アルファベット表記:Ethertist
読み:しょうじゅつし
分類:職業
発案者:tocoma110
【Tag: 組織職業 職業 精術 精術士 発案:tocoma110 】
概要
文字通り、精術を利用するものの総称。
主体となる技術が波音術か精合術かは関係なく、一貫してこの表記となる。
- 第二次魔北大戦までは精術・精素学の研究が発展していなかったため、大半が宗教的地位にあるか逸れ者であったが、大陸秘境開拓時代の幕開け共に爆発的にその人口を増やすこととなり、大陸歴1500年代後半から一気に精術が普及し、民間での精術士が増加することとなる。
なお、一般的には『技術として精術を利用する者』を精術士、『精素学の研究や教育を主体とする者』精術師と呼称する。
目的
精術を用いる、ないしその性質を解明すること。
精素の利用者か研究者下で細かな分類がなされるべきではあるが、長らくこれらは不可分なものでもあった。
沿革
この世界に精素がある以上、精素の利用者自体は必然的に誕生していた。
しかし、大陸歴以前は各地の文明自体がまだ未発達であったほか、第一次魔北大戦による精素利用への恐怖心から、大陸全体でその発展に大きな妨げが発生してしまう。
そこに信仰や宗教が絡むことで、精術の存在自体が特別視される歴史が続いた。長らく神官・司祭・僧侶と言った宗教的教導者や、一部の王族・軍人階級、特殊な薬師など限られた者の間でだけ、限定的な研究・習得が続き、その本質の解明や科学的な見地からの追求は起こらなかった*1。
そのため、正規の精術士は宗教関係者など極一部に限られ、精素研究に熱を注ぐ者は妖術師・魔法使いと奇異の目で見られていた。
しかし、その歴史に大きな転換点が来る。
第二次魔北大戦の幕開けである。
当時の大陸同盟をはるかに凌駕した高度な精素技術を用いる魔北種族を前に、遂に同盟各国は禁忌であったはずの精素を操る技術の研究に乗り出す。
それに伴い、神秘・恐怖の技法であったはずの精素制御技術はただの技術となり、戦争の中で大きな発展を見せることとなった。
敵の技術さえも利用し目覚ましい発展を遂げた人類側の精術は、魔北に対し大きな痛手を負わせ、状況を一変させる。
そして、遂には魔北種族相手に二度目の勝利を収めるまでに至る。
ここを境に、精素に対しての人類のスタンスは大幅に変化する。
「精素は利用出来る資源であり、危険を伴うが制御出来ない神の意志ではない」
大陸中に瞬く間に広がり、精素研究は各地で一大ムーヴメントを巻き起こす。それに伴い、精素を利用したいと考える者の数も爆発的に増大。結果、急遽として精素を教育/研究する機関や設備が拡充していく。
大陸歴が1500年の半ばを過ぎる頃には精術への忌避感はほとんど過去のものとなり、日常生活に強く結びついたものとへと変わっていった。
そして、精術士という存在も市井に受け入れられ、一般的な技術者として成立することとなる。
- ただし、この考えが普及した後でも信仰との関係が切れたわけではなく、「神のもたらした力」というイメージは根強い。
そのため、未だに精術士の中には信心深いもの珍しくなく、辺境などでは今も司祭職などの人員が精術士としても活動している。
特徴
当然、精素に対しての知識が深く、取り扱う技術のエキスパートである。
とはいえ、その熟練度は個人による。
特に、派手な精素現象を巻き起こす波音術の使い手はその音楽的センスや波音発生スタイルに付随する歌唱ないし演奏技術が不可分のため、他の技術研究職・技術行使職とはいささか異なる面を備えている。
また、波音術・精合術どちらであっても別種の分野に関する知識が求められるため、生半な知識では有意義な利用は困難。そのため、ほぼすべての精術士は大規模な学術機関で学ぶか、高額な月謝を払って私塾で習熟させていくことがほとんどである。
- そうした背景から精術士の多くは金銭的に裕福な家庭のものか、何らかの幸運に恵まれている者たちで構成されている。極稀に直感的に精術を行使出来る存在もいるが、そういうものはえてして「天才」と呼ばれる類である。
- ただし、ある程度までの基礎知識は民間の技術者が講習会を開くこともあり、学習の機会がないわけではない。また、秘境開拓関連の事業に携わると自然と接する機会が増えるため、大陸秘境開拓時代ではかつてとは比べ物にならないほど、知識に触れる機会は増えている。
一般に、波音術の使い手は用途に合わせて使用する波音杖を使い分けることが多い。
これは目的に合わせてより正確な効果をもたらすためであり、精緻な効果を求められやすい詠唱式ほどその傾向が強い。
それは同時に作業に大きな集中力と体力を求めることも意味しており、波音術の使い手はそのコンディション管理も求められる。実際、ある程度は体力仕事であり、花形と言われつつもその技術行使のための条件は、なかなかにシビア。
- また、波音利用の性質上、音楽的な知識・技術・センスを求められることが多い。
それ故に、波音を扱う姿と相まってある種の芸術性を求められてしまうこともあるなど、花形なりの苦労も伴う。
一方、精合術の使い手はどちらかと言えば薬師や鍛冶師など、手工業者に近い。
使用する器具もそれらに通じるものが多く、在り様としては波音術士と比べるとはるかに地味。しかし、彼らが作り出す様々な薬品・器具は(大陸歴1400年代末期以降は特に)人々の生活には欠かせないものとなっているため、存在感は非常に大きい。
- 基本的には研究者・技術者気質の色が濃く、波音術の使い手と比べ芸術性などとは無縁。
その代わり、植物学・薬学・鉱物学など幅広い知識が求められる職業ともいえ、学習すること自体にひたむきな性質が求められる。学術的なセンスや熱意が非常に強く求められる形態でもある。
戦闘・秘境開拓に関する波音術の在り方について
多彩な状況に対し、多様な選択肢が求められる戦闘行為・秘境開拓行為においても、精術──特に波音術の重要性は決して小さくない。
第二次魔北大戦にて証明されたその有用性は、大陸秘境開拓時代においても変わることなく受け継がれ、さらに洗練されていくこととなる。
そのため、戦闘・秘境開拓に従事する精術士は珍しくない。
だが、その特性は一般的な精術士と比べるとかなり特異となる。
基本的に、戦闘や秘境開拓では長々とした詠唱式や演奏式を用いることはまずない。
細かな制御を行なうには事態があまりに急変しやすいため、これらで対応するには時間が掛かり過ぎるのである。*2
そのため、多くの戦闘精術士・開拓精術士は短音式を中心とした形で用いる。
かつ、予測される効果を明確にするために多くの術者は基礎形式と呼ばれる、『型』にはめられたタイプの術を使うことを好む。
- これは効果が明確であるのみならず、使用する波音杖や精具のアレンジがしやすいことにも起因している。通常の波音術のように用途に合わせての使い分けをする間がないことから、ある程度一つの道具で複数の術を行使出来る体制を整える必要があるためである。
その結果、戦闘や開拓行為といった即効性が求められる現場では、本来波音術の使い手に求められる精緻さ・アレンジ力以上に、速射性が重要となる。
戦闘や秘境開拓を行なう精術士は、万能型の詠唱式波音杖よりも術式切換型携行波音杖を携帯する。
一般的な詠唱重視の波音杖は組欄や部隊の中で特定の役割を持つ者だけが携帯することで、役割分担を明確にし、機動性を確保する。
また、戦闘方式としては片手に近接装備、もう片手に携行波音杖を持つスタイルが主流。
そもそも、波音杖自体が直接戦闘用の強度を保っていることの方が珍しいため、多くの場合は戦闘用の改造を施している。軍属の場合、戦闘専門の波音杖・精具を多数携帯していることがほとんどで、それらと一般武装を組み合わせて戦う。
評価
旧来こそ聖職か異常者かのどちらかであった精術士だが、現在では専門技術職として広く認知されている。
というよりも、一技術習得者に過ぎないという方が正確であり、1600年代に入る頃には、ただそれだけでは別段どうと言われることも激減している。
どちらかと言えば、「その精術で何をしているか?」の方が重要である。
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