モンスター/【キャット】

Last-modified: 2022-07-12 (火) 16:44:34

原語は「Cat,Great」。
ネコ科の哺乳類は狩りに適した身体をしており、全体的に筋肉質で瞬発力に優れ木に登ることができるものが多い。反面、持久力に劣りイヌ科の動物のように長距離を追跡する狩りは行わない。その多くが夜行性で森林や茂みに棲む。主に脊椎動物を食べるが、魚類・昆虫・果実を食べることもある。
もちろん、この項目で紹介されるのはペットとして飼われるイエネコではない。

クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズ

この用語辞典では第4版及び第5版を扱う。

ベーシック・ルール・セット

新和版のベーシック・ルール・セットでは大ネコ類と訳されており、「マウンテンライオン」、「パンサー」、「ライオン」、「トラ」、「サーベルタイガー」の5種が紹介されている。
「通常警戒的で、空腹か、罠にかけられて退路がない時を除いて戦闘を避ける。おっとりして楽しげな外見にもかかわらず、戦いになるとたちどころに凶悪な相手となる。彼らはしばしば一種類の食物だけを好む性質を持ち、そのタイプの生物を狩る。」と記述されている。
共通事項としてアライメントはニュートラルであることと、攻撃手段が爪2回+かむ1回の1ラウンド3回攻撃であることが挙げられる。また、パンサー以外は移動速度が150'(50')となっている。

ルールサイクロペディア

ルールサイクロペディア版での表記は「グレート・キャット(大型ネコ族)」。
紹介されているのが5種であることは新和版と同じ。ただし表記はそれぞれ「マウンテン・ライオン(ピューマ)」、「パンサー(ヒョウ)」、「ライオン」、「タイガー(トラ)」、「セイバートゥース・タイガー(剣歯虎)」とそれぞれ変更されている。
種別は動物だが、セイバートゥース・タイガーのみ先史動物になっている。知力が2という点は全種で共通。サイズはマウンテン・ライオンとパンサーがM、それ以外はL。

マウンテンライオン

原語はMountain Lion。ピューマ(Puma)、あるいはクーガー(Cougar)とも呼ばれる、ネコ科の哺乳動物。オスは体長(頭胴長)約1~1.8m、体重約53~100 kgで、メスは一回り小さい。成獣の体は黄褐色の毛で覆われ、無紋、耳の縁と長い尾の先だけが黒い。幼獣は体中に黒から黒褐色のヒョウのような斑紋があり、尾には黒い輪があるが、これらは成長とともに消えていく。敏捷で瞬発力に優れ、高さ4 m、幅12 mほどの跳躍した記録が残されている。なお嗅覚が鋭い。また、ネコ科の大型肉食獣の中では特に眼球が大きく、視力が高い。寿命は野生のもので12年ほど、飼育下では25年程度。
基本的に単独行動であり、オスでは平均の広さ250 km2(半径9 kmの円)程度の縄張りを持つとされる。比べ、メスの縄張りは狭く面積はその半分から3分の1程度となる。ただし、縄張りの広さは環境に左右され、餌が豊富で条件がよい地域ではオスの縄張りが1頭当り25 km2(半径3 kmの円)程度の地域もあるという。主にネズミ、リス、ウサギ、アライグマ、ナマケモノなどの小型哺乳類や、鳥類、爬虫類、魚類、バッタなどの昆虫を食べ、シカなども狩る。狩りの方法は、地面に伏せて獲物に忍び寄り、後ろや物陰から瞬発力を利用して一気に飛びかかり、獲物の行動を止めるため、顎や喉笛に食いついたり、獲物を転倒させて、腹部に食いついたりもする。ヤマアラシに対する狩り方は、針毛のない腹部を爪で掻き裂くというもの。捕食された動物の中には、飛びつかれた際の衝撃による骨折が死因のものも見つかっている*1
ヒットダイスは3+2。「この黄かっ色の毛を持つ種族はその大半が山岳地帯に棲むが、森や砂漠にも棲息する。彼らは他のどの大ネコ類よりも奥深くダンジョン内に入り込んでいく。」と記述されている。


オフィシャルD&Dマガジン1号のQ&Aコーナーの正誤表にて、ヒットダイスが5に訂正された。

パンサー

原語はPanther。豹のことだが、新和ベーシック・ルール・セットではなぜか「パンサーヒョウ」と表記されている。ネコ科ヒョウ属の哺乳動物。
体長100~150センチメートル。尾長80~100センチメートル。体重30~90キログラム。全身は柔らかい体毛で密に被われる。背面の毛衣は淡黄褐色や淡褐色で、腹面の毛衣は白い。頭部や頸部、腹面には黒い斑点が入り、背面や体側面には黒い斑点が花のように並ぶ斑紋が入る。 四肢は体長や体高に対してやや短い。また、出産直後の幼獣は体重0.4 - 0.6キログラムで、乳頭の数は4個である。また、群れを形成せず、単独で生活しており、捕らえた獲物を樹上へ運んで食べることもある*2
ヒットダイスは4。「草原、開けた灌木地帯に見つけられる。また、彼らは非常に素早く、短距離なら、ほとんどの相手より速く走ることができる。」と記述されている通り、移動速度は210'(70')と他種よりも断然速い。

ライオン

原語はLion。獅子のこと。ネコ科ヒョウ類の哺乳動物。
現実世界のネコ科ではトラに次いで大きい。成獣の体長はオスが2m前後、メスが1.6m前後。他種のネコ科に比べると多少は穏和な性質。オスのたてがみが有名だが、メスには無い。狩りを行うのは主にメス。群れはオス1~3頭、メスは15頭以内、加えて幼獣という構成が普通。また、獲物が少ないと幼獣への分配が無くなり、放置される。
ヒットダイスは5。「一般に温暖な気候に棲み、砂漠の近くのサバンナ、草原帯に多い。普通、集団で狩りをする。」と記述されている。

トラ

原語はTiger。虎のこと。ネコ科ヒョウ類の哺乳動物。
体長140~280cm。メスはやや小柄。腹部の皮膚は弛んで襞状になる。背面は黄色や黄褐色で、黒い横縞が入る。縞模様は藪などでは周囲に溶けこみ輪郭を不明瞭にし、獲物に気付かれずに忍び寄ったり待ち伏せることに適している。腹面や四肢内側は白い。鼻面は太くて短く、顎の力が強い。前肢の筋肉は発達し、後肢は前肢よりも長い。これにより前肢は長い爪も含め獲物を押さえつけることに、後肢は跳躍に適している*3
ヒットダイスは6。「一般の大ネコ類の中では最も大きい部類で、涼しい気候を好む。彼らはしま模様の体がカモフラージュに適する為、狩りに有利な森林を好む。」と記述されている。なお、森林地帯では不意打ち成功の確率が1d6の4以下と成功率がかなり上がる。

サーベルタイガー

原語はSaber-tooth Tiger。剣歯虎と訳されることがある。体長は2m前後、体重は250kg前後とされている。独自に進化した上顎の犬歯は20cmに及ぶ長さ。
ヒットダイスは8。「大ネコ類の中で最大最強、最もどう猛である。巨大なキバを持っており、これが名の由来である。幸運な事にサーベルタイガーは未開地帯以外ではほとんど絶滅している。」と記述されている。

AC6 モンスターマニュアル

6種が追加されている。

ベッカー

原語はBekkah。
巨大な体をもち、熱帯のジャングルや森林地帯に生息する黒豹。
体長や生態に関する記述はないが、他の動物類よりはやや高い知性を持つ。
ヒットダイスは高めで、この項目のネコ科動物系モンスターの中では最も高い。さらにうなり声により獲物を立ち竦ませるという特殊能力を持つ。

チーター

原語はCheetah。
体長は120~150cm。体重40~70kg。細い体型で頸部から背にかけて体毛が伸長する。毛衣は淡黄色で硬く、黒い斑点が点在する。眼の内角から口にかけて、黒い筋模様が入る。尾には黒い帯模様が入り、先端の毛衣は白い。
頭部は小型。耳介は小型で、やや扁平。虹彩は黄褐色で、瞳孔は丸い。犬歯および歯根は小型だが、これにより鼻腔が広くなり呼吸量を増加させると共に獲物に噛みつきながら呼吸がしやすくなっている。爪をおさめる鞘がなく、爪を部分的にしかひっこめることができない。これにより爪がスパイクの役割をして、速く走ることに適している*4
ヒットダイスは低めだが、移動速度は速い。さらに加速可能。

ジャガー

原語はJaguar。
体長は2.7m以下、体重100kg以下。尾はやや短い。体色は淡黄色や黄褐色で、黒い斑点の周囲に黒い斑紋が囲む形状の斑紋が入る。黒化個体もみられ、特に低地の熱帯雨林に生息する個体群でみられることある。
頭部は短く、丸みをおびる。指先は幅広く接地面が大きくなることで体重が分散してぬかるんだ場所を移動したり、水を多くかくことで泳ぐのに適している。
現存するネコ科では本種が最もスミロドンの体型に近いともいわれる*5
ヒットダイスは低め。移動速度は速い。条件付きだが、前肢だけでなく後肢でも攻撃可能。また不意打ち確率も高め。

リンクス

原語はLynx。
体長は80~150cm、体重10~30kgほど。オオヤマネコ属最大種。毛皮は灰色から赤褐色で黒い斑点がある。背面には斑紋がないか、不明瞭。毛皮の模様の個体差が大きく、斑点のない個体と多くの斑点をもつ個体が近くで棲息していることもある。
森林や低木林・ツンドラ・岩の多い山地・半砂漠など、様々な環境に生息する。開けた環境は避けるが、森林や農地や点在する環境で獲物がいれば都市近郊や農村部にも生息する。
シカやイノシシ、ウサギの他、鳥類や齧歯類、両生類、魚類などを捕食する。家畜を襲うこともある。徘徊して獲物を探したり、待ち伏せして通りかかった獲物に襲いかかる。
主に夜行性で、成長すると単独で生活する。発する声は非常に小さくめったに聞かれることはないため、本種の生息地域の調査が、何年も不明であるケースも珍しくない。これらの特性から、獲物の食べ残しや足跡が確認されても、実際に生息が確認されるまでに長い年月を有する場合もある。本種は、隠れたり獲物を追跡することに有利な、起伏に富む樹木の多い土地に生息している。平均して1頭あたり20-60km²の縄張りをもち、一晩に20km以上移動することもある*6
ヒットダイスは低め。移動速度は速い。「跳躍力があり、木登りと水泳を得意としている。」とあるが、それに関しては他に記述がない。不意打ち成功率は高い。

スポテッドライオン

原語はSpotted Lion。
この場合のspottedは斑の、しみのついた、傷のついたという意味になる。
皮膚に斑の模様がついたライオンだが、体格は普通のライオンより大きい。基本的にはロストワールド地域で生息している。
体格が良いため、ベーシック・ルール・セットのライオンよりヒットダイスが高い。

ワイルドキャット

原語はwildcat。ヤマネコや野良猫、転じて乱暴者や意地悪女などの意味もある。
野生の猫で、飼い猫とほとんど同族。ただし、大きさは普通の犬と同じくらいという設定となっている。
ヒットダイスは低く、ダメージも僅か程度しかない。
まぁ、クラシックD&Dのゲームシステム上、低レベルでは野良猫相手でもあっさり死ねるわけではあるが。

アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ

原語は「Cats, Great」。
モンスターコンペンディウムでは1枚の紙の表裏2ページを費やしている。
全種類共通の解説文は「大ネコは、総ての肉食獣の中で最も敏腕である。」の一文のみで、以後は属する各種の大ネコについての各種解説となっている。
食性は肉食性、知能は動物並み~極めて低い(ジャイアント・リンクスのみ例外)、アライメントがTN(トゥルー・ニュートラル)、財宝なし、アーマークラス5~6、移動速度が12~15、ヒットダイス3~8未満、攻撃回数3回+後ろ足2回(追加攻撃)、不意打ち確率減少、モラルが平均的であるという点でほぼ共通している。
共通する特殊攻撃である「後ろ脚2回」は、前肢2本による攻撃が両方とも命中した場合にのみ、後ろ足による追加攻撃が行えるというもの。

チーター

全長4フィート強の細身な体格。砂のような色の毛皮は黒い斑点があり、先天的なカモフラージュ能力となっている。
チーターのみの特性として、3ラウンドだけ移動速度を3倍に加速することができる。加速が終わった後は3ターンの休息を必要とする。
暖かい平原や草原に棲む。人間は基本的に襲わないとされている。

ジャガー

ジャングルに生息し、樹上で過ごすことが多い。孤独な性質で、出現数は番の2体までであり、番がいる場合は幼体がいることがある。
筋肉質な体格と明るい黄色から茶色がかった赤まで様々な色の毛皮を持つ。毛皮は黒い斑点で覆われている。
その性質上、頭上からの奇襲を得意とする。

レオパルド

長い胴体とやや短めの脚を持ち、体色は淡黄色~黄褐色で斑点をもつ。
ジャングルや熱帯雨林に棲み、泳ぎや木登りが得意。また20フィートもの跳躍力を持つ。
活動時間は常時ではあるが、自身が狩られる環境下では夜行性となる。

ライオン

大ネコの中でも最も大きく、強いとされる。毛皮は黄色~金褐色で、オスは流れるようなタテガミを持つので見分けるのは容易い。
暖かい環境を好む。数匹の群れで暮らしているため出現数が他より多く、狩りの際には複数が協力し合う。ただし木登りや泳ぎは不得意。

マウンテン・ライオン

温帯の山や森などに生息する大ネコ類。
基本的に独居性であり、それぞれが別々の縄張りを持っていたりする。ライオンの名を持つが、タテガミのような分かりやすい特徴はなく、やや小柄。その分、ライオンよりも好戦的ではなく、注意深い。また適応能力が高く、巧みに逃亡するとされる。

スポッテッド・ライオン

ライオンのぶちの種で、より大きく、より好戦的とされる。
出現頻度は希であり、更新世時代の平原に生息しており、それ以外の場所で見かけることはほとんどないと解説されている。
この大ネコの項目の中では、ヒットダイスがスミロドンに次いで高い。

ジャイアント・リンクス

外見の特徴としては「その垂れ下がった耳と頬、短い切り尾、ぶちのある体色のため、容易にそれと判断できる。小柄な筋肉質の体と思い脚、そして不釣り合いなほど大きな足をしている。」と解説されている。
モンスターコンペンディウムの大ネコの中でも例外的に知性が高く、独自の言語までも有している。罠を見分ける能力をもち、環境に対する適応力も高い。
生息域は亜寒帯の森林が主で、出現頻度は希、社会構成は独居性となっている。

タイガー(トラ)

大ネコの中も大柄な体格で、赤みがかった橙色で黒い縞模様が入った毛皮を持つ。
この大ネコは主に樹木の多い場所に住み、亜北極~熱帯にまで広く生息する。気まぐれな大ネコの中でも最も行動の予測ができないとされ、人間を襲うことを躊躇わないとされる。

スミロドン

「正確にはネコ科の動物ではないが、サーベルトゥース・タイガーと呼ばれるこの動物は多くの点で類似している。スミロドンは、凄まじい傷を与える6インチの牙で知られている。」と解説されている。
亜寒帯~熱帯に生息し、社会構成は独居性、活動時間は夜間とされている。更新世時代にしか生息していないと解説されている。
大ネコの中ではヒットダイスが最も高い。また強力な顎と鋭い牙により、噛みつきのダメージが高いだけでなく、命中判定にもボーナスが付く。

キャス・シー

日本語未訳。AD&D第2版では未訳のサプリメント「Elves of Evermeet」で初登場、後にMonstrous Compendium Annual Volume IIに再掲載された。
フォーゴトンレルムに存在するエヴァーミートに生息する大ネコ型クリーチャー。
外見は大きな金の目とふさふさした大きな耳を持つ緑茶色の猫型クリーチャー。ただし大きさはマウンテン・ライオン並みであり、体重は400ポンド(約181kg)もある。
他の大ネコ類同様、待ち伏せに長けており実戦では狂暴に戦う。
基本的に単独で過ごすが、つがいができた時はしばらく夫婦で行動するし子供が生まれたらつがいと家族を守るため更に狂暴になる。
単独で暮らしている時であれば、たまにエルフと友誼を結ぶことがある。ただしこの関係は長続きするとは限らず、キャス・シーの気分次第ですぐにいなくなってしまうことがある。
一般情報は以下の通り。
気候/地形は森林。出現頻度はまれ。社会構成は独居性。活動時間は常時。食性は肉食性。知能は低い。アライメントはCN(カオティック・ニュートラル)。ただしグッドに近い傾向がある。
ヒットダイスオーガに匹敵する。移動速度は非常に速い。モラルは優秀。
攻撃手段は前足の爪2回と噛みつき1回。さらに条件付きで後ろ足の蹴りが加わる。防御力はそれなりに高いが、さらに若干の魔法抵抗力を有している。なお家族を守るために狂暴化した場合、命中判定とダメージにボーナスが加算され、モラル・チェックが不要になる。
最大の特殊能力は、生来に備わっている「テレポート・ウィズアウト・エラー」の呪文と同じ瞬間移動能力。これにより不意打ちや逃走の成功率が高い。
原語のCath Sheeの意味や元ネタは不明。日本語では「ケット・シー」と読めなくもないが、ケット・シーの英語はCait Sithなので割と違う。

関連用語

アニマル


*1 ウィキペディアの記事より抜粋。
*2 ウィキペディアの記事より抜粋。
*3 ウィキペディアの記事より抜粋。
*4 ウィキペディアの記事より抜粋。
*5 ウィキペディアの記事より抜粋。
*6 ウィキペディアの記事より抜粋。