原語は「Thief Special Ability」。
シーフというクラスの最大の特徴とも言うべき技術。
大別すると、TSR社時代では一部ならバードも使用可能だが、全てを使えるのはシーフのみである。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社製の第3版ではローグ以外のクラスも技能を修得することが可能だが、一部の技能に関してはローグでなければ有効に機能しなくなる場合がある。
クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズ
新和版では「シーフの特殊能力」と訳されている。
ルールサイクロペディア版では単に「特殊能力」と訳されているが、「プレイヤーズ」142ページの能力の解説の表題では「盗賊能力」と訳されている。
以下の8種の項目がある。成功率は固定値で上がっていく。
新和版の表記 | メディアワークス版の表記 | 説明 |
---|---|---|
オープンロック (鍵を開ける) | オープン・ロック (鍵開け) | 「盗人用道具」を持っている時のみ、 1つの鍵につき1回だけ挑戦可能。 失敗した鍵は経験レベルが上がるまで再挑戦不可。 |
ファインドトラップ (罠を見つける) | ファインド・トラップ (罠発見) | 1つの罠に1度だけ挑戦可能。 発見したら「リムーブトラップ」に挑戦できる。 |
リムーブトラップ (罠を取り除く) | リムーブ・トラップ (罠解除) | 「ファインドトラップ」で発見した罠に対してのみ、 1回だけ挑戦可能。 |
クライムウォール (壁を登る) | クライム・ウォール (壁登り) | 垂直な壁や崖などの険しい面を登る。 失敗すると落ちる。 |
ムーブサイレントリー (音を立てずに動く) | ムーブ・サイレントリィ (忍び足) | その名の通り。 試す側は成功していると思っている。 |
ハイドインシャドー (影に隠れる) | ハイド・イン・シャドウ (影潜み) | 物陰に隠れる事で敵をやり過ごす。 試す側は成功していると思っている。 |
ピックポケット (すり) | ピック・ポケット (スリ) | 相手とのレベル差で成功率が変動する。 |
ヒヤノイズ (音を聞き分ける) | ヒア・ノイズ (聞き耳) | 聞き耳を立てる。騒音がひどい場面では使えない。 |
低レベルではまともに成功しないと考えた方が無難だが、それでも挑戦せざるを得ないのがD&D……。
シーフというクラスの見せ場と意識されているせいか、呪文やマジックアイテムによる代替や補強の手段がかなり乏しい。
アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ
「シーブズスキル」と呼ばれることもあるが、第2版の日本語版では統一されていない模様。
項目は8種だが、一部が変わっている。基本の数値は決まっているが成功率の上昇は数値の分配に、種族による修正と着用している防具による修正が加算されるため、キャラクターによる個性が出る。
以下は、基本的にクラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズから変わっている点を挙げる。
- ピックポケット(スリ):相手がスリに気づく可能性について明記された。成功率に相手の経験レベルが影響されなくなった。バード修得可能。
- オープンロック(鍵開け):鍵の状況により成否が変動する事と、一回の挑戦に1d10ラウンドを要する事が明記されている。
- ファインド/リムーブトラップ(罠発見/解除):成功率が統合された。それぞれの挑戦に1d10ラウンドかかる事が明記された。
- ムーブサイレントリー(忍び歩き):移動速度が1/3になる。
- ハイドインシャドー(身を隠す):隠れている間は全く動けないが、小さな動作のみ可能となっている。
- ディテクトノイズ(きき耳):1ラウンド動かずに耳をすませねばならない。兜などを被っているとできない。バード修得可能。
- クライムウォール(壁登り):特に変化なし。バード修得可能。
- リードランゲージ(解読):文書の解読できる割合は、成功率に等しくなった。バード修得可能。
1レベルの時点で60ポイントを分配、以後1レベル毎に30ポイントを上記8項目に分配する。ただし1つの項目に振り分けられるポイントは、もらえるポイントの半分までとなる。
このポイントの配分により、同じシーフでも個性が出る。反面、DMやパーティのプレイスタイル次第では役立たず扱いされるかもしれないので注意。
ダンジョンズ&ドラゴンズ第3版
TSR社時代の製品と違い、シーフ用の技術に含まれる能力は全て技能に集約された。
アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ第2版のシーブズスキルが、第3版のどの技能に対応するかを以下に記す。
- ピックポケット(スリ) → 〈すり?〉
- オープンロック(鍵開け) → 〈解錠?〉
- ファインド/リムーブトラップ(罠発見/解除) → 〈捜索?〉〈装置無力化?〉
- ムーブサイレントリー(忍び歩き) → 〈忍び足?〉
- ハイドインシャドー(身を隠す) → 〈隠れ身?〉
- ディテクトノイズ(きき耳) → 〈聞き耳?〉
- クライムウォール(壁登り) → 〈登攀?〉
- リードランゲージ(解読) → 〈解読?〉
選択の自由度は高いが、知力が技能ポイント数に影響するため、ローグはシーフよりも知力がはるかに重要になっている。