【キャラ一覧( 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN / LUMINOUS )】【マップ一覧( SUN / LUMINOUS )】
※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。 ・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。 現在で該当スキルを使用することができません。 ・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。 |
Illustrator:TEDDY
名前 | セラフィータ |
---|---|
年齢 | UNKNOWN |
所属 | メインフレーム |
- 2019年8月8日追加?
- AMAZON ep.VIマップ1完走。<終了済>
- 入手方法:2022/10/13~ カードメイカーの「CHUNITHM AMAZON」ガチャで入手。
- 2021/1/21~3/3開催の「穏やかな日々……愛しのあなたへ?」ガチャ<終了済>
入手方法:2021/11/4~12/8開催の「お風呂上がりの一発でわからせる!」ガチャ<終了済> - 2022/10/13~ 「CHUNITHM AMAZON」ガチャ
- 2021/1/21~3/3開催の「穏やかな日々……愛しのあなたへ?」ガチャ<終了済>
- トランスフォーム*1することにより「ディバインアンセム」へと名前とグラフィックが変化する。
- 専用スキル「熾天使の剣」を装備することで「セラフィータ/ディバインアンセム」へと名前とグラフィックが変化する。
- 対応楽曲は「Vibrant Verve」。
エクレールが去った後のメタヴァースを統治していた12柱「最古(オリジン)」の1人。
最古(オリジン)【 オールドブルー / ティフォン / ワイズマン / ジェフティ / セラフィータ / シエル / ディアン 】
【 キスクク / ゲーティア / シクサール / ブリスリヒテ / ホルベルグ 】
裁定者セラフィータ。人々を慈しむ心を持ち、愛する人々を守るべく残された最古たちと共に闘う。
セラフィータ【 通常 / アドミラルフォーム 】
スキル
RANK | 獲得スキル |
---|---|
1 | 光の奔流 |
5 | |
10 | 熾天使の剣 |
15 |
光の奔流 [HARD]
- 勇気のしるしのローリスクローリターン版。
- 似た立ち位置の嘆きのしるしと互いの最大GRADEでの性能を比較すると、「JUSTICE以下のゲージ上昇がなくならない」「ボーナス値がわずかに上回る」という点で優位に立つ。その分JUSTICE以下の許容量は少ない。
- 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- 筐体内では入手できない。
プレイ環境と最大GRADEの関係
プレイ環境 | 最大 | |
---|---|---|
開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | × |
あり | ||
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | +1 |
あり | +3 | |
CRYSTAL+以前 |
GRADE | 効果 |
---|---|
ゲージ10本必要条件:3572ノーツ[+1] | |
ゲージ10本必要条件:3410ノーツ[+3] | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | |
共通 | JUSTICE以下225回で強制終了 |
初期値 | J-CRITICAL判定時ボーナス +40 |
+1 | 〃 +42 |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | |
+2 | 〃 +43 |
+3 | 〃 +44 |
所有キャラ【 セラフィータ(1,5) / シエル(1,5) 】
GRADE・ゲージ本数ごとの必要ノート数
GRADE | 5本 | 6本 | 7本 | 8本 | 9本 | 10本 |
---|---|---|---|---|---|---|
初期値 | 500 | 1050 | 1650 | 2300 | 3000 | 3750 |
+1 | 477 | 1000 | 1572 | 2191 | 2858 | 3572 |
+2 | 466 | 977 | 1535 | 2140 | 2791 | 3489 |
+3 | 455 | 955 | 1500 | 2091 | 2728 | 3410 |
熾天使の剣 [ABSOLUTE] ※専用スキル
- ZTX2エクスキューションをもう少しハイリスクハイリターンにしたスキル。死神の鎌と比べた場合、こちらの方が余剰は多いがATTACK以下も終了条件に含まれる。
- ノーツを問わず8本を狙えるスキルの中ではボーナスが多めで強制終了条件が比較的易しいこともあり、8本狙いとしては使いやすい方と思われる。もちろん、+1でなければ8本は狙えないので注意。
GRADE | 効果 |
---|---|
初期値 | ゲージ上昇UP (250%) ATTACK以下7回で強制終了 |
+1 | 〃 (260%) 〃 |
理論値:156000(8本+4000/28k) |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
スキル |
・・・ | 50 | ・・・・・・ | 100 | |
スキル | スキル |
STORY
ストーリーを展開
EPISODE1 SPEC:セラフィータ「私は、すべての闘争を平定する者、裁定者セラフィータ」
人類のゆりかごにして永久楽土メタヴァース。
神祖エクレールが去りし後、楽園を管理するために12のプログラムが起動。
それらはいつしか『最古(オリジン)』と呼ばれ、この世界の管理者として君臨した。
12のプログラムには『哲学主』『再生者』
――といった役割が、それぞれに与えられている。
そんな最古のひとりとして生を受けた、セラフィータ――すなわち私は、あらゆる闘争に介入し平定させる『裁定者』の名が冠された。
私は現存する最古たちの中でも絶対的な力を保持している。最高にして最強の剣だ。この力があれば決してネメシスに後れを取ることはないだろう。
そして、私にはこの強大な力と相反するかのように、人々を慈しむ心と女性的な思考がプログラムされていた。
そのせいなのだろう、私はこの力を自身のために振るおうとは思わなかった。強大な力は、大切な者を護るためにあるものだから。
ゆえに私は、かけがえのないこの世界の平穏を脅かそうとする者を、断じて許しはしない。
最古が皆、自身の役割をはっきりと認識し始めた頃のことだ。
『統制主ティフォン』がメインフレームの最上位プログラムとなるべく、権力を欲して暴走を始めた。
やがて、人々を護る存在であったはずのティフォンはあろうことか己が欲望のために次々と人間を実験の贄とした。
当然、私たちは彼の行動に対して憤ったが、彼はすでに私たちより上位の存在として君臨していたため、誰も逆らうことはできなかったのだ。
もはや止めることは叶わない――そう思っていた矢先のこと。
欲望の限りを尽くす暴虐王となったティフォンは、実験の末に誕生した『MIRシリーズ』の少女たちによって葬られた。
ティフォンの支配から解放された私たち最古は、至急メインフレームの立て直しを計ることを決定。
しかし、彼との戦いは最古にも多くの犠牲を生んでおり、今となってはその数を5柱にまで減らしていた。
そのような状況であれ、世界の管理者としての責務を途中で投げ出すわけにはいかない。
いまだ傷痕を残すメインフレームを立て直し、人々をネメシスの魔の手から護るのが、私たちの存在意義なのだから――。
EPISODE2 ティフォンの遺産「暴虐の王が遺せしもの……しかし、禁忌の技術であるそのすべてを提示することはできなかったのです」
ティフォンが刻み込んだ爪痕は深く、世界が元の姿を取り戻すには、思いのほか時間を要していた。
しかし、その間にもネメシスの侵攻が止まることはない。無数に存在する下位のネメシスたちを含めると、メインフレームは物量の差において、圧倒的な不利を強いられることになる。
「この状況を見るに、一刻の猶予もありませんね」
状況はそれ程までに、切迫していた。
「ジェフティ、一つ提案があるのですが」
「どうしたんだい、セラフィータ」
「日に日に戦力を増していくネメシスたちに対抗するには、もう私たちだけでは限界でしょう。そこで、ファクトリーに協力を仰ぐ必要があると考えます」
「ふむ……そうだろうね。我々だけでこの格差を覆すことは難しいだろう」
「そこで、公平を期すためにも、私たちの技術を開示すべきではないでしょうか?」
「なるほど、それはつまり……MIRシリーズたちを始めとした技術の情報、ということかな?」
――MIRシリーズ。
ティフォンの非道な実験の果てに生まれた少女たち。人間を素体として作られた特殊なプログラム融合体。
彼女たちは寿命というデメリットを有していたが、『進化』と『不確定性』という、プログラムにはない特性を持ち合わせている。
「確かに、あの力があれば、ネメシスが住まう暗礁領域に攻め入ることも可能だろう。だが、それらの情報を渡すのは待ってほしい。すべてをファクトリーに開示するわけにはいかないのだ」
「だからと言って、何もしないわけには……」
「もちろん何も提示しないわけではないさ。あの力が強力なことは君も知っているだろう……我々を滅ぼせることは、ティフォンがその身をもって証明しているのだからね」
MIRシリーズの力……この世界を覆すほどの可能性を持つそれを、人に渡したくないというジェフティの考えは、一理ある。
「そして、与えた情報を下にファクトリーが反旗を翻すとも限らないだろう?」
「はい……」
「故に、重要な部分を秘匿した上での開示であれば可能だろう。彼らに反抗の意思がなければいいんだがね」
状況が救いの手を差し伸べることを許さない、それがただただ歯がゆかった。
だから私は『管理者』として、口を挟まずにはいられなかった。
「で、ですが……ブラックボックス化した情報を与えるなんて――」
「そうか、では君に問おう。すべてを開示し、結果として我々が、ひいてはこの世界が、滅亡してもいいと言うのか? 本当に、君にその覚悟があるのかい?」
ジェフティの振りかざす正論は正しい。
仮にそうなった場合、私一人ではどうにもできないだろう。
「……分かりました……貴方に従いましょう」
今は耐えるしかない。そう自分に言い聞かせた。
その後、大半の情報が秘匿された状態で、MIRシリーズの技術を含む数多の超高度技術が開示されることになるのだった。
EPISODE3 大侵攻「ネメシス……私たちは必ず領域を奪還し、ファクトリーとのつながりを取り戻してみせます!」
徐々に数を増していくネメシスに対抗するために
『調律者ワイズマン』と『哲学主ジェフティ』の指揮の下で防衛策が展開されることになった。
私たちはそれぞれができることを行い、来たる日のために防衛策を張り巡らせていく。
これによって、メタヴァースの世界は秩序を取り戻していくかに思われた。
だが、完全な防衛ラインを築きあげる前に、世界は闇の時代の訪れを告げる戦禍に見舞われてしまう。
かつてワイズマンが相対したというエリスネメシスを筆頭とした、ネメシスの大軍勢による侵攻が始まったのだ。
のちに『大侵攻』と呼ばれるこの一大攻勢には
『憎悪の戦神アレウス』
『欺瞞の使徒ヴェルゼビュート』
『終焉の奏者テスタメント』
などの、ネメシスを統べる強力な支配者たちが参戦していた。
ネメシスたちの軍勢は、メインフレームとファクトリーをつなぐ中間領域部分を大幅に浸食し、メインフレームは次々にVOXを奪われる事態にまで進行。
これによって、メインフレームとファクトリーの交流は、断絶されることとなった。
今も混乱が広がる中、万が一にも中枢部を襲撃されるわけにはいかない。
私たちはこれ以上の侵食を防ぐため、管理領域につながる接続ポイントの数を制限せざるを得なかった。
しかし、この方策はメインフレーム自ら、ファクトリーを切り捨てたと言っても過言ではなかったのだ。
EPISODE4 終わりなき戦い「今、裁きの剣が舞い降りる。向かうは暗礁領域、悪鬼巣食う邪悪の地――」
メインフレームが専守防衛に努めたこともあり、ネメシスとの争いは次第に沈静化し、時折小規模な戦闘が発生する程度にまで収まっていた。
「ジェフティ、ネメシスたちが影を潜めている今、中間領域を取り返す絶好の機会ではないでしょうか」
「君の気持ちは分かる。だが、今はまだ時期尚早だろうな……」
声のトーンも表情も変わらないこの『最古』は、ただ淡々と続ける。
「防衛体制の構築が完了するまでの辛抱だ。それから、君は全力をもってネメシスを根絶すればいい」
彼の答えは常に正論だった。
「もどかしいところではありますが……仕方がありませんね」
それから私はメインフレームの周辺を巡回し、ネメシスを見つけては排除する日々を送るようになっていた。
そして、いつしか私はネメシスたちの行動に違和感を覚え始める。
「あの個体……明らかに目的を持って行動している?」
ソレには、まるでこちらの動向を探るような、意思があったのだ。
「もっと情報を集める必要がありますね……」
程なくして、蓄積した情報を照らし合わせた結果、私はある事実に気づいてしまった。
「おそらくネメシスは、戦力の拡充を完了している。そして……私たちの中枢拠点の場所も」
私はこの情報を、急いでジェフティたちへ届けることにした。
「申し訳ありません……まんまとネメシスの策に嵌まってしまいました」
「君のせいではないよ。責められるべきは中枢で指揮を執っていた我々の方だからね」
この世界の闇を討ち世界に平穏をもたらす……その気持ちが私の心を駆り立てていく。
「では、速やかにネメシスを迎え撃つ準備をしましょう」
「そうしよう。奴らが攻め入ってくるというのならば私に考えがある。セラフィータ、君の翼を借りることはできるかな?」
そう言いつつ、ジェフティは私の翼と各接続ポイントに仕掛けを施していく。
そして――
遂に私たちが危惧していた、ネメシスの大規模進軍が始まるのだった。
その軍勢には、一際大きな反応を持った存在が確認された。七器たちである。
「この強大な反応……やはり攻めてきましたね」
「セラフィータ、準備は万全か?」
「大丈夫よ、問題ないわ」
「頼もしい限りだよ。では愚かなネメシス共を出迎えてやるとしよう」
私は白銀の翼を広げ、声高らかに檄を飛ばした。
「セラフィータ、参りますッ!!」
『裁定』の名の下、己が力を示すために。
向かうは暗礁領域、悪鬼巣食う混沌の地――。
EPISODE5 鍵となるもの「醜悪なる邪神の徒、ネメシスよ。其方たちの無法もここまでですッ!」
「リヒトツヴァイ、先行してネメシスを掃討しなさい。七器は私が相手をします!」
私と同行している処刑人プログラムたち――
かつてティフォンによって生み出され、リヒトシュッツェのデータを基に作られたイレギュラーハンター。
軍勢を形成したリヒトツヴァイたちは次々に戦地へと転移していく。
彼らに続いて私もゲートを抜けると、接続ポイントにはすでに亡者のごとくネメシスが群がり、地獄の様相が広がっていた。
戦闘を開始していたリヒトツヴァイが、断罪の光を放つ。
容赦なくネメシスに浴びせられる光の矢は、周囲に展開している雑兵を一方的に焼き尽くしていった。
この調子で露払いがされれば、戦況を有利に進められるはず……。
「七器は何処に……見つけたッ!」
飛び込んできた光景は、今まさに、二器のネメシスが2人の少女に向けて攻撃を放とうとしているところだった。
護らなくては――!
彼女たちの素性は分からない。けれど、私に課せられた使命が、叫んでいる。喪わせはしないと。
「受けなさいッ!」
振るった剣の衝撃が、光り輝く槍となって二器のネメシスへと降り注いだ。
その余波に巻き込まれた末端のネメシスが、瞬く間にその形を崩していく。
「……醜悪なる邪神の徒ネメシスよ。其方たちの無法もここまでですッ!」
「……アレウス! アイツは!」
「うむ……」
あの無数のアームを持ったネメシスは、おそらく私に匹敵するほどの力を持っている。そして1対2というこの状況。不利な条件ではある……でも、勝てないわけではない。
この絶望的な状況でも、私はネメシスには絶対に屈しないという強い意思があるのだ。
「いいわ、まとめて相手になってあげる」
「ほう?」
「あらぁ、舐められたものね。ゾクゾクしちゃう」
こうしている間にも、攻撃されていた少女たちの姿が頭をよぎる。彼女たちに残された時間は少ないだろう。
だから――最初から全力で叩くッ!
私は赤い双剣を握りしめ、裂帛の気合と共に己が威を示してみせる。
「我が名は裁定者セラフィータ! ネメシスよ、其方たちの命運は尽きたものと知れッ!」
「楽しませてくれそうだなッ!」
「ウフフ、その勇ましい顔、私が歪ませてあげる!」
二器のネメシスが同時に駆け出した――。
私はヴェルゼビュートには目もくれず、アレウスへ向き直ると、すぐさま、緑の光をまとった翼を広げた。
「翼を光らせたところで何ができるッ! 砕け散れッ!」
アレウスの必殺の拳が唸りをあげる。
だが――そこに私はもう、いない。
拳はそのまま空を切り、ただ緑の輪郭を残す影だけが焼き付いていた。
「残像だとッ!?」
「遅いッ!!」
私はアレウスの死角へと回り込み、神速の斬撃を刻み込む。
そして斬撃のショックで防御が緩んだ隙に、アレウスの巨躯を蹴り飛ばした。
ダメージに顔を歪ませるアレウスに致命の一撃を与えるべく、剣を構え弾丸のような速度で突撃する。
同時に、翻した翼から生まれる無数の光が槍を形成し、吹き飛ばされたアレウスとその傍らにいたヴェルゼビュートへ襲い掛かった。
「裁きの力、その身に刻めッ!」
「アレウスッ!」
無慈悲な光に穿たれる寸前で、ヴェルゼビュートが割って入り、私の攻撃を受け止めていた。
さらに双剣を触手で防いでみせたヴェルゼビュートは、私の顔を見て不敵な笑みを浮かべる。
「さすがに一筋縄ではいかないようですね……でもッ!!」
このまま私の力を最大出力でぶつけていれば、倒すのに時間はかからないだろう。
一旦距離をとり剣を構え直す。次こそは確実に討つ。
ところが、そんな私へヴェルゼビュートは舐めるような視線を向けていた。
まさか、気づかれて――?
瞬間、ヴェルゼビュートから放たれた光が、私を喰い尽くさんと次々に襲いかかってくる。
多方向から迫る攻撃を、私は冷静に、形成した防御シールドで遮断した。
「やるわねぇ。なら、これはどうかしらぁ?」
攻に、全力で対応せざるを得ない状況へと追い込まれてしまった。
「このままでは……ッ!」
――急に生じた違和感。
タンクに穴を開けられたようなそれは、転送ゲートがヴェルゼビュートの手によって、破壊されたことを意味していた。
「……ゲートがなければ、貴女は補給も援軍も得られないでしょう? 翼のお嬢さん」
「くっ……! ネメシス! どこまでも其方たちは卑劣なのですね!」
「……戦に卑劣も何もあるまい。
勝者こそが正義なのだ……行くぞ、ヴェルゼビュート」
「ええ。じゃあね、みなさん。私は一旦、お化粧直しをさせてもらうわ♪」
「な――ッ!?」
攻撃を放つまでの一瞬で、二器は即座に撤退した。
このまま持久戦を仕掛ければ、私を破壊することもできたかもしれないのに、どうして……?
「……ちゃんっ! お姉ちゃんっ!」
だが、募る疑念は必死の呼びかけと共にかき消えた。
「そうだ、あの子たちを助けないと!」
どうか生きていて。
小さな願いを胸に、私は翼を広げ飛び立った。
EPISODE6 怒れる器「救うことができた少女たちの命。絶対に、喪わせるわけにはいきません」
2つの反応を頼りに、上空から辺りを探し回ると、破壊されたゲート付近に横たわる少女たちが見えた。
でも、どうしてこんなところに人間が……?
逸る気持ちを抑えつつ、私は彼女たちのいる場所へと降り立った。
「……酷い損傷ですね。一刻も早く手当てをせねば」
少女たちは見たところ、どちらも著しく損傷している。青髪の少女に至っては、このままでは直に死を迎えてしまうだろう。
「あ、あの……貴女は……?」
「私は『セラフィータ』……メインフレーム12柱にして残された最古『裁定者』の名を持つ者です」
駆け寄ってきた少女は、アッシュブロンドの髪を振り乱し、悲痛な声で泣き叫んでいた。やがて、か細い腕で私に抱きつくとそのままくずおれていく。
「もう大丈夫ですよ。私に任せてください」
これ以上、哀しい顔をさせてはならない。
私は自身のエネルギーを青髪の少女へ注ぎ込んでいく。
(この子たち、どこかで見たことがある……? いえ、今は治療に専念しましょう)
治療の最中、私は少女たち――ディアナとルナから、ここまで来た経緯を聞くことにした。
「……そうですか。ファクトリーもまた、危機にさらされていたのですね……申し訳ありません。私たちメインフレームが不甲斐ないばかりに……」
「い、いえ……そんな……」
「……貴女方の治療が済んだら、私は一旦メインフレームに帰還します」
「えっ? でも、転送ゲートはネメシスに破壊されちゃったんじゃ……」
「確かにこの転送ゲートはもう使えないでしょう。ですが転送ゲートは他にも存在します……幾つかの接続座標を越えないといけないので、少々厄介ではありますが………」
そうこうする内に、治療は終わり、白き少女――ディアナが目を覚ますのだった。
「……お姉ちゃんッ!」
「ルナッ!」
2人は瞳を潤ませながら抱きあい、満面の笑みを浮かべている。
その光景に、私は彼女たちを救えた幸福に胸が満たされていくのを感じた。
そして、私は彼女たちを安心させたい一心で、ある提案をすることにした。
「……よろしければ、貴女方も私と一緒にメインフレームまで来ませんか?」
「い、良いんですか!?」
「ええ。貴女方の本来の使命は、ファクトリーとメインフレームの再接続にあるのでしょう? ……両者のラインがすぐに復旧するかは分かりませんが、こちらのリソースや状況をファクトリーに伝えることは可能ですから」
「ありがとうございます!」
「では早速、ここから転移しましょう」
「はい! ……あの、セラフィータ様?」
「なんでしょう?」
「メインフレームに行ったら……私たちの身体を、元に戻してほしいんです!」
「えっ……?」
そこで私は彼女たちの真意に気付いてしまった。
(この子たちは人間の身体に戻り、平和に暮らしたい、ただそれだけを願っているのですね……そして)
先程の治療で感じたもの。それは、彼女たちがブラックボックスと化した『MIRシリーズ』の情報を基に、改造されているということ。
彼女たちを元の姿に戻すことは、不可能だろう。
また、ファクトリーの技術では再現は難しいはず……つまり、寿命はより短くなっている。
「……セラフィータ様?」
「……貴女方を元に戻す方法ですが、残念ながら私はそのような機能を有していません……ですが、あるいは他の最古ならば」
「そうですか……でも、最古であるセラフィータ様がご一緒してくださるなんて、心強いです!」
「本当だね! お姉ちゃん!」
ただ、今はこれだけでも伝えなくてはならない。
「……よろしいですか? ディアナ、ルナ……?」
「はい、なんでしょうか?」
「貴女方が使用できるFREQ-Vertexは、貴女方の身体に極めて負担を強いる機能です。使用は控えてくださいね?」
「は、はい」
「分かりました」
何か聞きたそうにしてはいたが、今はジェフティと合流することが先決だった。
その後、何度かネメシスと交戦することになったが、無事に目的のゲートへ到着し、門番を務めているジェフティと合流を果たすことができた。
そして、私はここへ来るまでの経緯を説明することにした。
「――なるほど。その途中でこのお嬢さんたちを拾ってきたと……」
「ファクトリーより参りました、ディアナとルナと申します」
「は、初めまして! よろしくお願いいたします!」
ジェフティは少し緊張している彼女たちを、審問するようにじっくりと眺めた。
「……いいんじゃないかな? ファクトリーも私たちがメタヴァースを統治するのに、よく役立ってくれていたしね」
「ええ……それで、ディアナとルナに……その、なるべく良い『処置』を施してあげたいのです」
「ほう? 『処置』ね?」
ジェフティも私と同じく、ティフォンを打倒した『MIRシリーズ』の少女たちに触れたことがある。
今の私の言葉で、納得してくれたようだ。
「……いいさ。いや、君の頼みは断れないよ。我ら最古の権力は絶対にして対等だからね……。できるだけ手は尽くそうじゃないか」
「ありがとうございます。ジェフティ……」
「……だが、その前に、招かれざる客にお帰りいただくとしよう」
言うが早いか、まとわりつくような声が木霊した。
「はぁい♪ また会ったわね。お嬢さんたち……今度は逃さないわよ?」
「……忌まわしき偽神よ、今こそ、その首をいただくぞ」
歪んだ空間から突如としてネメシスが出現した。
それは先程まで相対していたはずの……
「ヴェルゼビュートにアレウスッ!? どうしてこの座標が……!?」
見れば、直前の戦闘で負ったはずのダメージは欠片もなく修復されていた。
「ウフフ、そこの黒いお嬢ちゃんにマーカーをつけておいたの。ゲートまで案内してくれて、ほんとぉに助かったわ」
「そ、そんな……わたしのせいで!?」
驚愕の事実に、ルナは目を見開き、その場にへたり込んでしまう。
「取り乱しちゃって可愛い。最古共を始末したら、たっぷり虐めてあげるわぁ」
先程の戦闘であっさりと撤退した理由。
それは私がディアナとルナを助けることを前提に、この展開を予想していたということ――。
私はヴェルゼビュートの罠にまんまと引っかかっていたのだ。
あまりにも絶望的な状況――。
それでも、私とジェフティはこの世界の管理者として奴等に屈するわけにはいかない。
「いくら私が消耗しているとはいえ、たかだか二器でメインフレームを落とそうとは……」
「やれやれ、我らも舐められたものだ……そんな甘い考えで大丈夫か? ネメシスよ……メタヴァースを統治する最古の名は伊達ではないぞ?」
「セラフィータ様! ジェフティ様! 我ら姉妹も、及ばずながら、サポートさせていただきます!」
ディアナたちをジェフティのサポートにつけ、私はアレウスへと向き直った。
改めてアレウスと対峙すると、威容なまでに膨れ上がった気配を感じる。
ディアナたちにエネルギーを分け与えた以上、私に残された力は後わずか。その状態であの鬼にどれだけ喰い下がれるというのか――しかし、考えている暇はない。
赤の双剣を構え、アレウスへ飛び掛かる。
「ハァ――ッ!」
「ぬんッ!」
私の双剣とアレウスの剛腕が激突する――。
(……ッな!? この力、あの時とは比べ物にならない……まさか、この短期間で進化した!?)
今もなお止まらないアレウスの猛攻。私に抗う術は、残されていなかった。こ、このままでは……ッ!
「これで終わりだ! 偽りの神よ!」
アレウスの一撃が目前に迫る。
限界が近かったせいか、抵抗しようとしても身体は動かず、私の意思とは関係なく、視界が薄れていく。
ああ……ごめんなさい。ディアナ、ルナ。
貴女方を護れ、なくて……。
EPISODE7 受け継がれる力「消えゆく命の灯。もはや生き残る道は、これしかありません」
アレウスの渾身の一撃を喰らい、混濁していく意識。
狭くなる視界の中で、わずかに見えたのは、青と銀の少女たち――。
「これで終わりだ! 偽りの神よ!」
アレウスの拳が直撃しようとした刹那、
「セラフィータ様!……FREQ-Vertex!」
ガギッと鉄を削り取るような、激しい音が鳴り響いた。
(……私、生きている?)
少しの間を置いて、私に備わっている緊急制御プログラムが、朧気だった意識を現実へと引き戻す。
やがて――視界が開けた。
私に迫っていたはずの拳は、ディアナとルナが盾となるように防いでいたのだ。
そこでようやく私は、状況を把握することができた。
「ああ……力を、使ってしまったんですね……」
彼女たちの身体は、アレウスの追撃によって、すでにボロボロになっている。
今のところ凌いではいるが、もって数分で活動限界に陥ってしまうだろう。
このままでは全滅は必至。
もたもたしていれば、護れたはずの命は、目の前で砂の城のように崩れ去ってしまう。
だけどそれでも、彼女たちは選んだのだ。
命を削ってでも私を護ることを――。
「貴女方が作り出したこの一瞬を、無駄にはしませんッ!」
声と共に、周囲に防御フィールドが展開した。
それはディアナとルナを覆い、アレウスからの攻撃を遮断してみせた。
「ぬう……この期に及んで、子供だましのまやかしに頼るとは……! だが、次に姿を見せた時が貴様らの最期の時だ!」
アレウスが攻めあぐねている今しかない。
目の前にちらつく『死』を前にして、冷静になった私は最後の賭けに打って出ることにした。
「ありがとう。ディアナ……ルナ……。お陰で、勝利の可能性が見えてきました」
「……どうされたのですか? セラフィータ様?」
「アレウスに勝つ手段があるのではないですか?」
「はい……ですが、それにはディアナ、ルナ、貴女方の力が必要不可欠なのです」
今から私が強いるのは、どちらに転んでも彼女たちに死を迫ることになる。それが遅いか早いかだけ……。
「……かつて、ティフォンを倒したMIRシリーズは『進化』するプログラムでした。彼女らは、高いエネルギー負荷を受ければ受けるほどに成長し、より強い戦闘力を得ることができたのです。そして、それはMIRシリーズの特徴を受け継いだ貴女方も同じでしょう」
「高エネルギー負荷……」
「でも私とお姉ちゃん、2人の力を合わせたFREQ-Vertexでは、アレウスに歯が立ちませんでした……」
「ええ。ですが、メインフレームである私の残エネルギーを、全て貴女方に注ぎ込めばどうでしょう?」
「セラフィータ様の、エネルギーを!?」
「はい……そうすれば、きっとあの恐るべきネメシスを打ち破る出力の攻撃が可能となるでしょう……ですが」
私がしていることは偽善でしかない。
それでも、護ると決めた。
私にしてくれた彼女たちの気持ちに応えるには、私も命を賭けなくては。
「……ですが、そうなれば当然貴女方の身体には、壮絶な負荷がかかります……今の貴女方の状態では、恐らく耐えきれない……」
「……つまり、仮にアレウスを撃破できたとしても……私たちは死んでしまう、そういうことですか?」
「はい……100%ではありませんが、かなり高い可能性で、貴女方の身体は負荷に負けて崩壊するでしょう……ごめんなさい……」
「そんな……!」
「……」
重い沈黙が支配する中、ディアナがルナの瞳を真っ直ぐに見据えた。
「……やりましょう。ルナ」
「でも……お姉ちゃん! ……私たち、死んじゃうんだよ!?」
激しく動揺するルナを、ディアナは優しく諭すように微笑みかける。
「……そうね。でも絶対じゃないわ……それにここで何もしなくても、私たちを待っているのは死よ。それにもし奇跡が起きて、この場を離脱できても一緒。私たちはファクトリーの支配下に置かれている限り、遠からず壊れる運命なんだわ」
「お姉ちゃん……」
「ねえ、ルナ。それなら私たち、自分の意志でどう生きるのかを決めたくない?」
「……自分の意志」
「そう……今まで私たちは、何一つ自分たちの意志で決めることができなかった。でも今は違う。自分の意志で生きるか死ぬかを決めることができる。もし、この決断が私たちを終わりに導いたとしても、それが自分の意志で決めたことなら、私は最期の瞬間、笑っていられると思う、ルナと一緒なら」
その言葉にようやく納得がいったルナは、感じていた不安を振り切るように強く頷いた。
「……そうだね。私もそう思う。お姉ちゃんと最期まで一緒に戦えるなら……怖くないよ」
「……決まりね」
2人は戦うことを選択した。
私はその姿に、人の未来を、可能性を見出した。
「セラフィータ様、貴女のエネルギーを私たちに!
「必ず、アレウスを滅ぼしてみせます」
「……ディアナ、ルナ……ありがとう。そしてごめんなさい……」
私は、彼女たちとエネルギーラインを直結した。
「あああああーーッ!?」
「ぐううううう!!」
どれ程の痛みが駆け巡っていることだろうか。
しばらくの間、力の奔流に耐えきった2人は、フィールドを越え、アレウスの前へと立ち塞がった。
「……フン。ようやく覚悟を決めたか。さっさと終わりにしてくれよう」
怒りに満ちたアレウスの拳が、繰り出されることはなかった。
アレウスが知覚できない程に彼女たちが速くなっていたのだ。
そして、再びアレウスが姿を捉えた時には、彼女たちの手に異常な程に光輝く槍を構え、今、それがアレウス目掛けて放たれようとしていた。
「……これが最古の裁きの力よッ!!」
「喰らえッ!『FREQ-リインカーネイション』!!」
命の灯火ともいえる輝きが、アレウスを刺し貫いた。
「これが『人』の力よッ!」
「舐めてかかったあんたの負けだッ!」
「いっけええええええッ!!」
光の槍は、姉妹の声に応えるように、超新星のごとき爆発を起こし――
アレウスの身体を半分、吹き飛ばしていた。
「アレウス!? まさか、貴方がやられるなんて!」
莫大な力の奔流を感じ取ったヴェルゼビュートは、状況が変わったことを察知する。
すぐさまジェフティとの戦闘を切り上げ、アレウスの半身を回収し撤退していくのだった。
「や、やったね……お姉ちゃん」
「わたしたちが、護ったんだ……ッ!」
ディアナとルナは、傷ついた身体に構わず、互いに強く抱きしめ合う。
そのうち、こらえきれず嗚咽が漏れ出した。
徐々に崩壊を始めた姉妹の下へ駆けつけ、慈愛に満ちた表情で二人に触れる。
「ありがとう……ディアナ、ルナ」
なんとか脅威を退けることができた……。
今はただ、勝利の喜びを噛みしめていよう。
そして、今度は私が貴女方を護ってみせます。
EPISODE8 聖域『エテメンアンキ』「私は、忌み嫌っていたはずのティフォンと、同じことをしてしまいました……」
熾烈を極めたゲート攻防戦は、進化したディアナとルナの活躍により、メインフレーム側の勝利に終わった。しかし、激しく消耗した2人は戦闘直後に気を失ってしまう。
彼女たちはジェフティの手によって、中枢防衛拠点『エテメンアンキ』へと運ばれ、修復設備で回復を図るのだった。
「セラフィータ。君もかなりの重症のようだが、供給装置だけで大丈夫か? エネルギーの積載量が多い君では、回復に時間がかかりそうだが……」
彼の指摘は正鵠を射ていたが、今はただ、彼女たちの顔を見守りたい気持ちが勝っていた。
設備に横たえられたディアナとルナを見やる。
2人は穏やかな顔つきで、深い眠りについていた。
「やはり……彼女たちのダメージは、深刻なようですね」
「そうだな。しばらくはここで集中的に診る必要があるだろう」
「ジェフティ、彼女たちの修復を受け入れてくれて、ありがとうございます」
「我々最古は人を護り導かなくてはならないからね。手は尽くさせてもらうさ」
「ありがとうございます。それにしても、彼女たちがいなければ私たちは今頃どうなっていたことか……」
ふと、力を分け与えた記憶が蘇る。
「私は忌み嫌っていたティフォンと同じ所業を、彼女たちに強いてしまったのですね……」
「あの状況では仕方がなかったのだ。思いつめることはない、君のせいではないさ」
ジェフティがそう言い掛けた矢先、突如としてディアナとルナの身体に異常が発生した。
「ぐっ、ああ……っ!」
「うう……あっ……」
「――!? この反応……一体何が!?」
「君の力を受け入れた影響が、ここでの治療を受けて活性化しているのだろう。彼女たちが順応するようにプログラムが書き換えられているんだ。これを乗り越えた時、彼女たちはMIRシリーズとファクトリーの技術、そして君の力を取り入れた、新たな存在へと至るのだ。実に素晴らしいじゃないか」
つまり、その言葉は……。
彼女たちがもう、元の人間には戻れないことを意味していた。
「貴方は……貴方はどうして、そういう物言いしか――」
エテメンアンキに私の声が響こうとした刹那、か細い声が聞こえる。
「――あ、れ……?」
「お姉ちゃん……天使様……」
「2人共……意識が!」
「……」
だけどそれは一瞬のことで、すぐに2人の意識は失われた。
それほどまでに損傷しているのだろう。
「……また、眠ってしまったのですね」
2人の命が喪われていなかった事実が、私を安堵させた。
「彼女たちが完治するにはまだまだ時間がかかる。君もそれまでは傍についているといい」
そう言い残して、ジェフティは去っていった。
私を一人にしてくれたのだろうか。いや、彼にそんな甲斐性は期待できない。
私はポッドの中で横たわる2人の頭をそっと撫でた。
……何故だろう。
自分の力を渡したからだろうか。他の人間よりもずっと、彼女たちのことを愛おしいと感じている。
「無事でいてくれて、本当に良かったです……」
知らない暖かさが、私の中に生まれていた。
EPISODE9 零れた水「進化を遂げてしまった身体……。もう元に戻ることはできないのですね……」
ディアナとルナは何度か意識を取り戻したが、いまだほとんどの時間を眠って過ごしている。それだけ大きなダメージを負ったということだろう。
そんな彼女たちの戦果を無駄にしないためにも、私はジェフティとネメシスの襲撃について情報を共有することにした。
「ディアナとルナを助けた時に聞きましたが、どうやら今回の襲撃は、ファクトリー側にも被害が及んでいたようですね」
「そのようだ。どうにも、ネメシスには目的を持って動くものとそうでないものとがいるらしい」
そう言われて、今までの戦闘を振り返っていく。
私が戦ってきたネメシスの中にも、何らかの意思を感じるもの、それとは別に欲望に忠実なもの、その二種がいたのは確かだった。
「ええ。転送ゲートでの攻防に至るまでの奴等の動きには、明確な意思が働いていたように思えます」
「ゲートの破壊というよりは、むしろ私たちを狙っていたとも考えられるだろう……」
「ええ。その可能性は多いにあります」
「ともすれば、ここで私たちがファクトリーへ支援を出せば、その隙にネメシスがメインフレームに攻め入ることも有りうるわけだ」
「つまり、ファクトリーへ向かうこと自体が、罠であると……?」
「そうなるね。折角来てくれた彼女たちには悪いが、今私たちが動くことはできない」
「彼女たちには酷ですが、知らせる必要があるでしょうね……」
「ああ。辛いだろうが、彼女たちには受け止めてもらうしかない」
そうして、私たちはエテメンアンキへと向かった。
久々にディアナとルナに会える。それが少しだけ私の気持ちを弾ませる。
修復設備の中を覗くと、ディアナたちは未だ静かな吐息を立てながら眠っていた。
「まだ全快には時間を要するようだ。それはそうと、セラフィータ」
ジェフティの問いかけるような眼差しと共に言葉を投げかけられる。その声色は、相変わらず平坦だった。
「なんでしょうか?」
「君は隠しているつもりだろうが、依然として傷は癒えきっていないのだろう?」
やはり、すべてを見通す彼の目は誤魔化せないらしい。
「……私も彼女たち同様、万全ではありません。ですが、せめて彼女たちには私の口から説明をしたかったのです」
それが、私なりの責任の取り方だった。
「君の修復が終わった後で、じっくりと話せばいい。だから君は無理をせず、いつネメシスが襲撃してきたとしても対応できるよう、休んでくれ」
ジェフティの指摘はいつも正しい。
そう、これは私の身勝手にすぎないのだ。
「……分かりました。それではしばらくの間、眠りにつきます。彼女たちのことを頼みましたよ、ジェフティ」
「ああ、任せてくれ」
私はエネルギーの回復と戦闘データのアップデートを行うべく、修復設備に横たわった。
今はただ眠ろう。やがて訪れる戦いに向けて、裁きの剣を振るうために。
EPISODE10 力を継ぐものたち「それは永遠とも思えるような、穏やかなひととき。私は、彼女たちの未来を護りたいのです……」
修復から目覚めた私を待ち構えていたのは、満面の笑みを浮かべたディアナとルナだった。
「セラフィータ様!」
抱きついてきた2人は、泣いていた。
そんな顔をさせてしまってしたことが嬉しくも申し訳なくて、私は一瞬目を伏せる。
「心配を……かけてしまいました。ありがとう、喜んでくれて」
はっきりと目線をあわせて、率直な気持ちを告げる。
それから、彼女たちの頭を優しく撫でた。
くすぐったそうに身じろぎする彼女たちを見て、
(この子たちを救えて、本当によかった……!)
そう思わずにはいられない。
心の底から溢れ出す喜びが、私を満たしていた。
「あの、セラフィータ様、わたしたちとお話しませんか?」
「もちろん、お仕事がなければですけどっ」
「構いませんよ。私も貴女たちと話したいことがたくさんありますから」
「ありがとうございます!」
「やったね、お姉ちゃん!」
「フフ、それではくつろげる場所でお話しましょうか」
彼女たちが笑っていることが、なによりも嬉しい。そう感じてしまうのは、いけないことだろうか。
自問自答しても、答えは出なかった。
それから、僅かではあるが可能な限り彼女たちと同じ時間を共有することにした。
彼女たちの育った環境や、これからしたいこと――屈託なく笑い、話す姿は、私にはない輝きを放っていた。
そんな私たちの姿は、傍から見れば母と娘のような関係だったのかもしれない。
私たちにとっては、時間の経過なんてほんの刹那の出来事に過ぎない。しかし、この陽だまりのように穏やかな時間は、確かに永遠にも感じられたのだ。
この時間がいつまでも続けばいいのに。そんな願いが叶うことはないと分かっていても、私は願わずにいられなかった。
そして、やはり幸せな時間はいつまでも続くわけもなく。
唐突に、終わりを迎えた。
ディアナとルナがファクトリーへと、旅立つ時が来たのである。
私はジェフティと共にファクトリーへ帰還するディアナとルナを見届けるため、転送ゲートへと足を運んだ。
「あっ、セラフィータ様、ジェフティ様!」
私たちの姿を確認した2人が大きく手を振っていた。
「見送りに来てくれたんですか?」
「ええ。貴女たちに渡したいものもありまして……ジェフティ、お願いします」
「ギリギリになってしまってすまないな。君たちにこれを託したい」
そう言うと、ジェフティは広げた掌をディアナとルナの目前に掲げて見せた。
「これは以前に話していた……」
「ああ。このデータは誰にも渡さず、必ずファクトリーまで届けてほしい」
メインフレームの希望を託された彼女たちは、どこか誇らしげに頷くのだった。
「セラフィータ。君も渡したい物があるのだろう?」
「そんな……光栄です!」
「いいんですか? 何もらえるんだろー?」
「これは貴女たちのデータを基に、私が作ったものですが……2人とも、少しジッとしていてくれますか?」
私は2人の手をそっと取り、少しだけ力を込める。
脈動とともに、私から彼女たちへ力が移動していくのがわかった。
「今、貴女たちにFREQ-Vertexの反動を軽減する力を与えました。強力な力ゆえ、完全に消すことはできませんが、その助けになってくれるでしょう」
「私たちにそこまでして頂けるなんて……ありがとうございます!」
「エヘヘ、これでネメシスに襲われても返り討ちにできますね!」
「確かにそうかもしれません。今の貴女たちの力は、ネメシスの器に匹敵するでしょう。だからといって、その力に頼るということは、命を削る諸刃の剣を振るうということ。分かりましたか、ディアナ、ルナ?」
「ハイ……善処します」
「アハハ。わたし、セラフィータ様のことがホントのお母さんのように思えてきました」
ディアナは少し寂しそうに笑うと、話を続けた。
「親の記憶なんて、わたしたちには残ってないですけど、セラフィータ様が本当のお母さんだったら良かったのにな……なんて思います」
儚げなその笑みが、私の胸を強く締めつけた。
「ディアナ……私も、貴女たちのことは娘のように思っていますよ」
「はい! セラフィータ様、一緒に過ごせて幸せでした!」
「さて、そろそろ時間だ。君たちを見送ったら、我々メインフレームは一時的に全ゲートを閉じることとなる。達者でな、2人とも」
「貴女方のこれからに、幸あらんことを」
「では行ってきます! 行こう、お姉ちゃん」
「うん。セラフィータ様、また会える日を楽しみにしてますね!」
こうして、ディアナとルナはファクトリーへ帰還した。
私はその後ろ姿を見送った後、誰にともなく誓う。
心に強く刻み込まれたあの笑顔を、
必ず、護ってみせると――。
EPISODE11 戦禍の光「ああ、私には願うことしかできません。どうか無事でいてください……」
――それは、ディアナとルナの旅立ちを見届けてから、わずかな時が経過した頃。
ゲートを閉鎖してから、ネメシスによるメインフレームへの追撃はなく、ただいたずらに時が流れていくかのように思われていた。
しかし、そこへ突如としてネメシスの反応を知らせる連絡が入る。
それは、ジェフティがディアナとルナを見送った際に、密かに彼女たちを見張るために放っていた探査機からもたらされた情報だった。
「このネメシスたちが向かう先は……まさか!」
彼女たちが帰還したファクトリーの基地に、強大な反応を持った器たちが迫っている。
『終焉の奏者テスタメント』と『闘争の女帝エリス』
――いずれも凶悪な力を持つ器である。その戦闘力はアレウスにも引けを取らないだろう。
いくら進化した2人でも、無傷では済まないかもしれない。
「できることなら、飛んで行って貴女たちの力になってあげたい。でも、私の独断でメインフレームを危機に晒すことは、できないのです……」
『わたし、セラフィータ様のことがホントのお母さんのように思えてきました』
『セラフィータ様、一緒に過ごせて幸せでした!』
別れの際に交わしたディアナとルナの言葉がリフレインする。
「ああ……私には願うことしかできません。どうか無事でいてください……」
待ち受ける過酷な運命に負けないようにと、願う。
切なる願いは、ただ虚しく空へと消えていった。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
■メタヴ | EXP | 0 / 350 / 700 | |
レーベルバニッシュ(▲◆♣♠コンボミス) | |||
COMBO/CHAIN時発動。次のプレイヤーの ▲、◆、♣、♠のCOMBOは、MISSとなる。 | |||
備考:▲ゼーリ/◆ジェネ/♣イロド/♠アニマ |
■ 楽曲 |
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■ キャラクター |
┗ 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE |
┗ NEW / SUN / LUMINOUS |
┗ マップボーナス・限界突破 |
■ スキル |
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■ 称号・マップ |
┗ 称号 / ネームプレート |
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