FF12
ヴェインの問いかけに対するアーシェの言葉を聞いたヴェインのセリフ。
「ダルマスカはあきらめたまえ」と続く。
自らの意思で行動するアーシェだが、ヴェインは自分の意思を押し殺して帝国を背負ってきた。
一国を背負う立場にある人間が、自分の意思を前面に出すのは無責任だという考えが表れている。
グラミスから兄二人の処断を命じられ、シドから人間の力で覇王になる仕事を頼まれ、
自分の自由を放棄して、与えられた義務をこなしてきたヴェインならではのセリフ。
- 私はこの問答に関しては、ヴェインに一票。どういう意図があろうとも、王女様が自由でいたいなんて言っちゃ駄目だろう。公式非公式に関係なく、ヴェインは王女としての彼女に聞いているのに。
- アーシェも別に王女として答えてはいる。王女としての義務を放棄するとか、私情を優先するという話ではなく、あくまで死者やオキューリアに囚われないといった意味での「自由」である。
- 別の王女様に、
「「王女らしく」ではなく本当の自分を確かめたいの……でも…」と似たようなキャッチコピーがある。
- シドの方が地位が高いのか…
- シドは親友じゃなかったか?「親友の頼みだから」と、断れるのに断る事はしなかったって事だろう。
自由を望むアーシェと義務を重視するヴェインの対比を表すシーン。
またヴェインが野心よりも義務で行動していることを表しており、最期のシーンに繋がっている。
このセリフ前後の(プレイヤーの)心理的齟齬は、国主の権限の大部分を民衆に委ねる民主主義(国家の主体は民衆にあるという思想)体制下にある我々では理解し難いだろう。主権(国家に対する全権限)とは権利以上に義務を孕む。簡単に言えば『国家に属するすべての民衆の「未来」に至るまでの責任を負う』のが国家の主権。それを全国民に分散させるのではなく、全国民に等しく負担させるのが民主主義。平民であるヴァンも、貴族であるバッシュも、王族であるアーシェも、等しく「国家を維持する義務」を負うのが民主主義。
FF12は【プレイヤーと、絶対的かつ絶望的に「価値観」が異なる作品】である。
悲しいことに、プレイヤー側こそがゲーム内世界の価値観と完全に異なっていて理解できない。
シナリオの主軸である「アーシェに王権を復活させる」事ですら、プレイヤーの大部分的には異質なのである。
- しかしその区分でいくと「皇帝」すら「民衆の選挙」によって選任されるアルケイディア帝国の国主たるヴェインが義務を語り、よくも悪くも典型的な専制国家であるダルマスカ王国の王女が自由を説くという、中々に皮肉な光景である。
- ただし、元老院を粛清したり、最終的な目的が覇王であったりと今のアルケイディアは普通に独裁状態。ヴェインの力とカリスマがインフレしてるから成立してるだけであって、国としてはだいぶすごいことになっている。