映像作品/【FINAL FANTASY】(映画)

Last-modified: 2025-10-04 (土) 13:53:43

【関連項目】


概要

英語版タイトル:「Final Fantasy:The Spirits Within」。
2001年にアメリカと日本で公開された映画。
全編がフォトリアルなコンピューターアニメーションで製作されており、当時としては極めてリアルな人物表現などが注目を集めた。
製作はハリウッドで行われ、原作・監督はFFの生みの親とされる坂口博信が担当。
スタッフロールでは氏の名前が一番最初に出てくる。
しかしゲーム製作でもPS移行期から問題視されていたFFナンバーの売り上げに頼った制作費管理の甘さが痛手となり、
興行収入は日米合わせて20億円と上々だったが制作費が160億円と尋常でなかったため、結果140億円近くの大赤字を出してしまった。
その皺寄せはFFリメイクの中止、デジキューブが決算連結を切り離され倒産、
そこそこ人気のあったアニメ・FFアンリミテッドの打ち切り等多岐に渡った。

  • FFリメイクに関しては3が開発中止になって4が先に出たり、
    PS2で発売予定だった7~9が「PS版で十分」という理由で中止になったり、かなり迷走していた時期だったな。
    予定されていたWSC版5・6もWSCのスペックでは移植不可能ということでオジャンになったらしいし。
  • と、このように「興収20億」説がネット上では(この用語辞典に限らず)まことしやかに広まっているが、アメリカの大手データサイトBox Office Mojoによれば世界興収8513万ドル、当時の日本円で言うと100億円近く稼いでいる事になり、大分事実と異なる。まあそれでも60億近い損失を出している訳だが。
    • この興収20億説が広まったのは、「スクウェアが最大で139億円に上る特別損失を計上する可能性がある」と言うニュースから、160億-140億と単純計算したのではないかと考えられる。だがこの損失は映画事業撤退に際しての特損であるため、FF映画の制作費のみならず、スタジオ閉鎖などに関する諸経費も加算されていると思われる。

本映画の画期的な点として、「フォトリアルな」初のCGアニメーション映画であることが挙げられる。
もちろん1995年の「トイ・ストーリー」が全編CGによる初のアニメーション長編映画として先行しているのだが、
トイストーリーで表現されているのはデフォルメされたキャラクターなので、
実写のようなリアルを目指して作られたCGアニメーション映画としてはこの「FF」が初ということになる。
ちなみに、フォトリアルなCGキャラクターはビデオゲームでは珍しくないが、世界的にCGアニメ映画においては、カートゥーン調のデフォルメされたキャラクターが主流であり、フォトリアルな人間キャラクターによるCGアニメ映画は「FF」以降でもあまり作られていない傾向にある(興行的にも成功したのは「ポーラーエクスプレス」くらい)。


ちなみに肝心の内容はと言うと、世界を侵略する宇宙生物「ファントム」を
八つのアイテムを集めて最強武器を作って倒そうという極めてゲーム的プロットで
映画として見ると30分もすれば退屈になってきて寝てしまうといった感じである。
映像のリアルさだけが前評判として突っ走りすぎたと言える。

  • しかも冒頭で8アイテムのうち7つ目を集め終えてしまうという始末。
    要するに本編の殆どは最後の一つを集めている間の出来事という事になる。

映画の企画が動き始めたのはFF7開発中だった1996年。
そのために1997年5月にハワイにスクウェアUSA・ホノルルスタジオが設立された。
1998年11月に製作発表が行なわれ、発表時の製作費予定は84億円。
しかし2000年時点ですでにその額がつぎ込まれており予定額は1億1500万ドルになっていた。
2001年秋の公開時には当初予定の2倍近い1億3700万ドル(157億円)に。
北米では全米2000館で公開予定だったが、試写会の好評から配給会社のコロンビア・ピクチャーズが拡大を決定、
全米2649館(2933スクリーン)で公開され興行目標は8000~9000万ドル(約100億円)だったが、結果は3200万ドルと大失敗。
日本でも9億円を目標としていたが達成できず、スクウェアは130億円の特別損失を計上。

  • 日本では10億円を達成している。日本映画製作者連盟の「2001年(平成13年)興収10億円以上番組」に、洋画部門でしっかり記載されているので。

1作品あたり50~60億円程度の映画をコロンビア・ピクチャーズと製作費折半で、
今後3作品製作する予定だったが、スクウェアは映画事業から撤退することになった。
2001年10月に、1120万株を約149億円でSCEが取得する形で赤字補填が行なわれた。
このとき後に社長になる和田氏(当時は代表取締役兼COO。社長は鈴木氏)が、DVD販売などもあるのでまだ総括する時期じゃないと言い、
その後発売された映画のDVDは製作費には見合う程ではないが、日米ともにヒットを収めている。
またCG技術の蓄積などの成果にも触れたが、FF9製作などにも使われたホノルルスタジオ自体は2002年3月に閉鎖された。


ここまで巨額の製作費に膨らんだのには、まずCGソフトの研究開発に時間がかかり、当初は2000年夏に公開予定だったのが翌2001年公開に延期とずれこんだこと、さらには2001年春公開に間に合わせるのにもスタッフの数が足りず、スタッフ増員のコストが発生したことなどが主な理由としてある。


ノベライズ版は結構面白かった。
やっぱり映画にしたせいで尺が足りなかったのでは。

  • 小説版はかなり細かい部分まで描かれてるからな。
    あれ読んだ後に改めて映画版を見たら展開が速すぎてギャグにしか見えないw
  • 小説は「FINAL FANTASY full length」(大型本と文庫の2種)、「FINAL FANTASY evolution」(文庫)が刊行。
    オススメなのは「full length」。
    • 正直、小説の方を読まないと映画版はかなり理解し辛い。
      というよりぶっちゃけ小説だけ読めば(ry

「映像はCGがリアルですごいけど、ストーリーが退屈」という評が多いように、ストーリー面の評価は低い。
ただし、説明不足でわかりにくい展開はいくつかあるものの、話の展開や設定がものすごく破綻しているとかではなく、ストーリーの構成自体はちゃんとしている。

欠点なのは「これぞ」という突き抜けた魅力に乏しいところ。
ファントムとの戦闘、スリリングな逃走劇、主人公アキが見る夢の秘密、笑えるユーモア、勇敢なディープアイズの活躍、アキとグレイの恋愛の行方…など、観客を楽しませるための要素はさまざま含まれてはいるのだが、どれも今ひとつ突き抜けて優れたところが無い。
ゴミだなんだとか言われるほど酷くはないのだが、平凡な出来に留まっている。
また、3DCGの技術力は高く、質感やライティングなどとてもリアルであるが、流石に20年以上経つと本作以上に精細な3DCGは珍しくなくなってしまい、映像的にも今や平凡になってしまったのは否めない。

  • 評価は高くないが、出来がものすごく酷いというわけではなくツッコミどころも大して無いため、
    いわゆる「クソ映画」という切り口でおもしろおかしく取り上げられたりするタイプの映画でもない。
    よくも悪くも平凡で印象が薄い映画、というのが大方の感想ではないだろうか。

キャラクターもすべて3DCGで表現されていることが特徴なのだが、「この内容CGでやる必要あるのか?」という意見も多かった。
写実的なCGキャラクターは技術的な価値こそあるものの、「こんなに一生懸命に高い金かけて現実の人間を模倣するくらいなら、普通に実写で撮ればいいんじゃないの?」と思われてしまったのである。

演出的にも普通の実写の芝居を3DCGのキャラにただ置き換えただけというか、CGキャラクターならではの面白いアクションなどがあるわけではないこと、キャラクター造形がリアル寄り過ぎて現実の人間と大差ないことなども「現実そのままの真似をしようとするくらいなら、そもそも実写の俳優で撮ればいいじゃん」と感じさせる点である。

しかし、CG技術をレベルアップさせるステップとしての映画製作という目的から考えれば、
写実的なCGキャラクターを実際の人間と同じように演技させる技術力というのは、是非とも重要だったのだろう。


「ファイナルファンタジー」というタイトルこそついているが、ゲームのFFとはほぼ無関係の内容であり、観た人からは「これ、全然FFと関係ないSF映画だろ」というツッコミを受けた。
FFと言われれば、召喚獣、飛空艇、魔法、クリスタルなどを思い浮かべるだろうが、そういう”FFらしい要素”はこの映画に全然登場しないのだ。
シドという名前のキャラクターがいるとか、一瞬写るアタッシュケースにチョコボが描かれてるとか、僅かにその程度である。
これではタイトルにFFとついている意味がわからないと言われてもしょうがなかったろう。
おそらく、元からFFとは関係ないCG映画として企画され、後からFFと関連付けたのではないかと思われるが。

  • FFとは関係ないCG映画として企画されたってのは流石に推測がすぎるし的外れだと思う。
  • 実際のところ、共同監督の榊原幹典はインタビューで以下のようなことを語っている。

    私たちは最初からゲームを映画にしようと話し合ったわけではありません。このプロジェクトのアイデアは別のところにあったと思います。コンピューターグラフィックスの技術的限界をさらに押し広げ、スクウェアのスキルとアーティストのスキルをハリウッドの大画面で披露したいと考えていたのです。
    An Interview With Motonori Sakakibara - Co-Director of Final Fantasy: The Spirits Within

  • 坂口監督も、元々は「FF」というタイトルではなかったことを述べている。

    結局今回のテーマというのは、まあ4作目あたりのゲーム『FF』から根底に流れていたものだったんですよ。本当にベースのところで映画とつなげたかったんですね。最初はこの映画は別のタイトルを付けてたんです。ただ、1作目ということで、自分の素な姿で勝負・表現しないと、作品にパワーがつかないかもというのがあって、素の自分でやった結果“これはファイナルファンタジーじゃないか!”となったんですね。
    『FF』生みの親、坂口博信監督インタビュー


「FFじゃない」と言われる一方、監督・坂口博信の好む思想「ガイア理論」が強く反映された世界観であり、”坂口博信らしい”作風ではある。
この映画の低評価として「話や設定がよくわからない」という声があるのだが、本作の死生観はFF7で描かれたライフストリームとかなり近いものなので、FF7経験者はわりと理解しやすいかもしれない。特に、融和波動やガイアのビジュアルは、FF7の後半シーンにかなり似た表現になっている(コメンタリーでもムービーを作っている人が同じですからね、と触れられていた)。


人気がなく需要が無いと言ってしまえばしょうがないのだが、レンタルDVD店に行くと、FF7ACは置いてあるのに本作は置かれてないことも多い。
また、海外ではアマゾンプライムビデオやAppleTV等で気軽に視聴可能なのだが、日本国内の動画配信サイトでは本作を配信しているサービスは無いようだ。
また、アメリカではブルーレイ版および4KUHDまでもが発売されたのが、現状日本では発売されていない。


サブタイトルの意味についてヒゲ氏はいかのようなコメントをしている。

―ところで、『THE SPIRITS WITHIN』とはどんな意味なんですか?
坂口:作品の根底にあるのが、『VII』や『VIII』にでてきたような精神や魂の世界なんです。
    あえて日本語でいうなら『内なる魂』といったところでしょうか。

余談

―『FF』といえば、最高のステータスを誇る作品なんですが、
  それを映画化しようとしたきっかけとは?
坂口:きっかけはね、まずボクが映画だけを作りたかったわけじゃないんです。
    『FF』が次の世代へ進むためのステップを作っておきたかった。
    『FF』という作品は、『X』のCG映像を見てもわかるとおり、
    このまま進化していくと、最後は映画との勝負になると思うんです。
    で、いざ勝負となったときに、例えばハリウッドなんかは、
    どんどんスゴイCG作品を生み出しているじゃないですか。
    ですからそのCG技術を研究、または学ぼうと思いまして、
    映画を目標にプロジェクトを立ち上げたのがきっかけです。
    ホノルルスタジオはそのために作ったんですよ。
    まあ映画は、第1ステップといったところでしょうか。
   (中略)
―映画の次に考えていることはありますか?
坂口:次のステップは、すでに始めています。
    というのも、今映画を作りつつ新たなCG技術の研究をしているんですよ。
    今回のような高密度な世界というのは、ゲームではまだ表現されていない。
    確かにこれまでは、いろいろ制約があってムズかしかった。
    でもボクらが映画を作っているうちに、ゲームの技術が想像以上に追いついてきた。
    実際、PS2に内蔵されているチップはかなり高性能ですから。
    “いつ・どこで”というのはありませんが、将来ボクらが学んだ映画を使う日がくると思います。

映画のような演出のゲームを、映画のような映像のゲームを、とひたすら映画に憧れ続けてきたスクウェアが作った映画。
しかし結果は皆さんの知ってのとおり惨敗し、映画の赤字額はギネスブックにも載ってしまった。
その結果、スクウェアはソニーからの資金援助などで救済して貰わなければならない事態になった。
ただしエニックス合併時はすでに財務状況は回復ずみであり、吸収合併の話はデマ。

  • 監督のヒゲ氏によると、とりあえず日本上映での敗因は
    日本語吹き替えではなく英語音声での日本語字幕表示だったため
    字幕部分によりCGの美しさが削がれたから」らしいが…。
    • 時期も悪かった。
      当時日本ではジブリの『千と千尋の神隠し』が興行収入300億超の大ヒットを飛ばしていたし…。
      ちなみにこの興行収入は、配給後約20年近くまで破られていなかった日本映画史上歴代第二位の超高額。
  • 「ギネスブックに載った」とよく喧伝されるが、赤字額で世界一になってギネスブックに載った訳ではない。
    映画の興行収入赤字額の世界一は1995年の『カットスロート・アイランド』である。
    ただし、「参考記録」としてギネスブックに書かれたのは事実であるとされる。
    • 「事実であるとされる」と言うのもソースは一切ない。おそらく「ギネスに載ったらしい」→「でも赤字世界一じゃないし」→「じゃあ参考記録なんだ」と言う流れで生まれたデマの可能性が高いだろう。
    • 「赤字でギネスブックに載った」については、かつて当映画のウィキペディア記事に「この記録的大不振はギネスブックにも載ってしまう程であった」と書かれていたことで広まった話と思われる。
      このウィキペディアの記述にも全く出典などはなかったのだが、2006年9月15日~2018年2月6日までと非常に長期間記述され続けていたため、世間に広く流布したようだ。
    • ギネスブックの件についてだが、英語で検索してみると「ビデオゲームにインスピレーションを得た最も高額な長編アニメーション映画」としてギネス世界記録に認定されていたのは事実のようだ(2010年に『プリンスオブペルシャ/時間の砂』に抜かれるまで)。
      どうもこの「高額なビデオゲーム題材映画としてギネスブックに載った」に尾ひれがついて、「赤字でギネスブックに載った」へと変わった可能性はある。

あのFFで面白かったのはここだけ↓
(YouTube動画リンク)

  • ↑クソ吹いたwww
    というかそれ公式なのか?
    • 調べたらDVDの特典映像らしい。映画スタッフが直々に製作。

FF7ACを見ると、何故既存FF作品を無視してまで新作を作ったのかすごく聞きたくなってくる。
明らかに1~9を題材にしたほうが良かった気がするが。

  • これは上述にある通り「元々はFFではなかった」が答え。
    映画やゲームは昨今においても続編やシリーズタイトルがあるほうが集客力が強く、ましてフルCGという前代未聞のアプローチを考えると「あのファイナルファンタジー」というネームバリューを使わない手はなかっただろう。
    FF7ACはその反省を活かして作られた作品といえよう。
  • 160億円もの制作費を疑問に思わなかったのかも是非聞きたい。
    完全新作ということで原作ファンが獲得不可能な状況で何故160億以上稼げると思ったんだ?w
  • 比較のために幾つか数字を持ってこよう。
    制作費で160億近くかかったハリウッド映画と言うと、タイタニック(制作費推定160億円)やX-MEN ファイナル ディシジョン(推定168億円)、
    またアバターの制作費が推定189億円+だとされている。
    何気にタイタニック同額つぎ込んでるわけだ。
    んで、今度は興行収入なわけだが160億円も儲けるってのは結構尋常じゃない。
    興行収入が160億円近かった映画と言えば、上記のアバター(156億円、しかもこれは日本だけでの数字)や崖の上のポニョ(155億円)、
    それにタイタニックの場合だと262億円(これも日本だけでの数字)だったりする。
    これらの数字を見れば160億円も制作費としてぶち込んで回収しようとしたのが、如何に無謀だったかが良く分かると思う。
    メガヒット級のハリウッド映画でもなきゃそうそうお目にかかれない数字だと言うのに…。
    • 「しかもこれは日本だけの数字」ってなにが「しかも」なんだか全く分からない……むしろFF映画にとって有利な条件なんだが。
      例えばアバターは世界27.8億ドルぐらい稼いでて、これは当時のレートでも3000億以上に相当するから、それに比べれば1/20で良いって事になる。
    • 「160億円はメガヒット級のハリウッド映画でもなきゃそうそうお目にかかれない」はあまりに大嘘
    • そもそも「ポニョが155億円、アバターが156億円」と日本市場だけの興行成績を比較に持ち出して「だから無謀だ」と言ってる意味がよくわからない。
      もとよりFF映画は製作費が高額になるため、小さい日本の映画市場だけを狙わず、ハリウッド制作にして世界市場を意識して作られているんだから、
      「北米もしくは世界の映画興行において、160億円(1億3700万ドル)の製作費はどうなのか」という論旨で語るのがフツーなのでは?
      日本の映画市場の話を持ち出して「160億円も儲けるってのは結構尋常じゃない」と言っているが、2001年の映画世界興行収入ランキングを見れば、160億円以上を売り上げてる映画は35本もあったんだが。
      ただし、基本的に映画の興行収入は、製作費の2倍を超えないと黒字にならない(映画館と製作配給で折半するため)ので、FF映画の黒字ラインは160億円程度ではとても済まなかったはずではあり、採算を取るのが困難なプロジェクトだったのはやはり否定できないが。
  • 確かに日本で100億稼ぐ映画は洋画邦画含めて、平均して数年に1本あるかないか。
    しかし日本で20億程度の興行収入の映画が、全米では1億ドル(100億円)くらい余裕で設けるのはよくある話。
    • 1億ドル程度では全米映画興行収入の年間ベスト10にも入れず、メガヒットとも言えない位アメリカの市場はデカイ。
      だから、全米で売れれば160億円の制作費回収だって、グッズやDVDの売り上げもある事だし、
      決して夢物語ではなかった…と思う。
      • 一応「映画事業」&「映像技術開発」への投資なので単品で回収しなきゃならないってことはないはず。
        (ゲームで言うとオープンワールドの技術開発を兼ねてたシェンムーなんかと同じ)
        まあそれを考えても無茶な投資であることには変わりないが。
      • そもそも当初予定されていた制作費は84億円であり、160億は延期に延期を重ねて膨張した結果である。一方で記事冒頭にも書かれているように、100億円近い興収は挙げている。つまり、当初の予算内に収めていれば黒字か、悪くとも制作費を回収出来る程度であった可能性が高い。しかも「大失敗」でこの興行収入ということは、ヒットしていれば十分に160億円も現実的な所であったとも思われる。

「スピリッツウィズイン」のフレーズはFF11、FF14にも取り入れられている。
出典はこの映画であることは間違いない。


この映画の赤字が様々な作品に影響を与えたというのは当たらずとも、というところではある。それこそ会社が傾くほどの大失敗だったのだ。


金田伊功の実際にありえない強調を使ったアニメ的な演出が、
CGでは無理、リアルじゃない、などと現地スタッフにことごとく却下されてしまったが。
FF13では金田伊功がそういう演出をちゃんと盛り込んだとNHKの番組でやってた。

  • 傷を負った部分に×印の絆創膏を貼ったり、ピンチ時にキャラが汗をかいたりする、ベタな演出のことね。
    この映画の登場人物は一切汗をかかない。フルCGとはいえ、一応アニメ映画に分類されている筈なのだが…。
    • 「でかい汗」は佐藤順一氏の開発した表現。
  • 金田伊功氏のいうアニメ的演出とは、一瞬体・光・メカがあり得ない方向に捻じ曲がる事から起きる先の読めない奇想天外なアクションが持ち味。
    後に金田系アニメーターの筆頭・今石洋之氏が「CG界の金田伊功を見つけなければ」という旨の発言をした。

ただ、技術的に残したものは結構大きいらしく、
「CG技術の発展で映画とゲームが将来ぶつかる可能性を考えた投資」という動機そのものが間違っていたわけではない。
あくまで映画単体としてイケてないことと、際限なく予算を使いすぎたことが主な問題である。
Pixarみたいに最初は身の丈にあった短編から始めたほうが良かったのでは?という意見は少なくない。

また、「フルCGでは技術面やコスト面で難しい」「新しすぎて観客が受け入れる下地がない」といった原因はあるものの、その後の多くの映画作品でCGを取り入れられる要因の一つとなった言われている。
その後映画のCG化は加速し、昨今では現実の割合のほうが少ないといわれるほどにまでCGが普及したことを考えると、時代をあまりにも先取りしすぎたともいえるかもしれない。


ADVゲーム「ライフイズストレンジ」にはこの映画への言及があり、テレビを調べるとキャラが「ファイナルファンタジーでも観ようかな。誰が何と言おうとすばらしいSF映画なんだから」とリアクションするシーンがある。
「誰がなんと言おうと」という前置きに、本作の世評があんまり芳しくないことが示唆されているが、さらに言うとこのゲームの発売元がスクエニであるため、なんだか自虐ネタっぽくもある。