モジュール/【Quest for the Heartstone】

Last-modified: 2023-08-19 (土) 20:36:15

モジュールコードはXL1。TSR商品コードは9114。
作者はMichael L. Gray。出版は1984年。
イラストはJeff Easley。表紙はプレロールド・キャラクターであるストロングハートとウォーデュークの2人の戦士が爬虫類のような怪物と戦うという構図。
表紙カバーは三つ折りで、内側の3面はDM用の地図になっている。
小冊子の本文は32ページ。1ページは目次と奥付、2~3ページは冒険の準備とその背景についての解説、プロローグ。
冒険の本編部分は4~12ページと21~30ページ。13~14ページと19~20ページは冒険本編内で提示されるイラストが描かれており、15~18ページはプレロールドキャラクターについて書かれている。31~32ページはニューモンスターの解説。
日本語未訳。題名を直訳すると「ハートストーンの探索」もしくは「ハートストーンを探せ」。ウィキペディアでは「クエスト・フォー・ザ・ハートストーン」で項目が設けられている。

概要

ギール王国(原語:The kingdom of Gyrl)の国王ガントが82歳で逝去した。残された王妃リーラはかつて王国から盗み出された宝物「石の心臓」の探索を冒険者たちに命じる。
神託により、石の心臓は霧のたちこめる湿原の向こうにある氷の山脈にあることは分かっている。プレイヤーキャラクターたちは石の心臓を探し出さねばならない。
対象となるプレイヤーキャラクターは6~8人。レベルは5~10レベルで、レベルの総合計は45~55が望ましく、パーティにはクレリックが2人いるべきと記されている。
前半はウィルダネスアドベンチャー(野外での冒険)、後半はダンジョンアドベンチャーの2部構成。

タイアップ商品

このモジュールは1983~1984年まで発売されていた、LJN Toys社(現在は他社に買収後、解散済み)が製造販売したAD&Dアクションフィギュアの販促用の商品だった。
プレロールド・キャラクターは19人。アクションフィギュアとして作られたキャラクターの名前とイラスト、能力値や所持品などが記載されている。ただし5人ほどアクションフィギュアが作られていないキャラクターもいる。また本来はAD&D用のシステムで設定されたキャラクターを無理矢理(クラシック版の)D&Dに当てはめているため、クラスとレベルは、アクションフィギュアでの表記の後にクラシックD&Dでの表記が書かれているという変則的な書式になっている。
また遭遇で解説されているモンスターについて、TSR社のベンダブル・モンスターやLJN社のアクションフィギュアを使ってもよいという文章が書かれている。ただ、半分以上の遭遇はそういったモンスターに該当するフィギュアがない。また本来はAD&Dとして設定されたモンスターのアクションフィギュアの(多分)販促目的で、D&D用にニューモンスターとして設定しなおして追加されている。

評判

ウィキペディアの記事によると、グラハム・ステープルハーストは『ホワイトドワーフ』誌で論評、10点満点で4点評価を下した。
彼は「AD&D アクションフィギュアの販促品以上のものではない」、「マジックアイテムを追い求める無作為に選択された善人達が、無作為に配置されたモンスターどもの集合体を斬り抜けなければならないという、誰もが作る最初のダンジョンを強く想起させる」、「TSRはこの状況を改善するためにイラストと地図で最善を尽くしているが、私が見る限りでは全く功を奏していない」、「アドベンチャーが進行してゆくにつれて......たまたまTSRやLJNがフィギュアを製造している範囲のモンスターを紹介しているだけ、という言い訳に堕している」など酷評している。
またローレンス・シックは、1991年に出版した自分の本、『ヒロイック・ワールド』(Heroic Worlds)で、このアドベンチャーを「ばかばかしいシナリオ」と記した。

余談

  • モジュールコードのXLは、エキスパート・ルール・セットのXと他社とのライセンス契約があることを示すLの組み合わせと思われる。しかしXLのコードを持つモジュールは本作品のみ。シリーズを続けるほどの販促にはならなかった模様。
  • 冒険の舞台となるギール王国は特定のワールド設定に含まれていなかったが、後にミスタラに組み込まれたらしい。