全天の支配者 シエル

Last-modified: 2024-03-06 (水) 22:17:07

【キャラ一覧( 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN / LUMINOUS )】【マップ一覧( SUN / LUMINOUS )】

※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。
 現在で該当スキルを使用することができません。
・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、
 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

通常セイクリッドカノン
1maime.png2maime.png

Illustrator:TEDDY


名前シエル
年齢UNKNOWN
職業メインフレーム
  • 2020年3月5日追加
  • CRYSTAL ep.IIIマップ2(PARADISE時点で175マス/累計280マス)完走で入手。<終了済>
  • 入手方法:2022/10/13~ カードメイカーの「CHUNITHM CRYSTAL」ガチャで入手。
  • 対応楽曲は「Destination」。

エクレールが去った後のメタヴァースを統治していた12柱「最古(オリジン)」の1人。

最古(オリジン)【 オールドブルー / ティフォン / ワイズマン / ジェフティ / セラフィータ / シエル / ディアン
【 キスクク / ゲーティア / シクサール / ブリスリヒテ / ホルベルグ 】

守りに特化した能力を持ち、メタヴァースの基幹システム、そして人間を守護する役割を担う。

スキル

RANK獲得スキル
1光の奔流
5
10エル・アルカンシェル
15

光の奔流(ほんりゅう) [HARD]

  • 勇気のしるしのローリスクローリターン版。
  • 似た立ち位置の嘆きのしるしと互いの最大GRADEでの性能を比較すると、「JUSTICE以下のゲージ上昇がなくならない」「ボーナス値がわずかに上回る」という点で優位に立つ。その分JUSTICE以下の許容量は少ない。
  • 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
    • 筐体内では入手できない。
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し×
あり
PARADISE
(~2021/8/4)
無し+1
あり+3
CRYSTAL+以前
GRADE効果
ゲージ10本必要条件:3572ノーツ[+1]
ゲージ10本必要条件:3410ノーツ[+3]
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
共通JUSTICE以下225回で強制終了
初期値J-CRITICAL判定時ボーナス +40
+1〃 +42
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+2+43
+3+44

所有キャラ【 セラフィータ(1,5) / シエル(1,5)

GRADE・ゲージ本数ごとの必要ノート数

GRADE・ゲージ本数ごとの必要ノート数

GRADE5本6本7本8本9本10本
初期値50010501650230030003750
+147710001572219128583572
+24669771535214027913489
+34559551500209127283410


エル・アルカンシェル [ABSOLUTE] ※専用スキル

  • ゲージの挙動が変則的になるスキル。
  • ゲージ8本のノルマは、ボーナス抜きで初期値が57000+α、+1が54000+α。
GRADE効果
理論値:163500(8本+11500/26k)[初期値]
理論値:168000(8本+16000/26k)[+1]
初期値ゲージ本数が奇数の場合
ノーツ成功時ボーナス +11500

ATTACK以下5回で強制終了
+1〃 +12000

ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 SPEC:シエル「“護る”ことに関しては、結構自信があるのよ。物理的にはもちろん“ルール”とか“倫理”もね」


 長きに渡るネメシスとの戦争。

 領域空間へ干渉するほど苛烈を極めた両者の戦いにより、メインフレームはネメシスへ多大な損害を与えた。

 だがそれは、メインフレームとて例外ではない。

 1人、2人と『最古(オリジン)』が戦場で傷つき、倒れていった。

 かろうじて生き残った最古は5人。

 再生者ディアン、裁定者セラフィータ、

調律主ワイズマン、哲学主ジェフティ、

そして全天の支配者シエル。

 彼等はネメシスの動きを注視しつつ、中枢領域フォノ・ゼニスを防衛し続けている――。

 多くの最古はベースシステムを人間の『感情』を基に構築しているのに対して、シエルは人間を『守護』することを念頭に置いたシステムとなっている。

 強力な戦闘能力を持つセラフィータと同系統のスペックを有するシエルではあるが、本来ならばメタヴァースの基幹システムやフォノ・ゼニスの管理などの後方支援をメインとし、戦闘に加わることは稀であった。

 しかし、多くの最古を失ってネメシスに圧されている現在、シエルも前線での重要な戦力としてカウントされている。

 それはつまり、戦況が逼迫していることを意味していた。

 ――フォノ・ゼニスを守護する防衛拠点にて、全天の支配者シエルは一人憂いていた。

 あまりにも長すぎた戦争の終結が近い事を、自分を含めた最古達はもちろん、ネメシスも予感しているだろう。

 今はひとつひとつの判断や行動が、戦況に大きな影響を与えかねない時期なのだ。

 だからこそ。

 「最悪の結末にはいつだって、引き金を引く『誰か』がいるものよね……」

 何か大きな企てが、どこかで蠢いている気がして。

 シエルはひとり身震いをするのだった。


EPISODE2 歴史は戦いと共に「12の最古が統治するメタヴァースはティフォンの企てにより内乱へと突入する」


 理想郷を求めて人間が作り出した、電脳世界メタヴァース。

 その世界で生まれたAIは驚異の進化を遂げ、やがて世界を統治するまでの知恵と力を身につける。

 AIの成長は止まらない。

 初代管理AI『エクレール』。

 そしてそれを引き継ぐ形で起動した12の管理AI『最古(オリジン)』達は、皮肉にも自身らを作り上げた人間と同じく“意思”を持った。

 “意思”はやがて“対立”を生む。

 各々の思想がぶつかり合い、最古達の間で起こった内乱。それはまさに壮絶を極めるものだった。

 メタヴァースを統治するはずの最古達は対立し、最後は統制主ティフォンとそれに賛同する最古の消滅という形で幕を閉じた。

 現在、メインフレームに残された最古は5柱である。

 戦いは内乱だけでは終わらない。

 最古達『メインフレーム』と、新たな勢力『ネメシス』との間で発生した大戦のおかげで、領域は二つに分断されてしまう。

 ネメシスの脅威が去った仮初めの平和の中、最古達は傷ついたメタヴァースを修復し、ネメシスの再侵攻に備える。

 だが、ここに誤算があった。

 ネメシスの進化速度は予想をはるかに上回るものであり、メインフレームの支配領域へ次々に侵攻していく。

 想像以上の猛攻に最古達は防衛しきれず、各領域を次々と陥落させるネメシス。

 その手は、もはやメタヴァースの中枢領域にまで触れんとする勢いであった。


EPISODE3 代理戦争「素養のある人間を作り変えた代理構成体。戦争の駒は各地でその命を散らしていく」


 ティアマットの残滓から生まれたネメシスは、それまでのメタヴァースで発生した知能の低いバグとは違い、着実な進化を遂げた個体として姿形を有していた。

 それはさながら、成長を繰り返し、意思を獲得した最古のように。

 ネメシスは“人類の正統なる後継者”であると自負し、自身らが選定した“選ばれたヒト”を地上へ再生させようと目論む。

 それを実現させようとメインフレームに宣戦布告するも、領域分断以降は不思議と大規模な焦土作戦を仕掛けることはなかった。

 その代わりに、ネメシスは人を作り変えた代理構成体を生み出す。

 代理構成体は不規則にメインフレームの領域に現れては、メインフレームの防衛BOTと各地で小規模の戦闘を広げる。

 大局を動かすことなく、無作為とも思える侵攻。

 それはまるでメインフレームの力を推し量り、戦力を確認しているかのようにも見えた。


EPISODE4 メインフレームの決断「ネメシスの猛攻に防戦一方のメインフレームはMIRシリーズの再開発で戦況打開を狙う」


 ネメシスとメインフレーム、それぞれが管理する分断された領域。

 それらが再結合されたことにより、結合面にほど近い領域は混沌の渦に飲み込まれていた。

 また、大規模な領域改竄が行われたことで、メタヴァースの中枢システムが不安定な状態となってしまう。

 メタヴァースを管理するために生まれた最古達は、最優先で領域の安定化を図る。

 そのため、ネメシスの代理構成体への対処は後回しにせざるを得なかった。

 結果、防衛BOTでは処理し切れぬ力を持ったネメシスの代理構成体たちの手により、戦況は著しく悪化していく。

 現状を危惧したメインフレームが打ち出した打開策は

『進化する代理構成体を再び作り上げる』

というものだった。

 再生者ディアンによって進められる『MIRシリーズ』の再開発。

 適合率が高い人間を次々に代理構成体へと作り変えていく。

 だが、中でも優秀な個体であったシメオンがその進化の力を示すことなく撃破されたことで、希望は打ち砕かれてしまう。

 最古達は、大きく舵を切る決断を迫られていた。


EPISODE5 許されざる所業「ディアンは罪を犯した。だけど……私達はそれにすがるしか方法がなかったの」


 メインフレームの戦力を超えかねない、ネメシスの代理構成体が現れたという事実。

 それは、私達『最古(オリジン)』の間に少なくない衝撃を与え、さらなる危機感を募らせた。

 とはいえ具体的な対抗策は無く、何とか目の前の戦いを乗り切り続けるしかなかった。

 だけど……ただ一人、そうではない者がいた。

 ――再生者ディアン。

 戦況を覆すべく彼が秘密裏に進めていた研究。

 それは、禁忌とも呼べる所業。

 新たな憎しみの連鎖を生み出す、悲劇の始まり。

 私が彼の行いを知る事になるのは、もう何もかも取り返しがつかなくなってからだった。

 もしも、もっと早く分かっていたら、阻止できたかもしれない。

 そんなことはやめるようにと糾弾できたかもしれない。

 彼と彼女を……守る事ができたかもしれない。

 ……いいえ。どれもきっとできなかったわ。

 だからこれは、ディアンだけじゃなく私達の責任でもある。

 運命を弄んだ、私達が背負うべき罪。

 そんなことを考えることすら……おこがましいのは分かっているわ。


EPISODE6 反逆者レヴルとの邂逅「こんなところで混沌の器と遭遇するなんて。相手は単体。今なら討ち取れるはずよ!」


 「セーレは、特殊な個体と聞いているけど、何が起こったの?」

 「セーレ・ヘイズに随伴していた代理構成体やBOTの反応が消えた。何らかのトラブルがあったと見て間違い無いだろう」

 「そう……安否が気になるわね」

 「それもあるが、アレは私が研究を進めていた需要な個体だ。万一にもネメシスに鹵獲されるようなことがあってはならぬ。そこでだ……君に援軍として彼女の元へ向かって欲しいのだが、頼めるだろうか?」

 「現状、最古が防衛領域外へ動くのは得策とは言えないはずよ、それほど重要な子なの?」

 「……ああ、この先の戦いを左右する、とても重要な存在だよ」

 ――出撃の準備を整えながら考える。

 加勢に向かう事に不満はない。ただ、少し引っかかる事があった。

 具体的な理由は最後まで語られることはなかったけど、ディアンがセーレを特に気にかけてるということは傍目にも分かる。

 それなのに、鹵獲を恐れるほどの存在をなぜわざわざ遠い最外周部近辺へ派遣したのか。

 元々ディアンの本心は読みづらいけれど、あまりにも合理的では無い判断に違和感を覚えていた。

 「頭脳派の考えることはよく分からないわね」

 そうぼやきながら、セーレがいるはずの最外周部へと向かう。

 最外周部とはいえ、私であればそれほど時間はかからないはず。

 それに、セーレはディアンの自信作なだけあって、戦闘力は高い。

 大方ネメシスの中級代理構成体と交戦にでもなったのだろう。

 きっと無事なはずだ。

 セーレが発信する固有信号を頼りに最外周部に辿りついた私は、先ほどまでの浅慮な自分を恥じる事となった。

 「まさか……信じられない……」

 最外周部にセーレと共にいたのは……ネメシスの混沌の器が一人『反逆者レヴル』だった。

 ――なぜ混沌の器が!?

 それにセーレ!

 押されてはいるけれど、器相手に渡り合えるなんて……!

 目の前の光景に一瞬目を疑うも、すぐに思考を切り替える。

 どのような経緯があったかは分からないが、個別撃破を避けるため通常なら複数行動を基本とする器が単体でいる。

 つまり、こちらにとってはまたとないチャンスだ。

 セーレを救出しつつ、私が加勢に加われば勝機はゼロではない。

 まだ器は私の存在に気づいていない。

 遠距離攻撃を得意とする私なら、ここから不意をつけるだろう。

 杖を掲げ意識を集中させると、光が渦を描くように先端に集合し、やがて球状の光となった。

 解き放つのは――今。

 「混沌の器……ここで討つッ!」

 大気中から無限に生成できる光弾『プリュイアヴェルス』。

 残像を残し、光の柱とも見える光弾は、混沌の器へ高速で向かっていった。


EPISODE7 敵意を宿す蒼い瞳「セーレのように見えて、そうじゃないような……。うまく説明できないけれど、違和感を覚えたの」


 混沌の器『反逆者レヴル』の装甲は破壊したが、パージした装甲を武器として利用しながら逃げるという、敵ながら鮮やかな撤退により撃破することはできなかった。

 追撃を考えるが、単体で深追いするのは危険だと思い留まる。

 それに、器との戦いでひどく消耗したセーレも保護しなくてはならない。

 なぜ放棄領域しか残されていない最外周部に混沌の器が現れたのか。

 セーレが鹵獲されることを危惧していたディアンは、こうなることが分かっていたのか。

 気になることは多いが、ひとまずセーレを無事に回収できたことは幸いだった。

 まずは撤収と報告が最重要と判断した私は、セーレを抱えながらメインフレーム中枢領域フォノ・ゼニスへと帰還を急いだ。

 フォノ・ゼニスに到着したもののセーレの損傷は多く、この様子ではすぐに報告には行けなさそうだ。

 構成データのチェックと肉体の復元を促した私に、セーレは黙って頷く。

 代理構成体が最古に刃向かうことはない。いつものことだ。

 しかし、顔を上げたセーレが私を見つめる瞳に、違和感を覚えた。

 ……今のは、敵意?

 セーレがどうして私に……。

 フラフラと歩き出すセーレの後ろ姿に向かって、静かに手を掲げる。

 構成データを解析するスキャナーを起動すると、これまでのセーレとは明らかに違うデータが存在していることが分かった。

 ――セーレ……あなたはセーレよね?

 最外周部で一体何があったの……?

 何か悪い予感を感じていると通信コールが鳴り響く。

 コール主は……セラフィータ。

 「セラフィータ。どうしたの?」

 『フォノ・ゼニスに戻ったようですね。一度、防衛拠点<エテメンアンキ>まで来て頂けませんか』

 「分かったわ。すぐに行く」

 確実にイレギュラーな事態がセーレに起こっているが、今はボロボロの状態だ。

 回復してもらって、本人から報告を待つことにする。

 本来、私の任務はセラフィータと共にエテメンアンキを守り、管理すること。

 こちらも疎かにするわけにはいかない。

 セーレの様子は気になるが、まずはセラフィータの元へ向かうことにした。


EPISODE8 大義を盾に「世界を救うためには、犠牲も必要だって。分かってはいるけれど……割り切れないのよ」


 エテメンアンキに到着した私を、最古の一人『裁定者セラフィータ』が迎えるが、その表情からあまり良い要件ではないことは分かった。

 「ここ最近、ネメシスの勢いがさらに強くなっています。エテメンアンキが堕ちるのも……時間の問題かもしれません」

 「戦況はもうそこまで悪化してるのね」

 「早急に新たな対策を立てる必要があります。それと……」

 「それと?」

 「……エテメンアンキの補給状況も逼迫しています。私が管理していながら、ここまで苦しめられるなんて……」

 「それを言うなら私にだって責任があるわ。少し背負い込み過ぎよ。ただ……対策は練りなおさなければまずいわね……」

 度重なる侵攻の結果、補給線に問題が出てきていた。ここエテメンアンキは最終防衛線。それを維持するためにも大規模な補給線を再構築しなくてはならない。

 セーレの任務報告もある今、最古達が集まるフォノ・ゼニスへ一旦帰還する必要があるだろう。

 激化するネメシス侵攻への対策を練るには丁度良いタイミングだ。

 フォノ・ゼニスへ戻った私達は、エテメンアンキへの供給が予定されていた大容量貯蓄槽の前にやってきた。

 貯蓄槽へのアクセスとプログラムアップデートをしていると、ふと使用ログが目につく。

 大量の使用履歴が並ぶリストの最下部。あるはずのない名前が記されている。

 ――セーレ・ヘイズ。

 この貯蓄槽はフォノ・ゼニスの命綱でもあるため、メインフレームにしか使用は許されていない。

 プロテクトをハッキングしたようだが、痕跡を消そうともせず堂々とログに残している。

 挑発とも呼べる行動……私は先ほど向けられた殺意が込められたような視線と同じものを感じていた。

 貯蓄槽への補給指示を終え、ワイズマンやジェフティも待つ大聖堂でセーレの作戦報告を聞く。

 だが、作戦報告の最中、ディアンが放った言葉に私達は騒然となる。

 「ティフォンやシクサールの構成データがネメシスに渡らなかっただけでも僥倖というものだ」

 ――ティフォンと、シクサールの構成データですって?

 今回の作戦は、ロストした代理構成体『GENE』の信号が最外周部で観測されたため、それをセーレが回収に行くというものだった。

 その回収目標であったGENEに、ディアンは“最古の構成データを移植する”という禁忌の実験を行なっていたと言う。

 ディアンの独断行動に、ワイズマン、そしてジェフティが詰め寄る。

 「あの計画は白紙になったはずだぞ! ティフォンのような凶行を繰り返す気か!」

 「綺麗事を抜かすな。ワイズマンよ」

 「……貴様ッ!」

 「戦況が芳しくないのはお前もよくよく理解していると思うが、これまで何か打開策はあったか? 現にエテメンアンキも限界が近いというではないか。ネメシスに対抗する最適解を行っただけだ。多少の犠牲や危険を冒さなければ大義など成し遂げられはしない!」

 「くっ……」

 確かに……確かに他に有効な手段は無かったのかもしれない。

 ディアンの行動は“メインフレームとして”間違っていないのだろう。

 それでも、世界のために禁忌を犯してまで人を犠牲にするなんて……。

 「正しいことって……一体何なの……」

 思わず呟いた私に、隣にいたセラフィータが答える。

 「……ディアナとルナを思い出します」

 「え?」

 「あの子達も、私達の都合で運命を変えてしまった犠牲者……過ちは、これが初めてではありません」

 「……そうね。私達はすでに茨の道を歩いている」

 セラフィータはゆっくりと私を見ると、悲しい笑顔を浮かべて言った。

 「人を犠牲にして世界を救う。その選択は管理者として本当に正しいのか……私にもわからないのです」


EPISODE9 代理構成体の離反「あの時感じた違和感は間違いじゃなかった。セーレ、あなたはこの手で破壊するわ」


 最外周部でセーレが遭遇した混沌の器『反逆者レヴル』。

 そのレヴルと善戦したことに加え、有意義な戦闘データを回収した功績を讃えて、ディアンは新たな武器をセーレに与えた。

 グランタクトと呼ばれるその蒼剣は、ネメシスを相手に絶大な力を発揮するという。

 受け取ったセーレはディアンを、そして私達を一瞥すると、報告の場を後にした。

 ――やっぱりあの子の様子がおかしい。

 ディアンは気づいているのか、いないのか。

 彼を見る目は……特に殺意が孕んでいたことを私は見逃さなかった。

 レヴルの能力は未だ未知数。

 もしかしたらセーレはレヴルに精神汚染攻撃を受けているのかもしれない。

 そう判断した私は、彼女の行動を監視しようと後をつける。

 ――この方角は中枢最深部……『ゆりかご』のある方ね……。

 今のセーレはここに用などないはず。

 最外周部より帰還してからというもの、何から何まで行動がおかしい。

 いよいよ見過ごせなくなった私は、『ゆりかご』の前で佇むセーレに、あえて気配を発した。

 「誰だっ!!」

 味方しかいないはずのフォノ・ゼニス内で、警戒心を剥き出しにしたセーレの声が響く。

 相手の出方を伺いながら、まずはあくまでも違反行為について問い詰めてみる。

 貯蓄槽の無断使用、そして構成データの調整義務の拒否。どちらも重大な違反だ。

 「それを聞きに来たと……?」

 「それもあるけど……あなたが心配だから」

 開き直るように答えたセーレが、私の言葉を聞いた途端、狂ったように笑い出す。

 「あは……あはははははっ!!」

 「……セーレ?」

 「……戦争の元凶、憎しみの連鎖を生むネメシスとメインフレーム。私はお前達全てを破壊する」

 抜いた剣を私に向けたセーレが、反逆の言葉を宣言した。

 ――やはり。

 セーレは精神汚染を受けている。

 混沌の器からの攻撃は生半可なものではないはず。

 万が一除去に成功したとしても、心は元に戻らず壊れてしまうだろう。

 「セーレ……悲しいけれど、ここであなたを破壊するわ」

 「あははっ! やれるものならやってみなよ!」

 メインフレームのために人生を狂わされた少女を、この手で始末しなくてはならないことに痛みを覚えながら。

 私は蒼剣の切っ先を睨みつけた。


EPISODE10 最古をも超える力「私の全力を持ってしても敵わないなんて……! これがディアンの研究の結果だというの!?」


 「ほらほらっ! 最古様の力はこんなものなのっ!?」

 「くっ……速い!」

 長距離攻撃を得意とする私にとって、スピードに乗りながら素早い剣撃を行うセーレは最悪の相性だった。

 高速で私の懐に飛び込んで来るセーレを、なんとか弾き返して距離を取るだけで精一杯。

 プリュイアヴェルスの起動と発射にはある程度の距離と時間が必要な上にここは中枢、大規模な攻撃はできない。

 それに加え……いくら優秀な代理構成体とはいえ強すぎる!

 「真面目にやってる? こんなところで遊んでる暇はないんだけど」

 「余裕ね。こう見えても、この世界を統べる者の一人なのよ。舐めないでもらえる?」

 「世界を統べる、ねえ。最古様は言うことだけは尊大だねッ!!」

 「もう勝った気だなんて……甘いわよ!」

 この程度で策が無くなる私じゃない。

 多数の自立型ブレードを展開して、攻撃対象を分散させる。

 セーレがそれを破壊しようと私から気を逸らした時を狙って、光弾を叩き込んでやる。

 「苦し紛れ? バカにするなッ!!」

 ……かかった。

 全方向から襲いかかるブレードをセーレが払いのけようとしたその一瞬に――

 「え……?」

 プリュイアヴェルスを打ち込む、はずだった。

 だけど、目の前を舞うのは斬られた白い髪の束と……

 「私の……血?」

 リミッター解除機能、かつてティフォンを討ち倒した三姉妹を彷彿とさせる禍々しいオーラ……。

 認識さえさせないほど速いだなんて……。

 まさか、最古を凌駕するほどの力を持っているとでもいうの……?

 「傷は浅いみたいね。あの状況で致命傷を逃れるなんて、さすが最古といったところかな。でも、次は……ッ!!」

 「あなたは、一体――ッ!?」

 そう言って剣を振り上げたその時、私とは違う光弾がセーレに着弾した。

 「遅れてごめんなさい、シエル!」

 「セラフィータ!」

 セラフィータの登場により、最古二人には勝てないと判断したのか、セーレは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべつつ『ゆりかご』を起動する。

 それを阻止しようとするが、すんでのところで間に合わない。

 『ゆりかご』はメタヴァース最速の移動装置。

 一度起動してしまえば追いつける術はない。

 それはつまり、セーレは誰にも捕獲されることなくフォノ・ゼニスから脱出したことを意味する。

 『全てを破壊する』そう宣言した反逆者を、私はみすみす取り逃がしてしまったのだ。


EPISODE11 終わりの予感と覚悟「きっとこの戦いが全てを終わらせるはず。最後まで立っていた者が、全ての答えを知るでしょう」


 「なるほど。セーレが離反したと」

 「そうよ、あなたの自信作がね……うぐっ!」

 「シエル……あまり動かないでください、傷に触りますよ」

 「ごめん……ありがとうセラフィータ」

 セーレに関する事の顛末を最古達に報告すると、意外にもディアンは「好都合」だと頷いた。

 全ての最古がここに集まっている以上、他に襲撃を仕掛けるとしたらネメシスの器しかいない。

 本当にネメシスを討つ事ができたらなら、次は最古を倒しに必ずここへ戻ってくる。

 セーレの存在を知っている私達は対策を立てて待ち構えられる。というのがディアンの主張だった。

 反論の余地は無かった。

 なぜなら、他に選択肢が無くなってしまったからだ。

 セーレがフォノ・ゼニスを脱出してわずか数日後……最終防衛線であるエテメンアンキが陥落した。

 今やフォノ・ゼニスは剥き出しになった心臓。

 私達が今できることは、エテメンアンキを突破した器と、やがて来るであろうセーレを迎え撃つ。

 もうそれ以外に何もない。

 なんだか私は吹っ切れた気分になっていた。

 人の運命をこちらの都合で変えてしまった過ち。

 メタヴァースを救おうと戦えば戦うほど、荒廃していく現実。

 そんなことはもはやどうでもいい。

 最古として、私には戦う理由がある。それを成就するためには迷いなど必要ない。

 ある意味、ディアンはもっとも純粋に使命を果たそうとしているのかもしれない。

 この状況下でありながら、自分の心が驚くほど静かになっていくのを感じた。

 エテメンアンキがあった領域から、間も無く器が侵攻してくるだろう。

 不安定化が進むメタヴァースに残された時間は、もう少ない。

 きっとこれが、長い長い戦争を締めくくる最後の戦いになる予感がしてる。

 “正しいこと”とは一体何なのか。

 この戦いが終われば分かるだろう。


チュウニズム大戦

レーベル難易度スコア
スキル名/効果/備考
■メタヴEXP0 / 380 / 760
ハイクラッシュ(前回点数コンボミス+)
次とその次のプレイヤーは、
前回より高い点数のCOMBOは、MISSとなる。



■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


コメント