西村右往左往

Last-modified: 2021-10-08 (金) 11:25:04

元阪神タイガース・西村憲投手がNPB時代に経験した頻繁な守備位置移動のこと。

概要

西村は2010年から榎田大樹(現西武)や藤川球児に繋ぐセットアッパーとして活躍し阪神中継ぎ労働課*1の一員だった。元々野手だったこともあり当時の阪神投手陣の中では高い野手能力を持っていた。

2010年9月9日の対中日ドラゴンズ戦、10回裏の攻撃中にクレイグ・ブラゼルが審判に暴言を吐き退場。控え野手がもう残っていない阪神は苦肉の策として、西村を右翼手として出場させる。その後にマウンドに上がった藤川球児と福原忍の速球を引っ張るのは困難であろうとの判断から、相手が右打者の時は西村をレフトに、左打者の時はライトに就かせた。
最終的に、公式記録上での西村は「右左右左右」、西村出場時にレフトだった平野恵一は「(二)右左右左右左」という守備位置変更の記録が残った。

 

なお西村は2イニングで守備機会は1度もなく、12回裏の打席は一塁走者の新井貴浩盗塁失敗、2-2の引き分けで試合は終了した。
野手を使い切ったせいで投手を野手として起用せざるを得なくなった場面なのだが、原因はブラゼルが審判への暴言で退場したという不測の事態であり、守備位置の交代も西村の負担軽減のためなので、この采配に関する批判はほぼない。
 
また翌年は代走で起用されている。


類似の事例

1976年の近鉄

1976年の近鉄
6月26日の阪急ブレーブスとの前期13回戦で外野手を使いきってしまったため、8回裏から投手の柳田豊(元西鉄/太平洋→近鉄)を中堅手として起用して急場を凌いだ。ちなみに柳田豊は柳田悠岐(ソフトバンク)の父の従兄弟である。

2016年のダイヤモンドバックスVSパイレーツ

2016年のダイヤモンドバックスVSパイレーツ
2016年4月24日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス対ピッツバーグ・パイレーツ戦は、12回表にパイレーツが2点を勝ち越す。
そして12回裏の攻撃でニック・アーメドが暴言を吐き退場、野手を使い切ったダイヤモンドバックスは投手のザック・グレインキーを代打に送り、安打を放つと代走に投手のシェルビー・ミラーを送る。同点になったところで12回裏の攻撃は終了。
代走のミラーはレフトの守備に投入したが、13回表にパイレーツの代打・ジョン・ニース(投手)がレフト前に決勝打を放ち勝利という幕切れとなった。

2017年のヤンキースVSメッツ

2017年のヤンキースVSメッツ
2017年8月17日にはMLBのヤンキース対メッツ戦にて、メッツのアズドルバル・カブレラとトラビス・ダーノーが頻繁に守備位置を入れ替えた。試合前にホセ・レイエス、ウィルマー・フローレスの両内野手が負傷したことにより捕手であるダーノーを内野で起用しなければならなくなったためで、しかも1試合まるごと相手打者の左右に合わせて守備位置を入れ替え続けた結果、カブレラは「(二)三二三二三二三二三二三二三二三二三」、ダーノーは「(三)二三二三二三二三二三二三二三二三二」と西村以上の守備位置変更の記録が残った。

2018年のワールドシリーズ

2018年のワールドシリーズ
2018年のワールドシリーズ第3戦では延長18回、試合時間7時間20分を越える大激闘
レッドソックスはスタメンのJ.D.マルティネスの段階でシフト変更を何度も行っていたが、マルティネスの代走に送ったイアン・キンズラーがセカンドに入り、セカンドのブロック・ホルトが外野に回ったこともあり、ムーキー・ベッツとジャッキー・ブラッドリー・ジュニアは守備位置変更を6回行った。
ベッツは「右中右中右中右」、ブラッドリーは「中左中左中左中」、マルティネスは「左右左右」、ホルトは「二左右左」と守備位置を変更し続けた。

2019年のフィリーズVSホワイトソックス

2019年のフィリーズVSホワイトソックス
2019年8月2日のフィリーズ対ホワイトソックス戦では延長14回表、救援投手を使い切ったフィリーズはセンターの守備に就いていたロマン・クインをマウンドに上げ、同時に前の攻撃で代走出場していた本来は先発投手のビンス・ベラスケスをレフトの守備に入れる。そのベラスケスは14回表のピンチの場面で本塁への好送球でランナーを刺したり、15回表には捕球確率15%のライナーを好捕したりと本職の野手顔負けの活躍を見せるも、結局クインが延長15回に二死一二塁のピンチで左前打を浴び、ベラスケスの好返球も空しく本塁セーフとなり敗戦投手となった。
余談だがベラスケスは右投両打の選手でMLB公式戦にてホームランを打ったこともあり、本職の投手としても痛烈なピッチャー返しを右腕に受けた際にはボールを左投げで送球して打者走者を刺すなど器用な一面を見せている。

ヤクルト二軍

  • 2015年
    2015年のヤクルトは所属選手の故障多発により二軍までもが深刻な選手不足に陥ったため、打撃投手兼スコアラーの阿部健太(元近鉄→阪神→ヤクルト)*2が育成契約で現役復帰。二軍戦で外野手として出場した際には巨人・内海哲也(現西武)からタイムリーを放っている。なお契約は延長されず、投手としての登板機会はなかった。
     
    なお近年では阿部の事例に限らず他球団でも怪我人続出で二軍戦の開催が危ぶまれる事が増えており、チームスタッフを育成選手として契約して二軍戦に出場させる事例が増えている*3
  • 2021年
    シーズン序盤、新型コロナウイルスの影響により一軍の選手が大量離脱。それにより二軍の選手が大量に昇格した結果、4月1日の日本ハム戦では投手の鈴木裕太が外野手として出場することになった。

おまけ

おまけ
また野手を使い切ったことによるものではないが、2018年6月13日のカブス対ブルワーズ戦でも類似の事例が起こっている。
0-1、カブスの1点ビハインドで迎えた8回表、マウンドには右腕シーシェックが上がる。しかし先頭打者アルシア*4に内野安打を許し、ブルワーズは左の代打テームズを送った。
ここでカブスの監督ジョー・マドンが動く。まず左腕ダンシングにスイッチすると、レフトのシュワーバーをベンチに下げ、マウンドのシーシェックをレフトに回した。ダンシングがテームズを打ち取り、続く右打者ケインを迎えると、マドン監督は再びシーシェックをマウンドに上げ、ダンシングをレフトに回す。シーシェックがケインを打ち取り、続く左打者イエリッチを迎えると再びダンシングをマウンドに上げ、今度はシーシェックをベンチに下げ、捕手のコントレラスをレフトの守備につかせる
イエリッチの打球はレフトへのフライとなり、コントレラスがそれを捕球してイニングは終了した。
結局勝利には繋がらなかったものの、かつての野村監督の行った「遠山・葛西スペシャル」*5に類似したこの采配をメジャー屈指の名将でもあるマドン監督が行ったことは大きな話題を呼んだ*6


関連項目

  • 鳴尾浜量産型投手
  • グヘ達
  • 代打三ツ間…こちらも控え野手がいなくなったため、投手が打席に立たざるを得なかった件。
  • 投手増田…こちらは野手が投手として登板した件。
  • 急造捕手…こちらは捕手ではない控え選手が捕手として出場した件。稀にアマチュア時代も含めて捕手経験の無い選手が出場することもある。
  • TDN…西村のBC富山時代のコーチ

関連リンク



Tag: 阪神


*1 現在の「グヘ達」の前身。当時の課長は渡辺亮。
*2 西村右往左往の頃はまだ阪神中継ぎ労働課の一員だった。
*3 チーム内で数が少ない捕手が足りなくなるケースが多く、阿部以外の事例は全てブルペン捕手を育成契約して現役復帰させている。
*4 兄は元日本ハムのオズワルド・アルシア。
*5 左の遠山昭治(奬志)、右の葛西稔を打者に応じて投手、一塁手とを往復させた采配。
*6 スペンサー・パットン(元DeNA)もカブス時代の2016年、投手→左翼手→投手を経験しており、その試合で勝利投手になっている。