ドヴェルグ

Last-modified: 2024-03-09 (土) 14:10:52

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通常蘇りし魔剣
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Illustrator:danciao


名前ドヴェルグ
年齢製造年不明
職業強硬派南方方面軍が運用する機動兵器
  • 2023年2月22日追加
  • SUN ep.Ⅲ(進行度1/SUN時点で375マス/累計555マス*1)課題曲「Disruptor Array」クリアで入手。
  • トランスフォーム*2することにより「ドヴェルグ/蘇りし魔剣」へと名前とグラフィックが変化する。

各地に散らばった旧時代の機動兵器の破片を集約・改修したもの。
その大半を構成しているのは、エクレールと戦いを繰り広げたRG-XⅢ ダインスレイヴ?の模様。

「ドヴェルグ」とは、北欧神話における闇の妖精。
また「ダインスレイヴ」は「ダーインの遺産」という意味で、ダーインはドヴェルグの一人を指す。

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1嘆きのしるし【SUN】×5
5×1
10×5
15×1

嘆きのしるし【SUN】 [EMBLEM] 

  • JUSTICE CRITICALを出した時だけ恩恵が得られ、強制終了のリスクを負うスキル。
  • 勇気のしるし【SUN】よりも強制終了のリスクが低い代わりに、ボーナス量が少なく、JUSTICE以下ではゲージが増えなくなっている。
  • SUN初回プレイ時に入手できるスキルシードは、NEW PLUSまでに入手したスキルシードの数に応じて変化する(推定最大100個(GRADE101))。
  • GRADE100を超えると、上昇率増加が鈍化(+0.10→+0.05)する。
  • スキルシードは300個以上入手できるが、GRADE300でボーナスの増加が打ち止めとなる
効果
J-CRITICAL判定でボーナス +??.??
JUSTICE/ATTACKでゲージ上昇しない
JUSTICE以下300回で強制終了
GRADEボーナス
1+20.00
2+20.10
3+20.20
51+25.00
101+29.95
▲NEW PLUS引継ぎ上限
102+30.00
202+35.00
300~+39.90
推定データ
n
(1~100)
+19.90
+(n x 0.10)
シード+1+0.10
シード+5+0.50
n
(101~)
+24.90
+(n x 0.05)
シード+1+0.05
シード+5+0.25
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

開始時期所有キャラ数最大GRADEボーナス
2023/4/13時点
SUN14169+33.35
~NEW+0269+38.35


GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数
ボーナス量がキリ良いGRADEのみ抜粋して表記。
※水色の部分はWORLD'S ENDの特定譜面でのみ到達可能。

GRADE5本6本7本8本9本10本11本12本
18001600240032004267533466678000
67831566234831314174521865227827
167501500225030004000500062507500
267201440216028803840480060007200
366931385207727703693461657706924
466671334200026673556444555566667
566431286192925723429428653586429
666211242186324833311413851736207
766001200180024003200400050006000
865811162174223233097387148395807
965631125168822503000375046885625
1125461091163721822910363745465455
1325301059158921182824353044125295
1525151029154320582743342942865143
1725001000150020002667333441675000
192487973146019462595324440554865
212474948142218952527315839484737
232462924138518472462307738474616
252450900135018002400300037504500
272440879131817572342292736594391
292429858128617152286285835724286
300~425850127416992265283135384246
所有キャラ

所有キャラ

  • CHUNITHMマップで入手できるキャラクター
    Verマップエリア
    (マス数)
    累計*3
    (短縮)
    キャラクター
    SUNep.Ⅰ6
    (205マス)
    550マス
    (-170マス)
    ティリー・キャクストン
    ep.Ⅲ3
    (335マス)
    625マス
    (-30マス)
    ドヴェルグ
    SUN+ep.Ⅳ4
    (405マス)
    1195マス
    (-60マス)
    ウルガレオン※1
    ep.Ⅵ5
    (505マス)
    1725マス
    (-)
    希望の巫女 ネフェシェ※2
    ※1:該当マップ進行度1の全てのエリアをクリアする必要がある。
    ※2:初期状態ではロックされている。

ランクテーブル

12345
スキルスキル
678910
スキル
1112131415
スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 記憶の断片「我々は自ら、新たな歴史を刻まねばならん。神の都市など不要、未来を想像するのは我々なのだから」


 それは、反抗の象徴。
 かつて、時の政府によって地下都市へと追いやられた人々がいた。
 不当な扱いを受けてきた彼ら――旧き人類は、地下都市に収蔵された兵器群を用い、統一政府軍に戦いを挑んだ。
 支配階級である政府と、彼らが擁する管理AIとの戦いは、幾多もの犠牲を生んだが、その果てに旧き人類は人造の神を処断した。

 人々の怒りを乗せた一撃。それは確かに神へと届いた。神に抗うなど不可能だと諦めかけていた彼らにとって、希望となる会心の一撃だったのだ。
 だが、それも泡沫の夢でしかなかった。
 管理AIは、人知を超えた力で即座に復活し、彼らの希望ごと文字通り粉々に粉砕してしまう。
 旧き人類は、神の前に敗れた。

 この戦いが契機となり、システムは汚染された地上の再生に人類は不要と判断。
 地上に生きるすべての人類は、機械仕掛けの神々によって殲滅の一途をたどることとなる。
 それでも、人類の希望という灯は消えない。
 地下都市に身を潜め、辛うじて神々の断罪から逃れた一部の人々は、刻一刻と生存領域が脅かされていく中でも、希望を捨てなかったのだ。
 いつの日か再び、神を討ち果たすことを夢見て。

 ――あれから幾星霜。
 地上を跋扈する人類に代わり、機械に従うよう設計された人造人種「真人」が闊歩するようになった新たな世界。
 前大戦の傷痕が色濃く残るアフリカ大陸のとある遺構で、それは掘り起こされた。
 旧時代の機動兵器。
 禍々しい出で立ちと、激しい怒りを体現した頭部。
あたかも地下へと追いやられた人類の怒りと憎しみを凝縮したかのような。
 発掘された機体は形を留めている物から損傷が激しい物まで様々であり、また、広範囲にわたって散らばっていることから元が単体なのか複数だったのか定かではなかった。
 多くの人員を動員して各地から集められた破片は、やがてひとつの形を成していき、新たな身体と名前を得る。
 旧き人類の伝承に登場する闇の精霊・ドヴェルグとして――


EPISODE2 ある男が見た地獄 「魔剣の名は伊達ではない!いける、いけるぞ!この俺とドヴェルグが!機械種を滅ぼすんだ!」


 防衛網に展開された機械種の機動兵器群と、真人強硬派の大軍勢が激突する戦場に、突如出現した機動兵器――ドヴェルグ。
 その質量から繰り出される鋼鉄の一撃をまともに受けられる者など存在しなかった。
 力のままに剣を振るい、焼き払い、すり潰す。
 災厄の如き力は、劣勢に立たされた強硬派を救い、瞬く間に状況を覆してみせた。

 「ハハ、凄い、凄いぞ……これがドヴェルグの力!」

 ドヴェルグのパイロットに自ら志願した男は感嘆の声を漏らすと、機械種の軍勢をヘッドギア越しに舐めるように見渡し、叫んだ。

 「機械種共ォッ! 狩られる側に回った気分はどうだッ!!」

 今まで何度も辛酸を味わわされてきた相手に、一切の抵抗も命乞いもさせずに一方的に蹂躙する。それがこれほどの高揚感をもたらすとは、想像すらしていなかった。
 それは、神にも等しき全能感がもたらしたものか、はたまた、男の根底に眠る破壊衝動ゆえか。
 その答えは分からないが、男にとってはどうでもよかった。目の前の敵を葬れれば、それでいい。

 「ハハハ! やれるぞ、このドヴェルグなら!」

 昂る気持ちを抑えられないまま、男は後方に広がる都市――ペルセスコロニー目掛けて機体を駆った。
 その勢いを止められる者はこの地上に存在しない。
 立ちはだかる敵をなぎ倒しながら、ドヴェルグは都市の外殻へと至った。なおも群がる敵を破壊する。
 そして、強固な外殻を破壊したことで、友軍と共に機械種の都市へと足を踏み入れた。
 戦場とは打って変わり、静謐さに包まれた都市内部。
 中心部にそびえる巨大な円錐形の塔まで踏み入ったその時、不意に都市全域を震わす声が響き渡った。

 『よくぞ、ここまでたどり着きました』

 どこか突き放すような冷たさを感じる女の声。
 その声の主こそ、ペルセスコロニーを管理する機械種――エヴァ・ドミナンスⅩⅡであった。

 『虚▼……の夢◆▼〇破……壊×◆◆よ!』
 「ぁ……ぐッ!?」

 エヴァの姿と声を捉えた途端、男の視界がぐにゃりと歪む。

 「攻撃!? い、一体……どこから……グッ!?」

 エヴァの声が響くごとに、男の頭に激痛が走る。硬い金属に頭を締め付けられるような、鋭い痛み。
 その痛みの原因は、神経接続したドヴェルグによるものだったが、当の本人は知る由もない。
 エヴァの声がする度に、ドヴェルグの共鳴は強くなっていく。

 『未来◆■H×我ら……gあ創造する!』

 それと同時に、男の脳裏へと断片的な映像が流れこむ。眼球を通して見ているはずの世界は、いつしかドヴェルグの中に蓄積される映像記録へとすり替わった。
 天高く伸びる塔。瓦礫に押し潰された機械群と人だったモノ。
 どこかの都市で繰り広げられた、都市連合軍と統一政府による争いの欠片たち。

 「お、俺は……何を……? そうだ、俺は……」

 断片的な映像はそれで終わりではなかった。映像は塔の遥か上空に浮かぶ人型の何かを映しだし――

 『「神の造った理想の都市など不要!」』

 男の怒りと、かつてドヴェルグの搭乗者だった者たちの怨嗟の声が、重なった。
 溶け合う自我。鋼鉄の身体から伝わる、あるはずのない痛み。フィードバックされる膨大な情報の渦が、男に違う現実を――否、脳を通して見る世界こそが“現実”だと訴えかける。

 ドヴェルグがもたらすものは、圧倒的な全能感だけではなかった。搭乗者の脳波を操り、高揚させ、意識と精神を機体に同化させる。
 その結果どうなろうと、ドヴェルグは感知しない。
 ドヴェルグにとって重要なのは、旧人類を地上から抹消した不倶戴天の敵と、地上を我が物顔で跋扈する偽りの生命の根絶なのだから。
 男は、もはや自身が何者だったのか覚えていない。
 胸に抱き続けてきた大義も、とうに忘れた。
 今はただ、目の前に佇む敵を葬れれば、それでいい。

 『「死ねえぇぇぇッ! 神よ!!」』

 ドヴェルグが駆けだした刹那――ペルセスコロニーを彩る銀の都市全土が“震えた”。
 音響兵器ハルモニア。機械種が用意した戦略兵器が、ドヴェルグ内部のパイロットを直接揺さぶったのだ。
 その瞬間、男の身体は内部から崩壊していった。
 臓器は破裂し、全身から血の涙を流す。頑丈なはずの真人の骨格は、自身の意志とは無関係にへし折れ――ヒトと形容するのも困難な、無惨な姿へと成り果てる。
 ここに、男の地獄は終わりを迎えるのだった。


EPISODE3 夢か現か 「俺は……魅入られていたのかもしれないな……初めてアイツの顔を見た時から」


 ペルセスコロニーで巻き起こった戦闘は、予想外の結末を迎えた。
 機械種の監督官エヴァ・ドミナンスⅩⅡの消失により、ペルセスコロニーはあっけなく陥落したのだ。
 音響兵器ハルモニアによって強硬派を完全に抑えこんだというのに、中枢塔管制室はもぬけの殻となり、戦線は崩壊した。
 多くの真人を犠牲にし、死に物狂いで奪い取った勝利。それは、あまりに味気ないものだった。

 ――
 ――――

 ペルセスコロニーに突入した部隊が帰還する中、ナディンは中枢塔に残してきたドヴェルグを回収しに戻ってきた。

 「……酷い有り様だな」

 陽光を反射し銀色に輝いていた街並みは、今では不快な臭いを辺りにまき散らす死の都と化している。
 「さて」と一呼吸入れてから、ナディンはドヴェルグのコックピットへと乗りこむ。
 清掃もしていないコックピットの中は、匂いが未だにこもったままで、死に慣れているナディンでさえも一瞬顔をしかめてしまうものだった。
 血がこびりついたヘッドギアを拭ってから装着し、異常がないか詳しく調査する。

 しばらく調べてみたが、特にドヴェルグから異常は検出されなかった。
 異常があるとすれば、以前ドヴェルグに搭乗した際に聞こえてきた何者かの声だろう。

 「動いたり動かなかったり、未解析の部分も含めて調べたいところだが……ん? なんだこれ」

 ヘッドギアのインターフェースに、見覚えのない項目があった。教本にも載っていないそれは、前の搭乗者の断片化された視覚情報だろうか。
 ナディンはそれに軽く触れ、アクセスする。
 いくつかの断片の中から適当に選んだ情報は、ちょうどペルセスコロニーに突入した辺りだった。
 男の叫び声と手振りだけで、どれだけ興奮状態にあったかが手に取るように分かる。

 「随分荒々しいな。もっと温厚な奴だったはずなんだが……」

 続けて選ぶうちに、男が見る景色がまったく別の光景にすり替わっていることに気づく。今いる銀の都市とは違う、戦争の爪痕が残る光景――

 『虚▼……の夢◆▼〇破……壊×◆◆よ!』
 『同□たち▲、決起…よ!! こ×まま神▽の前に、◇を折って…なら、い!!」
 「……!?」

 声の主は前搭乗者のものだったが、もうまともに聞き取れないほど呂律が回っていなかった。

 『▼クレ※*ェェ・!!!』
 「うおッ!?」

 つんざくような叫び声に、思わずヘッドギアを外すナディン。深く息を吐きながら、乱れた呼吸を落ち着けようとするが、それ以上に驚いたのは、前搭乗者の声がいつの間にか自分の声に変わったことだった。

 「――思い出せ。神に抗う我々の決起理由を」

 幻聴。
 最初はそう思っていた。だが、今の声は紛れもなく自分が発したもの。無意識のうちに、自分が自分でなくなっていくような感覚に、ナディンはうすら寒いものを感じた。

 「クソ、頭がどうにかなりそうだ……」

 もう映像を見ていないにも関わらず、瞬きする度に残像のように視界の端でちらつく。

 「この感じは……そうだ、エイハヴに記憶を弄られた感覚に近い……」

 何が現実で何が幻か。
 ナディンには判断がつかなかった。

 「ったく、いつまで俺を見て笑ってんだよ、お前は」

 目の前に浮かぶナディンの残像は、いつまでも笑ったままこちらを見ていた。


EPISODE4 聖女の軍路を辿って 「サマラカンダ……すべての因業が集いし都市。すべてが、バテシバへとつながっていくのだな」


 ペルセスコロニー制圧を受け、強硬派の指導者であるヴォイドの旗艦にて、軍議が開かれることになった。
 今後の方針を決める意図もあったが、議題の中心となったのは、指導層のひとりにして前線指揮官であるカイナン・メルヴィアスの動向。
 彼は戦争の真っ只中にありながら、秘密裏に監督官エヴァ・ドミナンスⅩⅡを奪取し、何処かへと行方をくらましてしまったのだ。
 その事実が明るみになったのは、サルゴンが提供した情報と、突入部隊の少女の証言だった。
 この情報をもとに、ヴォイドはカイナンへ追討軍を差し向けることを決定する。
 レアやエステルなどの将校は機械種からの反撃を警戒し、部隊を散らすことに反対していたが、ヴォイドの一存で押し切られてしまうのだった。

 ――
 ――――

 カイナン追討へと向かった旗艦の参謀室。
 そこでヴォイドは、口端をつりあげて笑んだ。

 「私の勘に狂いはなかった。逆賊カイナンは間違いなくサマラカンダを拠点にしている」

 バテシバ戦役時のカスピ大地溝帯周辺のデータとエリシャ・ムルシアから提供された追跡ビーコンの反応を照らし合わせたものを、モニターに投影する。
 ビーコンが示す座標は、大地溝帯から東に位置する場所でゆっくりと点滅を繰り返す。
 空白地帯で点滅する光に、サルゴンが怪訝な顔を浮かべたまま問いかけた。

 「サマラカンダ……聞き覚えがありませんが、そこはどういった所ですかな?」
 「サマラカンダは、母上の御旗を掲げる直属の部隊が最後に侵攻した都市だ。制圧自体は成功したが、母上の崩御の報せを受け、撤退を余儀なくされたと話に聞いている」
 「では、カイナンの言う“バテシバの願い”とやらも、その地へ向かえば自ずと分かると」
 「あぁ……そうだ……」

 “カイナンとバテシバ”。
 その言葉は鋭利な刃となってヴォイドの心を抉り、眉間に深い皺を刻ませる。

 「母上の崇高な理想を……あの男に叶えさせるわけにはいかん……その大役を担う資格があるのは、この私を置いて他にいないのだ……ッ」

 狂信的ともいえる、亡き母への忠誠心。
 初めてヴォイドと謁見し、同じ指導者の立場としてサルゴンは行動を共にすることもあった。
 初志貫徹を通し続ける彼の姿勢は、あの頃から何も変わってはいない。
 それ自体は、サルゴンをも唸らすだけのものがある。

 「あの青二才めが!! 母上は……母上は私だけのものだ! 断じて、断じて渡さんぞッ!!」

 だが、それゆえに。
 いつまでも報われることのないその在り方は、サルゴンにとって“哀れ”でしかなかった。
 そして、その異常なまでの精神性こそが、バテシバに連なる系譜なのかもしれない、と。


EPISODE5 夜明け前 「結果が望むものではないとしても、私に後悔はない。後悔とは、私に託してくれた者たちへの裏切りなのだ」


 参謀室を後にしたサルゴンは、その足でドヴェルグが横たわる滑走路を訪れた。
 もうすぐ夜も暮れる。だというのに、機体の周囲には煌々と明かりが灯っていた。

 「ここにいたか、ナディン」
 「……サルゴン様」

 ナディンは他の作業員を帰したにも関わらず、自分だけは留まって整備を続けたようだ。

 「熱心なのはいいことだが、今からその調子では息も詰まるだろう?」
 「ですが……」

 サルゴンの口調に、どこか軽やかなものを感じて訝し気な視線を向ける――と、その答えはすぐに見つかった。

 「なるほど、そういうことですか」

 サルゴンの手に収まるように握られた物。
 それは、2本の小さな飴色の瓶だった。

 「景気づけに、どうだ?」

 悪戯がバレた子供のように、破顔するサルゴン。
 その様子がおかしく思えて、ナディンもつられて笑みをこぼす。

 「ハハ、上官命令とあれば、断るわけにはいきませんからね」

 ふたりは、ドヴェルグを風よけにするようにして背中を預けると、その場に胡坐をかいた。

 ――
 ――――

 「サマラカンダ……前大戦では縁のない地でしたが、あの男の執念もここまでくると末恐ろしいですね。軍部まで私物化されてはたまらないでしょう」
 「支配者とは、得てしてそういうものさ。だが、奴に限っていえば行動を予測しやすくなる分、脅威にはなり得ない。大局を見るなら、カイナンとその背後に控える者を打倒するのが先決だ」

 力強く握られた拳に、ナディンも首肯する。
 それから、ふたりはすべてが終わった世界について口々に考えをぶつけ合い、想いを馳せた。
 戦いに終止符を打ち、システムからの脱却を成しとげたうえで、新たな世界を構築する。
 旧人類の血が、そう望んでいるのだ。

 「夜明けは近いな」
 「ええ」
 「新世界でも、お前の力が頼りになる」
 「参りましたね、今より忙しくなったら、いよいよ分身でもしないと手が回らなくなりそうですよ」
 「そう言うな。だから、生きろよ、ナディン」
 「……当然ですよ。俺たちはあの地獄の日々を生き抜いてきたんですからね」

 ナディンは目の前に突き出された拳に応じ、自身の拳をぶつける。交わされた拳から伝う鋼の意志に、心の中で「生きる」と誓いを立てるのだった。

 「こうして語らったのも久しぶりだな」
 「さて、どうでしょうね。随分前のことのような気もしますし、とても最近のようにも感じます」

 積み重ねてきた時間の長さは、真人とは比べものにならない。
 その年月を共に生き抜いてきたことで、ふたりの間には兄弟のような絆があるのだ。

 互いに張りつめた緊張の糸が、いい具合にほぐれた感触があった。
 だがあまり気を緩めすぎてもいけない、そう考えたナディンが、おもむろに立ちあがる。

 「さて、俺はそろそろ整備に戻らせてもらいますよ。まだチェックしておきたいところも――」
 その瞬間、強烈な眩暈に襲われて膝をつく。

 「どうした、具合が『――葬れ――』悪くなったか」

 ナディンを気遣うサルゴンの声に混じって響く、ドヴェルグの声。
 否が応でも声は強くなり、深い闇の底へと誘ってくる。

 「い、いえ、大したことじゃありません」
 「ならいいが、『――システムを、神を――』無茶はするなよ」
 「もちろん、心得てますよ。ですが、無茶は承知の上で押し通らせてもらいます。俺は、あなたの右腕なんですから」

 「神を討て」「メタヴァースシステムを破壊しろ」と内から響く声に耳を傾けず、平静を装って微笑み返す。
 サルゴンはまだ納得がいかないようだったが、強硬な態度にしぶしぶと船内へ戻っていくのだった。
 硬く閉じた隔壁に手をつき、うずくまるナディン。

 「生きて、生き抜いてやりますよ。俺は……あのパイロットのようにはならない。なるものか……」

 雲間からのぞく月をにらみつけ、強く願った。
 この語らいが、今生の別れになるとも知らずに。


EPISODE6 人機一体となりて 「俺は不甲斐ない右腕だ。願わくば、あなたが築く新世界を、この目で見届けたかった……」


 長き航路の果てに、追討軍を待ち構えていたのは要塞化された紺青の都サマラカンダ。
 その威容は、ペルセスコロニーやオリンピアスコロニーと比べても見劣りしない戦力が整っていた。
 ヴォイドが持つ情報では、サマラカンダはここまで堅牢な都市ではない。
 何者かによる手が加えられているのは明白であった。

 そして――都市上空を守護するようにして放射状に布陣する白亜の艦隊。
 それは、バテシバ戦役においてバテシバとその従者たちが掲げた、聖女の御旗を意味していた。

 「カイナンッ! 私を裏切ったばかりか、よもや母上の……母上の方舟を持ち出すなどッ! 万死に値する!」

 ブリッジに設けられた艦長席から、ヴォイドは大逆者カイナンが身を隠す居城へ向けて罵詈雑言をぶつけ続ける。

 「いや、ただ死を与えるだけでは生ぬるい!ありとあらゆる苦痛を味わわせ、自ら死を乞い願うまでなぶってくれるわッ!!」

 激昂するヴォイドに誰も答えられないまま、重苦しい沈黙が続く。
 そんな中、白亜の艦隊から返ってきたのは、空気にそぐわない陽気な声。

 『お~こわ! これって痴情のもつれってヤツ?』

 互いに砲を突きつけ合い、いつ争いが始まってもおかしくない状況でも、己のペースを崩さない。
 そんな自分勝手な声の主に、ヴォイドは一瞬だけ目を見張る。
 だが、すぐに不愉快そうに口元を歪めた。

 「ロト……ッ! 私の戦線に加わらずどこで油を売っているかと思えば、やはり裏で動いていたのだな」
 『へえ? 案外驚かないんもんだねえ』
 「その態度、どうして信用できようか」
 『アハ、不出来な兄でごめんねぇ♪ 優先順位ってものがあってさ』
 「ええい、貴様の与太話はたくさんだ! 奴を葬れ!母上を穢す愚か者共を――」

 言い終わらぬ内に、旗艦が大きく傾いた。
 ナディンが乗るドヴェルグが、命令を待たずに突然地上へと降下したのだ。
 直後、爆弾が大地に激突したかのような激しい音と巨大な土煙が立ち昇る。
 片膝をつくようにして着地したドヴェルグの躯体が煙の中から姿を見せた。
 その躯体は、ロトが乗る船のモニターにも大きく映し出され、推測されるデータが次々と表示されていく。
 船員たちの反応は様々だ。
 獣のように肩を上下させる姿に驚くものもいれば、努めて冷静に、想定されうる被害を伝えるものもいる。
 だが、そんな船員たちには目もくれず、ロトは快哉を叫ぶ。

 『ちょ、デッッッカ! そんなの反則じゃん!どこから引っ張り出してきたんだよ!』
 「フン、母上を穢した罪、その身で贖うがいい!」

 不意を突く形で攻撃を浴びせるヴォイドの艦隊。対するロトは、問答無用な弟のやり方にくつくつと笑うと、全部隊に応戦するよう指示を飛ばす。
 紺青の都市の遥か上空で、灰と白亜の艦隊が激突した。

 ――時間は少し遡る。
 ドヴェルグの中で待機するナディンは、ヴォイドの言葉など聞く余裕がないほどに混乱していた。
 操縦桿に触れてもいないのに、サマラカンダを捉えた途端、勝手に動きだしてしまったのだ。

 「くっ!? こいつ……!!」

 慌てて止めようとするが、ドヴェルグは答えない。
 それどころか、邪魔をするなとでも言うように、神経接続するナディンを隷属しようと、サルゴンの言葉を使って語り掛けてくる。

 『メタヴァースシステムを破壊するのだ、ナディン』
 「お前が……サルゴン様を騙るんじゃない……ッ!」

 強まる痛みにも抗い続けるナディン。
 するとドヴェルグは、彼の強固な意志を揺さぶるために、直接脳へと電気信号を送る。
 無惨にも殺められるサルゴンの姿。
 あたかも現実であるかのように錯覚させることで、感情を昂らせ、増幅し、強い情念を呼び起こす。
 それは、ナディンの心が折れるまで繰り返され続け――抵抗する力を奪い去ってしまう。

 『ナディンよ、我らは進むしかないのだ』
 「……」
 『そうだ、答えはほかにない』

 囁かれた声に、力なく首を縦に振る。

 『進め、ナディンよ。我らが剣で神を、システムを、その被造物共をすべて殲滅せよ』

 その言葉に応えるように、ナディンは小さくつぶやいた。

 「――モード・ラグナロック」

 この瞬間、ナディンはドヴェルグを受け入れ、魔剣と成った。
 防御など顧みない。ただ相手を破壊するためだけの一振りの魔剣へと。
 ドヴェルグに搭載されたブラックボックス。
 それは、操縦者の意識と精神を機体へと吸い上げ、搭乗者自身をドヴェルグと同化させる機能である。
 前パイロットは負荷に耐えきれず、同化する前に“破裂”してしまったが、旧き血を色濃く受け継ぐナディンにはその適正があった。

 「すべてを――滅ぼす――」

 滅ぼさなければならないものは、この戦場だけでも無数にある。
 それらを滅ぼすことが、サルゴンの願いを成就させる最良で最善の一手なのだと、ナディンは理解した。


EPISODE7 終末に笛を吹き鳴らせ 「終末を飾るには相応しい盛り上がりだよ。さあ、じゃんじゃん撃って、じゃんじゃん殺し合おうか!」


 サマラカンダの空で激突する両陣営。
 艦艇の数で劣る追討軍は、機動兵器の突破力を頼りに攻勢に打って出るものの、強固な防衛機能を有する城塞都市からの砲撃に阻まれ、制空権を奪いきれずにいた。
 都市に複数配備されたバルディエルの砲塔による掃射が、空に展開したメギド・ゴグを釘付けにし、反撃の機会を奪う。
 このまま地上と空中からの二面攻撃を受け続ければ、ヴォイドの艦隊は不利になっていく一方だ。

 「ええい、ナディンは何をやっている! 通信士!さっさとあの砲台を破壊するよう指示するのだ!」
 「そ、それが……何度も試しているのですが、一切応答せず……」
 「クソァッ!」

 想定以上の苛烈な抵抗と思い通りに進まない状況に、ヴォイドは歯噛みする。
 苛立ちだけが積み重なり、居ても立ってもいられずに副長席のサルゴンへと食って掛かった。

 「おいサルゴン! 貴様の駄犬は使い物にならんぞ!どうしてくれる!」

 地上の戦況を伝えるモニターには、命令を聞かないドヴェルグが猪突猛進に突撃し、地上の敵勢力を薙ぎ払う姿が映る。
 その挙動は、熟練の戦士の動きというよりも、本能のままに動く獣のそれであった。

 「手綱をつけておかなければ、貴君は不安で仕方がなかろう」
 「なんだと」
 「だが、束縛が過ぎると噛みつかれるぞ。今は座して待つしかあるまい。それに、下ばかり見て正面を疎かにすれば、元も子もなくなる」
 「フン、言われるまでもないわ!」

 弾幕を厚くするよう指示を飛ばし、ヴォイドは艦長席に戻ると戦況の変化に目を光らせる。

 (我が右腕が、戦場で我を失うことなど一度たりとてない。不測の事態があったとすれば、それは……)

 サルゴンには思い当たる節があった。
 最後に言葉を交わしたナディンの様子が、どこかおかしかったことに。虚ろで、何か違うものを見るような焦点のズレ。

 (すまない……ナディン……)

 戦場において、祈りなどなんの意味もなさない。
 それは、いつの時代においても変わらない、絶対不変の掟。
 サルゴンも理解してはいたが、それでも彼の無事を祈らずにはいられなかった。

 ――
 ――――

 「凄いねアレ。バルディエルの直撃喰らってダメージあるはずなのにどーして動けんの? 信じらんない!」
 「ロト様、ずいぶんと楽しそうですが……いいのですか? あの化物を放っておいて」
 「ま、やることやるしかないでしょ♪」

 モニターには、獣にも似た咆哮を上げるドヴェルグがバルディエルに飛び掛かる姿が映っている。
 そんな現実感のない光景を見て、ロトは興奮冷めやらぬ様子でパチパチと手を叩いた。

 「少し早い“運命の日”ってヤツが、俺様を迎えにきてくれたのかねえ?」
 「は、はぁ……」
 「でもさー、あのバカでかい剣にぶった斬られるのだけはヤだな~」
 「戦場で最期まで戦い抜き、死ねることこそが軍人の誉れではないかと」
 「アハ、真面目だねぇ。ほらほら、弾幕薄いよ、じゃんじゃん撃ってー!」

 そう指示を出して身体を席に投げ出すと、誰に言うでもなく呟く。

 「……ま、母さんの願い事を叶えるまでだけどね」

 その時、サマラカンダの管制システムを担当する地上部隊から通信が入った。

 『ロト様、この空域に高速で接近する飛翔体があるとのことですが、どういたしましょう』
 「数は?」
 「一機です。これは……エアロクラフトでしょうか」
 「へぇ~、物好きだねえ♪ 自分から突っ込むなんてさ。まあいいや、パパっと片付けちゃって!」
 『はっ!』

 通信を終えたロトは、くつくつと笑う。
 次々と戦場に現れる不確定要素。それがどのような役割を担い、何をしでかしてくれるのか。
 ロトにはそれがおかしくてたまらなかった。

 「クライマックスに相応しい盛り上がりじゃない!さあさあ、最後のお祭り、もっと派手に行こーう!」


EPISODE8 魔剣に挑む者たち 「あれは、私たちが止めなくちゃいけないの。あの子 たちが未来に向かって、進んでいけるようにね」


 ドヴェルグは、魔剣と称された機体の破片と、同型機のパーツを掛け合わせて建造された機体である。
 機体性能は桁外れかつ強靭であるがゆえに、魔剣と同じく搭乗者を選ぶ。
 真に性能を引き出すには、より適合率の高い者との合一――人機一体の境地へと達する必要があった。
 それ即ち、旧き人類の血を色濃く受け継ぎし者に他ならない。
 本来であれば、真人が跋扈するようになった大地でその者とドヴェルグが巡り合うことなど、万に一つもない……はずだった。
 だが、数奇な巡り合わせによって紡がれた運命は、彼とドヴェルグを引き合わせる。そして、いたずらにも魔剣に挑む者たちを決戦の場へと誘うこととなった。
 メーネ・テルセーラ。
 アンシャール・アウダーチア。
 マードゥク・アニマート。
 彼らはいずれも、魔剣が憎悪するシステムによって育まれ、この地に生を受けた新たな人類――帰還種。
 旧き血の終端に立つ者と、ひとつの到達点に立つ者たち。
 両者が相容れることは決してない。
 この戦いの結末は、いずれかが朽ち果てる以外に終わりを迎えることはないのだから。
 因果は繰り返され――今再び、世界に魔剣による審判がくだされようとしていた。



■ 楽曲
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WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


コメント

  • メ、メーネ⁉︎ -- [[Anonymous ]] 2023-03-13 (月) 12:00:44

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