モンタナ級戦艦とは、アメリカ海軍の戦艦の艦級。アメリカ海軍が最後に建造した戦艦のクラスで日本の大和型戦艦に匹敵する排水量を誇り、船体も大型化したことでパナマ運河を通航できない初のアメリカ海軍艦となった。日本の防諜策によって行われた戦艦群の建造を誤認し、これら存在しない日本の新型戦艦に対抗するために建造されたものの、新パナマ運河完成前に日本軍により破壊されたことで太平洋戦線へ参加することはなかった。同型艦は5隻。
概要
計画推移
アメリカが1937年4月に、ワシントン海軍軍縮条約の条約破棄を通告し、1939年5月に第2次ロンドン海軍軍縮条約から脱退した際のアメリカ海軍内では拡大計画の中で日本の新型戦艦に対抗するために太平洋艦隊に新型の戦艦群を建造して対応するとともに、大西洋においては旧式戦艦と空母を合わせた部隊によって対抗することになった。この両方の戦艦計画のなかで建造されたのがサウスダコタ級戦艦、アイオワ級戦艦、モンタナ級戦艦である。これらは、両艦隊に配備し、空母部隊による制空権の確保のために建造中であったエセックス級航空母艦と合わせた運用が決まっていた。この中で、アイオワ級は金剛型をモンタナ級は長門型を意識した設計となる。
設計
設計思想
元々モンタナ級戦艦の役割としては日本の新型戦艦を撃破するための戦艦である。その中で元となった対抗相手が長門型戦艦である。これは、長門型戦艦において確実な性能差が生まれるように設計されているとされる。そのなかで、モンタナ級は対41cm防御を施し、主砲では超重量弾を使用すれば一方的に攻撃し、ダメージを与えることができる。また、速力は長門型よりも2ノット早く、そのようなところからも長門型戦艦を意識していたと考えられる。また、日本海軍が白鳳型航空母艦建造の際に提出された架空の戦艦4隻は、41cm砲10門で27ノットとされており、これら戦艦の建造をアメリカ海軍情報局が入手したことも、モンタナ級戦艦の建造に踏みきった要因といえる。そして、その日本の架空戦艦にたいして性能優位であることもアメリカ海軍としては非常に都合がよかったのだろう。
性能諸元
要目
基準排水量:63,200t 満載排水量:71,000t
全長:281.94m 水線長:271.272m 全幅:36.779m 水線幅:36.932m 喫水:11.244 m
主機:蒸気タービン4基4軸 出力:172,000馬力 速力:28.0ノット
兵装
主砲:Mk.7 16インチ50口径3連装砲×4基12門
両用砲:Mk.16 5インチ54口径連装砲×10基20門
対空機関砲:40mm4連装機関砲×26基104門、20mm機関砲×88門 (単装×48基、連装20基)