ケルト神話【けるとしんわ】
Celtic Mythology
- マビノギ世界の原型となっている神話。
- マビノギの世界観はノアの大洪水後に後に
アイルランドに侵攻した5つの種族の物語「侵略の書」から強い影響を受けている。
- ケルト人は古代ローマ人からはガリアと呼ばれヨーロッパ中を支配していた民族の総称である。
- しかし彼らは文字を持たず口承で物語を保持していったので、
現在残っているものは大陸から離れローマやゲルマン人に征服されなかった島々、
アイルランドとブリテンなどのケルト人から聞いたものを
文字を持つ民族が書き残して記録したものがほとんどである。- のちに彼らもまたノルマン人による侵攻を受けるが
- また正確には「文字を持っていなかった」訳ではなく、伝承に当たる知識を継承するに当たって「文字に起さなかった」というのが正しい。
(伝承に値する知識はそれを文字に書き起こした時点で価値が失われる、というような考え方があった為)
- なのでその影響を受けた、島国エリンを侵略する物語が一般にいうケルト神話として知られている。
- こうして見ると、案外マビノギはこのベースに沿って世界を構築している。現在実装されているものとされていないものを並べてみると、次に何が起こるのかを予測できるかも…?
- ケルトとは血族的な繋がりではなく共通した文化を持った諸民族をまとめた概念である。マビノギの題材はケルトの中でもブリテン島の「島のケルト」と呼ばれる民族の物であるが、こうした島のケルトは「大陸のケルト」とは文化的な繋がりが薄いため、近年のイギリスの歴史学会ではケルトとは見做さないとする意見が主流派である。
ダーナ神族の物語
「侵略の書」
- 第一の種族以前にヴァン族は東方の地の大災害から逃れてアイルランドを訪れたがノアの大洪水で全滅。
その生き残りの5000年生きた男フィンタン(ティンのモデル)は様々な動物に転生し、
後の人々に昔の出来事を語り続けたという。それが「侵略の書」である。- ちなみにこの100年後に後述のフォモール族がエリンに住み着くというのが定説であるが、実はヴァン族~フォモール族の間の歴史については諸説ある。
そのうちの一説を挙げると、洪水から150年ほど後にアドナ(Adna)という名の若い冒険家がエリンを訪れたという。しかしながら周辺を探索しても何も見つからなかったため、彼は島に生えていた草を一握り抜いて持って帰り、故郷のひとびとに見せたのだとか。そんなのを見せられた方も困りそうだが - 余談だが彼については「ニネヴェのニヌスの血縁者で、ビーハ(Bith)の息子」と記されている。
とある人物の所持しているものにその綴りが見られるが、ということはつまり…?
- ちなみにこの100年後に後述のフォモール族がエリンに住み着くというのが定説であるが、実はヴァン族~フォモール族の間の歴史については諸説ある。
- アイルランドの先住民は巨人族フォモール(Formorians/Fomors)。
ポウォールのモデルである。首領はバロール(バロル)。
脚無しキッホルを首領とする説もある。- ヌアザが片腕を切断されたことで王権を喪失したことを考えると、片目や足なしが権力者の座につけるフォモールはバリアフリー精神盛んな民族である。
- 第一の種族はパーホロン族(Partholons)。アイルランドに農業と手工業を残す。
パルホロン族のモデル。疫病(ペストとの説あり)で死滅。その生き残りであるトゥアンという男はフィンタン同様様々な動物に転生し、パルホロン族の話を後世に語り継いだとされる。
- 第二の種族はネヴェズ(Nemeds)。ネミディアともいう。ネベド族のモデル。
彼らもまたフォモールの疫病で全滅。一部はフォモールに隷属し、残りは西と北へ逃れる。
- 第三の種族はフィルボルグ(Fir Bolg)。ピルボル族のモデル。
西方へ逃れた第二の種族ネヴェズの子孫。
マ・トゥーラの第一次合戦(第一次モイトゥラ戦争)で第四の種族トゥアハ・デ・ダナンに敗北しアラン諸島へ追放される。別の説によるとコノハト地方とも。
- 第四の種族はトゥアハ・デ・ダナン(Tuatha De Danann)。
北方へ逃げた第二の種族ネヴェズの子孫。
マ・トゥーラの第二次合戦(第二次モイトゥラ戦争)でフォモール族に勝利を治める。
敗北したフォモールは「喜びの島」と呼ばれる海底の死者の国マグ・メル(Mag Mell)に移住した。
ミレシアンに敗北し「常若の国」と呼ばれる地下の国ティル・ナ・ノーグ(Tir Nan Og)へと逃れ、その姿を妖精ディーナ・シーに変えたという。
ちなみに「トゥアハ(トゥーハ)」とは日本語で「小(さな)王国」という意味。ダーナ(ダヌ)の小王国、といったところか。
- 第五の種族はミレー族(Milesians)。ミレシアン。
冒険に出した先遣隊が第四の種族トゥアハ・デ・ダナン惨殺されたことに怒り、アイルランドに侵攻する。
ティルタウンの平原での決戦に勝利したミレシアンはこの島をエリンと呼んだ……。
ミレシアンの項目にもあるとおり、今で言うスペイン人達の祖先にあたる人々。(なのだがかなり後世になってから、ケルトの口伝を文字に残すにあたって付け加えられた創作だったりする)
アルスター伝説
- ミレー族(ミレシアン)がエリンの支配者となった後の物語。
- 光(太陽)の神ルーの息子クー・フーリンを中心にして物語が展開される。
マビノギのバックグラウンドの設定をダーナ神族の物語に、ゲームとしてのメインストリームはこのあたりをモデルにしている。将来的にはこの後の時代が題材になることもあるのだろうか。
フィアナ伝説
ウェールズ神話
- アイルランド(エリン)のおとなりブリテン島は西部、ウェールズの吟遊詩人の間で語り継がれてきた物語
- 時代的にはクーフーリンとフィアナ騎士団の間にあたる
アーサー王の物語
- アーサー王と彼に仕える十二人の円卓の騎士が登場する。かの有名な大魔法使いマーリンが登場するのもこれ。
- アーサー王が湖の精にもらった剣カリバーンが登場する。
- 英仏英と何度も翻訳した結果、一般にこの剣はエクスカリバー(Excalibur)として知られるようになったらしい。
長くなるので詳しくは外部サイト参照。 - 石に刺さった選帝の剣と同一視されることもある。
- 英仏英と何度も翻訳した結果、一般にこの剣はエクスカリバー(Excalibur)として知られるようになったらしい。
- アーサー王が湖の精にもらった剣カリバーンが登場する。
- なお、ダーナ、アルスター、フィアナ、及びウェールズの神話と違い、アーサー王伝説は聖パトリックがもたらしたキリスト教にケルト人達が改宗するにあたって、その信仰を定着させるために土着の英雄を創作した。その結果、後世までアーサー王伝説がケルト神話の一部として確立するに至った背景がある。
アリアンロッドの物語
- 女神アリアンロッドとその双子の息子の物語
参考文献など
参考文献:
ケルト人の神話
西洋ファンタジー用語ナナメ読み辞典『ケルト神話』
ショートショートタイム『ケルト神話を斜め読み』
Caelo Et Inferno
魔法使いになるために『すっごくネタバレなお話(ネタバレ度 高)』
外部リンク:
WikiPedia.ja:ケルト神話
WikiPedia.ja:アイルランド
WikiPedia.ja:ノアの大洪水
アーサー王の剣とは~エクスカリバーの起源