原語は「THE BOOK OF MARVELOUS MAGIC」。
クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズの4番目のアクセサリー。TSRの商品コードは9116。
原語版の初版は1984年。総ページ数は76。
日本語版の初版は1988年5月。総ページ数は74。ページ数の違いについては下記のAPPENDIXを参照。
"我が偉大な師よ。このセキュリティーキャビネットはどうしたら開けられるのですか?また、このブレイバリーバーナーはどうやって使ったらよいのですか?サンデックの効果範囲も分からないのですが?私の魔法の書とスクロールには、再三にわたって師からお聞きした、たくさんのマジックアイテムについて、何も書かれていないのです。"
"よいか、パイドラー。おまえの写本は、あまりにも一般的すぎるのじゃ。しかし、もはや案ずることはない。この本を熟読すればよいのじゃ。わしの最も大切な書物の一つじゃよ。D&Dマーベラスマジック!この本の中には、おまえの知りたい総ての答えがあるはずじゃ。よいか、パイドラーよ。おまえは総ての秘密を学ぶことができるのだぞ!心するがよい。"
D&Dマーベラスマジックは、マジックアイテムに関する究極のガイドブックであり、D&Dならではのオリジナルマジックアイテムが紹介されている。その総数は500種類を越え、それぞれのマジックアイテムについて詳細な説明が行われている。
D&Dマーベラスマジックは、D&Dルールセットとともに使用するものです。D&Dルールセット無しでは使用できません。日本語版「D&Dマーベラスマジック」裏表紙より。
内容
1~2ページが序章、3~6ページがマジックアイテムの決定表、7ページ以降が各マジックアイテムの解説となっている。
マジックアイテムは、分類タイプとそのアイテムの外見による種類(例:アミュレット、ボトル、テーブルなど)で大別されており、そのアルファベット順で解説されている。ベーシック・ルール・セットはもちろん、コンパニオン・ルール・セットまでに対応という設定のため、強力な効果を持つものが多い。当然のことだが、強烈な利点をもたらすアイテムがある一方で、恐ろしい呪いがかかったアイテムもある。ひどい物になると、呪いを解くためには特定の呪文を複数種類、しかも36レベルの術者がかけることを要求されることもある。
種類も様々で、銅貨やがらがら(幼児用のおもちゃ)から馬車やボート、玉座まである。
掲載マジックアイテムの一覧
マジックアイテムの分類
分類タイプは以下の通り。
- 娯楽用品(風船、凧、ビー玉、がらがら)
- 動物関連品(馬勒、蹄鉄、口輪、くびき)
- 衣服類
- 頭部(首飾り、帽子、兜、仮面、寝帽)
- 脚部(アンクレット、ブーツ、スリッパ、滑り止め付の靴)
- 腕部(アームバンド、手袋、籠手)
- 止め金など(クローク、ケープ、ガードル、ベスト、帯)
- ハンカチ等(杖、扇、ハンカチ)
- 被服関連品(旗、毛布、ボタン、カーテン、針、糸)
- 容器類(袋、樽、瓶、檻、大釜、缶、聖杯、とっくり、やかん、ポーチ、桶、酒樽、壺)
- 食料品(卵、種、乾パン)
- 家具(腕かけ椅子、長椅子、戸棚、箪笥、寝台、机、扉、ハンモック、鏡、階段板、テーブル、玉座、窓)
- 家庭用品
- 台所用品(フォーク、柄杓、火かき棒、芯切、スプーン)
- 可燃物(蝋燭、ランプ、丸太、パイプ)
- その他の道具(箒、鍵、石板、ロープ、石鹸、車輪、蝋)
- 装飾品・貴金属品(護符、ビーズ、ブローチ、カメオ、王冠、耳飾り、四葉、宝石、葉飾り、メダル、首飾り、銅貨、王錫)
- 楽器
- 管楽器(角笛、ラッパ)
- 打楽器(鐘、チャイム、シンバル、ドラム、銅鑼)
- 弦楽器(竪琴、リュート、ツィター)
- 管楽器(バグパイプ、横笛、パイプ、呼子)
- 珍品・奇品(玉、風船、骨、ボウル、火鉢、香炉、塵、小槌、レンズ、ネット、軟膏、竿、石、日時計、小像)
- 書類関係品(インク壺、本、羊皮紙、羽ペン、石板台)
- 工作道具・金属類〈錐、天秤、ふいご、掛け金、蝶番、手枷足枷、釘、三又、熊手、鋸、シャベル)
- 旅行用品
- 陸上・空中(絨毯、馬車、テント、車輪)
- 水上(錨、小舟、カヌー、船首像、ガフ、マスト、オール、舵、小帆船)
基本的にDM用であり、そのままシナリオになるような代物がいくつもある。ファンタジーのネタ集みたく読んでいるだけでも面白い。あるいは、「アメリカ人のゲーマーって、よくこんなもの考えつくよなー」と呆れるべきか。
APPENDIX
この項目ではマーベラスマジック及びコンパニオン・ルール・セットまでの基本ルールで紹介されているマジックアイテムの一部をAD&D(第1版)に導入する際の注意が記されている。
原語版は日本語版と比べて総ページ数が3ページ多いが、この3ページは日本語版ではカットされている。このため日本語版の74ページは背景画のみで文字やイラストは一切なく、75~76ページは紙自体がない。
原語版のレイアウトになるべく同じ構成になるよう編集する方針だった新和版のD&Dだが、当時はAD&Dの日本語版の予定がなかったためだろう。購読する側としても、基本ルールの翻訳すらなかったAD&D(第1版)のルールや仕様をいきなり出されても困るだけだが。