邪孔新話異譚 ネオ・フォークロア

Last-modified: 2024-01-07 (日) 21:42:27

あらすじ

カルデアに鳴り響いた特異点発生のアラート。呼び集められたマスターたちは、各々の思いでその特異点を「解決」することを望む。
レプティリアンというフォークロアの脅威を討ち倒すべく、異常な熱帯雨林を形成する爬虫類人類を生み出した黒幕を打倒するべく、カルデアのマスターとサーヴァントたちはレイシフトする。
しかして、その地でカルデア一行が目にしたのは。
無力に逃げ惑うレプティリアンと、その打倒という"縛り"を与えられて動く抑止に呼ばれた"架空神話"のサーヴァントと。

「お願いです。どうか、彼らを守って」

そんなレプティリアンを守ってほしいと願う、凍えるような紅瞳の少女だった。

人類とレプティリアンは分かり合えない。
人と神は分かり合えない。
人と人さえ分かり合えない。
おびただしい外観の差を見て。
通じない言葉を聞いて。
話しかけることができなければ、理解はできなくて。
果たして、それでものたまえるのか。
私とあなたは、同じだと。

──これは新しく譚られる、新時代の異端なる神話である。

 

邪孔新話異譚 ネオ・フォークロア
見る、聞く、話す。それら邪なるものの一切を、捨てよ。

00076-3590506301_2.png

ログ

準備中
 

SS

はっとくよ
 

参加者

モーリー・チャンスマンアヴェンジャー/ジャン・ジオノ / ヘンリー・ダーガー?
真瀬芽子ランサー/ニムロド
楊 欣怡?ライダー /アッシュールバニパル
鳴々・ロードフェルト?ライダー/チャールズ・ダーウィン〔オルタ〕?

 

NPC

ポール・バニヤン?(原作)
少女?
大嵐のライダー / ペコス・ビル?
鉄槌のランサー / ジョン・ヘンリー
ジャージーデビルⅠ / ジャージーデビルⅡ?
支配のアルターエゴ / セシル・ローズ?
黒幕?

顛末

ポール・バニヤン、ペコス・ビル、ジョン・ヘンリー、アメリカの"架空神話"とでもいうべき民話によるサーヴァントたちが、アメリカに蔓延るレプティリアンに襲いかかる。
しかしカルデア一行は少女を信じ、レプティリアンを守ることを決意する。
言葉が通じないこと、何も聞いてもらえないこと、何も見えないことは、理解できない理由にはならないと、切に訴える少女を信じて。

しかし、勢力はそれだけではなかった。
レプティリアン、それを倒すサーヴァント、どちらでもなく、「アメリカではなかったはずのこの大地を守るため」この地に由来して召喚された二対のネイティブアメリカンの守護神、キチアトハシスとウィーウイルメック。
その守護の力は強固であり、神による世界の断裂を再現したニムロドの宝具でも二人の守護を破ることはできなかった。
ボロボロになりながらも攻撃を受け止め、今度こそこの大地を守るのだ、今度こそ私たちの信仰を無くさせないためなのだ、そう語るキチアトハシスたち。
そこにあるのは、かつて守るべき大地を守れなかった後悔と。
祭られるべき神話を失って、孤独になった寂しい神の姿だった。
──だから、「自身が不幸だからこそ」、幸せに気づいていないその姿は、鳴々・ロードフェルトにはひどく腹立たしく、

「あんたたち、そもそも一人じゃないじゃない」
「隣にいる相手の顔を見て、もういっぺんお互いに孤独だって吐いてみなさいよ」

そう、理解してやれたのだ。

二柱とも和解し、いよいよこの地を「解決」しようとするサーヴァントの総本山に向かうカルデア一行。
そこに待っていたのは、レプティリアンどころか他人種すべてを見下し差別する、支配のアルターエゴ/セシル・ローズだった。
彼はすべてを罵倒しながらも、冷徹にこの特異点の「元凶」を指摘する。
そもそもレプティリアンが生まれたのは、この特異点が現れたのは、今までずっと行動を共にしていた少女──「降臨者」のサーヴァント、ヘレン・ケラーの召喚が原因であると。
所謂黒幕は、ずっとお前たちのそばで裏切りを働いていたのだと、決裂のための言葉を浴びせる。
しかし聞かない。怯まない。なぜならとっくに彼女の怪しさなど、「理解」していたからだ。見ればおかしい。聞けばおかしい。話していたって、違和感がある。
だけど、彼女は敵ではない。そう結論付けたカルデア一行は、セシルに戦いを挑む。
対するセシルは抑止に呼ばれアルターエゴとなって霊基を歪ませることで手に入れた力、「邪縛」により、その力を分け与えた架空神話のサーヴァントたちを呼び寄せ、その能力をコピーする。
しかしそんな差別主義を肯定する思想とされたことさえ乗り越えたダーウィンの宝具によって、討たれたのであった。

アルターエゴとしての霊基が崩壊したセシルは、ヘレンによってその消滅を食い止められる。そして正気に戻り、「本当にしたかったこと」を語りはじめる。
この特異点を解決するべく力が必要だったこと。
そのために植民地の神々を取り込んで歪んでしまったこと。
それ以上に歪んだものが、この特異点には存在すること。
セシルの歪みがなくなったことによって、邪なる孔が開く。
空間が歪み、赤に染まり、混沌が降臨する。
その"蛇神"を一目見て──全員が理解した。
あの存在は、理の外。
外宇宙の先触れであり、理解できないことを理解した。
ただ一人、

「──やっと、会えた」

生前その存在と縁を結び、互いにこの特異点のトリガーとなった、ヘレン・ケラーを除いては。
ヘレンの願いとは、蛇神との対話。そのために特異点はあり、そのために蛇神の影響を受けたレプティリアンは敵ではないと知っていた。なぜなら自分自身も、同じくその存在に触れているのだから。
それが領域外にある理由は、ただ一つ。
理解できないなら、理解できるようになればいい。
そうしてヘレンは、自らの宝具への協力を願い出る。
手を繋ぎ、心を繋ぎ、すべてを繋ぎ、理解する。
カルデア一行は恐るべき蛇神の前で輪を作り、その宝具──人類神話を見た。
そうして、蛇神との対話を始める。理解できないものは触れるだけで傷つき、話すことさえ叶わないけれど。
ヘレンの宝具により蛇神とさえ心を繋いだカルデア一行は、ようやく理解した。
その蛇神の与える爬虫類人類への変容は、救済のため。
蛇神もまた、人を理解できなかっただけなのだと。
理解できなかったから、理解されないやり方しか取れなかったのだと。
そんな対話を、ヘレンと蛇神は交わした。

そうして、特異点は消えていく。関わった全員でもう一度手を繋ぎ、同じになって消えていく。
今度こそ、レプティリアンさえ理解できる。
これはそういう神話で、異端であり。
やはり新話で、異譚なのだ。
めでたし、めでたし。