カッツ

Last-modified: 2024-02-21 (水) 23:03:42
  1. 日本ハム、巨人、中日で活躍した小笠原道大の別称の一つ。味噌カッツを参照。
  2. ワッサーマングループに所属し、2015年オフ~2019年までの間、米大リーグのミネソタ・ツインズに所属する前田健太の代理人を務めたアダム・カッツ氏のこと。本項目で解説。


概要

2015年オフ、前田はポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を表明。その際に前田の代理人を務めたのがカッツである。
カッツと言えば、かのサミー・ソーサや、ドジャースのケンリー・ジャンセン、前田の後にはユリ(ユリエスキ)・グリエルといったメジャーリーガーの代理人として有名であり、前田との契約の際にも「ふさわしい球団を見つけ金銭的にも好条件でまとめられるようベストを尽くす」と話しており、翌2016年1月、前田はロサンゼルス・ドジャースとの契約を締結。
ところが

  • 年俸3億8000万円+出来高の8年契約
  • 先発登板数、イニング数に応じた出来高(下画像参照)
  • しかし先発登板数など起用法に関する契約上の縛りはなし
  • 前田側からのオプトアウト*1不可
  • トレード拒否権なし

とあまりに渋い条件での契約となってしまう。当然のごとくカッツには批判が殺到、MLB選手会からも契約内容を問題視されてしまう*2
名前の響きがカッスと似ていたことから「ファッキューカッツ」の声が溢れ返り、現在もなんJでは無能代理人の代名詞とも言える扱いを受けている。

ただし前田より先にポスティング移籍したダルビッシュ有田中将大はともに移籍から数年で大きな故障を経験、長期離脱を余儀なくされていた。前田も二人と同様に日本でエースとして登板を重ねており、球団がその点をリスク視して*3 契約を抑えめのものにしたいと考えるのも無理のない話であった。また、大型契約を交わした選手が怪我や不振で死刑囚となるケースは国籍を問わず複数あり、そのためなんJでも「今までの契約が高すぎただけ」「多額のインセンティブがついてるからセーフ」などカッツを擁護する流れもある程度見られていた*4のだが…

メジャーデビュー後

  • 2016年(移籍初年度)
    前田は先発投手としてフル回転、リーグ5位タイの16勝を挙げる。インセンティブの条件である開幕ロースター入り、32先発、170イニング以上の登板を成し遂げ10億円以上の出来高の獲得に成功した。
     
  • 2017年
    13勝を挙げたものの25先発、134と1/3イニングの登板にとどまってしまう。さらにチーム事情などから中継ぎに配置転換、ポストシーズンなどで好投を見せたことでリリーバーとしての評価が急上昇してしまう
    前田の契約は先発登板を前提としたものであるため、中継ぎ起用されるとインセンティブを獲得できないことになってしまう。しかし先発起用を確約する契約もなく、オプトアウトも不可能なことからやはり前田にとって不利な契約であるということが露呈するシーズンになってしまった。
     
  • 2018年
    前田は開幕ローテーション入りを果たす。シーズン初登板を5回10奪三振無失点で飾ったにも関わらず、その一週間後にリリーフで起用されるなど開幕から不安定な起用*5となっており、またも契約条件や起用法に批判が集中。
    さらに同年オフには屈指の敏腕代理人として知られるスコット・ボラスを代理人に起用してポスティングシステムを利用した菊池雄星が好条件での契約を勝ち取ったことから再び批判されている。
    同時期に水面下では契約のやり直しの交渉をしていたとドジャースのアンドルー・フリードマン編成本部長が認めた*6が合意には至らなかった。
     
  • 2019年
    前田は開幕から先発投手として活躍するも9月になると既定路線とばかりに中継ぎに配置転換された
    そしてオフにカッツはついに代理人をクビになり、同じワッサーマングループのジョエル・ウルフ*7新しく前田の主任代理人を務めることとなったが、先述の契約のせいでトレード拒否ができなかったためツインズとレッドソックスが関わる三角トレードに巻き込まれ、2020年シーズン開幕前にツインズに移籍する事となった*8。今後の契約がどうなるかはウルフ氏の腕の見せ所と言えるだろう。
    • 後日前田は自身が開設したYouTubeチャンネルでこのトレードについて自らの言葉で語っている。
    • ウルフ氏はオフに筒香嘉智の代理人も務めているが、当初は「前田の代理人と同じ」という情報しかなかったため、「カッツの犠牲者が産まれるのでは」と誤解したなんJ民もいた模様*9
    • 世界長者番付で有名なアメリカの経済誌「フォーブス」に掲載されているスポーツエージェントリストにも両者とも名前が記載されていた。カッツの英語版Wikipediaでは2017年時点で10位だったと記載されているが、現時点でランク外に落ちている為かなり落ち目になっている模様。一方ウルフ氏は3位で野球部門2位と敏腕である事がわかる(なおボラスは総合1位)。
  • 2020年
    全試合で先発起用。コロナでの短縮シーズンとはいえ、6勝1敗、防御率2.70の好成績を上げ、地区優勝にも貢献した。
  • 2021年
    MLB移籍後初の開幕投手となるも、夏場に肘を故障しトミー・ジョン手術を受ける羽目に。
    翌2022年はリハビリのため全休。
  • 2023年
    この年で8年契約が終了しツインズをFAとなり、デトロイト・タイガースへ2年総額2400万ドル(約36億円)で移籍。

前田のインセンティブ(画像)*10

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カッツのご尊顔

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関連項目


*1 複数年契約などの際、一定期間が経過すると選手側が契約を破棄しFAになることを選択できる権利。特に長期契約の場合、契約を見直し実績による年俸の上積みなどの機会を作るため盛り込まれることが多い。
*2 ただしこれは前田の救済というよりは「こんな奴隷契約が今後のスタンダードになっては困る」という意味合いのほうが強い。
*3 実際右肘がメディカルチェックに引っかかったという話はあり、そのせいで買い叩かれたと言う推測もなされている。また、ドジャースは前田を獲得する直前に一時はマリナーズからFAとなっていた岩隈久志と契約合意寸前まで至っていたがメディカルチェックの結果決裂したこともあってその点に敏感になっていたともいわれている。(その後岩隈はマリナーズと再契約)
*4 またドジャースへの移籍自体、前田の妻が西海岸にこだわり前田もそれに同調したことに端を発しており、本来前田の獲得予定がなかったとされるドジャースに前田の契約をねじ込んだ点は有能であると言われている。ただ前田の意思もあったとはいえ非常に不利な契約を結んだのもまた事実であり、せめてオプトアウトだけでも可能にしていれば評価も変わったはずである。嫁主犯説でカッツを擁護していた一部の正岡民もトレード拒否条項がなかったせいで後述のトレードにより前田がLAを追い出されたことで完全粉砕されてしまった。
*5 前田が先発予定だった試合が雨天中止になったこと、前述のとおり前田がリリーフ適性を示していたことなどが原因と見られる。
*6 翌年のGM会議にて発覚。
*7 Joel Wolfe。カッツと同じくワッサーマンメディアグループに所属するエージェントで弁護士。NYYのジャンカルロ・スタントンの代理人としても知られ、現役時代の松井秀喜のスタッフとしても活躍した。
*8 一時は交換要員の一人ブラスダー・グラテオル(ツインズ投手)の故障歴絡みの問題で白紙になりかけたものの、最終的にはツインズから若手有望株選手2名とドラフト指名権をドジャースに譲渡し前田を若干の金銭込みで獲得する形のトレードに決着した。
*9 ちなみにウルフ氏は筒香を2年総額1200万ドル(約13億円)の契約でレイズに入団させており、いきなりカッツとの格の違いを見せつけている。
*10 この項目では画像をもとにインセンティブ額を計算しているが、実際はさらに少ないとの報道もある模様。