アルファベット表記:Spelling Arts
読み:はおん・じゅつ
分類:精素技術
発案者:tocoma110
【Tag: 精術 精素技術 波音術 発案:tocoma110 】
概要
波音を中心に用いる精術の総称。
精合術のような物質編成・変化ではなく、特定の精素現象を発現させることに重きを置いた技術。それ故に、医療・加工・力作業・戦闘行為まで幅広く利用されている。
波音術の効果は、使用する波音の種類・構成によって大きく変化する。
精緻な効果を期待するのであれば、長々と波音を放ち、精素の力に逐一指示を出し続けなければならない。それは非常に細やかな配慮を行き届けさせることが出来るが、術者に強い消耗を強いることとなる。
一方で、簡潔な現象・効果のみを求めるならば、極めて少ない手順で現象を呼び起こすことも可能。ただし、こちらは出力結果がある程度限定されやすい他、柔軟な対応を難しくすることもあり、一長一短である。
そのため、波音術を操る者は必要とされる場面ごとに、どの形態の技術が必要か見極めらる力を求められる。
- もっとも、実際にはある程度細分化・専門化していることが多く、大抵は用途ごとに役職が決まっている。
種類
波音術は大別して、
- 波音言語を用いる「詠唱式」
- 単発音による「短音式」
- 楽器による演奏形式の「演奏式」
- 複数を合わせる「唱和式」
の四種に分類することが出来るとされる。
とはいえ、実際は単独で存在していることは少なく、大抵はいずれかのその性質を備えつつ、主体となるもので切り分ける形がほとんど。また、精紋回路と呼ばれる特殊な図式を用いる形式もあり、その流派で得意とするものも異なる。
- 波音を強く用いることから精合術よりも速攻性と即応性が高く、また物理現象の発生に優れるため、様々な現場での即時対応や技術として広く利用されている。
- その性質上、精素に関わる知識のみならず、それに対応した音域・音階・音質を理解し感知出来ねばならない。さらにそのの組み合わせの旋律も再現出来る必要があり、波音術を真っ当に修めるには個人のセンスと優れた聴覚器官が求められる。*1
基本的には事態に合わせて固有の音を奏でることが最良とされるが、即効性・速射性が求められる場面ではそうもいっていられない。そのため、多くの流派で共通する『型』が存在する。
- 広く用いられる術式は、大半がこの発現形式に則っており、流派の垣根を超えた共通技術として知られている。
詠唱式(Aria Style)
口頭で波音言語を用いて紡がれる高度な口頭連続発生型の波音術。
最もよく知られる波音術。
- 最大の特徴は波音言語による複雑な術式の任意構成と、アドリブを利かせられる即応性の高さ。
応用性の高さでは随一の代物であるが、真価を発揮するためには、複雑な文法や波音言語の正確な発音の習得が必要。花形であると同時に、極めて苦しい茨の道が待っている技法でもある。
その上、波音杖の性能にも左右されるため、習得・使用に掛かる問題は多い。しかし、それを踏まえてなお魅力的な適応範囲の広さを誇る。 - 歌唱のセンスが求められるように、優れた使い手の詠唱は素晴らしい歌のように聞こえる。
- 基本的に波音声帯を備えない種族は地声で扱うことは出来ないため、効率よく波音言語を変換する波音杖を使用することとなる。
精密制御を可能とする点から、救急医療現場・繊細な加工・危険度の高い調律など、細やかな気配り・臨機応変な対応が求められる場面に強い。
- 臨機応変な対応に強い一方、速射性を求められるような場面で用いられることは少ない。とりわけ、即効性とともに即時即断が求められる戦闘中は、用いることが難しい。そのため、もっぱら軍用・戦闘用ではなく医療用・加工用・調律用などの術式が多い。
- しかし、それらの場面でも使われないかというと、そうでもなく、短音式の補佐に使用される場合もある。
短音に式にちょっとしたバリエーションを与えたり、方向性を強化・幅を持たせるためのサポートとして利用するもので、こうした技術は特に秘境開拓者の間で研究されていった。こうした技術は「補助詠唱」と呼ばれる。
- しかし、それらの場面でも使われないかというと、そうでもなく、短音式の補佐に使用される場合もある。
短音式(Single Style)
単発ないし、複数ないし、連続しながらも短い波音で現象を起こす、最速の手法。
- 特定の効果を起こすことに特に向いた手法であり、即応性を求める場面や、断続的に効果を発揮するような用途に特に強い。その一方で複雑な効果を起こすことは極めて難しい。
単純な効果の術式であれば連続して用いることが出来るため、連射性と単純さを武器とする技法といえる。- 多くの場合、これらは器具を用いるのみで起こすか、短い波音言語を波音杖に伝える形で利用される。
そのため、下手をすれば一切波音の知識なしでも行使することが可能である。
その安直さゆえに若い波音術士の中では軽視されがちだが、これを正しく使いこなすことで、初めて他技法の基礎を築くことが出来る。精術を修める上では基礎的な技術であり、これを軽視するものでは、決して波音術を修めることは出来ないとまで言われている。
- 多くの場合、これらは器具を用いるのみで起こすか、短い波音言語を波音杖に伝える形で利用される。
- なお、一般的な精具は単純な機構の短音式か、極めて簡素な演奏式である。
利用現場は工房内の連続単純加工工程から、戦闘行為、日用的なちょっとした行動まで様々。手短に行える故に、ある意味最も身近な波音術と言っても過言ではない。
器具を使う場合は単独効果のみであることがほとんどで、精々が出力を調整する機能がある程度。しかし、波音言語使用短音式は多少のアドリブを聞かせての利用が可能。
演奏式(Perform Style)
道具から直接波音を長時間紡ぐ手法。
- 所謂楽器演奏系に近い形態であり、短音式と異なり口頭での波音発生を一切含まない点が特徴。
詠唱式と比べるとアドリブ編成が出来る範囲がやや狭く、その点では精緻な構成には一歩劣ってしまう傾向にある。
しかし、長時間音を出し続けやすいという点から、繰り返しが必要な術には滅法向いている。特定の効果を継続して発揮する事態ではぴか一の効能を発揮する。 - こちらは楽器演奏に近いセンスが求められる。
なので、楽器を自在に操れるほどの音楽的センスがあれば、細やかな制御やアレンジもある程度可能。しかし、そもそもの波音の構成が波音言語と比べると見劣りすることが多く、楽器演奏技術難易度も相まって、あまり主流な利用形態とは言い難い。
その特性から、大規模な加工現場や用途・範囲が決まっている調律行為、継続的な医療行為に用いられることが多い。
- 中には獲物に武具を突き刺す・固定し、直接破壊波音を叩き込むというとんでもない戦闘スタイルを行使する集団も存在する……という噂もあるが、詳細は不明である。
唱和式(Singing Style)
三種を完全に複合させた、上級波音術。
- 異なる系譜を取りまとめることで、複雑怪奇な構成すらも操ることが可能となる、まさに魔法のような技法。
極めて強力な術が用いられるようになる一方で、息を合わせ明確な波音共鳴や波音調和が必要になり、術者同士の連携が肝要となる。
そのため、技量以上にその関係性が重要となってくる。 - 単に短音式を高等波音で補助する、といった程度の技術は含まない。三種すべてが明確な役割を果たしながら、混然一体となって、いくつもの層を持つ波音を奏でることが条件となる。当然ながら、それほど複雑な波音を形成することは極めて困難である。
- そのため、これを即興で行なえるような術者は超一流とされる。
基本的に一般的なものからは程遠い術である。ほとんどが宗教的儀礼として存在する、儀式のようなものであり、大規模な調律行為など用途自体も限られてくる。
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