高橋 早苗

Last-modified: 2024-03-05 (火) 08:32:36

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※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。
 現在で該当スキルを使用することができません。
・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、
 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

通常初恋の人
高橋早苗.png高橋早苗_2.png

Illustrator:U35


名前高橋 早苗(たかはし さなえ)
年齢15歳
職業中学3年
特技動物の写真集を見る、美術館巡り
  • 2018年10月25日追加
  • AMAZON ep.Iマップ1完走で入手。<終了済>
  • 入手方法:2022/10/13~ カードメイカーの「CHUNITHM AMAZON」ガチャで入手。
  • トランスフォーム*1することにより「高橋 早苗/初恋の人」へと名前とグラフィックが変化する。
    PARADISE LOSTまでのトランスフォーム仕様
    • 専用スキル「大好きなあなたへ」を装備することで「高橋 早苗/初恋の人」へと名前とグラフィックが変化する。
    • CRYSTAL PLUS以降、RANK25にすることで装備したスキルに関係なく上記のグラフィックを自由に選択可能に。
  • 対応楽曲は「朝焼けプラットホーム」。

これといった個性のないどこにでもいる15歳の女子中学生。

美術の授業をきっかけに恋を知り、大人になっていく。

カードメイカー再録歴
  • 2021/3/4~3/31 「ゆめのDoll's Festival?」ガチャ
  • 2021/12/9~2022/1/5 「優しいキャロルが流れる頃には?」ガチャ
  • 2022/10/13~ 「CHUNITHM AMAZON」ガチャ

スキル

RANK獲得スキル
1鉄壁ガード
5
10大好きなあなたへ
15


鉄壁ガード [GUARD]

  • 微量なゲージボーナスと一定回数のダメージ無効効果を持つ。PARADISE ep.Iマップでは最初に手に入るスキルであり、初心者向けと言って良い性能。
  • 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
    • PARADISE ep.Iマップ1(PARADISE時点で5マス)クリア
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し+3
あり
PARADISE
(~2021/8/4)
無し
あり+7
CRYSTAL無し+5
あり+12
AMAZON無し+7
あり+12
STAR+以前
GRADE効果
理論値:72000(4本+12000/20k)[+3]
理論値:76000(4本+16000/20k)[+5]
理論値:80000(5本+0/22k)[+7]
理論値:90000(5本+10000/22k)[+12]
共通ゲーム開始時にボーナス +????
一定回数ダメージを無効化 (??回)
 ボーナス無効回数
初期値+6000(20回)
+1+8000(30回)
+2+10000(40回)
+3+12000(50回)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+4+14000(60回)
+5+16000(70回)
+6+18000(80回)
+7+20000(90回)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(PARADISE以降では未登場)
+8+22000(100回)
+9+24000(110回)
+10+26000(120回)
+11+28000(130回)
+12+30000(140回)

所有キャラ【 荒場 流子 / 舞園 星斗(1) / エルルーン(1,5) / 高橋 早苗(1,5) / ナイ

PLUSまでの旧仕様

PLUSまでの旧仕様
AIRバージョンから、開始時ボーナスが増加した。

初期値ゲーム開始時にボーナス +5000
一定回数ダメージを無効化(20回)
GRADE UPダメージ無効化 10回増加(最大50回)

大好きなあなたへ [GUARD] ※専用スキル

  • カウント数は共用。そのため、MISS判定を1回出すとゲージ量が大きく減少する。
    • MISS自体のダメージは無効化されるが、コンボボーナス1回分をロスすることになるため、差し引きで大幅マイナスになる。
  • コンボボーナスを8回発動で5本(8回だと理論値必須)、+1なら17回発動で6本可能。
    • 逆に言うと、+1でMISS判定を4回出すと6本不可能、12回(初期値では2回)出すと5本すら不可能になる(8回発動の場合は理論値でジャスト5本なので、MISSを出すと到達不能)。
  • GUARDスキルではあるが、事実上MISSを出さないプレーを求められる。6本可能ではあるが、即死系をはじめもっと使い勝手の良い6本狙いスキルはいくらでもあるため、選択肢としては弱いか。
    • 直後のマップで入手する橘 伸吾の専用スキル(新たなる一歩)も似たような効果になっている。
  • 大切なあなたへ……と混同しないように注意。
    GRADE効果
    理論値:110000(6本+8000/24k)
    [条件:ノーツ数500以上]
    共通一定回数50コンボごとにボーナス +2500
    一定回数ダメージを無効化
    ※カウントは共有
    初期値カウント=10(最大ボーナス +25000)
    +1カウント=20(最大ボーナス +50000)

ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 普通の女の子「私の名前は高橋早苗。15歳。どこにでもいる普通の中学3年生です」


私の名前は『高橋 早苗(たかはし さなえ)』です。

 東京都江東区のとある中学校に通っている、普通の女子中学生。

 趣味は……動物が好きだけど、家では飼えないから写真集を見たり、動画を見るのが好き。

 あとは、お姉ちゃんには『若くない』なんて笑われちゃうけど、美術館に行って絵画や彫刻を見ていると落ち着く。

 ……色々と考えてみたんだけど、私について書けることと言えばこれくらいだ。

 私は『無個性』……とまではいってないと思うけど、すごい特技とか、趣味などは持っていない。

 勉強も中の上、スポーツもクラスの平均のちょっと下ぐらいだし……本当に『どこにでもいる普通の女の子』だと自分で思う。

 でもそれでいい。私は、そんなに劇的な変化は得意じゃないし、求めていない。

 このままゆったりと、陽だまりで猫がお昼寝をするような温かさで成長していけたら、それでいい。


EPISODE2 今はまだ遠い恋の話「クラスメイトは皆、恋愛の話に夢中。……私にも、いつか特別な人ができるのかな?」


ある日、いつものように学校に行くと、クラスは昨日の恋愛ドラマのことで持ち切りだった。

 なんでも、とびきり泣けるという話で、クラスの中心になっている女子グループを始め大ブームを巻き起こしていた。

 私はクラスでは比較的大人しい女子たちが固まっているグループだったけど、やはり最近の話題はそのドラマについてがメインだ。

 「……ね、早苗ちゃんもそう思うでしょう?」

 「え? あ、ああうん。そうだね」

 「だよねー。あそこで追いかけないのは、男としてどうなの? って思う!」

 「……そうだよね。ないよね」

 ……私も一応、そのドラマは見ているのだが、どうしてもそこまで興味が持てないでいた。

 それだけではない。クラスの子たちが話題にしているスポット、雑誌のモデル、洋服のブランド……。そして恋の話。

 全てが私にとって、遠い存在に思える。

 別に、興味がないのであれば、素直にそう言ってもいいと思う。実際、クラスでそういう子は一定数いる。

 だけど、臆病な私は、今いるグループからはみ出すのが怖くて、自分の本心を言えないでいた。

 幸い、お姉ちゃんがいるので、色んな話題についていくことはできた。

 そんなお姉ちゃんも、以前は私とよく遊んでくれたのに彼氏ができてからは、自分の部屋に籠ってずっと彼と電話をしている。

(……恋愛かぁ。こんな私にも、いつか夢中で追いかけられる人が現れるのかなぁ)


EPISODE3 ある日の美術の授業で「橘くんが描いてくれた私の似顔絵は素敵だった。……もっと橘くんとおしゃべりしてみたいな」


ある日の美術の授業で『隣の席の人の肖像画を描け』という課題が出た。

 「よろしくね。高橋さん」

 「うん、よろしくね。橘くん」

 私のペアになったのは『橘 伸吾(たちばな しんご)』くんだった。

 (……そういえば、今まで橘くんとちゃんとおしゃべりしたことってなかったな)

 橘くんは、大きめの眼鏡と優しそうなイメージが強いクラスメイトだった。

……人のことは言えないけれど、正直に言って橘くんは『眼鏡』以外にイメージがない。

 ただ、橘くんに対してマイナスなイメージも無かった。いつでもクラスの隅の方で本を読んでいるか、同じ趣味の男子と一緒にニコニコと笑っていたように思う。

 「……橘くんって、いつも本読んでるけど、何を読んでいるの?」

 「ああ、あれ? あれは……」

 お互いの肖像画を描きあう作業というのは、思ったよりも会話をするきっかけになった。そして私は橘くんが想像していたよりもずっと多趣味で、面白い人だったということに気がついた。

 何より驚いたのが橘くんの絵に対する態度だ。絵を描くとき橘くんの穏やかな笑顔は消えていた。モチーフである私を見つめる真剣な眼差しに、私は思わずドキッとする瞬間があった。

 (……橘くんって、こんな顔もするんだな)

 やがて出来上がった肖像画をお互いに見せあった時、私は自分の作品の仕上がりに、思わずため息をついてしまった。

 (分かっていたけど、これは酷いなぁ……)

 私は絵を見るのは好きだ。でもそれと、絵を描くのが上手だというのは別の話で、私が描いた橘くんの肖像画は、デッサンも何も無かった。

 それに対して、橘くんが描き上げた私の肖像画は素晴らしいものだった。透明感があって、誠実そうな笑顔を浮かべている絵の中の少女は、私と別人に思えるほどに美しい。

 「こ、これ……私?」

 「あ、うん……もしかして、気に入らなかった?」

 「ち、違う! 逆だよ! ……私、こんなに美人じゃないのに、ってびっくりしただけ」

 「そう? 僕は、自分の目に写った高橋さんを描いただけだけど」

 橘くんの話し方に気取ったものは感じられず、彼が本心で私を感じたままに描いてくれたのが分かった。

 「……あ、そうだ。今度は高橋さんが描いた僕を見せてよ」

 「うっ……そ、その……あんまり上手く描けなかったんだけど……」

 ……こんなに素晴らしい肖像画を見せられた後だと、余計に橘くんに自分の拙い絵を見せるのは忍びない。

 私は恐る恐る橘くんに描いた肖像画を見せた。すると……。

 「いいじゃない! この色合いとか、大胆でとても勢いがあって、僕は好きだよ」

 橘くんは私の描いた下手な肖像画を見て、ニコニコと笑ってくれた。彼の笑顔を見て、私は始めてこう思った。

 (……もうちょっと、橘くんとおしゃべりしてみたいな)


EPISODE4 気になる彼「橘くんの前だと、素直になれる。もっと仲良くなれるきっかけはないかな?」


 肖像画の件をきっかけに、私と橘くんはお互いによくおしゃべりをするようになった。

 会話の内容は『お勧めの本』や

『気になるイラストレーター』

『学校裏の家に子犬が生まれたこと』など、とても他愛のないものだったが、私にはその会話のテンポがとても心地よかった。

 橘くんとの会話は、彼の外見と同じように穏やかで、クラスの皆のように急いでいなかったからだ。私は久しぶりに自分の本心を語ることができたと思う。

 ……だが、橘くんとお喋りができたのは、美術の授業だけだ。それ以外の時間で私たちが話す機会はほとんどなかった。

 そして、やがて美術の授業が終わってしまう。うちの中学は半年間しか美術の授業が無かったからだ。

 (このままだと、橘くんとお喋りすることもなくなっちゃうのかな? ……それは嫌だな)

 私は、自分が自然と『橘くんともっと喋りたい』と思うようになっていたことに驚いた。でも、そうは思っても、臆病な私はクラスで自分から橘くんに話しかけることなんて出来なかった。

 ただ何となく視線で橘くんを追う日が続いていたのだけど……。

 「……ね、これって早苗が好きそうじゃん?」

 「それ、美術館のチケット?」

 「そ。あたしは興味ないから、誰かと行ってきなよ」

 お姉ちゃんがくれたのは、美術館の無料チケットだった。

 (確か、今は橘くんが好きな作家の絵が展示されているはず……)

 私はついに勇気を出して、橘くんに連絡してみることにした。

(……チケットが無駄になったら勿体ないし! あ、でも、急な誘いだし、橘くんに迷惑になったらどうしよう?)

 ……そんなことをグルグルと考えながら携帯電話を睨んでいると、橘くんから返事が着た。彼は、突然の私の誘いに驚いているようだったが、快くOKしてくれたのだった。

 (やったー!)

 私は自分の想像以上に、橘くんからの返事を喜んでいることに驚いたのだった。


EPISODE5 橘くんと美術館へ「勇気を出して誘った美術館。でも、絵よりも橘くんに視線が……あれ? 橘くんも私を見ている?」


橘くんと美術館に行く当日。私はなぜか約束の時間の45分も早く、待ち合わせ場所についてしまった。

 それだけではない。今日の服は買ったばかりで、まだどのお出掛けにも使っていないおろしたてだし、お姉ちゃんから慣れないヘアメイクも教えてもらった。

 出掛ける前に鏡の前で何回も『おかしくないか』と確認をして、最終的にはお母さんに呆れられたほどだ。

 (……何浮かれてるんだろう。たまたま余ったチケットで、たまたまクラスメイトと一緒に美術館に行くだけなのに……)

 今までも友達と一緒に美術館に行くことは何回かあった。その時と今日は何も変わらないはずだ。

 だが、いくらそう言い聞かせても私の心臓は落ち着いてくれない。

 「……あれ? 高橋さん?」

 「た、橘くん!? お、おはよう!」

 「おはよう……随分早いね? 僕、待ち合わせの時間、間違えた?」

 「う、ううん。合ってると思うよ……そういう橘くんもまだ約束の時間の30分前だけど?」

 「あ、あはは……ちょっと早く家を出ちゃったから、ここら辺、散歩でもしようかなって思ってたんだ」

 「そ、そうなんだ……」

 初めて見る私服姿の橘くんは、思った以上にスマートだった。派手な男子みたいな装飾品をつけているわけではないが色や柄などが整えられていて、センスが良いファッションのように私には思えた。

 「……ちょっと早いけど、もう美術館に行こうか」

 「う、うん!」

 ……それから橘くんと一緒に、美術館を周ったが、私はつい絵よりも隣を歩く橘くんの方が気になってしまう。

 (……綺麗な絵がたくさんあるのに……絵に集中できないなんて、初めてだな……)

 時折、ちらっと横目で橘くんを見ると、彼と視線が合うような気がした。もちろん気のせいかもしれないけれど……。

 (……もしかして、橘くんも私のこと、見てたのかな?)

 そんなことを考えていると、余計に絵に集中はできない。

 結局、美術館で私の頭に残ったのは、橘くんの横顔だけだった。


EPISODE6 楽しい時は瞬く間に過ぎ「美術館のことをきっかけに、橘くんとは学校でも放課後でも一緒に過ごすようになったけど……」


美術館を巡った後、私たちは動物園に行って、パンダなどの可愛らしい動物を見て笑いあったり、ライオンの檻の前でスケッチをして互いの作品を褒め合ったりした。

 最後に立ち寄ったカフェでお茶をする頃には、私の緊張はすっかり解け、とても自然体で橘くんと話すことができるようになっていた。

 「……今日はとても楽しかったよ。誘ってくれて、ありがとうね。高橋さん」

 「ううん。私の方こそ橘くんと一緒に来られて良かった。こんなに喋ったのは、久しぶりだよ」

 いつもは友達の話に相槌を打ってばかりの私が、今日は声がかすれるほどに良く喋った。それぐらい私は橘くんとの会話に夢中になったのだ。

 (気持ちが合う人とのおしゃべりって、こんなに楽しいものなんだ……)

 でも、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。別れの時間がやってきて、ホームに電車がやってきた。

 私と橘くんの乗る電車の方向は逆だ……でも。

 (……もっとお喋りしていたいな)

 私はなかなか電車に乗らないでいた。だがそれは橘くんも同じようだった。そして私たちは、ほぼ同時にこう切り出した。

 「……良かったら、これからも一緒に出掛けない?」

 「……その、これからも、一緒にお喋りする機会をもらえるかな?」

 私たちは最初、お互いの言葉に驚き目を見開いたが、その後すぐに吹き出した。

 「……それじゃあ、これからもよろしくね」

 「……うん」

 どちらからともなく出した手を握り合い、私たちは別れた。

 そしてその日から、私と橘くんは学校でも良く話すようになり、放課後も一緒に帰って、時には本屋やカフェなどに寄り道もした。

 それぐらい私たちは仲のいい友達になったのだった。


EPISODE7 友人から冷やかされて「橘くんは友人から、私との仲を冷やかされていた。彼は私との関係を肯定してはくれなかった……」


私と橘くんの関係はあくまでも『仲のいい友達』だった。そのことを私は不満に思ったこともないし、特に疑問も持っていなかった。

 けれど、ある日の放課後……。

 (……先生に呼び出しされて、橘くんとの待ち合わせ時間に遅れちゃった。橘くん、まだ教室にいるかな?)

 私は橘くんが待っているだろう教室に、向かっていた。そして教室のドアを開けようとしたその瞬間……。

 「……なあ、橘って、高橋と付き合ってんの?」

 クラスの中から聞こえてきた声に、私は思わず固まりドアを開ける手が止まった。

 声の主はクラスの男子と橘くんのようだ。立ち聞きは良くないと思いつつも、私はクラス内の会話に集中してしまった。

 「……最近、やけに橘と一緒にいるじゃん。知ってるぜ? 放課後も毎日一緒に帰ってるんだろう?」

 「それって、もう付き合ってるってことだよな! 橘、ぼうっとしてるように見えてやるじゃん!」

 クラスの男子の口調には、悪意は感じられなかった。どちらかと言うと、友人の面白いネタを掴んだからちょっかいだしてやろうという感じだったんだと思う。

 それでも彼らの会話を聞いていた私の心臓は張り裂けそうに脈打っていた。

 (……橘くんは、なんて答えるんだろう……?)

 私は自分でも分からない期待と、恐れを抱いたまま橘くんの言葉を待った。すると……。

 「……べ、別に高橋さんとは、そんな関係じゃないよ」

 「えー! 本当かよー!」

 「本当……付き合ってるとか、そんなんじゃない」

 ……橘くんは、私との関係を否定した。それは当然だ。私と彼はただの仲のいい友達同士なんだから。

 それなのに、私は橘くんの言葉を聞いた瞬間、血の気が一気に引いて、目頭が熱くなってきた。

 (……橘くん、私のことは何とも思ってないんだ!)

 そう思うと、訳も分からず泣きたくなって、私はそのままその場を走り去った。

 「……高橋さん!?」

 ……遠く、橘くんが私の名前を呼ぶ声がしたような気がしたが、私は一刻も早くこの場を離れたかった。

 そして、家に帰るとそのままベッドに倒れ、ずっと泣いた。涙で顔はぐしゃぐしゃになり、頭もぐちゃぐちゃだったが、ようやく私は自分の気持ちに気がついた。

 (私……橘くんのことが、好きなんだ……)


EPISODE8 すれ違う日々「橘くんへの想いをはっきり自覚したのに、彼と目を合わせられない……どうしたらいいの?」


私は橘くんへの想いをはっきりと自覚した。

でも、だからって何ができるだろう?橘くんは私との関係を否定していた。

しかもその言葉を私が聞いていたことも、恐らく知っている。

 橘くんからは、何度も謝罪と『話がしたい』というメッセージが届いていた。

 (……でも、別に彼が謝ることじゃないし、私、なんて返信したらいいのか分からない……今まで、橘くんと何をしゃべったらいいのか、悩むことなんて、無かったのに……)

 一度、返信を先延ばしにしてしまった私は、タイミングを失い、結局橘くんには何の連絡もすることができなかった。

 それだけはなく、学校に行っても彼を避けるような行動を取ってしまう。

 (こんなの良くないって、分かってるのに……)

 でも、今の私にはとてもではないが、彼と今まで通りに接することなんてできないし、顔すらまともに合わせられないでいた。

 それでも勇気を出して、時折橘くんの方を伺うと、彼は何かを言いたそうな瞳で私を見つめていた。そして、私は彼と視線が合う前に慌てて逸らす。その繰り返しだった。

 (……橘くんのことが好きなのに、彼の顔を見ると泣きたくなってくる……私、どうしたらいいの?)

 お姉ちゃんは『恋愛は楽しくて嬉しいものだ』と言っていたけど、そんなのは嘘だ。あの放課後から、私の心はずっと擦り切れそうで、熱くて、辛い。

 こんな想いをするくらいなら、いっそ恋なんて知らない方が良かったと思う。……でも。

 (……やっぱり、橘くんが好きだ)

 私の想いを私はどうしても変えられなかった。


EPISODE9 私の想いを伝えよう「ある日、橘くんがクラスメイトから告白されたのを見た……そうだ。私も待っているだけじゃダメだ!」


……橘くんとすれ違う日々が続いて、しばらく経った頃、私はクラスの女子友達から、ある噂を聞かされた。

 「……早苗ちゃんって、橘くんと仲良かったよね?」

 「う、うん……まあ……」

 「じゃあ、あの噂って本当なの?」

 「噂?」

 「クラスの小鳥遊さんが、橘くんに告白したって噂」

 「えっ……? 小鳥遊さんが?」

 小鳥遊さんは、クラスでも1、2を争う美人だ。それに性格も明るくて、少しも気取ったところがない。運動神経も良くて、成績も学年上位だという才色兼備。……地味で、無個性で、何の秀でたところもない私とは反対で、何でも優れている太陽みたいな人だ。

 クラスの男子であれば……ううん、同じ女の子から見ても、小鳥遊さんは間違いなく魅力的で、自然と好きになってしまうタイプの人だった。

 (小鳥遊さんが、橘くんに告白した……)

 私は頭を殴られたような衝撃を覚えた。そして、フラフラしたまま家に帰り、ベッドの中でじっと考えた。

 (……橘くん、なんて返事したのかな?……小鳥遊さんから『好き』って言われたんだもんね……。断るわけ、ないか……)

 私は橘くんと付き合っていたわけではない。彼がどんな選択をしても、自由なはずだ。

 (……だったら、どうして私はこんなに落ち込んでるの? 本当に、このまま橘くんが小鳥遊さんと付き合って、笑顔でいられる?……無理だよ)

 ……辛いけれど、本当悲しいけれど、橘くんが小鳥遊さんと付き合っても、それは仕方がないと思う。

 今は難しいかもしれないけれど、いつか笑顔で橘くんとまたお喋りできるようになるかもしれないとも思う。

 (でも、このまま自分の気持ちから逃げたままじゃ、きっと、そんな『いつか』すら訪れないんだ!)

 私は決意した。


EPISODE10 告白の日「橘くんに告白を決めた私。でも、なんと彼の方から私に想いを伝えてくれた! ……本当に嬉しい」


 『橘くんに自分の想いを伝えよう』

……そう決意した私は、どうやって彼に自分の想いを伝えるか考え始めた。

 結局、あれこれ悩んで、私は自分の気持ちを手紙に託すことにした。集めていたレターセットの中から、特にお気に入りを選んで、できるだけ丁寧に文字を綴っていく。

 手紙を書く中で私は、自分の想いを伝えるのがどれほど難しくて、怖いことなのかが分かった。

 (……伝えたい言葉はたくさんあるはずなのに、どんどん溢れてくるのに……全部零れていっちゃうみたい)

 こんなもどかしくて、辛い想いをきっと小鳥遊さんもしたんだろう。それでも彼女はその重圧に耐えきった。私は、彼女が美しいだけではなく、とても『強い』人なのだと思った。

 (……私は小鳥遊さんのようにはなれないかもしれないけど、それでも自分の言葉を橘くんに届けよう)

 ……そしてようやく手紙を書き上げると、私は放課後の美術室に彼を呼び出した。

 人気が無く静かなはずの美術室だが、今は私の鼓動がうるさいぐらいに響いている。

『一刻も早く橘くんに来て欲しい』

『やっぱり来ないで欲しい』

……そんな相反する気持ちが私の中でグルグルと回っていた。

 ……やがて、静かにドアを開けて橘くんがやってきた。

 「……高橋さん」

 「橘くん……ごめんね、急に呼び出したりして……」

 「う、ううん。それは良いんだ……僕も高橋さんと会って話がしたいって思ってたし……」

 「そう、だよね……ずっとメッセージに返信しなくて、ごめん」

 「それは! ……気にしないで」

 ぎこちなくて、とりとめもない会話が続いたが、やがて空白の時間が訪れ、私は息を思い切り吸うと彼に手紙を差し出した。

 「……これ、私の気持ちが書いてあるの」

 「高橋さん……」

 「……迷惑かもしれないけど、良かったら受け取ってください」

 緊張で手が震える。

まともに橘くんの顔は見られない。

それでもなんとか私は最後まで喋ることができた。

 私の手紙を受け取った橘くんは、じっと封筒を見つめている。

 「あ、あの……返事とか、そういうのは別に……」

 「……まずは謝らせて」

 「え?」

 私は『返事はいらない』と言おうとしたが、それを遮るように橘くんは喋り出した。

 「……謝るって?」

 「その……この間、クラスの連中に高橋さんと『付き合ってるのか?』って質問されたとき、高橋さん、聞いてたんでしょう?」

 「あ、うん……」

 「……あの時は本当にごめん。高橋さんとのこと、急にからかわれて驚いたり、僕たちのことにちょっかい出されてムカついたり……色んな感情が一斉に襲ってきて、あんなこと言っちゃったんだ……でも、君を傷つけるなんて。なんて馬鹿なこと言っちゃったんだろうって、ずっと後悔してた」

 「……うん」

 「君に悲しい想いをさせるくらいなら、あいつらにもちゃんと言うべきだったんだ……『僕は高橋さんのこと好きだけど、彼女はどう思ってるのか分からない』って……」

 「……えっ?」

 今、橘くんはなんて言ったんだろう?信じられない言葉を聞いて、私の頭はフリーズしてしまう。

 「……で、でも……橘くん、小鳥遊さんから告白されたんじゃないの?」

 「えっ!? な、なんで高橋さんがそのことを知ってるの!? ……そ、その確かに、小鳥遊さんからは告白されたんだけど……断ったんだ」

 橘くんは、にっこりと私に笑いかける。

 「……『嬉しいけど、僕には好きな子がいるから』って……」

 「そうなの……」

 「うん……もう、全部言っちゃったみたいなものだけど改めてちゃんと言わせて……高橋さん、好きです。良かったら僕と付き合ってください」

 「……うん!」

 私の目に涙が溢れてくる。先日までベッドで流した涙はとても冷たく感じたのに、今はその温かさに驚くぐらいだ。

 橘くんは泣きだした私を見て、オロオロしていたが、私が『嬉しい』と笑うと、満面の笑みを浮かべる。

 放課後の窓から差し込む夕日のせいかもしれないが、彼の頬は赤く染まっていた。


EPISODE11 薔薇色の日々「橘くんと一緒の毎日は、本当に幸せ。私はこの幸せがいつまでも続くようにと、そっと願った」


 ……『彼氏彼女』という関係になった私と橘くん。でも2人の生活は、以前とあまり変わらなかった。学校の休み時間、他愛もない話で盛り上がり、放課後に駅まで一緒に帰り、休みの日になると美術館や本屋さんに出掛ける……そんな感じの毎日だ。

 そんな変わらない日常のはずなのに、隣に橘くんがいるだけで全てが鮮やかに見えてくる。橘くんと一緒に歩いていると代わり映えしない通学路が、キラキラと輝いて見えるのだった。

 (……まさか自分の気持ちが、こんなに変わるなんて……)

 今ならお姉ちゃんや、クラスの皆が恋愛についてあれほど夢中になって語っていたのも分かる。恋愛は、辛く苦しい想いもするかもしれないが、それ以上に甘く、楽しく、素晴らしいものなのだ。

 「……どうしたの? 高橋、ぼうっとして」

 「あ、ううん。なんでもない」

 今では橘くんは私のことを『高橋』と呼ぶようになっていた。最初は気恥ずかしかったが、それも今では心地よく感じる。

 「……そうだ、高橋。これ、良かったら……」

 「えっ?」

 橘くんは私に可愛らしいストラップを2つ見せた。色違いの天然石と、対になっている星がついた可愛らしいペアストラップだった。

 「これって……」

 「僕たちが最初に出掛けた美術館で買ったんだ……。その、今日で僕たち、付き合ってから3ヶ月経つし……記念にって思って……」

 「……ありがとう! 嬉しい!」

 橘くんからのプレゼントをもらったこともだが、彼が私との出会いを心から大事にしてくれていることに私は感動した。

 「……ずっと大切にするね!」

 「……うん」

 私と橘くんはさりげなく手を繋いで、一緒に帰った。いつもよりほんの少しだけ駅までの道を遠回りをして。……『こんな幸せな日々が、ずっと続きますように』と願いを込めて、私は橘くんの指先を軽く握りしめた。


チュウニズム大戦

レーベル難易度スコア
スキル名/効果/備考
●リレイBAS0 / 130 / 260
ブレイクフィールド(150~300ミス)
次のプレイヤーの150~300の
COMBO/CHAINは、MISSとなる。



■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧



*1 『PARADISE LOST』まではRANK 25、『NEW』以降はRANK15で開放