ゴダイ

Last-modified: 2024-04-24 (水) 23:59:04

【キャラ一覧( 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN / LUMINOUS )】【マップ一覧( SUN / LUMINOUS )】


e2922aae2f91ed48.png
Illustrator:夢ノ内


名前ゴダイ
年齢3歳
職業大学生アルバイター

絵本作家を夢見るワニの青年。
忙しくも楽しい日々を過ごしていたが…

ストーリーには漫画「100日後に死ぬワニ」のパロディが見受けられる。

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1ジャッジメント【LMN】×5
5×1
10×5
20×1


ジャッジメント【LMN】 [JUDGE]

  • 高い上昇率の代わりに、強制終了のリスクを負うスキル。オーバージャッジ【LMN】と比べて、上昇率-20%の代わりにMISS許容+10回となっている。
  • 初期値からゲージ7本が可能。
  • GRADE100を超えると、上昇率増加が鈍化(+0.3%→+0.2%)する。
  • LUMINOUS初回プレイ時に入手できるスキルシードは、SUN PLUSまでに入手したスキルシードの数に応じて変化する(推定最大100個(GRADE101))。
  • スキルシードは200個以上入手できるが、GRADE200で上昇率増加が打ち止めとなる。
    効果
    ゲージ上昇UP (???.??%)
    MISS判定20回で強制終了
    GRADE上昇率
    ▼ゲージ7本可能(190%)
    1215.00%
    2215.30%
    3215.60%
    ▼ゲージ8本可能(220%)
    18220.10%
    101244.90%
    ▲SUN PLUS引継ぎ上限
    102245.10%
    200~264.70%
    推定データ
    n
    (1~100)
    214.70%
    +(n x 0.30%)
    シード+10.30%
    シード+51.50%
    n
    (101~200)
    224.70%
    +(n x 0.20%)
    シード+1+0.20%
    シード+5+1.00%
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

開始時期所有キャラ数最大GRADE上昇率
2023/12/14時点
LUMINOUS2
~SUN+343259.70%
所有キャラ

所有キャラ

  • CHUNITHMマップで入手できるキャラクター
    Verマップエリア
    (マス数)
    累計*1
    (短縮)
    キャラクター
    LUMINOUSep.Ⅰ4
    (155マス)
    320マス
    (-マス)
    Android_type_Cleaner-
    2145
    ※1
    ep.Ⅱ1
    (55マス)
    55マス
    (-マス)
    ゴダイ
    ※1:初期状態ではエリア1以外が全てロックされている。
  • ゲキチュウマイマップで入手できるキャラクター
    バージョンマップキャラクター
    LUMINOUSオンゲキ
    Chapter4
    桜井 春菜
    /ひと夏の思い出?

ランクテーブル

12345
スキルスキル
678910
スキル
1112131415
スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 3ヶ月後の未来「3ヶ月なんてまだまだ先だし、気にしなくても大丈夫だよね!」


 僕の名前はゴダイ。
 どこにでもいるような大学生で今は本屋さんでアルバイトをしてるんだ。
 なんで本屋さんで働いてるのかって?
 それはいつか絵本作家になりたいからさ。
 毎日、たくさんの本に囲まれているとアイディアが溢れてくるんだ。

 「おい、ゴダイ。ヒマか」
 「チュウベエじゃん。ヒマじゃないよ、バイト中なんだから」
 「知ってる」
 「知ってたかー」
 「でさ、これなんだけど見てよ」
 「ん? なになに?」

 チュウベエが見せてきたのは僕がSNSに上げていたイラストだった。

 「あっ、僕のだ。どうどう上手く描けてるでしょ」
 「上手いのは知ってる。俺が言いたいのはイラストしか上げてないこと。セリフもなにもないじゃん」
 「え? イラストだからセリフはないよ」
 「だから、絵本作家を目指してるなら物語があるものを上げなって」
 「え、ええっと……そうだ! ねえねえ、チュウベエ知ってるかな。有名な占い師の話!」
 「またそうやって話を逸らす。……で、どんな話なの?」
 「興味津々じゃーん!」
 「いいから話せって」
 「よく来てくれてるウサギのお客さんから聞いた話なんだけど、この近くになんでもバシッと未来を当てちゃう占い師がいるらしいよ」
 「でも占いだろ。予言じゃないんだからさ」
 「えー、興味ない?」
 「ううん、めっちゃ興味ある」
 「じゃあバイト終わったら一緒に行こう!」
 「まあ、ヒマだったから付き合ってやるか。時間つぶしてくるよ」

 バイトが終わったあと。
 僕はチュウベエと合流して話に聞いた占い師さんのところへと来ていた。

 「ここ? マジ?」
 「うん、そうだよ!」

 占い師がいるという占いの館の前に来ているがチュウベエはあまりいい顔をしてない。

 「ちょっとボロっちいけど、こういうところこそスゴい人がいそうじゃない?」
 「わかる」
 「よし、行ってみよう!」

 僕とチュウベエが中に入る。
 そこにはテーブルの上に乗った水晶とその奥におばあさんの占い師が座っていた。

 「……なにを占ってほしいんだい」

 フードを被っているがなんとなくおばあさんがロバだってことはわかった。
 僕がなにを占ってもらおうか迷っているとチュウベエが先に椅子に座ってしまう。

 「ねえ、俺って金持ちになれる?」
 「なるほど、見てみようかね……」

 そう言うと占い師さんは水晶に手をかざしてなにかぶつぶつと言い始めた。
 しばらくして、占い師さんが手を引っ込めるとぽつぽつと話し始める。

 「あんたは金持ちにはなれないね。でもね、わりといい暮らしは送れそうだよ」
 「マジか、ラッキー。金に困らなきゃそれでいいや」
 「次、僕の番!」

 チュウベエと入れ代わりで椅子に座ると僕はどうしても聞いてみたかったことを尋ねる。

 「僕、将来絵本作家になりたいんです。なれそうですか?」
 「お前の努力次第じゃね?」
 「チュウベエに聞いてないよー!」
 「それはそう」
 「はいはい、ちょっと待っておくれよ」

 先ほどと同じように占い師さんが水晶に手をかざす。
 結果を楽しみに待っていたけど、なかなか占いが終わらなかった。

 「ねえ、占い師さん。もしかして、絵本作家になれなさそう?」
 「……おかしいねえ」
 「なにが?」
 「あんたの未来を見ようとしてるんだけどね。見えないんだよ」
 「どういうこと?」
 「私も初めてのことだよ。100……いや3ヶ月先の未来が見えないんだ」
 「めっちゃ具体的じゃん。3ヶ月先になんかあんのかな」
 「うーん、特に予定はないけどね」
 「お前は今週の予定だってほとんど決まってないだろ」
 「確かに!」

 なんて僕たちが笑っている向こうでは占い師さんは黙ったまま、水晶と向き合っていた。

 「私から言えることは3ヶ月後に気をつけろということだけだよ……」
 「なにが起こるかわからない?」
 「見えないんだよ、なぜか……」
 「しゃあないか。いこうぜ、ゴダイ」
 「うん。ありがとう、おばあさん!」

 僕とチュウベエは占いの館を出る。
 このとき、占いのことなんて特に気にしてなかった。
 気にしても仕方ないし、それに――

 「やっぱ占いなんて当てにならないな」
 「だね!」


EPISODE2 いつもの日常「ウサギくんと仲良くなりたいけど、どうすればいいんだろ?」


 占いの次の日。
 僕はいつものように本屋でバイトをしながら、本を読んでいた。
 すると、そこへチュウベエがやってくる。

 「よう、ヒマか?」
 「ヒマじゃないよ。見たらわかるでしょ、手が離せないんだから。で、なにしに来たの?」
 「お前を見に来たんだよ」
 「え、なにそれ」
 「占いのこと気にしてんじゃないかって。どう、なんかあった?」
 「ううん、なにもないよ」
 「だよな、知ってた」
 「知ってたんだ」
 「ま、3ヶ月なんてまだまだ先だし、なにが起こるかわからない占いなんて信じてても仕方ないからな」
 「そうだね!」

 そんな話をしていると店のドアが開いてお客さんが入ってくる。
 それは昨日、占い師のことを教えてくれたウサギくんだった。

 「あっ、ウサギくん。昨日、教えてもらった占い師のところ行ってきたよ」
 「……どうだった?」
 「よくわからなかった!」
 「そう……」

 それだけ言うとウサギくんは本を手にとって読み始めた。
 もっと別の答えを期待してたのかな。

 「で、バイト終わったら、どこいくよ?」
 「ゲーセン行こうよ、ゲーセン!」
 「いいね、またボコす」
 「たまには手加減してよー」
 「無理無理。ゲームは真剣勝負が基本だろ」
 「それな!」
 「じゃあ、明日行くか」
 「オッケー! あっ、そうだ! ねえ、ウサギくんも一緒に遊びに行かない?」
 「……え?」

 僕が急に話を振ったせいかな、ちょっと反応が遅れてた。
 焦った様子で困った顔をするウサギくん。

 「バカ」
 「あいて!」

 なぜかいきなりチュウベエに頭をコツンと軽く叩かれてしまう。

 「急に知らないやつから誘われたらそりゃ困るって」
 「でも、店でたまに話すんだから遊びに誘ってもいいじゃんか」
 「……ごめんなさい」

 そう言いながらウサギくんは頭を下げて、店を出ていってしまった。

 「あー、行っちゃった……」
 「そりゃそうだ。お前はもっと相手との距離を考えろ」
 「でも、同じふうに誘ってチュウベエとは友達になったじゃない」
 「それな、俺の優しさに感謝しろよ」
 「アハハ、それな!」

 そのあともチュウベエと他愛のない話をしながら今日のバイトは終わった。
 明日、きっとウサギくんは店に来るだろうし、そのときに謝ろう。


EPISODE3 ご近所付き合い「パンタさんに協力してもらったおかげで美味しそうな絵が描けたよ!」


 今日はバイトがお休み。
 僕はちょっと街を見て回ろうと思って散歩をしていた。
 実はチュウベエに言われたことがちょっとだけ気になっていたんだ。
 絵本作家になりたいなら、なにか行動をしなきゃダメだよね。

 「絵本のネタになりそうなものってなにかあるかなー」

 出てきたはいいけど、特に行き先も決めてない。
 なにか書きたいものができたら書こうかなー、っていう感じ。

 「ん? クンクン、この匂いは……パンだ!」

 お腹が減る匂いに誘われて、パンタパンタさんのパン屋さん『West&East』へやってきた。

 「ゴダイくん、いらっしゃい!」
 「こんにちは!」
 「今日もパン買っていく? どれも焼きたてだから美味しいよ!」
 「ええっと、どうしようかな……あっ!違う違う、今日は買い物に来たんじゃなかった!」
 「どういうこと?」

 僕はパンタさんに、絵本に使えそうな絵になる場所を探していることを伝えた。
 すると――

 「だったら、うちなんてどうかな。絵本にパン屋さんっていいと思わない?」
 「確かに!」

 パンタさんに協力してもらって僕はパン屋さんの絵を描くことを決めた。
 あとはどういう絵にするかだけど。

 「あっ! ウサギくんだ!」
 「ど、どうも……」

 絵を描こうとしたとき、ちょうど店に入ってきたウサギくんに駆け寄る。

 「この前はごめんね、驚かせちゃって」
 「いや、別に。気にしてないから……」
 「そっか、よかった!」
 「ゴダイくんとトサキくんは知り合いだったんだね」
 「知り合いってわけじゃ。よくいく本屋で会うだけですから」
 「へえ、トサキって名前なんだね。僕はゴダイ、よろしく!」
 「よ、よろしく……」
 「そうだ、トサキくん。ゴダイくんが店の絵を描きたいって言うんだけど、キミも協力してくれないかな。ちょうどお客さんが少ない時間だし、モデルになってくれるかな?」
 「え、ボクが?」
 「手伝ってくれたら、パンサービスするよ!」
 「僕からもお願い! ちゃんと上手に描くから!」
 「……わかりました。それに、ここのパンは美味しいですし」
 「やったー、ありがとう!」
 「で、でも、早めに終わらせて」

 僕はトサキくんとパン屋さんをスケッチブックに描いていく。
 そこへ他のお客さんも入ってきてお店の中は賑やかになっていった。
 その様子をどんどん絵に描いていく。
 どんどんパンタさんや、お客さんの笑顔でいっぱいになっていく。

 「やっぱり人の笑顔ってあったかいよね。僕もそんな絵本が描けるかな」

 まだうまく作れるかわからないけど、心があったまるような、人が笑顔になれる。
 そんな絵本を作っていきたいな。


EPISODE4 大人の働くひと「やっぱり警察の人ってかっこいいよね。絶対、絵本に登場させたいな!」


 今日は大学終わりでバイトもないからチュウベエと寄り道しようと一緒に帰っている。
 どこに行くかは決めてない。

 「行くところ決めてないとか終わってる」
 「じゃあ解散?」
 「ないな、適当になんか食いに行こ」
 「それアリ」

 なんて話をしながら歩いていると、急にチュウベエがスマホを僕に見せてきた。

 「お前のイラスト、バズってね?」
 「そうそう! たくさんの人に見てもらえてるんだ、すごいでしょ!」
 「マジすごい」

 ここ最近、僕が描いたイラストの閲覧数が伸びてきていた。
 まだ絵の中にセリフは入れてないけど、イラストと一緒にコメントを添えて投稿してる。

 「こういうのでいいんだよ」
 「めっちゃ褒めてくれて嬉しいよ!」
 「褒めてるけど、めっちゃではない。でも、絵本作家になる道はできてきたんじゃね」

 なんて笑いながら話していると、ちょうど交差点に着いた。

 「交差点は事故が起こりやすい場所だ。信号が青でも左右の確認は忘れないように」
 「はーい!」

 声がするほうを見てみると、ペンデラ警部が子どもたちに交通ルールを教えているところだった。

 「ペンデラさん大変そうだな」
 「お前も教えてもらったらいいじゃないか」
 「……思いついた! 確かスケッチブックは……あった!」

 僕はスケッチブックを取り出して、ペンデラさんのところへと駆け出す。

 「あっ、おい!」
 「ペンデラさん、こんにちは!」
 「ゴダイと、チュウベエか。今忙しいんだ、あとにしてくれないか」
 「ちょっとお願いがあって、絵を描きたいからモデルになってください!」
 「モデルだと?」

 僕はペンデラさんに絵本のためにいろいろな絵を描いていることを話す。

 「いいじゃないか、絵本。交通ルールを教えるのにいい教材になるかもな」
 「ありがとうございます!」
 「おいおい、遊びに行くんじゃなかったのか」
 「あっ! ごめん!」
 「謝るなって、焚き付けたのは俺だし。でも、後悔するなよ」
 「なにが?」
 「俺、ゲームむっちゃ強くなってるから」
 「うん、楽しみにしてる!」
 「じゃあ、俺は先に帰る。あんまり遅くなるなよ」
 「うん!」

 ペンデラさんと子どもたちの絵を描きながら、僕はこの絵がどういう物語になるかを頭の中で考えていた。
 交通ルールを教えられて、見てて楽しい。
 そういう絵にしていきたいな。

 「よし、できた!」

 辺りがすっかり暗くなってきた頃、やっと僕の絵が描き終わった。

 「終わったのか」
 「ありがとうございます、ペンデラさん。遅くまで付き合わせちゃって」
 「いいよ、子どもたちは帰したし、俺も今日は忙しくないからな。帰るなら送ってってやるけど、どうする?」
 「大丈夫、ひとりで帰れるよ。子どもじゃないんだから!」
 「そうか、ならいい。まあ、大人でも事故るときは事故るから。十分に気をつけて帰るんだぞ」
 「はーい!」

 僕はペンデラさんに挨拶をしてひとり、急いで家路に着く。

 「こんなに遅くなっちゃうなんて。早く帰ってごはんごはん!」

 横断歩道の前で信号が変わるのを待つ。
 急いでるけど、交通ルールの絵本を描くんだからちゃんと守っていかないと。
 青に変わると同時に僕は横断歩道をわたる。
 走り出した次の瞬間――

 「えっ……!?」

 車が僕の目の前に来ていた。
 まるでビデオを一時停止したみたいに世界が止まって見える。
 このとき、僕はせっかく描いた絵をチュウベエに見せられないのは残念だな、と考えていた。
 ――そして、僕の身体は宙へと飛んだ。


EPISODE5 事故「ペンデラさんのおかげで助かったけど、事故には気をつけないとダメだね」


 ――真っ暗な世界。
 目を開けてるのか、閉じてるのかもわからなかった。
 身体の感覚がない。
 でも、どこからか音だけが聞こえてくる。

 「おい、ゴダイ。なんで、なんでなんだよ!」

 チュウベエの声だ。
 どうして、そんなに悲しそうなんだろう。
 そうだ、僕の絵を見せるんだった。
 起き上がろうとするができなくて、手を伸ばそうとするけど、辺りを探ろうとしてもできない。

 「すまない、俺が彼を家まで送っていれば……」
 「ゴダイくん、本当になんで……!」

 ペンデラさんの声だ。
 でも、もうひとりは誰の声だろう。
 聞いたことがあるような。

 ――なんだろう、これ。
 なにか夢でも見てるような、別の自分を見ているような不思議な感覚だった。

 「おい、ゴダイ。なにやってんだよ」

 パシッと頭を叩かれたような気がしてはっと目が覚める。

 「え、あれ? チュウベエ?」
 「チュウベエ、じゃない。お前、事故に遭ったって聞いたのに呑気に寝てんじゃないって」
 「あ、ああ!」

 僕は病院のベッドで横になっていた。
 そうだった、病院に運ばれてそこで検査してて――

 「本当にケガ無いのか?」
 「うん、平気!」
 「まったく、ビビらせるなよ。本当に心配したんだからな」
 「ごめんごめん」
 「ゴダイは悪くない。お前が最後まで話を聞かないからだろ」

 そう言いながら入ってきたのはペンデラさんだった。

 「ちゃんと俺はゴダイにケガはないって言おうとしたら、電話を切ったんだろ」
 「そ、それは……」

 どういうやり取りがあったのか知らないけど珍しく今回はチュウベエが早とちりしたみたい。

 「友達思いなのはいいけどな」
 「はい……」
 「大丈夫だよ、チュウベエ。僕って見た通りすっごく頑丈だからさ。ちょっとやそっとじゃ死なないよ!」

 チュウベエが心配そうな顔をしているので僕は元気だとアピールするためにガッツポーズをしてみせる。

 「確かに」
 「そうそう」
 「でもまあ、今回は運がよかったぞ。たまたま俺がお前のあとを追ったから助けられたけど」

 その通りだった。
 僕がどうして車にひかれずに済んだのかというと直前でペンデラさんが助けてくれたからだ。

 「颯爽と現れて助けに入るなんて、まるでヒーローみたいでした!」
 「……ああ、そうだな」
 「なにか気になることでもあるんですか?」
 「いや、偶然もあるもんだなと思ってな。今日、あの交差点は事故が多いから見回ってほしいって言われてたんだよ」
 「へえ、そうなんだ」
 「それでお前がその問題の交差点へ向かったから気になって追っかけたら事故場面に遭遇したわけだ」

 そういう偶然もあるんだな。
 おかげで僕は助かったから、やっぱり今年は運がいいのかもしれない。

 「そういや、あのウサギも見舞いに来てたのか」
 「ウサギって、トサキくん? ううん、病室には来てないと思うけど、どうして?」
 「いや、そこで会ったからさ。てっきり、お前の見舞いに来てるもんだと思ったけど」
 「うーん、他の用事じゃないかな?僕がここにいること言ってないし」
 「そっか。これも偶然ってやつか」

 そのあと、ペンデラさんに改めてお礼を言ってチュウベエと遅くまで他愛のない話をしていた。

 「そういや、そろそろ春だな。花見どうする?」
 「行くに決まってんじゃん!」
 「ホントそれな」

 こうやってくだらない話ができるのも助けてくれたペンデラさんのおかげだな。
 でも、あの変な夢はなんだったんだろう。


EPISODE6 繰り返される世界「何度でも、何度でも繰り返してやる。キミを救うためなら、ボクは……!」


 ――満開になった桜が並ぶ遊歩道。
 その花びらが道路に舞い落ちて、きれいな絨毯ができていた。

 「ダメだった……」

 道路に転がっていたスマホを手に取る。
 そこに映っていたのは、楽しそうに連絡を取り合っている会話履歴だった。

 今どこにいるんだ?
 ちょうど向かってるところ
 遅い
 それな
 なあ、これ見てみ

 そのメッセージのあとに貼られていたのは一枚の桜の写真だった。

 イケてね?

 そのメッセージを最後にやり取りが途切れている。
 正確には未送信のメッセージが残っていた。

 「ここまで来たのに……」

 これで助けられる。そう思っていた。
 運命の3ヶ月を乗り切れたと思っていたのに。
 どうしていつも最後はこうなってしまうんだ。

 「待ってて、必ず助ける。キミは初めてできた友達だから……」

 ――そして、時はまた逆行する。
 目の前に広がるのはあったかもしれない世界。

 「おい、ゴダイ。なんで、なんでなんだよ!」
 「すまない、俺が彼を家まで送っていれば……」
 「ゴダイくん、本当になんで……!」

 ゴダイくんの前で泣き崩れているチュウベエくんをペンデラさんがなだめている。
 そして、その隣にはボクがいた。

 ――どんどんときが戻っていく。
 次に見えてきたのはパンタパンタさんのパン屋さん『West&East』だった。

 「ねえ、トサキがモデルになって!」
 「ボクでよければ協力するよ。その代わり、かっこよく描いてよね!」
 「任せなって!」

 パン屋の中でボクをモデルにしながら、ゴダイくんが絵を描き始める。

 ――どれもボクが乗り越えてきた過去。

 「ゲーセン行こうよ、ゲーセン!」
 「いいね、またボコす」
 「たまには手加減してよー」
 「無理無理。ゲームは真剣勝負が基本だろ」
 「それな!」
 「じゃあ、明日行くか」
 「オッケー! あっ、そうだ! ねえ、ウサギくんも一緒に遊びに行かない?」
 「……え?」
 「おい、急に誘ったりしたら――」
 「あ、あのボクも一緒に遊びたい!」
 「うん、遊ぼう!」

 本当に楽しい日々だった。
 一緒にゲームしたり、どんな絵本にしようか話したりたくさん遊んだな。

 ――いつもここに戻ってくるんだ。
 ボクとゴダイくんが初めて出会った日。

 「今度こそ……」

 ボクは時間が経ってボロボロになっている絵本を強く握りしめる。
 必ず運命を変えてみせる。
 そのためなら、何十回でも何百回でもやり直すんだ。
 そして、ボクは店のドアを開けた。

 「いらっしゃいませー。お、新しいお客さんだ。ゆっくりしていってねー」
 「……どうも」


EPISODE7 お花見「みんなとお花見するの楽しみだな!トサキくんも来てくれるよね」


 だんだんと暖かくなってきたころ。
 道を歩いていると咲き始めている桜が目についた。

 「もう桜の季節かー」

 なんてことを思っているとチュウベエからスマホに連絡が入った。
 メッセージを見ると満開の予想日が出たからその日に花見をしよう、だって。

 「いいね!」

 僕もノリノリで行こうとすぐに返信して他の人もたくさん呼ぼうと提案した。

 いいじゃん、とチュウベエから返事が来て誰を誘おうかという話になる。
 パンタさんやペンデラさん、最近、お世話になった人たちの名前があがった。

 「あっ、そうだ!」

 僕はもうひとり、どうしても誘いたい相手がいるとチュウベエに伝える。
 するとすぐに誰かわかった、と返ってきた。

 「さすがだね!」

 もしかしたら、断られるかもしれないけど誘わなきゃなにも始まらないからね。
 とりあえず、店に来てくれたら話をしてみよう。

 「そうだ、せっかくだし花見の日までに絵本を完成させよう!」

 チュウベエに言われた日からずっと描き貯めてきた絵も十分ある。
 きっとこれなら素敵な絵本を作れるはず。
 どうだ、絵本完成させたんだぞ、って見せたらきっとチュウベエも驚くだろうな。
 ネタも練ってるから、今から取りかかれば絶対に間に合う。

 「あっ……でも、主人公決まってなかった……」

 そこではっと僕は重要なことが決まってないことに気づいた。
 一番重要なところがなにも決まってない。
 どうしよう、本当に間に合うのかな。

 「……そうだ! いい相手がいるじゃんか!」

 僕は主人公に相応しい相手がいる場所へと駆け出した。
 モデルになってもらうし、一応、本人の了解はもらっといたほうがいいよね。
 僕は本屋のドアを開く。
 そこにいたのはトサキくんだった。

 「あっ、いた!」
 「な、なに!?」
 「ねえ、僕の絵本の主人公になってよ!」


EPISODE8 3ヶ月後の未来で「みんなと一緒に見る桜は本当にキレイだった。また来年も来られるといいな!」


 ――迎えた花見当日。

 「やった、完成した!」

 僕はできたばかりの絵本をまじまじと見返す。
 主人公であるウサギが笑顔で飛び跳ねている姿が表紙を飾っている。
 このモデルはもちろんトサキくんだ。
 自分でも満足できる最高の出来だと思う。
 達成感に包まれていると、スマホになにか連絡が入ってきた。

 「あれ、なんだろ?」

 スマホを確認するとそれはチュウベエからでまだ来ないのか、と書かれていた。

 「えっ!?」

 慌てて確認すると集合時間を少し回ってしまっている。
 絵本を作るのに集中してて時間を確認するのを忘れていた。

 「ま、まずい!」

 僕は慌ててチュウベエにすぐに行くと連絡してささっと出る支度をする。
 はよ来い、と急かされながら僕は家を飛び出した。

 「これ、見せたら驚くよね!」

 僕はできたてホヤホヤの絵本を抱えて、意気揚々と花見会場へと向かう。
 向かう途中もみんながどんな反応をするのかと妄想が止まらなかった。

 「おっと、危ない危ない!」

 ついつい考え事をしていて横断歩道が赤なのを気づかず渡るところだった。
 そういえば、この交差点で事故に遭いかけてペンデラさんに助けたれたんだ。

 「あのときは危なかったなー。よく助かったよね、僕。ホント運がよかったよ」

 なんてことを思いながら青になった横断歩道を渡っているとチュウベエから連絡が入る。

 「また急かしてんのかな」

 見てみると今どこにいるんだ、という案の定、僕をせかすメッセージだった。

 ちょうど向かってるところ
 遅い
 それな
 なあ、これ見てみ

 「なんだろう?」

 ちょっとまっているとチュウベエからきれいな桜の写真が送られてきた。

 「きれい! ええっと――うわっ!?」

 僕がチュウベエに返信をしようとしたときガシッと腕を後ろから掴まれ、そのまま後ろに引っ張られてしまう。

 「いたたた、なにを――」
 「動かないで!」

 叫び声に驚いて身体が固まるが、そのすぐあとに目の前を車が猛スピードで駆け抜けていった。

 「うわあっ!? あ、危ないな!」

 もしも、あのまま歩いてたらあの車にぶつかっていたかもしれない。
 そう思ったら冷や汗がドッとあふれてきた。

 「大丈夫?」
 「あれ、君は!?」

 僕の腕を引っ張ったのはトサキくんだった。
 一度に色んなことが起こって混乱している僕にトサキくんが手を伸ばしてくる。

 「立てる?」
 「うん、ありがとう!」

 僕はその手を取って立ち上がる。

 「あっ! 僕の絵本!?」
 「ここにあるよ」

 そういってトサキくんが僕の絵本を手渡してくれる。
 状態を確認すると少し汚れてはいるけど破れたりはしていなかった。

 「よ、よかった……」
 「本よりも、自分の心配して……」
 「あ、うん、そうだね。……あれ、どうしたの。どこかケガした?」
 「……え?」
 「だってほら、泣きそうだから」

 なぜか今にも泣きそうな顔をしているトサキくん。
 指摘されて気になったのか、急にぷいっと後ろを向いてしまう。
 なんでだろうと思いかけて、それより言わなきゃいけないことがあった。

 「本当に助けてくれてありがとう。あと、花見に来てくれて嬉しいよ!」
 「別に時間があったから……」
 「そうだ! もう花見の時間過ぎてるよ。急がないと!」
 「あっ、ちょっと!?」

 僕はトサキくんの手を取って走り始める。
 急いで行かないとまたチュウベエから早くって言われちゃう。

 「やっと、助けられた……」

 なにかトサキくんが言ってたような気がするけどよく聞き取れなかった。
 ――数分後。
 僕とトサキくんはやっと花見会場に着く。

 「遅い。てか、ふたりで来たのか」
 「うん、そこでたまたま会った」
 「なるほど。ほら、始めるぞ」

 そこには僕たちが招待したパンタさんたちが敷物の上に座っていた。
 僕たちもそこへと座る。

 「でさ、僕も見せたいものがあるんだ!」
 「なに?」
 「それはあとのお楽しみ!」

 僕はどんな反応をしてくれるかなとドキドキしていた。
 きっと僕は見せるのがちょっと恥ずかしくて、桜と同じくらい顔が赤くなってたと思う。

 「そういや、どうだった?」
 「どうって?」
 「ほら、見てみろよ」

 ここからの景色は、見上げても見渡しても一面の桜。
 それはあの写真よりも何倍もキレイだった。
 トサキくんも桜に見惚れているみたいだ。

 「イケてね?」
 「うん、すっごくイケてる!」




■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


コメント

  • かわいい -- 2024-02-25 (日) 18:03:20
  • このゴダイって名前はクロ「コダイ」ルの部分から取っているのか、それとも元ネタである100日後に死ぬワニの「後(ご)」と「die(ダイ=英語で死ぬ)」から取っているのか -- 2024-03-29 (金) 14:32:48

*1 エリア1から順に進む場合