ナディン・ナタナエル

Last-modified: 2024-03-05 (火) 08:33:59

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通常魔剣の操者
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Illustrator:市ヶ谷


名前ナディン・ナタナエル
年齢24歳
職業強硬派南方方面軍所属の軍人
身分金騎士
  • 2023年2月22日追加
  • SUN ep.Ⅲマップ2(進行度1/SUN時点で215マス/累計310マス*1)課題曲「Bitter Juicy」クリアで入手。
  • トランスフォーム*2することにより「ナディン・ナタナエル/魔剣の操者」へと名前とグラフィックが変化する。

サルゴンの右腕として戦う真人・強硬派の青年。
魔剣と巡り合った彼に、待ち受ける運命とは。

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1オーバージャッジ【SUN】×5
5×1
10×5
15×1

オーバージャッジ【SUN】 [JUDGE+]

  • 高い上昇率の代わりに、強制終了のリスクを負うスキル。ジャッジメント【SUN】と比べて、上昇率+20%の代わりにMISS許容-10回となっている。
  • GRADE100を超えると、上昇率増加が鈍化(+0.3%→+0.2%)する。
  • SUN初回プレイ時に入手できるスキルシードは、NEW PLUSまでに入手したスキルシードの数に応じて変化する(推定最大100個(GRADE101))。
  • スキルシードは200個以上入手できるが、GRADE200で上昇率増加が打ち止めとなる
効果
ゲージ上昇UP (???.??%)
MISS判定10回で強制終了
GRADE上昇率
▼ゲージ8本可能(220%)
1230.00%
2230.30%
3230.60%
35240.20%
68250.10%
101259.90%
▲NEW PLUS引継ぎ上限
▼ゲージ9本可能(260%)
102260.10%
152270.10%
200~279.70%
推定データ
n
(1~100)
229.70%
+(n x 0.30%)
シード+10.30%
シード+51.50%
n
(101~200)
239.70%
+(n x 0.20%)
シード+1+0.20%
シード+5+1.00%
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

開始時期所有キャラ数最大GRADE上昇率
2023/4/13時点
SUN16193278.30% (9本)
~NEW+0293279.70% (9本)


所有キャラ

所有キャラ

  • CHUNITHMマップで入手できるキャラクター
    Verマップエリア
    (マス数)
    累計*3
    (短縮)
    キャラクター
    SUNep.Ⅲ2
    (215マス)
    310マス
    (-10マス)
    ナディン・ナタナエル

ランクテーブル

12345
スキルスキル
678910
スキル
1112131415
スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 古の血脈「俺に名前と居場所をくれたのは、サルゴン様だった。その恩義に報いられるのなら、俺はなんだってする」


 この世界に、俺の居場所はない。
 真人の未来という大層な名目で、様々な可能性を実証するためのひとつとして造り出された俺は、生まれながらにして“ゴミ”の烙印を押されていた。
 当然、名前などない。
 ゴミを管理する上では不必要だからだ。管理するための、番号の羅列だけでいい。
 中にはそれが自分の名前なのだと去勢を張る同胞もいた。だが、俺はそんなの誇る気にもなれなかった。
 そもそも俺がエイハヴに造り出されたのは、様々な可能性のひとつ――真人と旧人類の混血児が真人の進化を促すかどうかという“好奇心”故の実験だ。
 様々な実験を受けてなお、毎日ゴミ同然の扱いをされていれば嫌でも分からせられる。
 自分に価値などないことを。

 そんなある日のことだった。
 物として生きてきた俺へ、突然研究者たちが処分を言い渡して来たのは。
 俺の世界の終わりってヤツは、あいつらに溜息を吐かせる程度の価値しかなかったのだ。
 あまりに呆気ない終わり。
 それでも、無味乾燥な俺の心は、その事実をあっさり受け入れてしまったんだ。
 奴らは準備を終えると、俺たち混血児を過酷な環境に捨てて去って行った。

 「……自分たちの手で、殺す度胸もないのか。いや」

 むしろ、手を煩わす価値もなかったのかもしれない。
 自嘲気味に笑った俺は、そこで初めて自分が笑っていることに気がついた。

 「俺にもこういう感情があったんだな……なら……もう少しだけ、足掻いてみるか」

 南アフリカ大陸。
 真人による大地の再生も見送られている過酷な地。
 そこは俺たちのようなゴミが多く集まる場所だった。
 かつては陸に海にと豊富な資源が眠っていたらしい。
だが、資源はとうに採掘され尽くし、戦略的にも利用価値が低い、なんの旨みも感じられない場所になっていた。
 ここはまさに、俺たちにとっておあつらえ向き。
 邪険にされてきた者同士、仲良くやっていけると本気で思っていた。
 だが、現実は違う。
 俺は混血というだけでのけ者にされ、虐げられた。
 こんな掃き溜めにすら、存在するヒエラルキー。
 外見に差はないのに、内側に流れる血が違うというだけで、ありとあらゆる暴力をこの身に受けてきた。
 仲間と思ってた同胞からも裏切られ続けた。
 それでも不思議と生きていられたのは、無駄に頑丈な造りの身体のせいだろう。

 「まあ、それならそれで、ひとりで生きればいい」

 抗うために、奪い、殺す。
 この世界は、殺るか殺られるかでしかないと理解したその時。
 俺は、あの男に出会った。
 食う物も持たずに砂漠へ逃げ、野垂れ死ぬしかなかった俺を助け、手を差し伸べてくれた。

 「いい眼をしている。死にかけていてもなお抗い続けようとするその意気……気に入った」

 その男の名は、サルゴン。
 俺と同じくエイハヴの実験台にされ、アフリカ大陸に破棄された混血児だ。

 「私と共に、世界の在り方を変えよう」

 俺は、迷いなくその手を取った。


EPISODE2 魔剣の欠片「なぜあの機動兵器は、こうも俺を惹きつける。これは好奇心か? それとも、旧き血の……」


 「――ここが例の場所か」

 刺すような鋭い陽射しが肌を焼く。
 チリチリ、ジリジリといった音が今にも聞こえてきそうな空気の中、俺は過去の大戦で崩壊した都市へとやってきた。
 眼下には地下へと続く大きな穴が広がっている。
 形は歪で、まるでどこかのマヌケ野郎が大口を開けたまま眠りこけているかのようだ。
 落ちないギリギリの位置から都市を眺めようと目を凝らす。岩壁や都市の瓦礫の上では、真人たちが発掘作業にあたっている。
 そんな彼らの中心に、ソレはあった。ここからでも目視できるほどの巨大な構造物。
 俺のお目当てのモノだ。

 「――ッ」

 あれを目にしてから、身体が熱を帯びて仕方がない。
胸に手を当ててみると、少しばかり心臓の鼓動が早まったような気がする。
 まとわりつくような熱気のせいもあるのだろう。
だが、視界に収めてからというもの、俺の中には得も言われぬ感覚が広がり続けていた。
 これは――

 「好奇心……ってヤツなのかねぇ」

 一度深く息を吐いてみたが、どうやらはやる気持ちは抑えようがないらしい。
 採掘用機械や作業員たちがせわしなく動き回る中、俺は穴の端に備えつけられた昇降機を使って、地下へと急いだ。

 「ハハ、とんでもなくデカいな……」

 穴の上から見てもこいつの質量が尋常じゃないのは分かっていた。だが、この“実感”を伴えるようになるには、自分とこいつとが同じ目線に立つ必要がある。
 実際に目の当たりにし、空気を感じでもしないと、本当に理解することは難しいだろう。
 それだけこいつには、訴えかけるものがある。
 俺は、背後に控える男に確認した。

 「状況は?」
 「対象の解析は、未だ全体の2割程に留まっています」
 「これでまだ2割なのか? どれだけデカいんだよこいつは……」

 再びソレに視線を戻す。
 綺麗に取り除かれた瓦礫の間から咲いている、あまりにも巨大な“顔”。
 人間を模したものが機動兵器にくっついてるのは、別に珍しいことじゃない。機械種や、バテシバ戦役で鹵獲された機動兵器にも、無駄に作りこまれた顔がある。
 だが、こいつの顔からは別の何かを感じた。
 それが俺の目を引いて離さない原因なんだろう。
 最初は、子供のように年甲斐もなくワクワクしているだけなのかと思っていた。だが違った。
 これは、どうしようもなく俺を刺激してくるんだ。

 「これも旧き血の影響なんですかねえ、サルゴン様」

 俺やサルゴン様の中でずっと燻り続けている感情――“怒り”ってヤツを。

 「あの……ナディン様?」
 「っと、すまん。続けてくれ」
 「承知しました。対象の全体像は詳しく調べてみないことには掴めませんが、現在見つかっている機動兵器のパーツは、この頭部以外損傷が激しく、加えて広範囲に渡って散らばっているため、発掘には多くの時間を必要とします」
 「となると、早急に追加の人員を手配しなければならないな。それに……」

 こいつを組み立てる場所と、遺物への知見を持った人材の確保も忘れちゃならない。加えてオリンピアスの奴らに悟られずに計画を推し進めなくては。

 「まったく……俺以外じゃ誰もこなせませんよ、サルゴン様」

 まあ、あの方の無理難題は今に始まったことじゃない。これは、あの方に応え続けてきた俺への期待の裏返しみたいなものだからな。

 ――
 ――――

 発掘隊員たちが地下都市での作業に従事する一方、俺は人材の確保と機動兵器建造の候補地探しに勤しんだ。
 いくつかの候補から選ばれたのは、フスラートコロニーの南部に位置するカルトゥームコロニー。
 旧人類が栄えていた時代には、南北に流れる河を使い貴重な資源や多くの物資を運んできた海運の要衝とも呼べる場所だった。
 生憎、その河は干あがってしまったが、なだらかな河底は機動兵器の“破片”を運搬するのにちょうど良い。

 一度拠点を築いてしまえば、事はあっという間に運んでいく。
 続けて俺は、カルトゥームに集められた破片の本格的な再建が始まる前に、技術者の確保に動いた。
 サルゴン様からの情報を元に、技術者の目星はつけてある。
 それは、寿命を間近に控え引退を余儀なくされた連中――メギド・ゴグの解析を担った者たちだ。


EPISODE3 それぞれの職分「彼らの定めが機動兵器の研究であるように、俺にも決して譲れない定めがあるのさ」


 俺の仕事は、つまるところ“暴力”だ。
 ただの脅しから暗殺まで、物理的なものならなんでもこなす。だが、勘違いしないでほしいのは、別に俺は破壊行為を好き好んでやってるわけじゃないってこと。
 これが、俺の職分なんだ。
 だから、技術者連中を連れて来るためならあらゆる手段を使うつもりでいたんだが……彼らは遺物の話を匂わせただけであっさりと協力を申し出てきた。
 少し拍子抜けしてしまったが、無事に人員を確保できたことで計画は順調に進んでいくだろう。

 機動兵器の再建計画は滞りなく始まった。
 彼らの分析で判明したことだが、あの機動兵器は顔以外の大部分が何らかの理由で失われていたようだ。
 だが、各地の遺構で発見された同型の機体との互換性が認められたため、発掘した顔を中心に再構築することになった。
 そうして少しずつ作業範囲は拡大していき――ついに機体の起動実験へと漕ぎつける。

 「壮観だな……」

 ハンガーデッキに直立する機動兵器は、禍々しい威容を取り戻し、睨みつけるようにこちらを見下ろしていた。
 ただそこに在るだけで、否応なく自分という存在がひどく小っぽけなものに思えてしまう。
 隣に立つ技術者の男は、胸を張るように誇らしげに言った。

 「実戦に投入するにはまだ時間を要しますが、これだけの質量です。戦場に投入できれば、必ずや機械種共を蹴散らしてくれることでしょう!」

 機体の関節部や装甲板には、歪なまま接合された箇所が所々あったが、起動させることを最優先にして急ごしらえで作業を進めていたのだろう。
 辺りで待機している作業員たちの目には、疲労の色が見てとれた。

 「頼もしい限りだな。だが、根を詰めるのも程々にしてくれよ」
 「そうはいきません。我々に残された時間は、もうわずかなのです。身体が十分に動く間に、これの完成を見届けねば、先に逝った同志に顔向けできません」

 満足そうに頷く技術者たち。
 彼らはきっと、支配者が変わろうが変わるまいが自分たちに与えられた役割をこなすのだ。
 ただ、忠実に。

 「実際に動いている姿を見てみたいものだな。コックピットはどこにある?」
 「まさか、搭乗するおつもりですか?」
 「教本を読んだだけとは、監督者として格好がつかないだろ。一応、サブパイロットを担当するつもりでもあるしな」
 「ですが……この機体には未だ解析が進んでいないブラックボックスがあります。任務に差し支えがある可能性が高いです」
 「何、操縦桿に触れなければ問題もないだろう。ほんの少しだけ、俺も操縦席から見る景色を味わってみたいだけなんだ」
 「……そういうことでしたら、承知しました。正直、ナディン様の気持ちは分からなくもないですからね」
 「助かる」

 俺は技術者の男とともにハンガーデッキに備えつけられた昇降機に乗り、機体の胸の辺りまで登った。
 周りに築かれた足場から背面部に向かう道すがら、ふとした疑問を口にする。

 「そういえば、こいつに名前はあるのか? コレとかアレじゃ締まりが悪いしな」
 「我々の間では『ドヴェルグ』と呼ばれています。数々の武具を打ったという、童話に登場する種族です」
 「ドヴェルグか、いい名前だな……さて、これが入口か」

 人間でいえば肩と肩の間ぐらいの辺りに、盛り上がった場所がある。その突起部分からスライドした筒状の物体がコックピットのようだ。

 「狭くなっているのでお気をつけください」
 「確かに……中々キツいな……」

 俺がシートに座ったのを確認すると、技術者の男がコンソールを操作する。
徐々にコックピットがドヴェルグの中へと沈み、視界は闇に包まれた。
 しばらくすると、足元のライトが仄かに点灯し――起動したモニターがハンガーデッキを映し出す。

 「この密着感も、巨人になったみたいで悪くない」

 目的も果たしたことだし、そろそろ外に出ようと、技術者を呼んだその時。

 『虚▼……の夢◆▼〇破……壊×◆◆よ!』
 「――ッ!?」

 頭の中に声が響いた。
 その直後、全身に強烈な負荷を感じたかと思えば、目の前の光景がハンガーデッキとは違う別の何かを次々と映し出し――消えた。
 時間にしてみれば、ほんの一瞬の出来事だったはず。
 それなのに、俺は息を切らすほどに消耗していた。

 「今のは……なんだったんだ……」

 パネルに触れてみるが、異常を示す数値は検知されていない。ドヴェルグのログにも、表示はなかった。

 「実感を伴うほどの幻覚……そんなことが……?」

 真相は分からないが、俺の中に直感めいたものが湧き上がる。
 ドヴェルグは、生きていると。


EPISODE4 暗君ヴォイド「ただの出しゃばりだと思っていたが、奴は人の機微に敏感なのかもしれないな……」


 ドヴェルグの建造は急ピッチで進められた。
 まだ一部の機能の解明は進んでいなかったが、カルトゥームコロニーで重ねてきた起動実験では搭乗者になんの影響もなかったことから、実戦への投入はほぼ決まったも同然。
 来たる決戦の日に備えてギリギリまで調整を重ねることになったが、そんな折、指導層を集めた軍議の場で侵攻作戦の日取りを早める裁決が下されたのだ。

 前線に配属されたのは本軍の指揮官に任命されたカイナンと、南方方面軍指揮官サルゴン様の部隊。
 作戦は両軍が南北からの同時侵攻で防衛網に攻め入り穴を開けるという、至って単純なもの。
 真人と機械種双方の部隊が防衛網で激突する中、俺は配下の兵たちを連れてヴォイドの艦隊へと赴いていた。

 『連携だと?』
 「サルゴン閣下からの命を受け、前線との連携を密にするために参りました。近くに南方方面軍の動向を確認できる人物がいる方が、何かと役に立つとのことです」

 戦闘車両からの通信越しに、ヴォイドに提案する。
表向きでは戦術連携のため、と当たり前のことを言っているが、すべてはドヴェルグがペルセスコロニーを制圧する際の布石だった。
 指導層が戦勝に湧くその隙を突いて、指導者たちを暗殺すること。それが俺に与えられた本当の任務。
 要人の確実な暗殺手段とは、殺手(さっしゅ)の生還を一切考慮しない、片道切符の殺人だ。
 上手く取り入り、奴らの懐に入りこみさえすれば、あとはいくらでもやりようがある。
 そんな真意をひた隠しにしたまま、ヴォイドに持ちかけたものの、奴から返ってきたのは意外な返答だった。

 『連携など必要ない。我が軍は優勢なのだからな!』
 「は……?」
 『艦隊を前進させる。前線で戦う者たちの士気を、総司令である私自ら高めてやろうというのだ。むしろ、これ以上の連携があろうか』
 「いやいや、そんなバカな……」
 『あぁ?』
 「な、何故わざわざ危険に身を晒す必要が」
 『手駒の力を最大限に絞り出すのにパフォーマンスは欠かせないからな。クク、今こそ、我が威を示す絶好の機会。奴らがもたらしたメギド・ゴグの力で戦場を“撫でて”やれ!』

 通信は一方的に切断された。
 続けて、ヴォイドの旗艦が唸りを上げながら前線目掛けて進軍を始める。

 「まさかあの男……我々の目的を察知している?」

 顕示欲に塗れたただの暗君とばかりに思っていたが、狡猾な一面も併せ持っているというわけか。

 「チッ……我々も前線へ向かう! 奴に続け!」
 「ハッ!」

 慌てて車両を動かし、俺たちは出遅れる形で前線に向かうことになるのだった。

 俺たちが前線にたどり着く頃には、巨大な防衛網の一角がすでに陥落していた。勢いづいた部隊が大きく開けた穴へと殺到していく。
 機械種も待っていたとばかりに反撃の勢いも強まり、いよいよ地獄と化す戦場。
 前列がくたばれば、その屍を踏み越えて新たな部隊が前に出る。それが戦争の基本的な流れ。
 ひたすらにその繰り返しだ。
 一発限りの弾丸のように使い捨てにされていく兵たちの過酷な現実を、俺はただ静観する。
 約束の時間が訪れるまで。
 程なくして、南方方面軍が使用する暗号通信を通じて連絡が入った。

 『お待たせしました、サルゴン閣下』

 戦場を映すレーダーの南側に、友軍を示すマーカーが出現した。それは高速で接近し、混沌とした戦場のど真ん中でピタリと止まる。
 モニターを見れば、煙と炎が巻き上がる戦場に、一機の機動兵器が舞い降りた。
 機動兵器ドヴェルグ――それは、旧き人類の怒りを顕現せし存在。
 戦場に、怨嗟の咆哮が鳴り響いた。


EPISODE5 思わぬ誤算「ドヴェルグを沈黙させるほどの戦略兵器……だと?いや、今はサルゴン様の安否を確かめなければ」


 ドヴェルグが降り立った戦場はその様相を変えた。
一言で言えば、一方的な蹂躙。
 戦闘車両に蹴散らされる歩兵のように、次々と機械種の機動兵器を駆逐していく。端から見ても、大勢を覆す力は機械種にないと判断できるほどだった。
 完全に勢いづいた前線部隊は、ペルセスコロニーの外殻を破壊し、ドヴェルグと共に内部へと突入した。
 あとは、ドヴェルグのコロニー制圧が完了し次第、隙を見てこちらも行動を起こすのみ。
 だが、その計画は脆くも崩れ去ってしまう。
 ペルセスコロニー内部に突入した部隊との連絡が途絶えたのだ。

 「サルゴン様……!」

 いくら通信を試みても、一向に反応はない。
 いつの間にか、都市内部を制圧したかに見えたドヴェルグの反応も消失していた。
 今すぐ突入し、安否を確かめる必要がある。予断を許さない状況だったが、そこへヴォイドから全軍に向けて指示が下った。

 『全軍、直ちに後退せよ!』

 事態の立て直しを図るヴォイドたち指導層は、緊急の軍議を開き、今後の方策を打ち立てることになった。
 その中で判明したのは、ペルセスコロニーが都市を丸ごと兵器化させていたこと、都市の熱反応の推移から兵器の運用には膨大なエネルギーがかかり、連射はできないだろうということ。
 そして、再発射できるようになる前に都市中枢を制圧しなければこちらの敗北が決定的なものになるということだった。
 これ以上の情報を得るのは難しいようだ。だったら、自分で道を切り開くしかない。
 俺は、突入部隊の隊長に自ら志願した。

 「――人数は……これで全部か」

 戦略兵器に巻き込まれなかった人員、つまりは後方での支援活動を主な任務とする連中。
 前線部隊と比べると頼りないメンツが多かった。まあ、潜入と偵察が主な仕事になるんだから、特に問題はないだろう。
 それに、万が一交戦したとしても、少ないなりの戦い方というものもある。
 そう、囮としての利用価値だ。


EPISODE6 沈黙の要塞「何故俺を助けた。やはりお前は……お前には、意志があるのか?」


 再編した部隊を率いて、俺はペルセスコロニー内部へ突入した。
 目的は、連絡の途絶えたサルゴン様とカイナンの安否の確認。そして中心部で停止したドヴェルグの再起動と回収だ。
 不気味に静まりかえる都市内部は、最初の突入時と打って変わって、機械仕掛けの兵隊たちが闊歩していた。
 立ち並ぶ構造体がバリケードになり見つかる可能性は低かったが、入り組んだ都市の中を闇雲に突き進むのは避けたい。
 追われる状況になった場合、袋小路へ入りこんでしまっては全滅もあり得る。
 俺は、背後の部隊に止まるようハンドサインを送り、物陰から双眼鏡で奴らの動きを観察した。

 「……ん? どうもおかしいな」

 奴らからは、前線に展開されていた兵とは違って、意志のようなものが全く感じられない。心ここに在らずとでもいうべきか。
 機械に意志があるなどと言えば語弊があるが、要は、ひとつの命令の下に行動しているとは思えなかった。
 壁に向かって前進行動を繰り返す個体や、ぶつかり合って横倒しになる個体まで様々。

 「これはチャンスと見なすべきか」
 「ナディン隊長、こちらへ来てください」
 「どうした?」

 直属の配下であるケリブが、何か見つけたようだ。

 「それが、この構造体の隔壁だけが開いたままになっていて……」

 どの構造体も、銀色の鱗のような物にビッシリと覆われているが、これだけは他とは違う。
 誤作動かは不明だが、これを見過ごすわけにはいかない。地下へ通じると思われる、この道の先を調べなければ。
 そこで俺は、ムルシア小隊を呼び寄せた。

 「諸君らには、ここから内部に潜入してもらう」
 「ええっ!? わたしたちだけで突入するなんて正気ですか!?」

 甲高い声で抗議の声を上げる水色の髪の女。新兵感まる出しの女は、身振り手振りで……おそらく危険を訴えているのだろう。

 「不満か? ならば別の隊に……」
 「お、お待ちください、ナディン隊長!」
 「ふぎゃっ!」

 女を横に押し退けて俺の前に出てきたのは、ムルシア小隊隊長の男だった。
 男は握り拳を作り、意気込んだ。

 「その任務、必ずややり遂げてみせましょう!」
 「あ、ああ、そうか。なら任せるとしよう」
 「ハッ! お任せください!」

 男は勢いよく敬礼すると、まだ不満を漏らす女の腕を引っ張りながら地下へと降りていった。
 随分とにぎやかな連中だったが、ああいう手合いがいた方が囮として役に立ってくれるかもしれない。
 残りの隊にも、別の侵入経路があるか確認するよう指示を飛ばした。

 「さて……ここからは速度重視だ。ドヴェルグの元へ向かうぞ」
 「了解!」

 ドヴェルグの巨体は、構造体が林立する中でもハッキリと分かる程の存在感を放つ。都市の中心に天高くそびえる塔へと頭を垂れるようにしてうずくまっていた。
 その足元には、多くの機械兵が群がっている。

 「無駄な交戦は避けたい。ケリブ、アハト、奴らをできる限り――」
 『――――――!!』

 その時、俺たちの頭上でけたたましい警報音が響いた。上に行くほど先細っている構造体に、身を隠す場所などない――そう決めつけていた俺は、己の甘さを悔やんだ。頭上で俺たちを見下ろす小型の機動兵器には、構造体の姿形に、いや、周囲の風景へ溶けこめるような光学迷彩が施されていた。

 「チィッ――!!」
 「隊長! 人形共が!」

 見れば、さっきの音で機械兵たちが皆、こちらへと顔を向けていた。人の形だけ真似られた無機質な顔。
 そいつらは、何も映さない白い瞳をぐるぐると動かし――一斉に向かってきた!

 「隊長、数が多すぎます!」
 「一旦、距離を――」

 激しい物音。金属の地面に広がる赤い染み。
 後退しようとしたケリブを、機動兵器が踏み潰してしまった。

 「クソがぁ……ッ!」

 機動兵器の脚の間をすり抜け、関節部のわずかな隙間にナイフを突き入れる。続けて、姿勢を崩した機体に飛び乗ると、心臓部めがけて引き金を引いた。

 「次ッ!」

 飛び降りて、こちらに向かってくる機械兵を一体、また一体と破壊する。相手が生身の人間ならもっと手際よくやれるが、硬い機械を相手にし続けるのは分が悪い。
 物量で押し切られる前に、ドヴェルグを起動――

 「ぐ……ッ!?」

 瞬間、俺の足に何かが引っ掛かり、俺はバランスを崩して地面の上に転がった。胸を撃ち抜き停止させたと思っていた機械兵の手が、俺の脚を掴んで離さない。
 ふと、俺の周りだけが暗い影を落とす。頭上に、機動兵器の脚が俺を踏み潰そうと振り上げている。
 アハトも機械兵の処理が追いつかず、群がられたまま理不尽にその命を散らす。
 ……間に合わない。

 「申し訳ありません、サルゴン様――」

 つんざくような、金属のすり切れる音が鳴り響く。
 いつまでもやってこない痛みに、俺はもうとっくにこの世界からいなくなってしまったのかと思った。
 だが、そうではなかった。
 頭上の機動兵器は、脚を振り上げたまま自身の数倍はある巨大な何かに弾かれ姿を消していた。
 そんな化け物じみた真似は、あいつにしかできない。

 「ドヴェルグ……まだ、生きてるのか?」

 ドヴェルグの腕は、機動兵器を機械兵の群に投げ飛ばした。そして、機械とも人ともつかない耳障りな咆哮を上げながら、腕を振り上げる。
 機械の軍勢はものの数秒で鉄屑へと変わってしまった。

 俺はドヴェルグのパイロットへ向けて手を振る。
 気づいてくれるかは分からないが、通信に応えてくれない以上、アナログな方法を試すしかない。
 だが、いつまで経ってもドヴェルグはなんの反応も示さなかった。

 「……どうなってるんだ?」

 埒が開かない。俺は急に動き出さないことを祈りながら、アンカーを使い背中のコックピットへとよじ登る。
 外部から強制的にコックピットを開けられるハッチを叩き、中のロックを外してレバーを引く。
 空気が抜けるような音と共に、コックピットがゆっくりとスライドしていき――

 「ッ!? こいつは……」

 中にいたのは、身体中の骨が折れ、シートの上で派手に“弾け飛んだ”テストパイロットの亡骸。
 身体の一部に触れてみたが、何も熱は感じない。
 あの戦略兵器で死んだものとばかり思っていたが、都市に転がる真人の亡骸とは状況が違っていた。
 可能性があるとすれば、それは恐らく……。

 「ドヴェルグ……まさか、お前なのか……」


EPISODE7 緊急軍議「カイナンも、この戦争を利用するつもりで行動していた。俺たちすら欺いて……」


 俺を機動兵器から救ったのはパイロットだとばかり思っていたが、実際はそうじゃなかった。
 誤作動なのか分からないが、こいつは、パイロットの意志とは無関係に手を出してきたのだ。
 得体の知れなさに、冷たいものが背中を走る。
 とにもかくにも、まずはこいつをどうするべきかだが……俺は座席にこびりついていた“残骸”を投げ捨て、内部を調べることにした。
 だが、これといった異常は発見できず、機体自体も損傷したわけではない。

 「埒があかないな。いったん調査は保留にしよう」

 俺が捜索に戻ろうと外に出たその時。
 コロニーの内部から、一隻の船が飛び去って行くのが見えた。
 先行して脱出した船団とは別の方角。
 諸々気がかりなことはあるが、今優先すべきはそれではない。俺は地上に降りると、先程見つけた隔壁の中へと突入した。
 その後、俺は都市の地下に広がる空間で、機械兵と交戦するムルシア小隊とサルゴン様に遭遇。
 サルゴン様の指揮が功を奏したのだろう。機械兵側の損耗だけ激しく、既にかなりの数が沈黙していた。
 残る兵も片付けたあと、俺たちは水色の髪の女の口からある報告を受けた。
 カイナン・メルヴィアスが、機械種と共に何処かへと飛び去ったということを。

 ――
 ――――

 その後行われた大規模な調査によって、ペルセスコロニーが監督官不在の都市になっていた事が判明。
 都市を管理する存在――監督官は、主に機械種が担うことになっている。
 バテシバ戦役時にも、監督官がコロニーを破棄して撤退することがあった。だが、今回はそれとは違う。
 その撤退を企てたのが、指導層のひとりである、カイナン・メルヴィアスだということだ。
 奴が事前に計画していたと思われる証拠は、サルゴン様が見つけ出していた。
 戦闘の最中、カイナンと交わした複数の通信ログ。そして、北東を目指して飛び去った船。
 これらのことから、カイナンはなんらかの方法で機械種側と内通、もしくは戦争をだしに独自の計画の下、行動していた可能性が高い。
 状況は、一変している。
 もはやペルセスコロニー陥落に沸いている場合ではなくなってしまった。
 参謀本部でもあるヴォイドの旗艦。
 その一室で、これから緊急の軍議が開かれようとしていた。
 指導層のお歴々や、普段は参加する階級ではない者まで揃い踏み。
 これには士気を高める狙いもあるのだろうが、裏を返せば、それだけ人員が減った証左とも言えた。
 面子が揃ってもヴォイドは口を開かずに、ただじっと視線の先にある扉を睨む。
 すると、扉の奥で兵士の声が響いた。

 「只今重要参考人を連れて参りました!」
 「入れ」
 「ハッ!」
 「し、失礼しまぁす……」
 「ようこそ、エリシャ・ムルシア隊員」
 「ひえっ……」

 兵士に促されて部屋に入って来たのは、俺の隊に配属されたムルシア小隊所属の新兵、エリシャ・ムルシア。
 怪我をして動けない仲間の代表として、彼女が参考人として選ばれたのだ。

 「さあ、コロニーで何を見たか話してもらおうか」
 「じ、実は……わたし、あのときの出来事をほとんど思い出せ――」
 「私は話せと言っているのだ! この役立たずが!」
 「ヒィぃぃぃ!」
 「ヴォイド、皆が落胆するようなことはやめてちょうだい。ごめんなさい、エリシャ・ムルシア。ゆっくりで良いのよ? 目を閉じて突入時のことを少しずつ思い出せばいいの」
 「わ、分かりました。やってみます……」

 エリシャは、ヴォイドに度々恫喝されながら、自身の生い立ちから、ペルセスコロニー内で見聞きしたことすべてを淡々と述べた。

 「それでカイナン様は……」
 「戦犯に“様”をつける必要などない!何度間違えるつもりだ!」
 「ひえ! そ、その、カ、カイナンは、わたしたちに何も言いませんでしたが、機械種を使って何かするつもりなのは間違いありません!」
 「他に何か手がかりになりそうなものはなかったかしら? なんでもいいの。仲間が撃たれた時の感情、光景、手の感触。あなたはどうしていたのかしら」

 諭すようなレアの言葉に、エリシャは「あっ!」と目を丸くして叫んだ。

 「わたし、無我夢中で手に持った物を全部船に投げつけたんです。それで、わたしが戦場で迷子になっても見つけられるようにって、隊長がくれたビーコンを船に投げこんで……」
 「それを……早く言えッ!!」

 エリシャの証言で、急ぎムルシア小隊の隊長から端末を回収した。

 回収した端末には、ビーコンの位置を示すマーカーが点灯していて、それはカイナンが乗る船が飛び去った方角――ペルセスコロニーから遥か北東の位置を指し示していた。
 その反応は今も移動している最中だったが、進行方向には何の情報も記載されていない。あるのは、ただの山岳地帯だ。

 「こんな場所に、本当にカイナンが?」
 「こ、この方角はまさか……サ、サマラカンダ……」
 「ヴォイド?」

 何かヴォイドだけが知り得る情報があるのだろう。端末の一点を見つめたまま、身体をわなわなと震わせている。
 そして、苦々しい顔つきのまま、宣言した。

 「この地に、追討軍を派遣する」
 「ヴォイド!? この不確かな状況で、部隊を分散するのが危険なことくらい分かるでしょう。残存兵力を考えれば、今はペルセスコロニーを――」
 「最優先すべきは! カイナンの抹殺だ!」

 血走った眼が、一同を威圧する。

 「逆賊カイナンだけではない、奴に加担する者、私の邪魔をする者、すべてだ! すべて抹殺しろ!」

 怒りを抑えようと抱き寄せた肩に、赤い染みが広がっていく。その狂気に、誰もがかける言葉を紡げずに、ただ時間だけが過ぎる。

 「レア、サルゴン……お前たちはここに残れ……」

 血に濡れた指先が、扉を指し示す。
 どうやら、軍議は終わりのようだ。
 部屋を出たあとも、扉の奥からヴォイドとレアの声がかすかに響く。
 ここにいても、もうできることはない。
 俺はドヴェルグの点検をするために、整備の心得があるものを探すことにした。


EPISODE8 戦士の矜持「俺は与えられた任務を全うするだけさ。その果てに、避けられない死が待ち受けていようともな」


 三者の間で交わされた取り決めによって、部隊は二分された。大雑把に言えば、追うか残るかだ。
 俺たち南方方面軍の生き残りは追討軍側に、元から派兵に否定的なレアとエステルは、自軍の部隊の多くをペルセスコロニーに駐留させた。
 ふたりは今後の展開を見据えて動き出している。
それと比べると、私情の色が強い追討軍は、後ろ向きな一歩とでも言うべきか。
 独房のような部屋で待機していた俺は、送られてきた隊員のリストにざっと目を通す。現状、俺以外にドヴェルグを動かせる者はいないから、俺は必然的に単独行動になった。
 南方方面軍は案の定、ヴォイドにとって都合が良い――意思疎通がしにくい編成へ変えられていた。
 それは暗に、戦場で死ねと言っているようなものだ。
いや、死ぬ権利ぐらいはくれてやる、というメッセージかもしれないが。
 とはいえ、だ。

 「ドヴェルグやら何やら裏で動いてきた俺たちへの処分がこれだけで済んでいるのも、サルゴン様がうまい落とし所を作ってくれた結果だろうな」

 やはり、あの通信ログは交渉材料にうってつけだったらしい。
 ペルセスコロニーで使われた戦略兵器は、人体だけを効率よく破壊する点においては優秀だったが、船ごと破壊して証拠隠滅できないのが難点だな。

 「ああそれと、姿を消してくださったカイナン殿にも礼を言っておかないといけないな」

 茶化すように小さく笑って、リストを消す。
 そのまま部屋を出た俺は、船上の滑走路へ向かった。
 普段は戦闘艇の発着場に使われている立派な滑走路も今じゃドヴェルグの寝所だ。

 「大きすぎるっていうのも、考えものだな」

 そう言って、ドヴェルグの冷たい装甲板に触れる。
 あの時、ドヴェルグの誤作動で俺だけが攻撃されずに生き残った理由をずっと考えていた。
 機械種と真人を破壊しておきながら、俺だけが殺されずに済んだ理由。
 それは、俺の身体に流れる“旧人類の血”に関わりがあるのだろう。
 どうやって判別しているか分からんが、未だ解明されていないブラックボックスに秘密があるのかもしれない。

 「実戦への投入を急いだのが仇になったが……――なあ、そこで立ち聞きとは趣味が悪いんじゃないか?」
 「……フン」

 物陰から、足音がした。
 足音の正体は、不機嫌な態度を隠そうともしない男、我らが追討軍指揮官ヴォイド。

 「これはこれは。何の御用ですかね?」
 「あの戦いの中、よくぞ生き残ったものだな」
 「さて、一体なんのことか分かりかねますが」
 「白々しい。貴殿がドヴェルグの乱入を前提とした行動を取っていたことは分かっている」

 ……回りくどい男だ。

 「そんなことを言いに、滑走路までやって来たのですか? 指揮官殿も案外暇なのですね」
 「分からないか? これは、警告だ」
 「……」
 「貴殿らの真意に気づいていない私ではない。私はいつでも――」

 不意に、言葉を切って近づいて来ると、ヴォイドは俺の首にわざとらしく指を立てた。

 「貴殿らの首を撥ねられるということを忘れるな」

 ヴォイドがあえて護衛をつけて来なかったのは、下手な真似をすれば、旗艦に乗船するサルゴン様が死ぬと、暗に示したかったのだ。
 挑発的な眼差しに、真向から対峙する。

 「俺は戦士です、暴力を行使する者です。真人の理想の世界を築くためなら、喜んでこの身を捧げる覚悟はできていますよ」
 「見え透いた嘘を……まあいい。先陣を切るのは貴殿だ。その禍々しき力で、カイナンを葬ってみせろ」

 そう吐き捨てて去っていくヴォイド。
 隙だらけの背中に、今すぐナイフを突き立ててやりたかった。だが、今はその時じゃない。
 この世界は、滅ぼさなければならない者たちで溢れかえっている。機械種に真人、そして帰還種。
 すべて、旧き人類の血塗られた歴史の上に成り立つ存在だ。お前たちが、切り捨てた存在だ。
 ゆえに、俺たちにのみ、この世界の在り方を問う資格がある。
 俺は生きる。
 あの時の恩義に報いるためにも、生きて、生きて、生き抜いてやる。
 そのためなら、俺はどんな姿になろうが構わない。
 最後の勝者が、俺たちであるならば!

 「この世界に、旧き血の洗礼を」

 それが俺の――ナディン・ナタナエルの矜持。



■ 楽曲
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WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
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