西村右往左往

Last-modified: 2023-01-15 (日) 17:08:58

元阪神・西村憲投手が経験した頻繁な守備位置移動のこと。

概要

西村は2010年から榎田大樹藤川球児に繋ぐセットアッパーとして活躍。阪神中継ぎ労働課(現在の「グヘ達」に相当するネタ)の一員であった。加えて元々野手だったこともあり、当時の阪神投手陣の中では高い野手能力を有していた。

2010年9月9日の対中日戦、10回裏の阪神の攻撃中にクレイグ・ブラゼルが審判に暴言を吐き退場。この回は無得点に終わり11回へ突入したため阪神はブラゼルの代役を立てる必要があったが、控え野手を使い切っていたため苦肉の策として投手としてベンチ入りしていた西村を右翼手として出場させる。登板中の藤川及び後続の福原忍の速球を引っ張るのは困難であろうとの判断から、相手が右打者の時は西村をレフトに、左打者の時はライトに就かせた。

西村は2イニングで1度も守備機会がなく、12回裏に打席が回るも一塁走者の新井貴浩盗塁失敗し、2-2の引き分けで試合終了。最終的に西村は「右左右左右」、西村と両翼の守備を分担して一緒に右往左往した平野恵一は「(二)右左右左右左」という守備位置変更の記録が残った。

本試合は野手を使い切ったために投手を野手として起用せざるを得なくなった事例であるが、原因はブラゼルの退場という不測の事態であり、守備位置の交代も西村の負担軽減のためなので、この采配に関する批判はほぼない。

また西村は翌年に代走としても起用されている


類似例

1974年8月18日 日本ハムVS近鉄

1974年8月18日 日本ハムVS近鉄
1人の投手が同一試合で勝利とセーブの両方を記録した」NPB唯一の例として知られる試合。
本年からNPBの投手記録にセーブが導入され、その定義が現在よりも緩かったために発生した珍事であった。

日本ハム先発の高橋直樹は近鉄打線を5回まで無得点に抑える。試合は2-0とリードしており高橋は勝利投手の権利を得ていた。
続く6回、2アウト一塁の場面で高橋が苦手とするクラレンス・ジョーンズ*1を迎えると、2ボール0ストライクとボール先行。打席途中で投手交代が告げられ中原勇にマウンドを譲る。ここで高橋はベンチに下がらず三塁の守備へ就く。中原も制球が定まらずジョーンズを歩かせ *22アウト一二塁。再度高橋がマウンドに上がり、次打者を打ち取って本イニングを終わらせた。
以降も高橋は9回まで投げ切り2-1で勝利*3。勝利投手に加え、当時のセーブ条件を満たした*4ためセーブも記録された。

本試合がきっかけとなりセーブ条件が見直され、翌年より必須条件に「勝利投手でない」が加わった*5。したがって今後はルール改正が行われない限り同様の記録が達成されることはない。

1976年6月26日 近鉄VS阪急

1976年6月26日 近鉄VS阪急
8回に外野手を使い切ったため、裏から投手の柳田豊*6(元西鉄/太平洋→近鉄)を中堅手として起用し急場を凌いだ。

2016年4月24日 パイレーツVSダイヤモンドバックス

2016年4月24日 パイレーツVSダイヤモンドバックス
12回表に2点を勝ち越された裏の攻撃でダイヤモンドバックスはタイラー・クリッパード(投手)の代打に投手のザック・グレインキー*7を送り、安打を放つと代走に投手のシェルビー・ミラーを送る。本采配が功を奏し同点に追いつくもサヨナラには至らず13回へ突入。
代走のミラーはレフトの守備に就いたが、同回にパイレーツの代打・ジョン・ニース(投手)がレフト前に決勝打を放ち勝利という幕切れとなった。

2017年8月16日 ヤンキースVSメッツ

2017年8月16日 ヤンキースVSメッツ
メッツは試合前にホセ・レイエス、ウィルマー・フローレスの両内野手が負傷。急遽捕手のダーノーを内野で起用する必要に迫られたため、二三遊を守れるアズドルバル・カブレラと1試合まるごと相手打者の左右に合わせて守備位置を入れ替え続けた。結果的にカブレラは「(二)三二三二三二三二三二三二三二三二三」、ダーノーは「(三)二三二三二三二三二三二三二三二三二」の守備位置変更記録が残った。

2018年ワールドシリーズ第3戦 レッドソックスVSドジャース

2018年ワールドシリーズ第3戦 レッドソックスVSドジャース
延長10回裏、レッドソックスは表の攻撃でJ.D.マルティネス(外野手、この時点で左右左右の守備位置変更を経ていた)の代走で出場したイアン・キンズラーが本職の二塁に入り、元々二塁を守っていたブロック・ホルトが経験の乏しい外野に就く。ホルトの負担軽減のため、残った外野のムーキー・ベッツとジャッキー・ブラッドリーJr.が度重なる守備位置変更を行った。

試合は延長18回、試合時間7時間20分を越える大激闘の末ドジャースがサヨナラ勝利。
ベッツは「右中右中右中右」、ブラッドリーは「中左中左中左中」、ホルトは「二左右左」が記録された。

2019年8月2日 フィリーズVSホワイトソックス

2019年8月2日 フィリーズVSホワイトソックス
延長14回表、救援投手を使い切ったフィリーズはセンターの守備に就いていたロマン・クイン(本職は外野手)をマウンドに上げ、同時に前の攻撃で代走出場していた投手のビンス・ベラスケスをレフトの守備に就かせる。
ベラスケスは14回表のピンチで本塁への好送球でランナーを刺したり15回表にライナーを好捕したりと本職の野手顔負けの活躍を見せる。同回の二死一二塁のピンチでまたもやベラスケスの前にヒット性打球が飛び、再度の好返球も空しく本塁セーフ。決勝点となりフィリーズは敗戦した。

ベラスケスはMLB公式戦にてホームランを打ったこともあり、本職の投手としても痛烈なピッチャー返しを右腕に受けた際にボールを左投げで送球して打者走者を刺すなど器用な一面を見せている。

ヤクルト二軍

  • 2015年
    所属選手の故障多発により緊急昇格が続出したことで、二軍が深刻な選手不足に陥る。打撃投手兼スコアラーの阿部健太(元近鉄→阪神→ヤクルト)*8が育成契約で現役復帰。二軍戦で外野手として出場した際には(調整登板の)内海哲也(当時巨人)からタイムリーを放っている。投手としての登板機会はなかった。
  • 2021年
    シーズン序盤、新型コロナウイルスの影響による一軍選手の大量離脱に伴い二軍の選手が大量に昇格。4月1日の日本ハム戦で投手の鈴木裕太が外野手として出場する事態となった。

(参考)2018年6月13日 カブスVSブルワーズ

(参考)2018年6月13日 カブスVSブルワーズ
野手を使い切ったものではないため参考。
0-1とカブスの1点ビハインドで迎えた8回裏、マウンドには右腕のシーシェックが上がる。しかし先頭打者アルシアに内野安打を許し、ブルワーズは左の代打テームズを送った。

カブスは投手を左腕ダンシングにスイッチすると、マウンドのシーシェックをベンチに下げずレフトに回す。空振り三振で1アウト。

続く右打者ケインを迎えると再びシーシェックをマウンドに上げ、ダンシングをレフトに回す。内野ゴロで2アウト。

さらに続く左打者イエリッチを迎えると再びダンシングをマウンドに上げ、レフトのシーシェックに代わり捕手のコントレラスを守備に就かせる。打球はレフトフライとなり、コントレラスが捕球してイニングは終了した。

勝利には繋がらなかったものの、打者の左右に応じて投手を交代させる采配はかつて故・野村克也氏が阪神監督時代に行った「遠山・葛西スペシャル」に類似しており、メジャー屈指の名将であるマドン監督が行ったこともあって大きな話題を呼んだ*9


関連項目



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*1 当シーズンの対戦成績は本試合直前時点で8打数2安打(いずれも本塁打)。
*2 記録上は高橋の四球。
*3 1失点は9回裏、再度のジョーンズとの対戦でソロ本塁打を浴びたもの
*4 「勝利チームの最後の投手として登板」「1/3イニング以上の投球回」「同点・逆転を許さず試合を終了させる」の必須条件に加え、追加で最低一つ満たせば良い任意の条件のうち「登板時に3点差以内かつ1イニング以上投げる」「3イニング以上投げ、リードを守る」に該当
*5 当基準を本試合に適用すると高橋の記録は勝利投手のみとなる。
*6 柳田悠岐(ソフトバンク)の父の従兄弟。
*7 2009年にサイ・ヤング賞を獲得するなど投手としての実力もさる事ながら野手としてのセンスも高く、2度のシルバースラッガーおよび6年連続でゴールドグラブを獲得している。
*8 西村右往左往当時は阪神中継ぎ労働課の一員だった。
*9 スペンサー・パットン(元DeNA)もカブス時代、マドン監督のもとで2016年に投手→左翼手→投手を経験しており、その試合で勝利投手になっている。