TRPGとは?_1.3

Last-modified: 2018-04-28 (土) 23:02:37

 TRPGについては、まとまった解説がweb上などにもありますが、こちらでも少し紹介しておきます。

 TRPGは、「ルールのあるごっこ遊び」とよく説明されます。プレイヤーは、自分の担当するキャラクターを作り、そのキャラクターを即興で演じることでゲームに参加します。例えば、プレイヤーが演じるキャラクター(PCプレイヤーキャラクター)同士が出会えば、プレイヤーはキャラクターの挨拶を演技し、さらにその後の行動を演じていくことになります。この点では、確かに「ごっこ遊び」や「なりきり」と似ていると言えます。


 TRPGがこれらと異なるのは、プレイヤー達に対してあらかじめ用意したシナリオに沿って状況を提示するGM(ゲームマスター)がいて、プレイヤーが演じるキャラクターの取った行動の結果をルールに基づいて判定し、さらに結果としての状況を提示していく、ということです。これにより、プレイヤーにはキャラクターが解決するべき事件や乗り越えるべき困難が提示され、こうした目的を完遂する方法を考えることになります。例えば、何かある捜し物を見つける、という目的を達成しようとするなら、捜し物がどこにあるかのヒントを見つけるための行動をキャラクターに取らせる必要があります。もちろん、GMは「捜し物をして見つける」というシナリオを楽しんでもらうために、きちんとしたヒントを用意します。探す途中で誰か別の登場人物と交渉しなければならないのであれば、プレイヤーはキャラクターとこの登場人物の会話を演技することになるでしょう。このときの会話は、単に「キャラクターの会話を演じる」ことを楽しむだけのものではなく、「何を質問すべきなのか」「どのように働きかけたら情報を引き出せるか」を考え、問題解決を楽しむゲームとしても成立します。また、別の登場人物と戦い、勝つ必要があるのならば、「戦いの様子を描写する」だけではなく、ルールによって決められた勝利条件を達成する必要が出てきます。多くのTRPG(千幻抄も含みます)では、戦闘のためのルールが設定されており、ボードゲームの戦術シミュレーションなどに似た1つのゲームとして楽しむことができます。


 このように、TRPGは「各参加者が思い思いのままキャラクターを動かすことを楽しむ」だけの遊びではなく、「GMが提示した状況を解決するための方法を考え、時にはルールに則った運試しを行って、キャラクターに目的を達成させる」ゲームでもあります。


 TRPGの魅力的な点は、こうした「目的を達成する」手段に大きな自由度が許されていることです。情報収集の例で言うであれば、多くのコンピューターゲームではあらかじめ決まった選択肢でしか相手に問いかけることができません。自由にセリフを入力できるゲームもありますが、幾つかの「正しい」パターンが決まっているだけ、という状況が多いでしょう。TRPGでは、プレイヤーの選んだ選択肢の成否をその場でGMという人間が処理し、結果を判断するのですから、キャラクターが発することのできるセリフはより自由になります。それだけではなく、会話を行いながら相手を観察し、時には気を惹いている間に別のキャラクターが持ち物をすり取る、といった行動まで、ありとあらゆる行動が選択肢となります:GMにとって想定外の選択肢であったとしても、その場でGM が想像力とルールを上手く使って結果を判断すれば、きちんとゲームを続けていくことが可能です。このように、常に自由な選択肢を選んで目的を達成していくゲームでもあることがTRPGの魅力の1つです。


 また、GMが作るシナリオは登場人物全ての行動を規定したものではなく、プレイヤーが選んだキャラクターの行動によって補われていきます。GMにとって想定外の方向に話が進むこともあります。「会話をして説得し、情報をもらうべき相手」とGMが設定していたのに、プレイヤーは「会話している間に、その人物が持っている手帳を盗む」ことを選択して、成功させるかも知れません。逆に、戦うべき相手をプレイヤーキャラクターが説得し、仲間になってしまうような展開もあり得るでしょう。こうした意味で、「どのようにキャラクターが事件を解決したか」という物語は、GMとプレイヤーのやりとりによってその場で作られていくことになります。こうした「物語を作る楽しみ」というのもTRPGの魅力であると言えます。


 千幻抄は、こうした他にはない魅力を持つゲームであるTRPGを、幻想郷を舞台として遊ぶために製作されました。プレイヤーは、自分が作り出した幻想郷の住人を演じることができ、さらに、GMが提示した「幻想郷の中での異変や事件」を解決する過程を考え、そして実際に解決するまでを、キャラクターを通して楽しむことができます。さらに、こうして解決された事件の顛末は、その場の全員が作り上げた1つのストーリーとして共有することができます。


(ver1.20から改訂なし)