーラ】がDQ1限定の呪文として登場した。
今作とDQ2における呪文を唱えたときのメッセージは

◯◯◯◯は □□□□ 
じゅもんを となえた!

である。
発動時の効果音は後のシリーズよりも低い音になっている。また敵が発動させた際はモンスター自体が白く光る演出になっている。

DQ2

【サマルトリアの王子】【ムーンブルクの王女】が呪文を使用できる。それぞれ初期状態で1つの呪文が使え、後は全てレベルアップによって覚える。どちらかにしか使えない呪文が大半だが、2人とも使うことのできる呪文もある。
 
前作の倍以上の22種類の呪文が登場。【パーティ】制導入に伴って複数を対象とする攻撃呪文が新たに登場し、完全回復の呪文【ベホマ】、守備力を増減させる【スクルト】【ルカナン】、蘇生や解毒を行う【ザオリク】【キアリー】、謎の呪文【パルプンテ】などバラエティーも豊かになった。最強攻撃呪文は【イオナズン】
 
グラフィックの都合上、戦闘中にモンスターそのものが光る演出はなくなり、自軍側と同じように画面全体が白くフラッシュする演出になった。
リメイク版はモンスター自体がフラッシュする。
 
開発期間が短かったことによる調整不足により、スクルト、ルカナン、マヌーサ、ベギラマなどが他シリーズに比べて欠陥品のような効果となってしまい、レベルの上がりにくさや攻撃呪文をも無効化する敵の耐性の高さと相まって呪文の使い勝手の悪さを際立たせる原因となってしまった。
この反省は次作DQ3に反映されているし、リメイク版DQ2でも各呪文の効果が大きく上方修正されることでかなり使いやすくなっている。
とはいえ、FC版DQではサマルトリアの王子やムーンブルクの王女の打撃にあまり期待できない一方、【ローレシアの王子】の打撃のみではダメージソースがまったく足りないので、やはり呪文の力に頼らざるをえない。
ある意味では、攻撃呪文の最盛期と言われているDQ3以上に攻撃呪文や呪文効果を持つ装備品(【いかずちのつえ】【ちからのたて】)が活躍する作品であると言える。
他の作品と異なり雑魚戦でも激戦続きとなるため、回復面でも少量回復・低燃費のホイミが最後まで重宝するなど他作品では見られない活躍を見せる。

DQ3

大きく分けて【魔法使い】の呪文・【僧侶】の呪文・【勇者】専用の呪文に分けられており、これらの各【職業】がレベルアップで覚えていく。
ただし勇者は専用呪文に加えて魔法使い・僧侶の呪文のうち主に中級クラスまでの一部呪文も習得する。【賢者】は魔法使いと僧侶の呪文をすべて覚えられる。
呪文の習得レベルは一定ではなく、規定レベルより遅れる場合もある。
DQ1の項で述べたとおり、本作までは呪文を習得したときに何の呪文を覚えたかは出ず「じゅもんを 1つおぼえた。」のみの表示である。本作では一度に2個以上の呪文を覚えることがあるが、その場合も「1つおぼえた」のメッセージが複数回繰り返し出る。
また、呪文の種類が豊富な上に、ウインドウ上の並び順と習得順が一致していないため、何を新たに覚えたのか確認しづらかったりする。
【転職】した後も呪文は忘れずに引き継がれるので、呪文を覚えない職業であっても転職前に覚えた呪文は使うことができる。
 
前作からさらに増加し3倍近い60種類となり、攻撃呪文には【メラ系】【ギラ系】【ヒャド系】【イオ系】【バギ系】【デイン系】【ザキ系】という系統の概念が生まれ、それぞれ強さの異なる2~4段階の呪文が設定された。最強攻撃呪文は【ギガデイン】
ザオリクやスクルト・ルカナンにも下位呪文が登場して系列化されたほか、回復呪文にもパーティ全体を回復する【ベホマラー】・ベホマズンが登場した。
このようにして今作で呪文体系の基礎が築かれ、これ以降の作品では今作のものを基本として毎回少数の呪文が入れ替わるかたちとなっている。
姿を消す【レムオル】は今作限定の呪文となり、また鍵要らずの呪文【アバカム】も今作をもって卒業となった。
 
呪文を唱えたときのメッセージは

◯◯◯◯は □□□□を となえた!

と若干簡略化された。
 
初手から安定した火力を放てる【メラミ】【メラゾーマ】は、運要素の強い【武闘家】【会心の一撃】や、【バイキルト】をかけてもらってからが本番の勇者・【戦士】の通常攻撃と差別化できている。
しかし中盤以降から攻撃呪文に耐性を持つ敵が増え始め、ラスボスに至ってはデイン系以外の全属性が無効。バイキルト習得後は前衛にバイキルトをかけて殴った方が安定性・消費MPの上で得をする場面が多い。
一方で、本作の打撃攻撃のダメージの振れ幅はおよそ±20%ほどなのだが、乱数抽出の仕様が極端になっているため、やたらと最大値・最小値が出やすい特徴がある(【こうげき】を参照)。
例えば打撃ダメージの期待値が100だった場合、80ダメージと120ダメージがかなり出やすくなっており、1.5倍の開きが生じるため、死活の予想が立てづらい。呪文ダメージはバギ系を除いてここまで極端にはブレないため、安定感は呪文の方が勝っている。後述のリメイク版では少しマシになっているが、それでもやはり打撃ダメージの偏りは大きい。

リメイク版

【盗賊】用の呪文がDQ6から輸入され、62種類となった(明らかに呪文ではなく特技の一種であるものは除く)。
【複数攻撃武器】の登場により複数攻撃呪文の価値が下がっているが、後の作品のような強力な特技の追加はないため、メラゾーマとギガデインはクリア後の裏ボス戦まで有用である。

HD-2D版

【ザオ】【ベホイム】【マホリー】【デイン】【マジックバリア】が後の作品から逆輸入された。
一方、盗賊の呪文の一つであった【フローミ】は、地名関連システムの進化によって不要となり削除された。
 
攻撃呪文はDQ9などと同じく、弱点を突くとダメージが増加し、耐性があるとダメージが減少する方式になった。またこうげき魔力が実装されなかった本作では、DQ8と同じく【かしこさ】によって攻撃呪文の威力が変動する(最大1.3倍)。
グループ攻撃呪文は相手の数が2体以下、全体攻撃呪文は3体以下だと、相手の数が少ないほどダメージが増える。

DQ4

【勇者】に加え、前作の僧侶の特徴を受け継いだ【クリフト】【ミネア】、魔法使いの特徴を受け継いだ【ブライ】【マーニャ】が、それぞれレベルアップでキャラごとの呪文を覚える。
これらの仲間については僧侶系・魔法使い系の各2人で使用呪文を分担する形であり、個々が覚える数は前作の僧侶・魔法使いに比べると少ない。
勇者は前作と同じく僧侶系・魔法使い系の呪文の一部を覚えられ、今作では勇者が最も多くの呪文を覚える。
今作からは、習得時に覚えた呪文がメッセージとして表示されるようになった。
 
全員で唱える【ミナデイン】が登場し、与えるダメージの大きさという点だけで見ればこれが最強呪文となった。他に【ラリホーマ】【メガザル】【マホステ】が新登場し、マホステ以外は以降の作品で常連となった。
また今作の【メガンテ】は自軍が使えず、シリーズ初の敵(【ばくだんいわ】)専用呪文となった。
移動中の呪文欄では、まだ覚えていない呪文が?マークで表示されるようになった。
 
攻撃呪文を唱えた際は属性に応じた色でフラッシュするようになった。
メラ系は赤、ギラ系とイオ系は黄色、ヒャド系は青、ザキ系は紫、メガンテは緑。バギ系とデイン系、その他補助呪文や回復呪文は白のままである。
 
今作まではまだ味方の特技のシステムが未登場であるが、本作の【AI戦闘】の仕様では(【第五章】では)魔法系キャラは学習が完了するまでは効かない呪文を唱えることが多いためやや扱いづらい。
特にボス戦では呪文を有効に使うことが難しくなり、回復役以外は前衛職で固めた方が安定するバランスとなっている。
とはいえ、弱耐性の敵への呪文の命中率は前作より上がり、実際に実感できるほどに当たりやすくなっている。
本作では特定の呪文に完全耐性を持つ敵が序盤から登場するが、相手や状況に合わせてパーティをうまく入れ替えれば、十分に活躍させられるだろう。
一方、前作と比べて味方の【ちから】がやや上がっており、前作では最高レベルまで上げてもちからが255に達するのは武闘家のみでそれも最高レベル直前の話だったが、本作では【アリーナ】、勇者、【ライアン】の3人が最高レベルよりもかなり前の段階でちからが255に達するようになっている。
さらに、「その時点でパーティにいるキャラが覚える呪文がほとんど(もしくは全て)効かず、打撃で殴るしかできない」という敵も増加している。
そのような敵が出現する地域では、呪文を唱えるよりレベルを上げて物理で殴った方が早いという状況になりがちである。
 
なお、AIの行動選択幅の都合上か、勇者以外のキャラクターは「戦闘中に使える呪文は12種類まで」という制限が課せられている。
これにより【ルーラ】は同じ呪文でありながら、「ブライと勇者は戦闘中に唱えられるのに、マーニャは唱えられない呪文」となっている。

リメイク版

レミラーマと、【第六章】で仲間になる【ピサロ】用の呪文が後の作品から輸入されている。
第五章以降でも命令できるようになって使い勝手が改善し、DQ3と同様にメラゾーマとギガデインはラスボス戦、さらには裏ダンジョンのボス戦まで役に立つ。

DQ5

人間のPCは【ピピン】を除いて全員、各キャラごとに呪文を覚える。
【仲間モンスター】はモンスターの種族ごとに覚える呪文が決められており、呪文を全く覚えない種族もいる。仲間モンスターは呪文も「とくぎ」コマンドにひとまとめにされる。
人間・モンスターとも従来通りレベルアップで習得するが、【主人公(DQ5)】のルーラとパルプンテはシリーズで初のイベント習得呪文となっている。
呪文の習得レベルの変動はなくなり、DQ2以前と同様に固定となった。
 
ヒャド系のうち【ヒャダイン】【マヒャド】に統合される形で削除され、ダメージ呪文系統はそれぞれ3段階ずつに揃えられた。
また【モシャス】が今作以降敵専用呪文と化したほか、今作では【ヒャド】【アストロン】も敵専用。
新呪文は、前作のマホステを1文字変えた【マホキテ】のみ。
また、呪文の反復効果を発動させる初の手段として【やまびこのぼうし】が登場している。
 
呪文にエフェクトアニメーションが付いた最初の作品。敵が唱えた場合には、唱えたモンスター自体が系統ごとに決められた色でフラッシュする。
 
ダメージ系攻撃呪文は、これまでと違って敵の耐性によって確率で無効化されるのではなく、ダメージの大小の違いが現れる形になった。
このため完全耐性でない限りは唱えれば確実にダメージを与えられるようになり、戦術に組み込みやすくなっている。
その一方、運次第で期待値を大きく上回る成果を得ることはできなくなっている。
 
仲間モンスターが豊富で、戦士系・僧侶系・魔法使い系などの役割分担が曖昧になった本作は、呪文も物理攻撃も得意な万能タイプで溢れかえることになり、物理でも十分強いためMPを回復呪文用に温存しがちで攻撃呪文を使う機会が少ない。そもそも馬車外に出せるのが3人に減った(リメイク版は4人)ので、呪文特化キャラは物理・呪文共に得意なキャラが複数いる状況でバトルメンバーに起用しづらいのが現実である。
前作同様呪文が効きにくい敵も多く、バギ系に至っては終盤はほとんどの敵に無効。
加えて今作は、それまで攻撃呪文ならではの長所であった複数攻撃をムチやブーメランなどの物理で可能になり、属性系のダメージ増加武器、歴代屈指の性能を誇るバイキルトやそれを全体掛けする【たたかいのドラム】といった豊富なサポート手段により物理自体の使い勝手が非常に良い。
この他にも仲間モンスターのブレスをはじめとした特技がMP消費なしで使えるようになったため、仲間モンスターが充実してくる終盤は戦闘呪文の存在価値は相対的に低下することになる。
とはいえ、それは強力な攻撃特技を覚える仲間モンスターが首尾よく仲間になった場合の話であり、MP回復手段も豊富になった本作なら敵を素早く殲滅するのには呪文を積極的に使うのが効率的である。

リメイク版

フローミがDQ6から輸入され、新たに【プチスラッシュ】【プチスパーク】が呪文扱いで登場。
やまびこのぼうしは削除された。
 
PS2版では敵側が呪文を発動させた場合、味方側よりもトーンの低い発動音(DQ1と似た音程のもの)が鳴る。
戦闘テンポが極めて良いPS2版では、呪文のアニメーションも小気味よくかつ迫力のある演出となっている。
連続で最高位の攻撃呪文をモンスターに食らわせる爽快感は唯一無二と言っても過言ではあるまい。

DQ6

特定の人間PCと仲間モンスターが前作同様にレベルアップでキャラ・種族ごとに決まった呪文を覚える。
さらに夢の世界の【ダーマ神殿】が復活した後は転職できるようになり、職業レベル(【熟練度】)の上昇によってキャラや種族に関係なく【職業】ごとに決まった呪文を習得できる。このため本作ではMPが終始0というPCはいない。
習得する呪文がキャラごとの固定ではなくなったため、呪文欄の?マークは消滅した。
一度覚えた呪文は転職後も忘れることはない。どんなキャラでも職業経験を積めば、職業で習得できない一部呪文を除いたほぼ全ての呪文を習得できる。
これらの点は、今作から大量に登場するようになった特技と全く同じである。
 
戦闘中のコマンドは「じゅもん」と「とくぎ」が完全に分離されたが、移動中は特技も含めて「じゅもん」コマンドで扱う。
 
【ザラキーマ】が登場してザキ系も3段階に。
この他には戦闘呪文の【マジックバリア】【マホターン】、移動用呪文の【レミラーマ】【フローミ】が追加。後者2つは後にDQ3~DQ5のリメイク作品にも逆輸入された。
また残りMP全部を放出する攻撃呪文【マダンテ】が初登場したが、DQ7までは分類上は特技扱いである。
 
敵が呪文を発動させた時は、モンスターのアニメーションの際に、系統と威力に応じた色と大きさの光の球が呪文発動音とともに描かれる。
 
【ムドー】戦前の序盤戦では【ミレーユ】のヒャド・イオがそこそこ役立ち、ダーマ神殿復活直後あたりではメラミが、魔法使いをマスターすればベギラゴンが強力(【火攻め】)。
無制限に使える攻撃特技が大量追加されたため、価値が下がったと評価するプレイヤーもいるが、中盤までに習得できる便利な特技は限られており、属性のバリエーションが豊富で威力も安定している攻撃呪文の存在価値は十分高い。
特に力の数値が低いキャラにとっては攻撃力依存の特技で大きなダメージは望みづらく、それらのキャラは大抵は賢者や魔法戦士として育てることが多いので終盤にいたるまで主要な攻撃手段として機能する(とくに賢者は物語後半のボス戦では必須に近い職業)。
一方、【勇者】の特技や【ドラゴン(職業)】で習得できるブレスなど、終盤~クリア後にかけて威力面でもコスト面でも、最上級攻撃呪文を上回る攻撃特技が一気に増える。
これらの特技は時間さえかければ転職で誰でも覚えられるようになるため、パーティを鍛えれば鍛えるほど攻撃呪文の存在感はどんどん薄くなっていく。
さらに、ちからの最大値が255である前作はクリアレベルを越えた辺りから成長率が鈍化するが、今作は500へと大幅に上昇した結果、クリアレベル後もそのまま成長し続けるようになった。それに合わせて敵HPも増加と戦闘インフレが進んだのに呪文威力は据え置きなため、前作以上に目に見えて物理・特技と呪文の威力の差が広がっていった。
回復系に関しても消費MP0の【ハッスルダンス】の登場によって、中盤におけるベホマラーの存在価値がやや低下した。

DQ7

前作の習得方法に加え、【職歴技】としての習得もできる。なお【キーファ】は戦士系であるうえ転職解禁前に離脱する都合上、呪文は全く使えない。
 
【コーラルレイン】【メイルストロム】【マジャスティス】【ギガジャティス】の4種の戦闘用呪文が新たに登場した。
敵側の呪文のエフェクトはモンスターごとに異なる演出となった。
 
本作では転職前に覚えられる攻撃呪文が最弱のメラしかなく、当然レベルが上がれば通常攻撃に取って代わられる。
転職解禁後は、魔法戦士になってメラゾーマを覚えれば中盤のボス戦でそこそこ活躍できるが、終盤になると強力な攻撃呪文が揃うようになり、前作にもまして攻撃呪文の非力さが際立つ。
連続ダメージ技の【つるぎのまい】【どとうのひつじ】などの登場、さらには最大700弱というメラゾーマの3倍以上ものダメージを叩き出せる【アルテマソード】の存在がデカい。
それだけでなく、本作にはマホトーンを唱えてくるボスがやたら多く、なんと6体もいる(【デス・アミーゴ】【イノップ】&【ゴンズ】【マンイーター】【ヘルバオム】【メディルの使い】【ボトク】)。そのため、まずボス戦で呪文が唱えられないということも多い。
あまつさえ、呪文が使えない状況で戦うダンジョンまである。歴代で最も呪文が不遇の作品だろう。

リメイク版

職歴技が廃止され、PS版で職歴によって習得できた呪文はいずれかの職業に割り振られた。
また、「人間基本職で習得できない呪文」を人間上級職で覚えた場合、その職に就いている間しか使えないように仕様変更された。これらの扱いは特技も同様。
ただし、人間基本職で習得できない呪文であってもキャラのレベルによって習得した場合や【モンスター職】で習得した場合は転職しても忘れず、職を問わずに使用できるようになる。
 
序盤では【マリベル】がレベルアップでイオを習得するように変更され、ダーマまでは活躍する。

DQ8

転職システムがなくなり、習得呪文はキャラごとに決められているスタイルに戻った。今作ではレベルアップのほか、新登場の【スキル】(主に個別スキルや【杖スキル】)によって呪文を覚えることもある。
【主人公】は勇者、【ゼシカ】は魔法使い、【ククール】は僧侶の特徴を引き継いだキャラとなっている。【ヤンガス】もわずかながらスキルで呪文を習得できる。
 
【メダパニーマ】【マホアゲル】【ディバインスペル】【ペスカトレ】の4種類が追加されたほか、マダンテとグランドクロスが呪文扱いになった。
また、敵専用呪文として【ジゴフラッシュ】が登場。【バシルーラ】も敵専用と化した。
一方で、リアル化に伴う演出上の都合なのか、前作まで常連だった【ドラゴラム】やパルプンテなどが削除された。
 
戦闘で自軍側が呪文を唱えた時はキャラの周囲を帯状の古代文字が回転する中で固有の発動ポーズを取り、敵が唱えた時は系統ごとに色の異なる円状の光の点が回る演出となっている。
 
今作では、【かしこさ】によって呪文のダメージが上昇する。新登場の【テンション】によって威力を高めることも可能となった。
ただし、呪文の初期ダメージは低く抑えられており、ダメージ上限の設定もある。
威力上昇に必要なかしこさが高いせいでなかなか威力も出せなかったり、デイン系のようにかしこさを上げても大して威力が高くならない場合もあったりと、相変わらず不遇気味。
また、敵の耐性によっても威力を減じられがちである。
スキル制の導入によって味方の特技には装備による制限がかかったのだが、戦闘中でも簡単に付け替え可能になっている。
さらに呪文攻撃が主力であるはずの【ゼシカ】が、手軽に覚えられて終盤にはメラゾーマを大きく超える威力を持つ【双竜打ち】を習得でき、結局は物理が猛威を振るうかたちになる。

3DS版

新規加入の【モリー】【ゲルダ】は双方とも呪文専門キャラではないものの、呪文を扱える。
双竜打ちが弱体化しゼシカの攻撃呪文が幾分か復権したが、代わって【キラージャグリング】【アゲハ乱舞】といったゲルダの強力特技が加わったので、終盤以降はマダンテ以外の攻撃呪文はそれらの影に隠れてしまうだろう。

DQ9

3代目転職システムが登場し、レベルアップで職業毎に決まった呪文を覚える。本作ではスキルで呪文を覚えることは無い。
ただし呪文はルーラを除いて職業固有のものとなり、現在就いている職の呪文しか使えない。
上級職も例外ではなく、たとえ基本職で同じ呪文を覚えていたとしても、改めて上級職で覚え直す必要がある。
このため今作は回復も攻撃も完璧にこなす万能キャラというものは作成できず、転職による役割分担が必要となる。
 
今作は呪文に対してこれまでよりもやや大規模なテコ入れが行われた。
従来からの呪文のうち、ギラ系とデイン系が開発過程で削除され、代わってモンスターズから【ドルマ系】が輸入された。
各ダメージ呪文系統の第4段階目の呪文(【イオグランデ】【マヒャデドス】など)もモンスターズから輸入され、他にもモンスターズシリーズから輸入された呪文がいくつか存在する。
HP回復呪文には新たに【ベホイム】が登場し、ホイミ系単体呪文も4段階になった。その代償か、消費MPが多くなり乱発はかなり厳しくなった。
呪文の威力には前作のかしこさに代わって【こうげき魔力】【かいふく魔力】が影響するようになった。
さらにそれらを強化する【魔力かくせい】【聖なる祈り】や、会心の一撃の呪文版ともいえる【魔力暴走】の概念も登場。
また敵側の耐性の仕様が変更され、弱点を突けば通常時よりも威力が上がるようになった。
 
戦闘中のエフェクトは敵味方とも、古代文字の帯が詠唱者の周りを回る演出だが、味方側と敵側で色が異なる。
 
上記のテコ入れによって、威力面で考えれば、攻撃呪文はようやく特技を見返せる存在になったといえる。
しかし呪文の強化手段が増えた反動か、特に上級呪文は消費MPが大幅に増加したため、攻撃呪文は【ビッグバン】などの特技にコストパフォーマンスで劣るほか、クリア後においては「【フォース】+はやぶさの剣改×はやぶさ斬り」戦法の影に隠れてしまう。
それでも【ゴールドマジンガ】など物理攻撃がまともに通らないほど守備力の高いモンスターも高位【宝の地図】の洞窟には多く、正確に弱点を突いた攻撃呪文が必要になってくる場面も多い。
フォース戦法と攻撃呪文戦法を細かく使い分けなければならない場面は確かに存在する。
 
一方、補助呪文はこの作品から弱体化が顕著になっている。味方にかけるタイプの補助呪文の重ね掛け上限が低くなる、耐性や命中率判定の仕様変更により状態異常の命中率が過去作より低くなる等、かなり使い勝手が悪くなっている。
これに加えて今作の補助呪文は上級職しか覚えないものがやたら多い点も立場を悪くしている。

DQ10オフライン

【主人公】はDQ9と同様に職業ごとのレベルアップによって呪文を覚え、転職すると前の職業の呪文は使用できない。
オフ版で仲間になるようになったキャラも基本的にはレベルアップで習得する。呪文を使える仲間キャラは【フウラ】【ダストン】【ラグアス】
初期は特技のダメージ上限が1発につき1999だったのに対して呪文は単体対象のものは2999だったが、超大型拡張DLC配信に合わせたアップデートにより一部の単体特技、呪文の上限が4999や9999になったのでその優位性は失われてしまった。
 
今作では【マヒャデドス】【イオグランデ】【ドルマドン】【必殺技】扱いとなり、これらはMPの代わりに【テンション】を消費して発動させる。分類は「必殺呪文」となっており、呪文を表す六角形のアイコンに光りマークが付いたものになっている。仲間キャラは上記の必殺呪文を固有スキルで覚える。
なお【バギムーチョ】【ジバルンバ】は一般呪文扱いであり、MPを消費する。
一般呪文・必殺呪文とも【スキルパネル】で習得する場合は【スキルアップパネル】での強化の対象となる。
【パルプンテ】は必殺技扱いであるが、こちらは必殺呪文ではない。

Ver.2

【メラガイアー】【ギラグレイド】【ギガデイン】【マダンテ】が必殺呪文として追加。【ジゴデイン】は敵専用である。
しかし単発でダメージ上限に悩まされる呪文に対して物理攻撃のダメージがインフレしており、敵の体力もそれに伴ってVer1から爆増しているため攻撃呪文主体で戦うのは正直厳しいところ。
ただし【マダンテ】は範囲技にもかかわらず上限9999であり、やりこみコンテンツの【バトルファンタズム】での手数削減には必須レベルである。

DQ10オンライン

習得方法と使用条件はDQ9と同じだが、一部の上級呪文はレベルアップではなく職業スキルで覚える。
戦闘システムのリアルタイム化・タクティカル化に伴って【詠唱時間】の概念が登場したほか、新たに【ジバリア系】、後に【ヴェレ系】、ドガン系などが登場している。
戦闘中はリアルタイムであるため従来のようなメッセージは出ず、ステータス表示欄やモンスターから「△△△△にホイミ」といったフキダシが出る。
【ログ】では従来通り「◯◯◯◯は □□□□を となえた!」表記されているほか、これとは別に詠唱時間が経過して呪文が発動した時点で更に「◯◯◯◯の □□□□!」と表示される。
 
詳細はこちらを参照。

DQ11

【マルティナ】以外のPC全員が呪文を使え、魔法使い系の【ベロニカ】、僧侶系の【セーニャ】、賢者系の【ロウ】の3人が呪文に特化したキャラになっている。
ほとんどの呪文はレベルアップで習得し、デイン系などの勇者系呪文と最強クラス呪文の多くは【スキルパネル】での習得となっている。
一部の呪文は特定の呪文・特技との組み合わせで新たな【れんけい】を使えるようになる。
過去作で呪文だったミナデインや、ダイの大冒険からモンスターズ経由で輸入された【メドローア】も今作ではれんけい技として登場した。
【ギラ系】【デイン系】とも今作では健在。【ジバリア系】も発動タイミングが変わって続投し、オフラインのナンバリング作品では初登場となった。
 
戦闘中の演出は、PS4版等では敵味方とも【アストルティア文字】の帯が回る演出。3DS版の3Dモードでは詠唱者の下から光が発せられ、またPS2版DQ5と同じく味方と敵とで呪文発動音のトーンが異なる。
基本的には従来通り「◯◯◯◯は □□□□を となえた!」と表示されるが、発声を行う器官が無い【ウルノーガの杖】は例外で「ウルノーガの杖◯は □□□□を はなった!」と説明される。
 
今作は魔力上昇による呪文威力の上昇幅が大きく、高レベルになれば過去作の倍近くの威力を叩き出せる。このことから攻撃呪文の地位は高く、全体攻撃に関しては最終的に特技よりも最強系攻撃呪文の方が威力が高くなる。消費MPは膨大であるがそれに見合った威力を持つ。
しかも今作はスキル効果や【しあわせのぼうし】【ソーサリーリング】などMPの自動回復手段が豊富にあるため、これらを【ふしぎな鍛冶】で+3に鍛えて複数装備させれば最強呪文もバンバン使用できる。
弱体呪文の暴走が廃止されたが、命中率そのものが見直されてDQ9よりも当たりやすくなった他、雑魚だけではなく大半のボスにも何かしらの状態異常が通るようになった。逆に敵も雑魚・ボス問わず状態異常を駆使する者が激増したため、弱体呪文や状態異常解除呪文の存在価値も大きくなった。
反面、強化呪文はDQ9と同様意図的に使い辛く調整されている節があり、習得者の素早さ等の関係で地味に使い勝手の悪いものが多い(これは特技も同様)。
 
向かい風としてはDQ7同様、【マホトーン】や呪文封じの効果のある特技を使うボスが多く、中でも【フールフール】は呪文が使えない状態で始まる。さらに【冒険の書の世界】のボスには5体もいる。フールフールの戦闘開始時にかかるものを除いては装備品の呪文封印ガードで対策できる。
また、【バクーモス】【ペガサスもどき】【悪夢の吐息】で呪文の威力を低下させてくる。

モンスターズシリーズ

ナンバリングでは呪文と特技は別なものとして扱われることが多いが、こちらでは呪文は特技の一部という扱いをされている。
また、モンスターズでは以下のような独自の呪文が数多く登場している(☆印は後にナンバリングにも輸入された)。

同じ効果の呪文がナンバリングとモンスターズで別の名前で登場することも多い。
【ヘナトス】【ダウン】、【ディバインスペル】と【マジックハック】、【メダパニーマ】と【メダパーニャ】、【ベホイム】と【ベホイマ】などがその一例。
その他、漫画「ダイの大冒険」のオリジナル呪文を積極的に逆輸入しているのもモンスターズシリーズの特徴。
【メドローア】【ベタン】【ラナリオン】(ラナリオンは主人公の特技扱い)などがナンバリングに先駆けて登場している。
これらの呪文文化は、ジョーカー以降に独自色が強くなっている。
 
なお、攻撃呪文の価値は、キャラバンハート以前はナンバリング同様物理系特技に押され気味であったが、
ジョーカー以降は能力上限や耐性の仕様変更、呪文の賢さ依存化、4段階目呪文の登場などによって一気にポピュラーな攻撃手段に躍り出た。
【黒い霧】やマホカンタといった弱点は相変わらずだが、高い賢さに【○○ブレイク】【○○のコツ】【AI○回行動】などの特性を組み合わせた呪文攻撃は小型のモンスターを一気に葬り去る威力がある。
 
一方で回復呪文は、Wi-Fi対戦が本格化すると共に回復量が下がり、MPが増加するなど、回復連打による泥仕合にならないようにバランス調整が図られ弱体化している。
特にイルルカが顕著で、回復呪文の消費MPが上方修正されただけでなくモンスターのMPが下方修正されており、ストーリー中のMP管理が厳し過ぎることが問題視される程だった(イルルカであまりに問題視された為か、以降に発売された作品(ナンバリング含む)ではMP管理が緩和されるようになった)。
また、補助呪文もジョーカー1以降は重ね掛け上限が設定されて弱体化している。
【ドラゴンクエストモンスターズ 20thアニバーサリー モンスターマスターメモリーズ】のインタビュー記事(152~153ページ)によると、これは対戦バランス調整上の意図ではなくシステムの整理を目的としたものであり、ジョーカー1での仕様変更をきっかけに同様のシステムをDQ9以降のナンバリング作品にも逆輸入したらしい。
 
ジョーカー2以降では戦闘中のメッセージが表示されなくなり、使用者の頭上に呪文の名前が表示されるだけとなっている。

DQMSL

本編において登場する戦闘時に使用するものはほぼすべて登場するが、システムの都合上ルーラなどの移動時に使用するものは一切登場しない。
その分ソーシャルゲームというキャラクターの個性を重要視するジャンルであるため、【冷酷な氷撃】などこのゲーム独自の呪文も多数登場した。
サービス開始時には攻撃呪文はメラミやベギラマなど2段階目までしか登場しておらず、
2014年4月にSSランクの登場登場と同時にメラゾーマが登場したのを皮切りに3段階目が、
2015年8月に新生転生が登場したのと同時にメラガイアーが登場したのを皮切りに4段階目が登場。
回復呪文に関してもベホマやベホマズンはサービス開始時には未実装。補助呪文に関しては最終的にほぼすべて登場したが、どういう訳かインテのみ習得モンスターが極端に少ない。

ほとんどのものは「賢さによって威力が変化しない」という記述がない限りは賢さによって威力が変動する他、
撃つ側の賢さが撃たれる側の賢さより高ければ威力が大きくなる(最大で25%程度)。
本編と同様に攻撃一辺倒な斬撃や息と異なり、攻撃、回復、強化、弱体と様々な種類が存在する。
攻撃面では守備力の影響を受けない無属性の【サイコキャノン】や反射無視の【プチマダンテ】などをいち早く輩出し、
火力増強手段のインテラや【まがまがしい光】も早期から討伐モンスターが習得可能だった上、
賢さはスキルの種や装備品による上昇値が高いため【パワーアップ】させずとも十分な値にすることが可能。
後に他のカテゴリの特技にもそれらの特技が登場したが、入手の容易性ではもっとも優秀だった。

不思議のダンジョンシリーズ

システム上、基本的に【プレイヤーキャラクター】は呪文を使用できず、また呪文詠唱によらない魔法行使の手段が豊富にあり、DQシリーズとしては珍しく「呪文」より「魔法」という表現が多い。
魔法に該当するものは、アイテムの巻物、敵の魔法系特技等。
これらの魔法効果は、『マホトーン状態』(トルネコ2・3)や【マホトーンの石像】(トルネコ3)の影響下では発動せず、また【魔法の盾】(トルネコ2)や【魔法無効】体質(トルネコ3)を持った相手には無効化される。
【不思議のダンジョン】シリーズにおける魔法の定義は、これらの魔法対策の影響を受ける意義なので、魔法対策のアイテム等が未登場のトルネコ1では、魔法関連とそれ以外のアイテムや特技の区別が全く存在しなかった。
 
杖は、自分の前方に魔法弾を放ち、命中したモンスター・【NPC】に魔法効果を与える一種の飛び道具。ただし必ず使用回数が設定されており、全て使い果たすと効果が出なくなる。
巻物は、自分自身・同じ部屋の全モンスター・今居るフロアに対して等、個別に決められた対象に魔法効果を与える。複数を処理できる巻物もあるが、基本的には一度使い切りとなっている。
いずれも無尽蔵に使用できず、局面や場面により使用タイミングを見極める必要があるが、他シリーズの呪文同様に頼りになる存在で、上手く利用できれば快適な冒険をサポートしてくれる。
傾向として【ラリホー】【メダパニ】【インパス】【レミーラ】等の補助的な効果が主体であり、ダメージ系は数が少ない。また【みかわし率】の概念は持たず、基本的に必ず効果を発揮する。
特に後者の『インパス』と『レミーラ』は本シリーズ攻略の肝で「未識別アイテムを識別する」・「まだ見ぬダンジョンを探索する」意義が特に強く、本編とはうって代わって最重要呪文の1つとなっている。
 
モンスターの魔法系特技は、ラリホー・【バシルーラ】といった既存の呪文に加え、【きとうしの杖】等の杖を振る攻撃や、【変な呪文】【催眠攻撃】【洗脳】攻撃等の独自の魔法が該当する。
上記の魔法対策を受ける点を除けば、魔法系特技とそれ以外の特技の扱いは変わらず、【封印の杖】の効果で封印すれば両方とも封じられる。
また、本編と異なりMP・みかわし率の概念を持たず、加えて上述の杖系アイテムの使用回数制限が存在せず、モンスターは無制限に使用する上に、使用されると必ず効果を発揮する。
少年ヤンガスでは【はぐれメタルの盾】【メタルキングの盾】の効果で魔法に当たる特技のダメージを抑えられる以外の区別は持たず、本作では割と重要度が高い。
 
そんな呪文の存在を大きく意識するのは、トルネコ2のクリア後のダンジョンで【魔法屋】の隠し要素で【魔法使い】【転職】した際。
魔法使いは【満腹度】が一切減らなくなる代わりに、武器・盾・矢を一切装備できない。しかし【商人】【戦士】と異なり、レベルアップで呪文を習得し、任意に詠唱できる。
上述の通り、本作ではMPの概念が存在しないので、呪文行使に当たってはMPの代わりにHPを消費する。当然、強力な呪文は一度のHPの消費量が高い。
 
ただし弱点もあり、魔法使いトルネコはモンスターの一部の通常攻撃・特技・また【ワナ】の効果を受けると、一定確率で覚えていた呪文を1つ忘れてしまう。
また、ダメージ系呪文は、魔法系特技を持つモンスターに効かない。例外として、ダメージを伴わない【ザキ系】【ルカニ系】は有効で、HP吸収呪文の【マホトラ】は通用する。
加えて、盾が装備できない仕様上【きとうし】【ドッグスナイパー】【毒矢ずきん】等の遠距離攻撃に長けたモンスターには滅法弱く、大ダメージを受けると強力な効果の呪文が詠唱できない。
 
よって、いかに習得呪文のロストを防止し、呪文詠唱のHPを温存してダメージを受けず、強敵に変貌する魔法系モンスターに立ち向かうかが魔法使いの課題になる。

主な呪文への対抗策

呪文全般の貫通力を下げる(DQ8以前)攻撃呪文のダメージを軽減(DQ9以降)

呪文を無効化

呪文を反射

呪文を封じる

呪文を無効化するフィールド効果

漫画・アニメ作品における呪文

ダイの大冒険

基本的に呪文は契約によって体得するものである。
契約を行えるかどうかは本人の素質が重要であり、素質がなければ契約すらできない。
契約ができなければ決して呪文を使うことはできず、契約を行わなければレベルが高くなってもその呪文を習得することはないし、契約を行ってもレベルが低ければ呪文は使えない(逆の言い方をすればレベルが足りている状態で契約すればすぐに使えるようになるし、レベル不足であっても先に契約さえしておけば実戦でレベルが上がればその場で使えるようになる)という点も、きっちりと説明されている。
 
そのため、【マァム】のように僧侶の資質はあっても攻撃呪文は一切覚えなかったり、【ヒュンケル】のように呪文を扱う素質が全くない人が存在する。【レオナ】によると何も契約できない人間の方が多いらしい。
【ダイ】の場合、契約はしていた(素質はあった)が当初呪文が使えなかったのは彼の呪文に対するコンプレックスとレベル不足が原因だった。
 
また今作では使い手がレベルアップすると、それに応じて威力が上がる。
【バーン】の場合、膨大な魔法力を持っているため、ただのメラでもポップのメラゾーマを凌駕するほどの恐ろしい威力を持っていた。
ちなみに、術者の力量(=かしこさ、攻撃・回復魔力)によって威力が変わるという設定はダイ大が初で、ある意味ゲームへ逆輸入された設定である。
3D作品と違い、ホイミやキアリー等の回復呪文は対象に触れなければ効果は無い様である。
また、本作独自のカテゴリーとして【マホカトール】等の「破邪呪文」があり、本編のトラマナもこれに属する。
 
本作オリジナルの呪文に関してはこちらを参照。
 
連載時期はDQ3発売後~DQM1発売前のため、呪文大系はDQ3を基本としており、ナンバリングではDQ3とDQ4にしか登場しない【ヒャダイン】も使用されている。
2020年版アニメもこれに基づいており、後年追加された最上級呪文(【メラガイアー】など)は採用されていない。
一方で2020年連載開始の前日譚作品においては、DQM初出の【ピオラ】が登場している。

アベル伝説

主にDQ3の呪文が登場する。
本アニメでは味方側の呪文の使い手が魔法使いの【ヤナック】しかいないため、彼は攻撃から補助・回復まで幅広い呪文を使いこなす。
パーティ以外を含めても、本作に登場する【人間】で呪文を使う描写があるのはヤナックだけであり、青き珠の勇者である【アベル】や赤き珠の聖女という肩書きの【ティアラ】でさえ使用できない。他種族を含めても味方側ではヤナックと【エスターク人】である師匠【ザナック】しかいない。
この2人が使えるのは勇者と聖女を守るという使命を持った一族の特権であるからと考えることもできなくはないが、【闇のバザール】【いかずちのつえ】があるところを見ると人間の呪文の使い手が他に全くいないというわけでもなさそうである。
 
一方敵側では【大魔王バラモス】を含め多くの幹部やモンスターが使ってくる。
今なお勇者の呪文というイメージの強い【ギガデイン】もアベルではなくヤナックと敵側の魔法使いの【ムーア】が唱える。
 
本アニメでは杖の魔力によって使用者の呪文の威力も変わってくるらしく、たとえば【ベホマズン】は最終武器である【けんじゃのつえ】を手に入れてから使えるようになる。また杖を使い慣れないうちだったり使用者のレベルがその呪文を使うレベルにまで至っていない場合は失敗してしまうこともある。
 
放映当時はまだ【ギラ系】の設定が確立していなかった時期でもあり、初期では【取扱説明書】どおりに雷の呪文だったが、中盤以降は【公式ガイドブック】の炎系呪文という設定が採用されている。
それ以外の呪文もエフェクトに一貫性が無く、特に【バギ系】は登場する度にただのエネルギー弾のようだったり、かまいたちに近い描写だったりとコロコロ変わっている。
【メラゾーマ】が火柱のようなものだったり、【ザキ系】【メガンテ】【マホトーン】などがエネルギー波のような描かれ方をされ、これらがぶつかり合った結果勝った方が呪文成功となったり、アイテムを投げて無効化したりする描写もある。
効果もゲームと異なることがあり、特にマホトーンを喰らった者はそれまでの回復呪文の効果が無効になったり気絶したりと、まるでマホトーンそのものでダメージを与えたかのような描写がされている。
ストーリーを盛り上げる観点からか蘇生呪文は登場せず、回復呪文も瀕死の重傷を負った者に対しては効果を発揮しない設定になっている。
【スクルト】を衝撃緩和の目的で使ったり、【ヒャド】で発生させた氷で水分補給をするなど、ゲームとは異なる用法で役立てられたりもする。
 
DQ3の呪文の他に、ごくわずかながらオリジナル呪文もある。

  • ヒリカ:暗闇の中で周囲を明かりで照らす。DQ1の【レミーラ】のようなもの
  • レロハ:【マヌーサ】による霧を無効化する。後作でいう【マヌーハ】に相当。
  • セナハ:知っていることを強制的に話させる。

ロトの紋章 ~紋章を継ぐ者達へ~

【ジパング】にある神座に奉じられた、三つの「神器」が呪文の源となっている。
三つの「神器」に封じられた大精霊たちを通じて自然界の力を引き出し、その組み合わせで各種呪文が生まれている。
「神器」が神座から持ち出されると、世界中の人間が呪文を使えなくなり、【キメラのつばさ】なども効力を発揮しなくなる。
呪文の消失によって生活や社会の基盤が崩壊してしまうほどの影響が起きたことから、呪文は我々の感覚で言う電力のように、人々の文明を支えるものとして、かなり浸透していた世界観だと思われる。
「神器」の歴史は【ムー】の頃まで遡るというが、具体的にどのくらい昔かは不明。