守備コロ

Last-modified: 2025-10-19 (日) 21:11:14

主力選手の守備位置を頻繁に(≒コロコロと)変更する行為。
この項目ではこの用語が出現する原因となった2022年の阪神・日本ハムについて特に解説する。


概要

試合展開やチーム事情で守備位置がコロコロ変わるユーティリティプレイヤーは各チームに存在し、またその他にも複数の主力選手の守備位置を大胆にコンバートさせる方針も昔から存在しておりネタにされていた。ユーティリティプレイヤー自体は、レギュラーに定着している選手の故障やコロナ禍での離脱などといった緊急事態にも対応しやすくなるためチームに必要な存在なのだが、あまり頻繁に守備位置を入れ替えているとその選手が調子を崩してしまったり、元々本職としていたポジションの守備力が却って疎かになってしまう、という懸念も抱かれている*1


阪神における守備コロ

矢野燿大監督時代の阪神では、矢野自身の方針もあり大山悠輔を筆頭に多数の主力選手が複数のポジションを守らされていることからよく話題になっていたが、2022年シーズンは加えて佐藤輝明も守備コロされる*2ようになり、スタメンの組み方だけでなく試合中にもコロコロ守備を入れ替える*3場面も目立つことから批判の対象となっている。


阪神の主な選手の守備経験

選手登録(捕手→内野手→外野手)→背番号順。◯表記は公式試合での守備経験あり、△はキャンプ等にて練習報道あり。いずれも2022年時点のデータ。

選手登録守備経験
一塁二塁三塁遊撃左翼中堅右翼
山本泰寛内野手
木浪聖也内野手
大山悠輔内野手
熊谷敬宥内野手
佐藤輝明内野手
北條史也内野手
糸原健斗内野手
陽川尚将内野手
植田海内野手


OBからも苦言を呈される

岡田彰布

2022年オフの監督就任会見では大山の一塁固定と佐藤輝の三塁固定を明言。また、「そんないっぱい守る能力ないよ、みんな。(中略)責任を持ってそのポジションを守らせるようにしないと、なかなかエラーは減らないと思うね」とも発言している。その後、肩の強さに不安を抱える中野を遊撃から二塁へコンバートし、成長著しい小幡と潜在能力を認めた木浪を遊撃一本で競わせることも明言した。

【岡田彰布氏の眼】阪神の守備采配は不可解 選手にもファンにも失礼


 「中日5-2阪神」(26日、バンテリンドーム)

(中略)

 さらに七回には佐藤輝にプロ入り後、初めて二塁を守らせた。この時点で3点差。まだ逆転できる可能性は十分にあった。チームはCS進出の可能性も残している。この状況で4番にシーズンで未経験のポジションを守らせる采配には、全く意図が見えなかった。

 佐藤輝はオープン戦で一度守っているとはいえ、七回無死一塁で後藤の飛球は危なっかしい捕球だったし、八回2死一塁では3番の右打者・阿部の場面で、二盗のカバーに遊撃・中野が入ったり、試合に出られる準備をできていないことは明らかだった。

 この起用は守備軽視とか、そういう問題ではない。選手にもファンにも失礼ではないか。チームがバラバラになってしまうことが心配だし、ファンもお金を払って勝ち試合を期待して球場まで来て、佐藤輝のセカンドを見たいと思うだろうか。


赤星憲広

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(※当該発言は7:52~)

赤星憲広氏 大山&輝は守備位置固定を 主力の流動的なポジションが阪神V逸の一因


セ・リーグ 阪神2―3巨人 ( 2022年9月17日 東京D

 この1敗で優勝の可能性が完全消滅した。シーズンを通して波に乗りきれなかった要因の一つに、主力選手のポジションが流動的だったこともあると思う。特に打線の中心となる大山と佐藤輝の2人は固定した方がいい。佐藤輝が右翼なのか、三塁なのかは監督の考え次第だが、どちらかに決めた方が意識の持ち方も変わってくるし、打撃にも好影響を与えると思う。

 今年は一塁、三塁、右翼、左翼を守った大山もしかり。先発オーダーを組む上で多くのポジションを守れる方が助かるが、優先順位として、まず近本と大山、佐藤輝の3選手を軸にして、その後に他の選手や外国人選手を動かすべきだろう。


真弓明信

なぜ阪神マルテに守備固め?むしろ不安定/真弓明信(※2019年。会員向け記事)


ただ終盤の守備固めを見ていると、懸念を抱く。阪神は3点リードの8回表にマルテがベンチに下がり、糸原が二塁から三塁、大山が三塁から一塁に回った。これに何の意図があるのだろうか。

私は現役時代にサードもファーストも経験したが、そう簡単ではない。サードで見るのと球の出方が逆になるから、ものすごく見にくい。打球にしても、どちらもライン側に切れていくので、球の質も変わってくる。それは糸原にも言えることだ。今は無難にこなしているので、はっきりとしたエラーの形で出てこないが、今後は1歩遅れるとか逆をつかれるなど、記録に表れないプレーが出てくる可能性はある。何かトラブルが起こった時には、こちらの方が不安定になると思う。

【真弓明信】阪神ミラクル逆転Vへ緊急提言!カギは「佐藤輝の4番固定」と「適切な守備配置」(※会員向け記事)


もう1つポイントになるのが守備だろう。ここ数年は打力優先の選手起用が続く。慣れていないところを守らせるので、やらなくていい点を与えてしまう。打力と守備力、このバランスを考えて、1つ1つのポジションで誰が適任かを考えるべきだ。1点勝負の試合で、エラーで1点を失えば、投手力を生かせない。落ち着いてできるポジションで起用することが大事になる。後半戦では1点が勝負を大きく左右する。首位を追いかける立場としても、無駄な失点は避けたい。そうすれば、逆転優勝の可能性は高まるはずだ。




日本ハムにおける守備コロ

2022年、新庄剛志(BIGBOSS)が日本ハムの監督に就任。キャンプでの練習試合では各選手に本職ではないポジションを守らせたりガラポン抽選で打順を決めたりするなどで話題となった。
シーズン中も実験的な起用は行われた。外野手は左翼・中堅・右翼を流動的に守り、内野手登録の選手はほとんどが2ポジション以上を経験。他にも捕手である古川裕大、内野手である中島卓也石井一成などが外野手として起用された*4。同年の阪神同様、スタメンは(打順含め)無数のパターンが組まれており、試合中のシート変更も非常に多い。本職以外のポジションでは不慣れな動きをする選手も多く、無理な起用はするべきではないと批判の声も上がった。
また、内野手である野村佑希捕手へのコンバートを提案*5、投手である伊藤大海吉田輝星外野守備に就かせるといった奇抜な案も存在した。

2023年は一塁を主に守っていた清宮幸太郎が三塁起用される機会が増加。またその清宮が怪我で離脱した際には野村や右翼手である万波中正が一塁を守った。清宮復帰後は万波が右翼に固定されたが、野村に関しては一塁に加え左翼、さらには二塁と様々なポジションで起用されるようになった。
また細川凌平はバッテリーを除く全ポジションを経験し、第三捕手とする計画まで持ち上がっていた。6月にトレードで加入した捕手の郡司裕也も本職の捕手のほか一塁、二塁、左翼でも起用された。

2024年以降はユーティリティプレイヤー以外の守備コロは減少しつつあるものの、捕手登録の選手が依然さまざまなポジションで起用された*6ほか、2025年からは外野手のポジションも再び流動的になっている。
また、二軍では二遊間の選手が不足したこともあり*7、清宮や古川、さらに捕手の清水優心や外野手の江越大賀までもが二遊間で起用されることもあった。

ただし、「調子の波や身体の状態を考慮して柔軟なスタメンを組むことができる」という観点からDELTAにも評価されるなど、当初批判が多かった守備コロにも一定の成果が見られている。


日本ハムの主な選手の守備経験

選手登録(捕手→内野手→外野手)→背番号順。◯表記は一軍で守備経験あり。△は二軍で守備経験あり、あるいは練習報道あり。2025年時点でのデータ。

選手登録守備経験
捕手一塁二塁三塁遊撃左翼中堅右翼
A.マルティネス捕手
古川裕大捕手
郡司裕也捕手
野村佑希内野手
A.アルカンタラ*8内野手
中島卓也内野手
清宮幸太郎内野手
谷内亮太*9内野手
石井一成内野手
細川凌平内野手
浅間大基外野手


関連項目



Tag: 阪神 日本ハム


*1 ただしこれは一軍レギュラーレベルの選手の話であり、二軍レベル及び控えレベルの野手は出場機会の獲得のために複数ポジションを守れるようにしておくのは必須レベルとされており、このような立場の選手にそのような懸念をすると叩かれるタネとなる。
*2 正三塁手の大山が足を痛めて三塁に入りにくくなったのが主な原因だが、その大山は近年送球精度が悪化していたためいずれは一塁か左翼という構想があったとされる。ちなみに佐藤輝を三塁・右翼のどちらに専念させたほうが良いかは阪神ファンや評論家の間でも見解が真っ二つに分かれていた。
*3 一例として「二塁の糸原健斗を三塁へ、三塁の佐藤輝を右翼へ」など、「やるなら最初からそうやってくれ」という声が出るようなパターンも多くあった。
*4 中島は2014年に左翼守備についたことがあり、8年ぶりの外野守備となった(中堅と右翼は2022年が初)。石井の外野守備は2022年がキャリア初。
*5 野村はアマチュア時代を含めても捕手経験がない。なお一塁コンバートも提案されており、こちらは後述の通り実際に起用もされた。
*6 郡司は2024年こそ三塁を多く守ったものの、2025年は捕手の守備機会が大幅に増加した一方で一塁、三塁、左翼、中堅でも起用された。また、田宮裕涼の左翼守備も多く見られた。
*7 OP戦で結果を残した水野達希や中島卓也など二遊間の選手が軒並み一軍登録されたうえ、ユーティリティの若林晃弘が故障で長期離脱となった。
*8 2023年オフに退団。
*9 2023年限りで現役引退。