白鳳型航空母艦とは、大日本帝国海軍の航空母艦の艦級。日本の装甲空母の3クラス中の艦級の最終クラスである。
第二次世界戦中に建造された空母としては最大級の大きさを誇り、搭載機数・対空兵装・防御力においてはトップクラスの性能を持っている。
同型艦は3隻。基本計画番号:G14
概要
白鳳型航空母艦は、1939年に策定した④計画にて建造された、大型装甲空母である。
装甲空母の欠点である搭載機数の少なさを大型化することで解決することを試みた艦で、排水量4万7000tはミッドウェー級航空母艦の建造までは同規模の空母は存在しなかった。また、3隻が建造されたことで第2次世界大戦中期以降の空母機動部隊の中核を担い、大戦の勝利に大きく貢献した。
特徴
対空兵装
高角砲
白鳳型の設計・竣工時の高角砲は、瑞鳳型とは違い旧来の八九式12.7cm連装高角砲を10基搭載している。
理由としては、八九式12.7cm連装高角砲と同規格の後継砲である試製12.7cm高角砲(後の一式12.7cm高角砲)が完成した後に搭載することを予定していたからである。しかし、一式12.7cm連装高角砲は予定よりも圧倒的に過大重量であったために搭載が見送られ、一時期は九八式10cm連装高角砲にする案が存在したものの、工期短縮に伴って従来の設計で建造された。そして、全艦竣工した4ヶ月後の1943年9月に三式12.7cm連装高角砲が完成し、順次換装されていった。
昇降機(エレベーター)
第1,3昇降機
第2昇降機
白鳳型の第2昇降機には、瑞鳳型から採用されたアウトデッキ型エレベーターが採用され、艦中央左舷の幅10.5m×長さ16.0mで積載重量7.8tのエレベーターである。
このエレベーターは、第1格納庫にのみ繋がっており、主に帰還した航空機の収納と戦闘機又は爆撃機の飛行甲板までの運搬を行う。そして、第2昇降機が通ずる第1格納庫の部分には2重の波避け用シャッターがある。これらは、すぐに開閉することができ、格納庫内で発生した爆風を逃す役目も果たす。
防御
飛行甲板
白鳳型の飛行甲板装甲は、前級の瑞鳳型や大鳳と比べて大きくとられており、飛行甲板の後部17mから飛行甲板先端までのびる。その長さは275.2mで幅は30mにも及び格納庫全体を守った。装甲には、他の日本装甲空母と同じく75mmCNC鋼と20mmDS鋼を重ね貼りしたものを使用し、これらは500kg爆弾の急降下爆撃にも耐えるものとなっていた。
エレベーター
装甲空母の弱点でもあるエレベーターの装甲は、第1,3エレベーターは85mmNVNC鋼と12mmDS鋼で形成され前級よりも格段に防御力が向上し、飛行甲板装甲よりも強固となっている。また、第2エレベーターは25mmHT鋼と12mmDS鋼のみと軽装甲となっているが、軽量化を図ってのことである。
性能諸元
要目
基準排水量:47,100t 公試排水量:53,900t 満載排水量:63,700t
全長:285.6m 水線長:274.8m 最大幅:42.2m 水線幅:36.5m
ボイラー:ロ号艦本式缶 12基 主機:艦本式タービン 4基 出力:240,000馬力 速力:33.0ノット スクリュープロペラ:4軸 4枚プロペラ 直径5m 220rpm
航続距離:12,000海里/18ノット 燃料:重油 10,840トン
深さ:23.8m 吃水:満載時10.88m
航空機運用能力
飛行甲板
長さ282.4m×幅34.8m
昇降機
前部昇降機:幅15.0m×長さ14.0m [積載重量10.5t]
中部左舷昇降機:幅10.5m×長さ16.0m [積載重量7.8.t]
後部昇降機:幅16.0m×長さ14.0m [積載重量10.0t]
格納庫
第1格納庫:長さ200.2m×幅28.2m×高さ5.2m (5645.64㎡)
第2格納庫:長さ200.2m×幅27.5m×高さ5m (5505.5㎡)
合計:㎡
搭載機数
竣工時
烈風×36機、彗星×24機、流星×36機、彩雲×8機
合計:104機
ミッドウェー海戦時
烈風×24機、陣風改×24機、流星×48機、彩雲×10機
合計:106機
ハワイ沖海戦時
烈風×24機、陣風改×24機、惑星×32機、流星×16機、彩雲×10機
合計:106機
第2次北太平洋海戦
旋風×44機、陣風改×12機、惑星×36機、流星16機、彩雲×10機
合計:108機
最終時
旋風×36機、烈風×24機、陣風改×24機、惑星×48機、巻雲×3機、彩雲×4機
合計:139機
搭載能力
航空機燃料:1,370t
航空機用弾薬:1,980t
陸用/通常爆弾
800kg:224個
500kg:224個
250kg:448個
60kg:137個
魚雷:96本
ロケット爆弾
60kg:288発
30kg:352発
10kg:600発
装甲
飛行甲板:75mmCNC+20mmDS 前部・後部エレベーター85mmNVNC+12mmDS 中部エレベーター:25mmHT+12mmDS
第1甲板(第1格納庫床):30mmNVNC+25mmDS 弾薬庫:65mmHT 機関室甲板:52mmNVNC
兵装
竣工時
89式12.7cm連装高角砲 10基 40mm連装機関砲 11基 25mm3連装機銃 18基 同単装機銃 18基
最終時
3式12.7cm連装高角砲 10基 40mm4連装機関砲16基 40mm連装機関砲6基 25mm単装機銃 60基 12cm30連装噴進砲 6基
無線装備
21号電探2基 13号電探2基
同型艦
艦番 | 艦名 | 仮称艦番号 | 造船所 | 起工 | 進水 | 竣工 | 除籍 | 最期 |
1番艦 | 白鳳 (はくほう) | 第118号艦 | 横須賀海軍工廠 | 1939年 8月17日 | 1942年 1月18日 | 1943年 4月21日 | 1971年 7月23日 | 記念艦 |
2番艦 | 翔鳳? (しょうほう) | 第119号艦 | 呉海軍工廠 | 1939年 11月10日 | 1942年 2月3日 | 1943年 4月29日 | 1970年 3月11日 | 解体 |
3番艦 | 龍鳳? (りゅうほう) | 第120号艦 | 大神海軍工廠 | 1940年 3月12日 | 1942年 4月14日 | 1943年 5月27日 | 1971年 7月23日 | 記念艦 |
4番艦 | 仮称第805号艦 | 計画中止 | ||||||
5番艦 | 仮称第806号艦 | |||||||
6番艦 | 仮称第807号艦 |
比較表
日本装甲空母の比較
白鳳型 | 瑞鳳型 | 大鳳 | ||
---|---|---|---|---|
船 体 | 基準排水量 | 47,100t | 31,600t | 29,300t |
満載排水量 | 63,700t | 38,200t | 36,800t | |
全長 | 285.6m | 261.5m | 260.6m | |
最大幅 | 42.9m | 36.0m | 27.7m | |
飛行甲板 | 長さ282.4m × 幅34.8m | 長さ261.5m × 幅30.0m | 長さ257.5m × 幅30.0m | |
機 関 | 主缶 | ロ号艦本式缶×12基 | ロ号艦本式缶×8基 | |
出力 | 240,000馬力 | 160,000馬力 | ||
速力 | 33.4kt | 33.0kt | 33.3kt | |
兵 装 | 高角砲 | 八九式12.7cm連装高角砲×10基 | 九八式10cm連装高角砲×8基 | 八九式12.7cm連装高角砲×8基 |
対空機銃 | 40mm連装機関砲×15基 | 40mm連装機関砲×6基 | 25mm3連装機銃×20基 | |
25mm3連装機銃×14基 | 25mm3連装機銃×22基 | |||
25mm単装機銃×32基 | 25mm単装機銃×13基 | |||
搭 載 機 | 戦闘機 | 烈風×42機 | 機 | 機 |
爆撃機 | 彗星×36機 | 機 | 機 | |
攻撃機 | 天山×24機 | 機 | 機 | |
偵察機 | 二式艦偵×4機 | 機 | 機 | |
電 装 | 探索電探 | 22号電探×1基 | 21号電探×2基 | 21号電探×2基 |
23号電探×2基 | 13号電探×1基 | - | ||
射撃指揮装置 | 三式高射装置×4基 | 一式高射装置×4基 | 九四式高射装置×4基 | |
三式機銃射撃装置?×10基 | 一式機銃射撃装置×10基 | 九九式機銃射撃装置×8基 | ||
同型艦数 | 3隻 | 2隻 | 1隻 |