【バーン】

Last-modified: 2020-11-24 (火) 15:01:39

 魔王軍:ダイの大冒険

【バーン】

【ハドラー】【キルバーン】【ピロロ】【マキシマム】

【クロコダイン】【ザボエラ】【ヒュンケル】【フレイザード】【ミストバーン】【バラン】

概要

漫画【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】のラスボス。
【魔界】出身の魔族。
かつて世界を脅かした魔王【ハドラー】を超える「大魔王」であり、自らを魔界の神と名乗る。
英語表記はVearn。ネーミングの由来はburningで、地上を焼き尽くすというイメージから。
かなり序盤から名前は出ており、シルエットとして登場していた。姿を見せたのは中盤あたり。
旧アニメ版での声優は内海賢二。こちらでは原作で正体が判明するところまで行かず終了になった都合で最後までシルエットのままだった。
新アニメのCVは土師孝也。ライバルズのバラモスや11のネドラの人である。
 
魔界最強とされる実力者であり、【神】をも凌駕する圧倒的な力を持つ。
脆弱という理由だけで太陽の恵みを人間に与え、自分ら魔族や竜族を暗い魔界に押しこめた神々を憎んでおり、「力こそが正義」という信念を掲げて、太陽を独占する地上世界に現れた。
太陽の件についての真相は不明で、バーン以外の魔界の住人がどう考えているのかも不明だが、少なくともバーンと冥竜王【ヴェルザー】はそう考え、地上進出を狙った。
 
物語の開始以前から当時の勇者に討ち取られたハドラーを蘇生して魔王軍を結成し、軍事拠点【鬼岩城】【バーンパレス】を建造。地上の人間社会へ侵略の手を伸ばさんとしている。
 
しかし、真の目的は地上の支配などではなく、地上自体を消滅させ、魔界に太陽の光を差し込ませる事であり、ハドラーの蘇生や魔王軍結成なども、本懐の片手間の余興に過ぎない。
魔界でのライバルだったヴェルザーは領土としての地上征服を狙っていて、バーンとも「先に地上を手に入れた方に従う」という協定まで結んでいたが、バーンは最初から「手に入れる」つもりは無かったのだ。
 
バーン自身が「太陽を手に入れる」と述べたように、魔界の住人からすれば不毛の大地に太陽をもたらす救世主と見られてもおかしくなく、彼の行動は「自分の故郷の為の戦い」と言えるかもしれないが、この真の目的は腹心中の腹心といえるミストバーンやキルバーンなどごく一部の側近にしか伝えられていない。
同じ魔族のハドラーにすら目的は地上を手に入れることだと偽り、征服のあかつきには領地として地上を与えようと騙していた。地上征服を目的としていた彼に真の目的を話せば反発すると思っていたのだろうか。
 
魔界の神を自称し王として君臨せんとするだけに、威厳や余裕にも拘りを持つ人物で、衣装や宮殿、日常の品にも荘厳な造りを好む。
キャラクターとしても、【今のはメラゾーマではない…メラだ…】や、【知らなかったのか…?大魔王からは逃げられない…!!!】など数々の名言を残し、感情的失態をあまり見せないなど、ドラクエのカリスマ敵役として【大魔王ゾーマ】らと並び名前の挙がる悪の大物。
 
一方で、その威厳や寛大さや余裕は、圧倒的な実力からほぼ全ての他者を下に見ているからこそでもある。
組織の不和を制御しなかったり、敵対者を侮って軍事的に手ぬるい選択を採ったのが巡り巡って来るなど、結果論ではあるが、英雄譚の悪役らしい致命的なミスもいくつか犯している。

老バーン

頭部の左右から大きな角を生やす魔族の老人。角以外は人間とあまり変わらない。本人曰く「魔力と叡智のみを残した」姿。
連載終了後も圧倒的な知名度を誇る名言はほとんどがこの姿でのもの。
圧倒的な魔力を持ち、人間その他の存在には必要な"タメ"を行わずとも呪文を放てるため、一呼吸で二回の行動が可能になっている。ゲームで言う1ターン2回行動の表現であり、純粋な呪文の威力も人間とは比較にならないほど強力。
 
外見の通り肉体的には老いていて、全盛期に比べれば身体能力や頑強さは低下しているものの、ヒュンケルの【ブラッディースクライド】指でたやすく止める、双竜紋の力に目覚めたダイとも対等に斬り結ぶ等、老いてなお地上最強クラスの領域にある。
さらに、多大な魔力と【ロン・ベルク】から献上された「リミッター解除版【理力の杖】」とでも言うべき【光魔の杖】が組み合わさることで、オリハルコン製の剣をへし折ったり、魔力炉を消し飛ばした【ドルオーラ】の直撃を耐えるなど、正面切っての肉弾戦で引けを取るような事はまず無い。
 
常に威厳と風格を保ち、敵味方に関わらず実力者にはひとかどの敬意を払うなど余裕を漂わせている。
その一方で老獪さと慎重さも併せ持ち、「自分の知らないタイプの強さ」「最も厄介」とアバンに警戒感を見せたり、力では自身に劣ると評価している【バラン】も「どのような戦い方をしてくるか分からない」と、脅威になる前にその心情を上手く利用して配下に加え、幹部の待遇を与えている。
 
また、失敗も三度までは許すと公言している通り、部下の失態にも基本的には寛大で、優秀な部下を些細な失敗で処刑して組織を弱体化させるという悪の親玉のテンプレ的な行動を取っていない。

  • 落ち度の続いたハドラーを処罰で脅したことはあったが、追い込めば一化けするかもしれないという期待も込めての事で、後に超魔生物となったハドラーが不敬な態度を見せても「覇気がある所が見られて安心」と不問にしている。現実に処刑しようとしたのは明確に反旗を翻された時だけで、その後もダイとの決闘を望むハドラーに水を差さず、決着を遂げさせた。
  • ミストバーンが【鬼岩城】を撃破されてしまったが、その後もミストバーンが処罰された様子はない。キルバーンは「謝れば許してくれる」とミストバーンをなだめてさえいる。
  • 【ロン・ベルク】が自身の顔に泥を塗る形で自身の部下になる誘いを蹴った際も、特に咎めていない。

 
ただしこれらは単なる余興の面も強く、実際ハドラーに【黒の核晶】を埋め込んでおいていざという時に捨て駒にしようとするなど、魔族、ひいては大魔王らしい非情な面も持ち合わせる。
バーンの目的は前述の通り「地上の支配」ではなく「地上の消滅」であり、【大魔王六軍団】結成も半ば余興のようなものだった。
真の目的の邪魔にさえならなければ、地上侵略が失敗しようが痛くも痒くもないのだから、いちいち目くじらを立てる事も無いのだろう。
 
強者への敬意についても、偽りではないが「自分より格下の存在が、面白みを感じる程度には強い」という、自分の絶対的優位を前提とした余裕の表れでしかない。
ダイ達との初戦でも、マァムの【閃華裂光拳】で破壊された腕の再生を敢えて遅らせ、ポップとマァムに『自分が片手を失ってる今が絶好の好機』と挑発している。
マァムが突撃したところで瞬時に腕を再生して騙し討ちを仕掛け、間一髪ポップに救われたマァムに『そんな生殺しみたいな真似をして面白いのっ!?』と非難されても、

…面白いね おまえたち人間は面白くはないのか?鍛えあげて身につけた強大な力で弱者をあしらう時…気持ちよくはないのか?優越感を感じないのか?

"力"ほど純粋で単純(シンプル)で美しい法律は無い 生物はすべからく弱肉強食 魔族も竜も皆そうだ 人間だけが気取った理由をつけてそこに目を背けておる ……力こそがすべてを司る真理だ!

と悪びれもせず言ってのけ、強者の側から語る「力こそ正義」を見せつけた。
この台詞は、レベルアップを重ねて強くなり、過去に手強かったモンスターも楽に倒せるようになったRPGプレイヤーの達成感と重なるものでもある。我々のよく知るゲームシステムを交えたメタ発言という点では「大魔王からは逃げられない……!!!」と同じ系譜か。
 
後のダイとの再戦では大きく実力を上げたダイに圧されるのだが、あまりに露骨に善戦できている状況に違和感を抱く彼に対し

…これが本当にあいつかと思ってしまい、にわかには自分の成長度がつかめんだろう?だが…すぐだ すぐにいい気分になってくる… 己の強さに酔う…!どんな美酒を飲んでも味わえない極上の気分だぞ…

と薄ら笑んで語っている。また、ダイの実力を認めてなお「配下に加われ」と言い出すなど、基本的に他者は力に劣った存在という前提で「自分に従うか、敵対するか、無価値な虫ケラか」ぐらいの尺度でしか見ておらず、対等の立場で他者と接する事が無い。
  
実力だけでなく、種族観においても人間を一方的に弱者と蔑んでいる。
人が持つ醜い一面を「苦しい時は泣いて縋り、平和になるや否や掌を返し不平不満ばかりを漏らす最低な連中」と切り捨て、他者の思考や情にひどく疎いような面を見せることもある。
最終決戦を前にしてダイを自分の配下に勧誘した際には、かつて彼の目の前で実父バランの死体を悠々と焼き払ったにも拘わらず「今でもバランには敬意を払っている」などと宣ったし、捨て駒にできるよう黒の核晶を仕込んでおきながら「ハドラーに対する敬意は忘れていない」と相手の感情を逆撫でし信用を損なうような事も平然と口にした。
ダイはバーンがハドラーの体内に黒の核晶を仕込んで捨て駒にしたこと、そのせいで余命幾ばくもない状態になったことを知っているし、バランの亡骸を焼き払った際も激昂して飛び掛かっているのだから、遺体を焼き払った行為で怒らせたのだと判りそうなものであるにも関わらず、である。
 
「力こそ正義」の権化であるバーンは、力以外の言動で他人に与える印象の良し悪しなどには頓着していないし、自分の圧倒的な力を示せば相手が折れるのは当然で、力を見せつけられてなお心情や他の信念を優先するような考え方など理解不能なのかもしれない。
ダイが勧誘を断った時にも「所詮は子ども、勇者の幻想にしがみ付いていたいか」などと的外れな推測をしていた。
どうやら「その時点での相手の(種族の)実力」にしか興味が無いようで、人間の可能性を知らないという点はキルバーンやヴェルザーからも指摘されたことがある。
人間と精神構造が違う種族である以上、弱い面や悪い面を理解できているだけでもかなり凄いことではあるのだが、こうした価値観の相違はやはり一種の油断や慢心と言え、彼の隙の一つとなった。
 
また、バーンには「自己犠牲」や「作戦を立てて自分より強い相手に挑む」と言う概念が欠落している事も見てとれる。
バーンも利他的な行動を示す事はあるが、それは戯れか、自身や魔王軍へ貢献した事への褒美としてであり、恵まれた力とそれによって手に入る財物の中から「手放しても痛くないもの」を下げ渡してやったに過ぎない。そうした余裕を持たない者が命などの重要な物を他者に託したり、不利を承知で行動する事は理解できないようである。
それを特に表していたのがポップに対する対応で、バーンはバラン、アバン、ダイといった、自分が要注意人物と定めた相手には警戒を怠ることのなかった一方で、なんの経歴も能力もない「ただの人間」であるポップに対してはほぼノーマーク同然だった。
キルバーンが早くからマークし「甘く見てはいけない」「ダイ以上に厄介」と直に進言され、自ら「もっとも厄介な男」と認めていたアバンが「私以上の切れ者」と評するなど、バーンもポップの危険性に気づく余地はいくらでもあった。
ところが、ポップについては「魔法使いとしての実力は見たが、自分には到底及ばないし、ダイやバラン、アバンのような脅威になり得る事もない雑魚」と言う段階で評価を打ち切り、彼の戦略を単なる捨て身の特攻としかみなさず「簡単な計算もできんのか?」と嘲笑したりと侮り続けた。
しかし、パワーに劣るのを自覚しているポップは、能力に恵まれていたバーンが考えた事のない(=考える必要がなかった)創意工夫と企てで数々の激戦を乗り越えてきており、バーンの考える「力」とは全く異なる強さを持っていた。
そもそもポップは自分を一撃で消滅させうる呪文を習得しており、マホカンタという対策こそあれ「知らない戦い方」どころか最大級に警戒するべき要素を持っている。
ポップのことを「分かっている"つもり"」で彼を軽んじ続けたことは、後の真バーン形態時に自身が嘲ったポップの「捨て身の特攻」で腕を切り落とされ、そして鬼眼王形態時に至るまで、自身に対して災いを呼ぶこととなる。
 
一度は配下になったロン・ベルクに対しても、彼の武器に対する思い入れを知っていながら、それを蔑ろにするような発言や待遇を行った結果、失望した彼は魔王軍を去った。
その後、最高クラスの刀匠にして魔界指折りの剣士であるロンはダイたちに味方し、自らに刃を向ける結果となった。
彼を手元に残す、あるいは去った時点で離反者として処刑でもしておけば、ダイが最高の専用武器を手に入れられなかった可能性が高いことを考えれば、その代償は余りにも大きかったといえる。
バーンの態度に不快感を露にして去ろうとするロンに、不満とは全くズレた報酬や地位を与えることで考えを改めるよう促していたり、「魔族の人生は長いから気が変わるかもしれん」と、一見寛大に見えるが、要は相手の判断が間違っているのだという発言もしていて、やはり相手の価値観など関係なく、力に勝る自分に従う事が当たり前という考えを見せている。
他にも、光魔の杖に命を救われた事を認識しておきながら、全盛期の肉体に戻るや否や用済みと言わんばかりに踏み砕いたり、何千年にも渡って彼の恩義に報いようと自らの片腕として忠実に働いてきたミストバーンの死に関して慈しみの素振りも見せなかったりと、謝意の感覚も欠落している所がある。
あらゆる意味で強すぎる力を持ち、謝意や誠意など持たなくとも実力だけでついてくる相手が山ほどいるが故の驕りの表れとも言えようか。
この「強過ぎるが故の盲点」は、後の形態においても端々に現れている。一度はダイに倒された時、まだバーンが生きていることに気づかなかったダイは「強過ぎるのもそんなにいいことじゃない」と語り、彼の言う通りその盲点はバーンにとって時に大きな仇をなすこととなった。
 
バーンは限りなく永遠に近い命を得るため、肉体を「叡智と魔力」「若さと力」の2つに分けているのだが、この項の最初にある通り、老バーンは叡智と魔力の方の肉体である。
バーン自身の意思や魂と言うべき物もこちらに宿っているため、事実上の「本体」であり、こちらが致命傷を受けたりすればバーン自身の滅びに直結する。
その危険が起きた場合、【ミスト】に預けていた「若さと力」を残した肉体と融合して、全盛期のパワーを取り戻す「真・大魔王バーン」へと変貌する。

真・大魔王バーン

【凍れる時間の秘法】で封印していた「若さと力」の体を取り戻した本来の姿。
ミストの預かっていた肉体の声が難波圭一なので、旧アニメで登場していたらポップとのダブルロールだっただろう。
新アニメでは子安武人が演じることになると思われる。
外見はミストに預けていた時と同じく、端正な顔立ちに銀(灰色)の長髪をたなびかせる壮年の男性魔族。
ミストに預けていた際の肉体には無かった額の鬼眼と側頭部の角が復活し、代わりにミストの憑依を現す額の黒い飾りがなくなっている。衣装もローブ調から、両腕を大きく露出した格闘家風の動きやすいものとなった。
額の鬼眼には魔力が集約されており、ここから放つ光線は力量の足りない、あるいは消耗した者を【瞳】と称する小さな玉に封じ、戦いの場から排除してしまう。
 
武器は使用しないが、若返った肉体そのものが伝説の武器に匹敵し得る圧倒的パワーと強度を誇る。
掌が燃えるほどの速度によってあらゆる物理攻撃や呪文をはじき返す【フェニックスウィング】、伝説の武器並みの威力の手刀【カラミティエンド】を使えるようになり、段違いの火力を発するメラゾーマ【カイザーフェニックス】を扱う魔力と知力も失われていない。
この三つの防御・攻撃・魔法を同時に使用する絶対のカウンター技【天地魔闘の構え】はダイ一行を圧倒し、1回2動作で魔法を連射できた老バーンから、1回3動作が可能な真バーンという、非常にわかりやすい形での「強化」を読者に印象付けた。
 
肉体とともに精神面も変化していて、老バーンと比べると威厳よりも自信が全面に出ており、かつ饒舌になっている。
慢心して相手を見下したり嘲笑を表に出す言動も増え、ポップに対する軽んじた扱いは、この形態でのものが多い。直前には奥義の隙を突いたメドローアで命の危機を感じたはずなのだが…。
老バーン形態は「魔力と叡智」のみを残したと称していたが、真バーン形態では若い肉体に伴って圧倒的な力が戻ったぶん、「力こそ正義」の傲慢さはさらに強まり、齢を重ねての落ち着きや、肉体の衰えを前提にした用心深さなどは消えているのかもしれない。
 
それでも戦略と奮闘の末に自身の左腕を切り落とし、再生まで阻止したダイとポップの絶望の涙に対し「泣くな、お前達は本当によく戦った…」と健闘を讃え、ロン・ベルクに対しても最後通告も兼ねつつ「もう一回部下になれば助けてやる」と持ちかけるなど、寛大な所もしっかり残っている。
 
また、この形態になれば他の生物と同じように「その身に与えられた寿命を消耗する」事になる。
次に凍れる時間の秘法を使える500年後の皆既日食まで、この肉体で歳をとらなければならないのだ。
魔族は個人個人の肉体的な差が激しく、バーン本来の寿命がどの程度なのかは明らかになっていない。「余は数千年にわたって力を蓄えた」という発言もあることから、バーンが一般的な魔族より長寿なのは明らかだが、それでも全盛期の肉体でいられる時間が減り、肉体を保存して永遠に近い生命を得るという理想が邪魔される事を重く見ているようだ。
 
魔力と全盛期の肉体が結び付いた力はまさに圧倒的だったが、『最後の手段』で竜魔人となったダイに逆に押され、
「力こそ正義というなら、より強い力でブチのめされれば、お前は満足なのか!」と、自らの謳った理念を力によって投げ返されてしまう。
バーンが心底から「力こそ正義」と信じ、その力において敗北したのなら、たとえ相手がどんなに忌むべき怨敵であろうと、相容れない考えの持ち主であろうと、自分の正義を取り下げ服従しなくてはならないのだ。
さもなくば、自分が相手より力で優っているのを良い事に「自分こそ正義」を都合よく美化していただけと言う事になってしまう。
これまで力で勝る者と対峙する機会そのものが極端に少なく、なまじ強すぎる力を持つが故のバーンの盲点が、竜魔人ダイという強者の存在によって暴かれたとも言えよう。
 
満身創痍にまで追い込まれたバーンは相手の力量を測り、冷静に考えていた。
仮に両方の腕が無事で、万全の天地魔闘の構えができる状態であっても、恐らく勝てないだろう、と。
「力こそ正義」を掲げたバーンにとって、敗北は命や正義、果ては全てを失うことを意味する。
だが、それでもダイに対して「力こそ正義」の信念を撤回することは無かった。
その信念に従ってバーンの出した答えは、強い者としての驕りを捨て、勝つために全てを捨ててなおダイを上回ること。
人であることを捨てたダイに勝つために、例えるなら魔王を捨てるとでも言うべき大きな決断を下し、下記の形態へと変貌する。

鬼眼王

竜魔人と化したダイに追い詰められたバーンが、自らの魔力の源である鬼眼の力を解放し、肉体に上乗せして魔獣化した最強の姿。
荒々しい岩山のような頭部と肩装甲をもち、胸に巨大な鬼眼が開く巨人で、額部分には元のバーンの上半身が埋まっている。
バーン自身も最強の姿だと自認しているが、他者に干渉する場合と違って魔力の源である自身の肉体を変質させるため、二度と元の姿には戻れない最後の手段でもあった。
 
元の姿に戻れないのに加え、バーンはもともと老人形態、真バーン形態からして圧倒的な強さであるため、そもそもこの変身が必要なほど追い詰められる事は無かったし、今後もそんな強敵など現れるはずもないと考えていた。
試す事も出来なければ、なる事を迫られる事態が訪れる事も無いであろう鬼眼王となった自身の最強の姿をせめて想像の中の形だけでも実現しようと作らせたのが、岩の魔神のごとき外見を持つ城、【鬼岩城】であった。
 
ダイの強さの本質が「勝利の為に全てを捨てている」ことだと悟ったバーンは、自分も全てを捨てねば勝てないと覚悟を決め、戦いの最中にこの姿を開放する。
強大な呪文を操り体術の奥義をも極めた魔王の肉体を捨てて二度と戻れない破壊魔獣の姿と化すのを選ぶのは、バーンにとって追い詰められた事を認める屈辱ではあったが、なにより「敗北よりは良い!」と鬼眼の解放を決意、竜魔人ダイとの最後の戦いに臨んだ。
 
強力無比な呪文や体術を駆使したこれまでとは異なり、この形態に技らしい技は無い。攻撃は原始的な殴る蹴るの打撃が中心となるが、巨体の質量を高速で振り回す威力は単純にして圧倒的で、鬼眼から魔力の波動、鬼眼砲を出すことも可能。
ドルオーラの直撃に耐えてダイを殴り返したり、弱点のはずの胸の鬼眼も硬質の瞼で覆い、【竜の騎士】に代々受け継がれてきたオリハルコン武器【真魔剛竜剣】を押し合いの末にへし折るなど、守備力も折り紙つき。
 
その力は間違いなく作中最強なのだが、登場期間が短く「今のはメラゾーマではない」や「天地魔闘の構え」のような印象的な描写も象徴となる技も無いせいか、インパクトや絶望感はこれまでのバーン戦より小さいという感想もあったようだ。
実力と威厳や印象が一致しなかった例ではあるが、純粋にダイに勝つことだけを考え、叡智や魔法、編み出した技も威厳も姿も全て捨てたという意味では、バーンの覚悟と執念ゆえのシンプルさであり、常に他者を見下ろす存在だったバーンが、初めて他者と同じ目線でぶつかり合う事を選んだ姿だとも言える。
戦いの一部始終を見守っていたヴェルザーも、かつての競争相手バーンに最終手段を選ばせた竜魔人ダイの力に「それほどの相手か…」と驚嘆しており、鬼眼開放がそれだけ重大な決断である事を裏付けている。
 
実際にその絶大な力でダイを追い詰めるが、頭部に埋まるバーン本体の胸に刺さったままだった【ダイの剣】をそのまま斬り下ろされ、魔力の源である鬼眼ごと、かつての鬼岩城よろしく真っ二つに切り裂かれ敗北。
鬼眼王の体は崩れ去って本体の上半身のみが石化して残り、自らが渇望した太陽を背にして宇宙空間へと消えていった。
 
DQシリーズに登場する「形態変化を行うラスボス」はいずれも最終形態が異形の巨体という共通点があり、バーンもそれを踏襲した形になっている。

魔力

格闘でも高い能力を発揮しつつ、作中最強の魔力の持ち主でもある。
小指の先ほどしかない【メラ】の火の粉を放ってポップの【メラゾーマ】を何発も突き破り、【今のはメラゾーマではない…メラだ…】と言い放つワンシーンを筆頭に、それを印象づける描写は数多い。
特に力を溜めるでもなく撃った【メラゾーマ】ですら、そのケタ違いの火勢から【カイザーフェニックス】と呼ばれる必殺技扱い。
一コマで表現される短時間で【イオラ】3.5発分を軽々と放ち、その威力は上位呪文の【イオナズン】級とまで言われた。
魔法反射の【マホカンタ】を使いこなし、完全回復の【ベホマ】は全身の大火傷を瞬く間に治癒している。
作中で使ったのはこの5種類とシンプルだが、特に攻撃呪文は他者の同じ呪文を大きく上回る効果を見せた。
 
また、通常形態で所持している【光魔の杖】は「無制限に魔力を吸い、吸っただけ攻撃力が上がる」という機能を持つが、バーンの莫大な魔力を吸わせた際にはオリハルコン製の武器を叩き折り、地形を変えるほどの威力を持つドルオーラに拮抗する防壁を発するなど、魔力の高さに物を言わせて段違いの性能を発揮させている。
 
戦闘以外でも【ゴーレム】型の城【鬼岩城】や浮遊城【バーンパレス】への魔力伝達、【黒の核晶】の操作など、魔力そのものを外部に放出、供給する能力も持っていて、これは頭部にある角がアンテナの役割を果たしているという。

魔力は額にある第三の目「鬼眼」に集約されていて、生物に直接干渉することもできる。
鬼眼から放つ光線は、レベルが低かったり消耗している者を【瞳】と呼ばれる宝玉状の物体に封印してしまう。大魔王と対峙するに相応しくない弱者を戦うまでもなく排除する能力であり、物量作戦で疲弊させるといった手段を無意味なものにする。
パーティー編成人数が数人レベルに限られ、大部隊を率いる事ができないゲーム本編に倣った能力とも言えるだろう。
 
また、【進化の秘法】のような効力も発揮していて、太鼓型のモンスター【ゴロア】を大柄な鬼のような姿に変化させていた。
最終決戦で巨大な魔獣と化した鬼眼王バーン形態も、鬼眼の魔力を開放したことによる肉体強化である。

余談

魔界の王である彼は趣味として酒とチェスを嗜み、所持していた【オリハルコン】製のチェスの駒から【ハドラー親衛騎団】が生み出されることになる。
この駒をハドラーに譲り渡す際「どうせ指す相手もいなくなって久しい」と発言していることから、彼には魔界に碁敵ならぬ “チェス敵” がいたのかもしれない。
或いはこのチェスセットの正体と本来の役割から、指す相手=自分の城への侵入者の事で長らく出番がなかった、という意味か。
 
自身の強大な力の象徴として不死鳥フェニックスを好んでおり、技名に「フェニックス」とつけたり、技の形やバーンパレスの設計に翼を広げた不死鳥の姿を取り入れたりしている。狙っての事では無いだろうが、ダイが放ったアバンストラッシュで黒焦げになった際には、灰から蘇る不死鳥のごとく【ベホマ】で全快復活してみせた。作中ではヒュンケルがこれらの要素から、ミストバーンの正体について確信を得る場面もある。
 
人間と同じ肌色(コミックスの背表紙ではやや色黒の肌に銀髪の姿に描かれている)と血の色をしており、心臓を三つと鬼眼、それに自らの魔力の発信塔となる2つの角を持つという、寒色系の肌、蒼い血が一般的な魔族にしては珍しい体質をしている。心臓が三つというのは心臓が二つだった魔王ハドラーよりも格上であることや、魔王には何度も致命打を与えないと倒せないというドラクエの仕様の体現にもなっている。
角は自らの居城であるバーンパレスを浮遊、維持させるのに重要な役割を果たすが、片方でも折られるとその機能を失ってしまう。また傷付いたダイの仲間たちを『瞳』に封じる能力も解除された。
この立派な角は彼のトレードマークにもなっており、その存在は物語序盤からカーテンに透けて見えるシルエットからもうかがえる。
大きな二本角の意匠は鬼岩城の顔、玉座の間の壁飾り、【暴魔のメダル】に描かれた絵などにも使われている
 
序盤は顔を隠し声だけで命令を下すという「悪の組織のボス」「高貴な存在」によくある演出をしており、超魔生物となってパワーアップを遂げたハドラーに対する評価の証として拝謁を許す、という流れで素顔が明らかになった。その際「キルバーンとミストバーンにしか見せた事の無い素顔」とも言っていた…のだが、ロン・ベルクの90年前の回想ではロンどころか給仕役の女性魔族達にも普通に見せていたりする。
また、ハドラーに見せた際に同時に天井に居合わせた【あくまのめだま】やそれを介して見ていた【ザボエラ】にも素顔を公開しているが、特に気にした様子はなかった。ふらりと眼前に現れた正体不明のキルバーンにも何一つ追求していない。明確な描写はないが、パレス内のごく身近で活動する【マキシマム】やゴロアにも見せているはずで、ストーリーの延長・変更による事情とはいえ、魔軍司令どのの扱いが妙に軽く見えてしまう。
とは言え、最古参の部下やライバルが送りつけてきた暗殺者といった特殊な連中や宮殿で身の回りにいる下僕と、比較的最近スカウトしてきた幹部のハドラーでは「素顔を見せる」ことの価値も変わってくる。バーン本人からすれば「外様から身内に格上げしてやる」ような意味があったのだろう。
 
威厳溢れる魔族の王に相応しく、一人称は「余」。真・大魔王バーンでは一度だけ「私」と称したこともあるが、同じく魔王たらんとしたハドラーが「オレ」だったのと並べると、両者の支配者や戦士としての性格の違いが見て取れる。ちなみにミストバーンやバランは「私」、キルバーンは「ボク」と、魔王軍幹部は一人称にも個性が出ている。
 
原作者の三条陸がダイ大を手がける前にシナリオを執筆したRPG「邪聖剣ネクロマンサー」に「バーンの杖」という重要アイテムが登場しているが、続編の2(nightmare reborn)で「海神の力が宿る杖」となっており、単なる同名でダイ大との関係はないとされている。
なお初代ネクロマンサーのわずか19日後に発売されたDQ3にはバーンのぬけみちが登場しているが、これも関係があるかは不明。

ゲーム作品への出演

外伝の漫画作品のキャラクターという事もあってか長らくゲーム本編には参戦しなかったが、2016年10月頃からDQのゲーム作品とダイ大コラボにより、
後述のDQMJ3Pの他、星のドラゴンクエストやスーパーライト、モンパレのダイ大コラボイベントにモンスターとして登場。
老バーンはすべての作品で登場しているが、その後の形態である真・大魔王バーンは星ドラとスーパーライトに、
鬼眼王バーンはDQMJ3Pと星ドラと分担して登場。彼が使用する装備品や特技も一緒に登場している。
 
その他、天地魔闘の構えが【天地のかまえ】としてDQ9で輸入されている。

DQMJ3P

コラボイベントにおいて、老人の姿の「大魔王バーン」と最終形態である「鬼眼王バーン」が参戦した。
ここでは「大魔王バーン」についてのみ解説している。「鬼眼王バーン」についてはこちらを参照。
 
イベントバトルに勝利すると【アロマ2号】から報酬としてもらえる【コラボバトルチケット】を使用すると3回目の対戦相手として登場。
初登場時のセリフでは、「ここでは自分の方が来訪者なのでそちらが負けても命までは取らない」と寛大さが垣間見えるものの、「全力でかかってこなければこの世界をいただく」とも言い、【ブレイクワールド】を奪う気満々だったりもする。
原作の行動目的から見るに、やはり魔界の魔物が太陽の光が差す中、平気で地上をウロウロしているのが気に入っているのだろうか。
2周目以降の前口上では「こうも何度も来るとは簡単に勝てる相手だと思っているのか」「お前は余の恐ろしさを知らぬ」と少々の憤り(?)を見せるが、勝利後には「余の世界であれば部下にしたいくらいだ」と改めてこちらの実力を評価してくれる。
部下のスカウトには余念がないようだ。
 
ここでの戦闘では【メラガイアー】【イオマータ】【アビスハンド】【神の裁き】【カラミティウォール】を使用してくる。
部下2人と異なり全ての状態異常が効かないので正攻法で攻めるしかない。一方、カラミティウォール以外は全て属性攻撃なので、属性耐性を埋めていれば部下2人よりあっさり突破しやすかったりする。
因みに【キルバーン】はハック耐性が軽減なのに対し、こちらは普通である。しかし、今作では表記上の耐性に関わらずボスにはハック系が効かない仕様になっているのであまり意味はない。
 
勝利すると【大魔王マデュラージャ】よろしく「自らの分身」が仲間に加わる。 
闘技場での戦闘ではあるが、命令は出せるので積極的に活用していきたい。
また、この次の日以降のコラボバトルは【キルバーン】にもどり、3日後には再び仲間にすることができる。
 
なお、コインでは交換することはできないので、仲間にするには3日に一度の彼とのイベントバトルに勝利し分身を貰う方法のみとなる。
これは鬼眼王形態やミストバーン、キルバーンにも言えることである。
 
???系のSSランクで固定特性は【ときどきインテ】。他は【メガボディ】【火ブレイク】【AI2回行動】
+25で【いてつくはどう(特性)】、+50で【聖賢】、+100で【秘めたるチカラ】、ギガボディ化で【つねにマホカンタ】、超ギガ化で【やみのはどう(特性)】が解放される。
メラブレイクを持ってるのは作中でメラ系の魔法を主に使っていたという点から、素でAI2回行動なのは上記の設定の再現からであろう。マホカンタは恐らくポップのメドローアを反射した点の再現か?
合体特技は【雷雲招来】、合体特性は【超いてつくはどう】
所持スキルは固有の【大魔王バーン(スキル)】
 
原作で【カイザーフェニックス】「メラゾーマクラスの威力のメラ」を放ったためかステータスはMPと賢さが最高値に設定されている。自力習得特性もときどきインテに聖賢に秘めたるチカラと、呪文アタッカー向けの特性が揃っている。
また、状態異常耐性にも優れており、ノーマルボディに縮めた場合でも【全ガード+】1つつけただけで異常耐性はすべて無効まで持って行けてしまう。
一方で属性攻撃耐性は弱点こそ無いが全部普通で軽減すらないとからっきし。炎耐性すらない。
 
なお、同じくMPと賢さが最高値に設定されており、同じく大魔王と名乗っている【ゾーマ】と比較すると守備力・素早さで劣る代わりにHP・攻撃力に優れる。
 
ライド攻撃や全体物理技及び雷雲招来をする際は、光魔の杖を用いる。

モンパレ

期間限定の【たんけんスカウト】でスカウトできた。
重さは77で、固有特性に「大魔王」。固有特技にカイザーフェニックスを持ち、パレードスキルは味方全体のメラ&イオ系で与えるダメージが10%アップ。

星ドラ

ダイ大コラボイベントのラスボス。
老バーンと真バーンはストーリーイベントで、鬼眼王は最終決戦!鬼眼王バーンで登場した。