5位力

Last-modified: 2025-12-12 (金) 01:30:53

2000年代前後の広島東洋カープのペナントレース順位が高確率で5位に収束していたことを「語彙力」に掛けて揶揄した言葉。
本項では中日ドラゴンズのものについても解説する。


広島東洋カープの5位力

広島東洋カープは創設経緯から慢性的に資金力に乏しく、2000年代においてもドラフトの逆指名・自由獲得枠およびFAで有力選手をほとんど獲得できず、逆にFAで主力選手の流出が相次いだ。
これを受けて戦力が低下してしまった広島は1998年から2012年の間に15年連続Bクラスを記録。本期間中の5位は11回/15回(73%)であった。
この時期の広島の戦力では何度最下位になってもおかしくなかったが、2001年までの阪神、そして2002年以降の横浜という鉄壁の万年最下位チームの存在があったために5位を脱出しても翌年は必ず5位に戻るという状態に陥っていた。
後述の通りリーグ黎明期にも5位力を発揮したことがあるため、2023年時点で広島はセ・リーグで5位になった回数が最も多い球団となっている。

2012年の暗黒終焉後は2013年に初のCS進出を決め、その後2016年から2018年に緒方孝市監督のもとセ・リーグ3連覇という快挙を成し遂げた。しかし2019年にCS進出を逃してからはまたしても低迷に陥り、やはり最下位だけは記録していないがBクラス入りが連続している*1

また、この時期の広島を代表例とする「最下位にだけはあまりならないが、最下位回避によってかえってチーム改革が進まず安定してBクラス入りを続ける」という状況は広島型暗黒と呼ばれ、後述の中日が近似的な該当例として挙げられる。
対照的に、たまに順位が跳ね上がることがあるものの基本的に最下位を爆走するタイプの状況は1987年~2001年の阪神や2002年~2015年の横浜になぞらえ阪神・横浜型暗黒と呼ばれる。

 
監督試合勝利敗北引分勝率順位最下位備考
1997三村敏之13566690.4893中日20世紀最後のAクラス。5位は阪神。
199813560750.4445阪神
1999達川晃豊*2
(達川光男)
13557780.4225阪神
200013665701.4815阪神
2001山本浩二14068657.5114阪神勝利数で順位を決定するというこの年限りの特別ルールのため、
幻のAクラス入り*3となった。5位は中日。
200214064724.4715横浜
200314067712.4865横浜
200413860771.4385横浜ゲーム差無しの勝率9毛2糸(0.0092)差で5位入り*5
200514658844.4086広島暗黒期間中唯一にして12年ぶりの最下位。5位は巨人。この年の横浜は3位。
なお、交流戦を除いて計算した場合は広島が5位*6
2006マーティ・
ブラウン
14662795.4405横浜
200714460822.4235ヤクルトこの年の横浜は4位。
200814469705.4964横浜5位はヤクルト。
200914465754.4645横浜
2010野村謙二郎14458842.4085横浜
201114460768.4415横浜
2012144617112.4624DeNA5位は阪神。
201314469723.4893ヤクルト16年ぶりのAクラス*7。5位はDeNA。


中日ドラゴンズの5位力

広島と入れ替わるように、2013年からは前年まで4回のリーグ優勝を含めて11年連続でAクラス入りしていた中日ドラゴンズが不調に陥り、2015年以降の7年間で5度の5位になるなど5位力を受け継いだ。

内容としては、

  • 慢性的な資金不足の広島とは異なり、主な原因は黄金期以降の世代交代の失敗*8、それの補強を図ったドラフトの失敗、フロントの内部対立*9など親会社の中日新聞社が組織として抱えている問題が大きい。
  • 阪神→横浜という鉄壁の最下位チームが存在した以前の広島とは違い、2013年からの10年間で最下位になったチームが固定されておらず、最下位を経験したヤクルト*10、阪神*11、DeNA*12はいずれも2020年代に何かしらの大きな成功を収めている。
  • 2013年以降でAクラスはわずか1回、しかも唯一のAクラスだった2020年はCS中止*13
  • ライデル・マルティネスをはじめとした多くのタイトルホルダー功労者CSにすら出られず中日から退団、あるいは現役引退となる*14
  • 低迷が長引きすぎたことでネタにされる
  • 上述の広島はセ・リーグ三連覇で5位力からの脱出を果たしたが、中日は立浪政権下で666(トリプルシックス)と称されるセ・リーグ逆三連覇(3年連続最下位)で5位力から(ある意味)脱出。

というものであり、広島以上に悲惨だと揶揄されることも少なくない。

 
監督試合勝利敗北引分勝率順位最下位備考
2012高木守道144755316.5862DeNA2025年シーズン終了時点で最後のCS出場5位は阪神
201314464773.4544ヤクルト12年ぶりのBクラス。5位はDeNA。
2014谷繫元信14467734.4794ヤクルト5位はDeNA。
201514362774.4465DeNA14年ぶりの5位。
2016谷繫元信
→森繁和
14358823.4146中日19年ぶりの最下位。5位はヤクルト。
2017森繁和14359795.4285ヤクルト
201814363782.4475阪神終盤で10ゲーム差をひっくり返して5位入りした。
2019与田剛14368732.4825ヤクルト
202012060555.5223ヤクルト8年ぶりのAクラス。5位は広島セ・リーグのみCS中止
2021143557117.4375DeNA最終戦で勝利して5位入り。
2022立浪和義14366752.4686中日6年ぶりの最下位。5位は広島。中日とは僅か0.5ゲーム差。
202314356825.4066中日チーム最終戦を5位で終えるも、最後に順位が入れ替わって球団史上初の2年連続の最下位
5位はヤクルトで、中日とはゲーム差なしの勝率1厘差
202414360758.4446中日引き分け以上で最下位を回避できる最終戦に敗れ、2年連続で最後に順位が入れ替わり3年連続の最下位。
5位はまたしてもヤクルトで、中日とはゲーム差なしの勝率2厘差
2025井上一樹14363782.4474ヤクルト11年ぶりの4位。5位は広島


元祖5位力・広島カープ

広島の「5位力」が謳われるようになったのは近年だが、実は「広島カープ」と名乗っていた*15頃も1956年~62年の7年間で6度の5位、さらに1965年も5位となり、10年間で7度の5位を経験している。
この7回の5位の内最下位になったのは大洋(現DeNA)と国鉄・サンケイ(現ヤクルト)と、ある意味後の時代を予言しているとも言えなくもない結果であった*16

勝利敗北引分勝率順位最下位備考
195558702.4534大洋5位・国鉄とは1ゲーム差。
195645823.3545大洋史上初の5位。前年までは3年連続4位だった。
195754751.4155大洋大洋とは0.5ゲーム差で5位。
195854688.4435大洋
195959647.4805大洋
196062617.5044国鉄球団史上初の勝率5割超え。
196158675.4645大洋4位・阪神とは1ゲーム差。
196256744.4315国鉄
196358802.4206広島11年ぶりの最下位、5位は大洋。
196464733.4674中日5位は国鉄。
196559774.4345サンケイ
196654736.4384サンケイ5位は大洋。



関連項目


*1 2019年から2025年の間でAクラス入りしたのは2位だった2023年のみ。5位は2020年、2022年、2025年に3度記録。
*2 1998~2000年の登録名。名前の読みは「みつお」で同じ
*3 広島は勝率3位だが、勝率4位の横浜に勝ち数で劣る(広島68勝、横浜69勝)。
*4 この試合唯一の安打を放ったのは、シーズン初安打の福地寿樹
*5 横浜とのシーズン最終戦は吉見祐治9回2死まで無安打と打線が沈黙*4、完封負けし自力での5位が消滅したが、横浜が残り試合で広島の勝率を上回れなかった。
*6 代わりに最下位になるのは巨人
*7 CS出場も初。
*8 長らく二遊間をこなしていた荒木雅博と井端弘和を始め、高木政権以降は主力の高齢化が進んでいたが代わりになる選手が伸び悩んだ。また、12年のオフに助っ人外国人が軒並み退団し、戦力減が顕著だった。
*9 中日新聞社は内部が小山派=名古屋新聞系と大島派=新愛知系に分裂しており、小山派のオーナー連れてきた監督大島派が引きずり下ろしたことや、その後大島派が呼んだ監督の低迷、小山派の落合GM体制の失敗など内部対立が混迷する背景に存在している。
*10 2013年以降で6度の最下位(2013年、14年、17年、19年、20年、25年)と3度のリーグ優勝(2015年、21年、22年。このうち2021年は日本一)を経験している。
*11 2018年に最下位。ただし、2013年以降のBクラス入りは4位の2016年と最下位の2018年のみで、令和に入ってからはAクラスから陥落したことがない。2023年、25年にリーグ優勝。このうち2023年は日本一。
*12 2015年、2021年に最下位。しかし暗黒期を脱した2016年以降はBクラスは4位の2018年・2020年、最下位の2021年の3回のみ。2013年以降リーグ優勝は達成できていないが、2024年に下克上勝ちで日本一を達成
*13 2020年は3位となったものの、コロナ禍の影響で開幕が遅れて交流戦、オールスターとセ・リーグのCSが設定されなかった短縮シーズン(120試合制)であり、日本シリーズはセ・リーグ優勝チームである巨人の無条件進出というルールになっていた。
*14 2025年現在、生え抜きでCS出場経験がある選手は大島洋平と大野雄大の2名のみ。
*15 1968年に「広島東洋カープ」に改名。
*16 ただしこの頃は戦前から続く名門である巨人・阪神・中日がAクラス常連であり、残りの1950年の新規加入組である国鉄→サンケイ・広島・大洋がBクラスの順位を争うことが多く、特に巨人とは歴然とした戦力差があった。と言うか巨人・阪神・中日が全てBクラスになったのは2025年現在でも1997年の一度だけである。