千幻抄シナリオ「奥津に灯す」

Last-modified: 2010-03-13 (土) 00:45:14

千幻抄シナリオ「奥津に灯す」

シナリオの傾向がわかりにくいということで、実際にプレイしたシナリオについて文章にしてみました。

私(PhasmoPhilia)自身の傾向として、PCに対応させて詳細を詰める部分が多いですので、この文書だけではシナリオソース程度となります。

シナリオ概要

一言に収めるならば、「祖先の行いのせいで怨霊に呪われてしまった女の子を助けて、怨霊を解放するお話」となります。

女の子は人里の出身で、特殊な能力のない一般人です。PC達は女の子が怨霊に襲われているところに出会うなどして、女の子を助けることになります。

もともと怨霊は封じられていたのですが、地底の妖怪が偶然見つけ、解放してしまいました。その怨霊の力を自分で利用しようとしたところで、怨霊が暴れ始めてしまいます。妖怪を懲らしめ、怨霊を解放することで女の子を助けることができます。

背景の説明

最初に主な登場人物を紹介しつつ、事件の背景を説明します。

奥津姫

怨霊達の姫です。地下の墓所で怨霊を抑える人柱にされています。

家臣が怨霊ばかりになってしまったことに心を痛め、何とか止めたいと思っていますが、怨霊を封印する要の人柱として縛り付けられているので何も出来ない状態です。

お硫が持ち出した人形だけが現状では唯一の介入手段になっています。誰かに見つかるように、人形が自分から道ばたに落ちるよう操りました。

怨霊

沙知の先祖との争いに敗れ、一族を全滅させられた家の怨霊です。

地下の墓所に封じられていましたが、火車のお硫に解放されたことで、沙知を呪い殺そうと動き始めてしまいます。奥津姫を除いて妄執のみに縛られているので、行動は機械的とすら言えるでしょう。表側の入り口は竹林の一角にあり、永遠亭周辺、迷いの竹林の結界内です。開けるには交渉が必要となります。(やゑがこっそり利用しているためでもあります)

最近、地盤が崩れたせいで、地底から繋がる穴の1つが入り口になっていたりもします。

※なお、怨霊の出現など話が重いですが、「背景は重く、現在は軽めに」というのは東方のノリとして許容範囲だと考えています。(今回の話がそこまで軽いかというと、そうでもありませんが……)

お硫

お燐より若い火車です。髪の毛(猫の姿の時は体毛)に蒼が混じっていて、硫黄の火の色に似ていることから名付けられました。猫らしく気ままで好奇心旺盛ですが、肝心なところで人に流されやすい一面もあります。

ある日、地底から見つけた穴を辿って、怨霊の墓所を見つけます。そこでたくさんの怨霊を従えることができたのですが、お空の話も知っているので、どうしようかと迷っていたところをやゑと出会い、護符に封じ込めて玩具として売ることを持ちかけられました。
何か怨霊がおかしな動きをしているのはわかっていますが、どうしたら止まるのかもわからず、さとりやお燐に怒られるのを恐れながら何とかしようと行動中です。

人形を持ち出したのもお硫です。とはいえ、何に使えるのかはよくわからず、軽い気持ちで持ち出して、無くしてしまったことも特に気にとめていない状態です。

やゑ

竹林に住む兎で、人の姿を取ることができるようになった一匹です。人型の時の見た目はてゐよりも年上ですが、比べれば当然かなり若い妖怪です。普段の姿は和装を好みます。

てゐに影響を受けているのか、ほっつき歩いて悪戯やちょっとした悪巧みばかりしています。若い内は色々やらなきゃ、などと普段から言っており、てゐとは違ってやることが見境無い傾向があります。今回のシナリオでは、悪役の立場を被ってもらうキャラです。

お硫が地上に遊びに来てからの知り合い(悪友?)で、今回も商売の話を持ちかけました。儲けが出るので特に止める気はなく、「多少大事になったらなったで異変を起こしたことになって後々話の種になるし、妖怪としても箔が付く気がするので」今回は行きつくところまで行ってしまうつもりでいます。怨霊ぐらい自分で扱いきれると思っていたりもします。

力のある存在をずっと見てきたためか、陰陽術の知識を身につけています。怨霊の力をもっと引き出せないか思案中です。奥に祀られている姫(奥津姫)が何か使えるのではないかと思い、解放する方法を検討中ですが、奥津姫の思惑などには気付いていません。

上四条沙知

里にある旧家の娘です。割と由緒正しいらしく、倉などもある大きな家です。

今回の話では被害者に当たります。弾幕ごっこなどをする能力は持っていませんが、芯の強い性格です。怨霊に襲われながら、奥津姫の夢を見るうち、背景の理由を知りたいと思うようになります。

幽々子

黒幕……というわけではありませんが、物語の流れをコントロールする位置にあります。怨霊が動き出したことで、墓所の開放に気付いています。原作の登場キャラとしては、今回のシナリオでは一番重要な位置にあるとも言えます。

自分の生前のことを理解している訳ではありませんが、本人も気付かないどこかで奥津姫と自分に重なるものを感じており、奥津姫を解放してあげたいと思っています
そのためには怨霊を適度に暴れさせ、なおかつ奥津姫の封印が解かれるのが一番と考えています。

奥津姫に対する無意識の同情が動機ではあるものの、彼女にとっては一種の遊びのつもり、と思っています。自分が手を下してもつまらないので、やゑとお硫を泳がせて怨霊の力を使わせつつ、PCがぶつかって解決するように誘導するのが今回の目標です。

シナリオ進行

幾つかのフェーズに分けて、シナリオの進行を説明します。もちろん、何が何でもこの通りに進行させる、という訳ではありませんし、プレイヤーの自由な動きに対応できるよう、いくつか予防線として用意してある場面もあります。

なお、シナリオを考えた時点では既にPCができあがっていたので、PCに対応させる形で作成している部分があります。実際にこのシナリオを遊ぶ場合、PCに応じてアレンジすると良いでしょう。

PC構成

PC構成としては、以下のような立場のキャラクターがいると想定しています。

  • PC【A】:人間、または人間と仲の良い妖怪です。キャラクター作成時に「沙知の友達」としてコネクションを設定してもらいます。
  • PC【B】:人間、または里に出入りする妖怪。阿求や慧音とコネクションを持つ。
  • PC【C】:妖精、または妖精やその他気ままに過ごしている妖怪と親しい妖怪。
  • PC【D】:妖怪。喧嘩仲間の妖怪がいる。
  • PC【E】:特に絞りませんが、出歩く機会のある人間や妖怪。魔法使いなど、特殊な物品に興味があると良いです。

導入

  • 導入【A】:沙知が最近体調を崩している、という話を聞きます。遊びに来る約束の場所に来ない、という話でも良いでしょうし、人間であれば寺子屋に通っていることにして、休んでいるという話を慧音から聞いても良いでしょう。
    さらに、沙知に会いに行くようにしておきます。
    • 一緒に遊んでいる友達にお見舞いに行くよう誘われる(妖怪などであれば、こっそり、ということもあるでしょう)、
    • 慧音に様子を見に行くように頼まれる
      等の方針が考えられます。
  • 導入【B】:阿求または慧音から、怨霊の玩具の話として、妖精や里の子供、一部の妖怪までが良くない護符を持っていることを聞かされます。悪い幽霊が出てきたりする、ということです。ちょっとしたお呪いや脅かし程度ですが、時々少し危険な場合も起こっています。
    さらに、誰がばらまいているのか、もし見つけたら教えてくれるよう頼まれます。
    「気になったことを少し話してみる」程度であれば、他のコネクションでも構いません。魔理沙や霖之助でも同じ役を割り振ることは可能でしょうし、命蓮寺のメンバーなどでも良いでしょう。
  • 導入【C】:【B】と同じような話ですが、妖精または妖怪の側から話を聞きます。妖精であれば大妖精、妖怪であれば(こちらは目撃談と「最近気がかりなこと」として)ミスティアやリグルなどの「はっきりした立場を持っていない妖怪」が適切です。
  • 導入【D】:「本人が呪われてしまう」巻き込まれ型の導入です。喧嘩仲間の妖怪がやゑから護符を買って、仕返しに呪いをかけた、というのが真相です。
    悪霊に襲われる、というのが一番わかりやすい展開ですが、最初は「明らかに不運が続く」というシーンでも良いでしょう。
  • 導入【E】:人形を拾います。奥津姫が沙知を助けて怨霊を止めるために操っている人形で、お硫が落とした物です。
    長い間怨霊の塚に納められており、奥津姫の想いを受け止めてきただけあって、この人形も一種の呪物となっています。蓄積した不吉な気配と切実な思いを感じさせます。

Phase1

調査フェイズその1です。導入の続きでもあり、「本格的に事件が起こる前のひととき」とも言えます。
スムースな進行を重視するなら、ここで得られる情報を導入に含めてしまっても構いません。
また、この時点でPC同士が出会うように動くのであれば、そちらを重視しておくと良いでしょう(個別のシーンでは時間がかかりやすいオンラインセッションならば、多少無理をしてでもパーティーができるよう進める方が適切です)

  • お札に関することを調べる【B】【C】:お札に関しては、やはり売っている者がいるらしい、ということがわかります。妖怪や人間の間で噂になっています。この時点では「売っているやゑ本人に出会った」という話は出さないで置いても良いでしょう。
    妖精や妖怪からは、「最近は人里の方に出る」という情報も聞けます。phase2では全員集めておきたいところなので、人里の方へ誘導します。
  • 妖怪仲間への聞き込みなど【D】:「最近喧嘩仲間の妖怪のうち1人が『仕返しに良い物を手に入れた』と言っていた」といった情報が手に入ります。呪いをかけた妖怪はお札の噂を聞き、人里付近を探してやゑに出会っていますので、そちらで目撃情報があります。
    特に聞き込みなどをしない肝の据わったPCの場合、「怨霊の気配が人里の方から」と言って誘導してしまうと良いでしょう。これはphase2で沙知を襲いに来たところです。

※以下は、「怨霊の襲撃直前」に発生するイベントで、上記のシーンとは時間的に後になる場合があります。

  • 人形【E】:人形が人里に行きたがる素振りを見せます。沙知を助けに行こうとしているためですが、これはPCにはわかりません。誰か詳しいキャラクター(アリスや雛などがコネクションにいれば、特にそう考えるでしょう)に見せに行くことが考えられますが、ここは人里への誘導を優先します。導入から直接こちらの展開へ繋いでしまっても良いでしょう。
  • 沙知の様子【A】:沙知の家を訪れます。沙知自身は多少気分が良くなってきていますので、妖怪などの友達の場合は家を抜け出してきて会っていることにしても良いでしょう(こっそり呼ぶ暗号が決まっていたり、といった設定を付け加えてしまうと楽です)。余裕があれば沙知との会話をロールプレイしておきます。PC【A】には沙知を助けるという目的を持ってもらいたいところなので、親しさの演出は重要です。沙知からは「おかしな気配」などを話させておきます。

Phase2

怨霊の襲撃があります。PCがそろったタイミングで起こし(あるいは、PC達が人里に集まったタイミングで。時間に曖昧さを持たせて進行し、「PC達が人里に行っていたタイミングが偶然一致していた」といった形で話を進めるのが良いでしょう)、シナリオへの本格的な導入を行います。

沙知とPC【A】が喋っているときに、「寒気がするような気配」に気付きます。目標値15程度で感覚判定を行い、気付いた場合は早めに備えていられる、としておくと良いでしょう。

家の背後の木立から、壁をすり抜けるようにして怨霊が現れます。
弾幕ごっこのシステムで2~3ターン程度戦闘を行います。
「怨霊は殺意を持っているが、能力が弱いのでPC達にとっては弾幕ごっこ程度の戦闘力でしかない」と伝えてしまって構いません。
2ターン目の時点で、近くを通りがかっていた他のPCが異様な気配に気付き、参戦することができます。
人形に導かれている【E】を優先すると良いでしょう(他のキャラクターは3ターン目でも良いです。3ターンまでに最初に出した怨霊が全滅するなら、増援を出します)
明らかに怨霊のような姿を描写すれば、そのキーワードで【B】【C】【D】を呼び込めるでしょうし、PC間のコネをきちんと作っておけば、それだけで戦いに加わる理由になります。

戦闘を楽しみたいならば、敵を強くするのではなく、沙知が危険になる条件を提示して守らせる、といった形の方がよいでしょう。
遮蔽を作る、カバーする、などの行動が考えられます。

見せるべき情報としては、

  • お札の呪いなどとは違うレベルで、強い恨みを持って動いている(PC【D】などが気付きます)。
  • 怨霊の台詞として、「積年の恨み」など。古風な雰囲気を出しておきます。
  • 人形が沙知を守っている、という事実。怨霊に沙知を攻撃させ、人形に「カバー」を行わせます。
  • 沙知は何も理由がわからない。状況にただ怯えているだけです。

その後の展開

  • 襲撃の終了後、目標値18で視覚の判定を行い、成功すればそっと林の木の上から様子を見ている猫(お硫)の姿に気付きます。
    姿の特徴(火焔猫の燃えるような赤い毛に一筋の青)を描写しておきます。
    お硫はすぐに逃げていってしまいます。かなり隠密の能力は高く設定してありますが、能力などの使い方によっては追いつかれる可能性があります。この場合、やゑを声だけで登場させ、[転移結界]で逃がしてしまいます。
    これで普通は追いかける手段はなくなるはずです。
  • 沙知は恐怖で気分を悪くしてしまい、その日は休むことになります。
    家族がやってくるので、友達でないPCには隠れるなどの対応を取ってもらいます。
    (声が聞こえた時点で飛んで逃げてしまえば問題ありませんが)
    人間の友達はその場に残り、場合によっては看病をするために側にいてもよいでしょう。
    しばらくすると慧音がやってきて、状況を聞き、沙知の家の周りに怨霊よけの結界を張ってくれます。
    PCには沙知を守るように頼んでおくと良いでしょう。
  • 他の妖怪などのPCの場合、付近に留まるならば、慧音が来たところで隠れる判定をさせ、発見してしまっても構いません。
    この場合、慧音は事情を問い糾すことになりますが、怨霊の話でほぼ白だと判明するはずです(PCに怨霊使いがいると面倒になりますが……)。人里に近いPCが居る場合は、事件の調査を依頼しても良いでしょう。
    慧音自身が動かないことについては、「今回の事件で他の人間が不安になっている。結界の維持もあるし、外に出ての調査は頼みたい」といった理由を付けておきます。
  • 事件終了後に遠くから様子を見ていた幽々子と遭遇します。
    人里から帰る途中、等がよいでしょう。
    「とぼけているけれど明らかに何があったかを知っている態度」を臭わせるようにして下さい。
    実際、怨霊の事情や奥津姫の思惑、やゑやお硫の動きなどは既に把握してしまっています。
    その上で、沙知を助けてあげないと大変なことになる、という事を示唆しておきます。
    「人形」「怨霊」「悪戯猫」「鳥鍋」「お札」などのキーワードをあからさまなぐらいに混ぜて、
    プレイヤーに調査する上でのキーワードを認識させておきます。
    (こういった「含みを持った会話」を意識させやすい、という点で、幽々子はシナリオの方向性さえ合えば使いやすいキャラと言えます。プレイヤーが勝手に深読みしてくれるところもあるでしょうから、調査する上でのミスディレクションにも使えます)

Phase3:調査2

本格的な調査のフェイズです。以下のような情報を与えていきます。

  • 沙知は翌日になって奥津姫の夢を見たことを教えてくれます。もちろん奥津姫のことは知りませんので、「着物を着た昔風の女の子が人形を持って泣いている夢を見た。怨霊に向かって、もう止めてと泣いていた」「自分に向かって(もう昔の事なんて関わりがないのに、と)謝るようにしていた」といった内容になります。
    沙知自身の口から「真相を知りたい」との気持ちを伝えておきます。
  • 沙知の家に関する調査:慧音も幻想郷外だった頃の歴史まで把握しておらず、家族が秘密にしているため阿求も詳しいことは知りません。
    沙知は事情を知りません。ただ、怨霊の恨みの強さを認識しており、さらにその後
    沙知の家族も事情を知りません。第一、警戒しているので聞き込みづらくなっていますが、心を読むなどの手段も考えられます。
    こうした手段に対しては、「倉を気にしている」というヒントを出してしまいます。
  • 倉は見ず知らずの相手に見せるわけにはいきませんし、沙知自身が望んでも既に危険にあっているので止めさせようとします。調べる方法は「こっそり忍び込む」ことになります。もちろん見つかると慧音に通報されて面倒なことになる可能性が高いでしょう。
    倉自体は敷地の外れの方にあり、家に張った結界から外れています(結界自体は怨霊よけであり、特に人間には反応しないので、調査すること自体は可能です)。扉には普通の南京錠がついている上に結界のお札が貼ってあり(里の能力者、あるいは慧音などに頼んでいます。特に今回の事件に対して、と言うわけではなく、こうした「鍵」をかけるのは幻想郷では珍しいことではないと設定しておきます)、魔法的な手段には目標値20の判定を必要とする上、普通に開けるとその事実がすぐに露見します。内部の換気のため、鉄格子のはまった窓があり、小さくなればここからの侵入も可能です。
    • 目標値20で[ディスペルマジック]等を使用させる
    • 目標値20以上で[テレポート]等を使用する
    • 目標値18で「鍵開け」を行う
    • 結界を解いた上で、金属性の[流動]などで鍵を変形させてしまう
    • [チェンジ]で体長30cm以下になれば侵入可能
    • 小型の物体を[生成]して[覚醒]させ、〈探索〉スキルを与えて代わりに探させる
      などの手段が考えられます。プレイヤーにはちょっとした謎解きとして頭を使ってもらいましょう。
      内部で目標値16の〈探索〉に成功すれば、古文書を見つけることができます。
      古文書を読むと、かつて先祖が滅ぼした家の事が書いてあり、当時怨霊の出現を畏れて封印したことがわかります。
  • 沙知に関しては、慧音などから、「PCの近くの方が安全か」との判断を与えてしまいます。
    沙知自身が「調べたい」という意志をはっきり伝える事にしても良いでしょう。
    家にいる沙知にPC【A】が付きっきりになってしまって出られない、という展開は避けます。
  • 古文書を見つけたときなど、沙知にはっきり「封印されているお姫様を捜して、自分が謝りたい」と言わせます。
    (謝って済むことではないと沙知も理解していますが、沙知が奥津姫にできることはそれぐらいですし、奥津姫自身はもう怨霊達を止めたいので、それで十分と言えます)
  • やゑは人里のあたりに出ていません。お札の噂を聞き込むと、兎が売り歩いていたという情報を得られます。
  • 目撃情報などから、PC【D】を呪っていた相手を捕まえることができます。妖怪仲間に聞けば「さっきどこそこにいた」等とはっきりわかることにします。
    特に戦闘などをする必要はありませんので、その場に行けば捕まえられたことにして構いません(面白くなければ、逃げるところを押さえる判定などを行ってもよいでしょう)。お札を売っている犯人として、やゑのことを知ることができます。
  • お硫の情報は、橙や地底の住人に聞かないと難しくなります。お札売りの情報ではやゑの方を優先し、達成値が大きい(20以上など)場合や特に深く聞き込んだ場合などは、やゑと一緒に猫の目撃情報があっても良いでしょう。
  • さらにお硫の事について絞り込んで探すなら、最近来るようになった地底の猫であることがわかります。姿の特徴を出すのは必須です。同じ猫の橙などに話を聞きに行く、など踏み込んだ調査をすればわかることにしても良いでしょう。
  • 地底まで話を聞きに行くのであれば、しばらく姿を見ていない事がわかります。お燐も行方を探していますので、地底の住人とのコネクションなどがあればその事実を伝えてしまって良いでしょう。お燐は独自に探していますので、特に合流することはありません。また、さとりは地底を動かない事にしておきます。お空は説得の余地がありそうなので、「最近ちょっと事故を起こしていて神様に酷く怒られ、自由に動けない」などと理由を設定しておきます。
    お燐は積極的に関わる理由があり、シナリオ上では逆に使いにくくなります。コネクションがあったとしても「独自に探し回っていて見つからない」として良いでしょう。
  • 魔法使いや巫女などに話を聞けば、呪いのお札について情報が得られます。単に怨霊を封じ込めて解放するだけのもので、うまく言うことを聞かせるような工夫は何もありません。「非常に大雑把な術の産物」ということがわかります。
  • 霊夢に話を聞きに行く場合、人形の背後の奥津姫の思惑について「凄く心配そうで、助けてあげたいと思っているみたい」「これ自体は禍々しくて良い気分はしないけど、悪いことはしなさそう」と答えてしまうと良いでしょう。理由は「巫女の勘」で済ませてしまい、それ以上は説明しません。ルール的には[神懸]だけで説明しても良いでしょう。(霊夢は「経過を飛ばして結果だけを示すことができる」点で、調査シナリオで面白い扱い方ができると思います)
  • 幽々子に直接会いに行くことも可能ですが、怪しまれても気にせず動こうとしない様子を見せます。
    明らかに楽しんでいる余裕を出していますが、PCには無理矢理聞き出すことは不可能です。
    (はぐらかしていることも納得されやすいキャラクターのはずです)
    幽々子の言動はヒントとしても利用可能です。PCの調査状況を見つつ、まだ見ていない情報があれば、不自然なキーワードを混ぜたりしてプレイヤーの注意を誘導すると良いでしょう。
  • 永遠亭に行って鈴仙や永琳に兎のことを聞いても、「好き勝手動いている連中がいるので、関知しきれない」との答えが返ってきます。
  • てゐは交渉次第です。やゑから上納金をもらっている。お金などでも情報を渡してくれる可能性はあるが、単に渡しただけでは「しばらく泳がせて金づるに」とでも思ってしまい、決定的な情報はくれません。「人里に怨霊が出るような面倒に巻き込まれかかっている+霊夢なども気にしているらしい(この辺りは嘘でも構わないですし、「霊夢に聞き込みをした」という事実だけでも良いでしょう)」ことを認識すれば、引き際と判断してやゑの情報を教えてくれます。
    とはいえ、居場所などを把握しているわけではありません。「人の姿になれる兎にそんなのがいて、最近そういう商売をしていると言っていた」という程度の情報になります。居場所を探すなら、対価を要求して良いでしょう。最初に「知らない」と答えてしまってから翻しても、てゐであればプレイヤーの納得は十分得られるでしょう。

Phase4:墓所の発見

墓所を見つける方法は幾つか考えられます。

  • 歴史を調べる:沙知の家の過去に関する事情がわかれば、歴史から情報を墓所の場所を調べることができます。
    慧音や阿求に頼めば調べてくれますが、時間がかかることにして、他の情報を集めさせておきます。
    セッション時間などに応じて調節しつつ、簡単すぎるように感じるならば調査にかかる時間を長引かせ、2度目の怨霊の襲撃や(まだ解決していないならば)PC【D】への攻撃などのイベントを入れておきます。
  • 怨霊を追いかける:時間が経過した場合(プレイヤーの情報の集め具合を見て)、2度目の襲撃を起こします。気配などで予兆を見せますが、結界に阻まれて帰って行くので、そこを追跡できます。この場合、竹林に辿り着くことになります。
    怨霊は地中へ消えていくので、そこから先は許可を取って探すことになります。永琳や輝夜は沙知の事情を聞けば許可をくれますので、簡単な交渉シーンのみ演出すればよいでしょう。
    ・やゑを探す:やゑに関する目撃情報をさらに集めるのであれば、「最近は『封印の解き方』のような物を、どこかで調べられないか聞いて回っている」という情報が得られます。紅魔館や魔理沙・アリスなどが情報源になるでしょう。
    捕まってしまうとラストシーンが扱いづらくなるので、最後は「白玉楼に行った」→「幽々子から古文書をもらって竹林の方へ帰った」→「竹林の一角へ着地しようとしているところを目撃」→「[転移結界]で既に消えている」という展開にします。
    (幽々子は奥津姫の封印は解きたいので、やゑが来るよう「白玉楼に行けばよい」という情報を流しており、実際に役に立つ古文書を渡してしまっています)
  • いずれの場合も、許可を取って竹林を調査すれば、墓所(古墳のような状態の洞窟)を見つけるのは難しくありません。
  • 2度目以降の襲撃の際、お硫を追跡する:猫に化けて草むらを進むので、通常の手段では難しくなります。達成値24程度まで判定を厳しくしておきます。
    能力を使って工夫するのが良いでしょう。[広域効果]で雪を降らせる+足跡を追跡、などの工夫が出れば、判定無しで追いかけられて構いません。あるいは、犬などを借りたりしても良いでしょう。
    この場合、地底への入り口(地霊殿の事件とは別の小さな洞窟で、すぐに墓所の方への洞窟に繋がっています)を見つけられます。

Phase5:墓所にて

墓所を発見できたらクライマックスの戦闘です。

  • 墓所へ入っていくと、お硫とやゑが今後のことで少し喧嘩している声が聞こえます。
    怯えるお硫に対して、腹を決めたやゑを演出しておきます。やゑとしては、「巫女が退治に来るまではやりたいことをする」つもりです。
  • 墓所は奥の方が開けていて、不意打ちなどはできません。PCが出て行くと、やゑは「こんな程度でやめたら異変にもならない」などと言って弾幕戦闘を始めます(勝ったら放り出します。当然、その後はもっと強い相手が来るはずですが、ここでどれだけ阿張られるかが異変の大きさになると考えているようです)。お硫ももう言い逃れができないので、やゑに言われて半ば自棄になって戦闘を始めます。
  • やゑは封印の解除の方法を理解しています。戦闘に入る直前に封印解除を初め、怨霊を伴って戦闘を開始します。
  • 撃破したタイミングで封印が破れ、奥津姫が出て来ます。
    このタイミングを見計らっていたように、幽々子が出現して決着がついたことを宣言します。
    沙知が奥津姫に謝ると、許しの言葉をもらうことができます。
    幽々子が彼岸への道を示すと、奥津姫が去っていき、あとに怨霊達が続いて、辺りは静かになります。

Phase6:ED

エンディングはPCに合わせて演出すべきですが、NPCに関わることは以下の通りです。

  • お硫はさとりに怒られてしまいます。やゑは「悪戯者が懲らしめられる」という昔話のパターンそのままです。永琳あたりに絞られるが、本人はさばさばと受け入れています。
  • 沙知は呪いも消えて元気になります。【A】と一緒に遊んでいるシーンなどを演出すると良いでしょう。
  • 幽々子に話を聞く場合、「沙知自身が謝り、奥津姫が許しの言葉をかけて逝けるのが一番大切なことだった」と答えます。
    状況を見ながらそれぞれのキャラクターを誘導していた分、嫌われる可能性はありますが、幽々子自身は気にしない様子でいます。
  • 幽々子が悪役という印象が強すぎるようなら、以下のシーンを挟むと良いでしょう(GMシーンを入れるのに抵抗がなければ、入れておいた方がシナリオが締まると思います)
    • 幽々子と紫の会話のシーンをGMシーンとして演出します。
      幽々子「……でも、何であの子のこと、解放してあげなくちゃ、って思ったのかしらね……」
      紫「……ただの気まぐれ、面白い子達がいたから、でしょ?」
      幽々子「……そうね、そうだったかしら」
      というように、本人は気付いていなくても奥津姫を助ける理由がある、と臭わせておけば十分です。