天稲荷 コテツ

Last-modified: 2024-03-10 (日) 11:33:01

【キャラ一覧( 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN / LUMINOUS )】【マップ一覧( SUN / LUMINOUS )】

※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。
 現在で該当スキルを使用することができません。
・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、
 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

通常よろしい、ならば戦争じゃ
1maime.png2maime.png

Illustrator:ぽよよん♥ろっく


名前天稲荷 コテツ(あまいなり - )
年齢19歳
職業江戸時代のアイドル
  • 2020年9月17日?追加
  • CRYSTAL ep.VIマップ3クリアで入手。<終了済>
  • 入手方法:2022/10/13~ カードメイカーの「CHUNITHM CRYSTAL」ガチャで入手。
    カードメイカー再録歴
    • 入手方法:2021/8/5~9/1開催の「「失った仲間へ。それは、償いか。決意か。」ガチャ」<終了済>
  • トランスフォーム*1することにより「天稲荷 コテツ/よろしい、ならば戦争じゃ」へと名前とグラフィックが変化する。
    PARADISE LOSTまでのトランスフォーム仕様
    • 専用スキル「オタク・バイブレーション」を装備することで「天稲荷 コテツ/よろしい、ならば戦争じゃ」へと名前とグラフィックが変化する。
    • CRYSTAL PLUS以降、RANK25にすることで装備したスキルに関係なく上記のグラフィックを自由に選択可能に。
  • 対応楽曲は「エキセントリックコンコン」。

江戸時代に活躍していたというアイドル。
※CRYSTAL ep.VIのSTORYの元ネタは、ここで掲載できないもしくは掲載難易度15のものが多数なので、気になったら各自で調べてください。
(ピュア)と音ゲーとは
江戸アイドル知雲 ひばり / 伊賀崎ノ楠子 / 天稲荷 コテツ

高飛車な雰囲気の中に併せ持つカリスマによってファンをひれ伏せさせる。

スキル

RANK獲得スキル
1判定掌握
5
10オタク・バイブレーション
15

判定掌握 [MANIAC]

※高確率でスコアにマイナスの影響を与えます。

  • 判定難化スキル初の汎用スキル。
    神槍「スピア・ザ・グングニル」?等のような「極端に」に比べれば判定難化はまだ優しく、ゲージ増加量も申し分無い。
    しかしハッキリ体感できるほどJUSTICE以下が増え、結果としてそこまでゲージが伸びないので総合的にはやや微妙。
    使い込めばATTACKはある程度抑えられる……かもしれない。相当な精度を求められるが、理論値上はゲージ8本まで可能。判定掌握(したとはいっていない)
    なお、ExTAPも判定難化の影響を受けるので注意。ダメージノーツの判定には影響しない。
    ※ExTAPでJUSTICE判定やATTACK判定が出るようにはなりません。
効果
理論値:169800(8本+17800/28k)[+9]
共通TAPの判定が非常に厳しくなる
GRADE上昇率
初期値ゲージ上昇UP (225%)
1〃 (235%)
2〃 (245%)
3〃 (255%)
4〃 (265%)
5〃 (275%)
6〃 (277%)
7〃 (279%)
8〃 (281%)
9〃 (283%)
PLUSまでの旧仕様

PLUSまでの旧仕様
AIRバージョンからTAPに限らずゲージ上昇率が適用されるようになり、ゲージ上昇率も増加した。所有キャラも増加した。

初期値TAPのゲージ上昇UP(225%)
TAPの判定が非常に厳しくなる
GRADEAPのゲージ上昇UP 5%増加(最大240%)


所有キャラ

所有キャラ
鬼蝮 ユリア / 白川 虎之助(1,5) / 天稲荷 コテツ(1,5) / リー・メイメイ(1,5) 】


オタク・バイブレーション [NORMAL] ※専用スキル

  • するがモンキー?の亜種。ダメージ条件がMISSからATTACK以下になったもの。
    あちらと並び、同系統のスキルでは最もダメージが大きい。
  • 似たような効果であるのは、ぽよよん♥ろっく=渡辺明夫氏がアニメキャラデザを務めた〈物語〉シリーズ繋がりと思われる。
    効果
    理論値:132000(7本+6000/26k)
    ATTACK以下10回以上で
    ゲーム終了時にダメージ -55000
    GRADE上昇率
    初期値ゲージ上昇UP (210%)
    +1ゲージ上昇UP (220%)

ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーの元ネタ(掲載できるギリギリの範囲で解説します)

ストーリーの元ネタ(掲載できるギリギリの範囲で解説します)

  • CRYSTAL ep.VI各EPISODEタイトル
    美少女ゲームの名称が元ネタになっている。それ以上はいけない。
  • よろしい、ならば戦争じゃ
    平野耕太の漫画『HELLSING』の少佐の演説に登場したフレーズ。本当はもっと長いのだがここだけ切り取ってよく使われる。
    ちなみに原文では戦争と書いてクリークと読む。
    ついでにイラストレーターつながりでぽよよん♥ろっく(=渡辺明夫)氏がアニメのキャラデザを務めた化物語での戦場ヶ原 ひたぎのセリフも意識していると思われる。
  • ラ゛イ゛ト゛付゛き゛ヘ゛ル゛メ゛ッ゛ト゛~!
    ド●えもん。
    濁点の付く特徴的な声は現在の方ではなくその1代前のいわゆる「のぶ代世代」のやつ。
  • ないよぉ! 暗黒魔導士様が言っても説得力ないよぉ!
    『ソードアート・オンライン』にて、アリシゼーション編開始期に登場した金本敦のセリフ「ないよぉ!剣ないよぉ!」から。
    現実世界でアスナと一緒にいたところをジョニー・ブラック(=金本敦)に襲撃されたキリトがゲーム世界のように剣を抜こうとしたところ現実世界のため剣がなかったシーンでのセリフ。
    シリアスなシーンではあるのだが、コミカライズ版でのこのシーンだけを切り取った時の妙なシュールさとアニメでの顔芸と声優を務めた逢坂良太氏の迫真の演技の合わせ技によって話題になった。
  • 正面からこれ電車走ってきてQTE始まるやつじゃんこれ……
    バイオハザード6のレオン編から?
    バイオテロが起きた大学から脱出したレオンは教会に向かうが、マンホールから飛び込んだ地下道が地下鉄に利用されており、ここでQTEが発生する。失敗すると即死だが、猶予時間が短いためプレイヤーの詰みポイントの一つとして知られている。
  • ギャーッ! やっぱり悪霊出てくるじゃん! 放課後退魔アクションだよ、宝刀獅子王なんてないよ!! アイロン! アイローーーーン!
    少年少女が退魔術や格闘を駆使して闘う新感覚ホラー漫画「喰霊」に登場するアイロン型の魔武器「打杯弐拾八號(だぐらすにじゅうはちごう)」
  • きっと若さの泉デース!
    インディージョーンズクリスタルスカルの魔宮に存在すると言われる泉。
  • 「江戸よ、わしは帰ってきたッ!」
    『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の第9話におけるアナベル・ガトーのセリフ「ソロモンよ、私は帰ってきた!」から。
  • オタク・ハイロウ
    『機動戦士Vガンダム』に登場するザンスカール帝国が建造した巨大サイコミュ兵器「エンジェル・ハイロゥ」
    この兵器から発せられる強力なサイコ・ウェーブが人間の精神に影響を与え、幻覚を見せたり退化させることができる。
  • オタク・バイブレーション(専用スキル名)
    同じく『機動戦士Vガンダム』のエンジェル・ハイロゥのキールームにいたシャクティの戦争を終わらせたいというする真摯な祈りによって発生した未知の「暖かな光」に対するフォンセ・カガチの呼称「ウォーム・バイブレーション」から。
  • 「さすがはツクダ電機製。威力は申し分ないわ!」「ツクダ!? だからあんな超エキサイティンッな威力だったのか……!」
    かつて存在していたおもちゃメーカー「ツクダオリジナル」から。超エキサイティンッはツクダオリジナルが販売していたおもちゃ「バトルドーム」のCM。
  • アイリを庇うようにして頬を膨らませるイングリット。だが、当のアイリは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
    歳はひとつしか離れていないはずだが、戦力の差は歴然である。
    胸囲の格差社会。現実は残酷である。
  • 最終目的はそう! 日本の中心と言うべき場所にあるパリピ施設『ウニバーサルスタジオ』じゃ!
    大阪にあるパリピの聖地、「ユニバーサルスタジオジャパン」から。ある意味秋葉原とは対極の存在であると言える(?)。
  • あぁ、もう滅茶苦茶だよ!
    例のアレ。声優の杉田智和氏がラジオでこのセリフを発したことから動画サイトなどでは本編の音源よりもこちらの方がよく使われる。
  • アイリの呪文「レディコーパス」
    『ハリー・ポッター』シリーズに登場する呪文「モビリコーパス」から。
    作中では、気絶して動かなくなったスネイプ先生をそのままの状態で浮遊させていた。
  • ヌマヅは既にアイドルオタクの聖地!
    静岡県の沼津市は『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台として有名であり、自治体を挙げての聖地巡礼事業に力を入れている。
    余談だが、上記作品のスピンオフである『幻日のヨハネ』では舞台が「ヌマヅ」名義になっているが、本キャラの登場より後に発表された作品なので元ネタではない。
  • オタクくんさぁ……(略)
    ロックバンド「WANIMA」の写真とともに貼り付けられるツイートの定型文。WANIMAの底抜けに明るい音楽性などからパリピのアイコンのように使われるようになったのが始まり。
    なお、このネタに使われている画像の出典自体は熊本地震の復興応援の主題歌に選ばれたことに対するインタビューの画像であり、至極まじめな内容である。
  • 両脇をパリピに囲まれてしまった楠子は、抵抗もできずに乗せられてダブルピースを作ってしまう。
    オタク気質もしくは陰の者気味な奥手女子がパリピに乗せられた結果ダブルピース落ちしてしまうのは美少女ゲームでよくあるシチュエーションでジャンルがNTRに分類されるものに多い。NTRの意味についてはもちろんご割愛。

ストーリーを展開

EPISODE1 魔大陸物語「江戸アイドルを2人倒したアイリたち。ユリアを取り戻すため、最後の戦いへと向かうのだった」


 前回の活動記録!

 ハイ! みなさんオハコンバンチハ~!

 天っ才美少女冒険家イングリットちゃんデ~ス!

 江戸アイドルの知雲ひばりを退けたワタシたちに、ひと時の休息が訪れたデス。

 と思いきや、コタローがオタクに囲まれてしまったデス!

 それを助けてくれたのは、以前にもコタローがお世話になったらしいお巡りさん。

 いろいろ達観しているドルオタのようデスが、今のアキバのオタクの在り方に悲しんでいるようデスね。

 オタクの正気を戻すため、そしてユリアたちを助け出すために、ワタシたちは洗脳兵器

『オタク・ハイロウ』を制御している装置を探すことにしたデス。

 しかしそんな大きそうなものはどこに……?

 頭を抱えるワタシたち。そんな時に、モモコが地下にあるかもしれないと閃いたのデス!

 さらにとれびがアキバの地下へと続く道を知っていると言って、ワタシたちは『旧万世橋駅』へ向かうことになったデスよ!

 だがしかぁーっし! そう簡単に進ませてくれる江戸アイドルたちではなかったデス!

 ワタシたちの前に、第2の刺客、伊賀崎ノ楠子が現れたデス!

 ブンシンジツやクナイを使って攻撃を仕掛けてくる楠子。コタローが勇敢に立ち向かうデスが、捕らえられてしまったデス。

 その楠子は、自分たちのやり方が間違っていることはわかっていると話してきたデス。

 だけど、それもオタクのため。オタクが平穏に暮らせる世界のためだと語るデス。

 わからないことはないデス。オタクが平穏に暮らせる世界、ワタシも興味があるデス。

 でも、好きな気持ちを洗脳して勝手に歪めていい理由にはならないデス!

 話し合いはそこで終わり、ワタシたちと楠子の想いが正面から激突するデス。

 とはいえ、こちらは5人。楠子は大量にブンシンして襲い掛かってきたデス。

 卑怯デス! さすがは汚い忍者デスよ!

 成す術がないと思われたその時、またもやワタシたちはモモコの閃きに助けられることになったデス。

 ワタシにはよくわからないデスが、『チョットカンドガアガルエキタイ』? をアイリの魔法で巨大化させて、楠子に浴びさせるというのがモモコの閃きデス。

 最後はワタシたちにもかかってしまい、ちょっと身体が熱くなったデスが……。

 ブンシンをすべて本体に戻した楠子が、突然痙攣を起こして倒れたデスよ。

 なにはともあれ、無事に刺客を倒すことに成功したワタシたちは、今度こそアキバの地下を目指したのデス!

 いったいこれから何が待ち受けているのか……?

 どうなる!? 魔大陸冒険譚第3回!


EPISODE2 レコンキスタ「仲間が2人も敗れ、苛立ちを募らせるコテツ。魔大陸に近づく不穏な影に、重い腰を上げる」


 「コテツ~、取り逃がしちゃったにゃ~! ごめんにゃ~!」

 薄暗いモニタールームで、画面に映し出された半泣きの楠子からそう報告を受けたコテツは、口にしていた棒状のお菓子をへし折った。

 「よい……いや、よくはないんじゃが、そなたの無事が第一じゃ。して、あやつらはどこへ?」

 「たぶんそっちに向かっているにゃ。地下がどうとか話していたし……というか、無事じゃないにゃ! まだ身体の火照りが治ま――」

 ブツンと音を立てて、画面に映し出されていた楠子の姿が消える。

 言い切らない内に、コテツが通信を切断したのだ。

 「よもや楠子まで敗れるとは思わなんだ。あの不確定要素ども……戦う力なぞないと思っていたが」

 楠子は、コテツたち3人の中で唯一戦う力を有している。

 普通のアイドルであれば、戦う力なんてものは当然ながら必要ない。大昔のアイドルとはいえ、それは変わらないことだろう。

 楠子が戦う力を持っているのは、元々は忍びの一族という、少々変わったケースであるからだ。

 だからこそ、楠子に任せれば不確定要素を簡単に潰すことができると考えていたのだが、思惑は外れることとなってしまった。

 想定外のことに苛立っているのか、コテツは異様な速度でポリポリとお菓子を消費していく。

 やがて、すべて食べ終えたことに気づくと、くしゃりと袋を握り潰した。

 「放ってはおけん――が、あやつらばかりに構っている余裕がないのも事実。一番はあやつらを引き入れることじゃが……早くせねば、また繰り返すことになってしまう……」

 深くため息をつき、魔大陸周辺を映し出した画面を見やる。

 そこには、いくつもの不穏な影が魔大陸へと近づきつつあった。


EPISODE3 目標0キロメートル「暗闇の地下を進むアイリ一行。突如現れた人物に、桃子の叫びが轟いた」


 コテツがモニタールームで苛立ちを感じているその一方で、アイリたち5人は地下鉄万世橋駅へとたどり着いていた。

 「暗っ!? 怖っ!? 無理だよこんなところ進んだらみんな死んじゃうに決まってんじゃん!?」

 今は使われていない駅の構内は明かりひとつなく、真っ暗闇が続いている。

 まったく先の見えない空間に桃子が叫ぶと、反響した自分の声に「ヒィッ」と身体を縮こませた。

 「桃ちゃんは暗いの苦手なんだね~」

 「ふんっ。これしきの闇で怯えるとは……それでも暗黒魔導士である我の眷属か?」

 などと鼻で笑うアイリは、とれびの手をしっかりと握っていた。とれびの反対側の手には、鋼太郎の手が握られている。両手に華状態でとれびは嬉しそうにしていた。

 「こういう時のためにいいもの持ってるデスよ」

 ニヒヒと変な笑みを浮かべながら、イングリットはカバンの中を漁るとあるものを取り出した。

 「ラ゛イ゛ト゛付゛き゛ヘ゛ル゛メ゛ッ゛ト゛~!」

 某ネコ型ロボットのように言ったそれは、文字通り何の変哲もないライトが付いているただのヘルメット。

 しかし、この暗闇の空間では間違いなく救いの光である。少なくとも、今この瞬間桃子にはイングリットが神のような存在にも思えた。

 イングリットがヘルメットを被りライトをつけると、ほんの少しだけ気分も明るくなったような気がした。

 そんなイングリットを先頭に、一行は暗闇を進んでいく。

 「うわ……うわ……正面からこれ電車走ってきてQTE始まるやつじゃんこれ……」

 静かな暗闇に、桃子の呟きだけが響く。

 アイリも、そんな桃子の様子を見て、さらには暗闇にも慣れたのか怖さをあまり感じなくなっていた。

 「ここずっと前の廃駅って話じゃん! きっと良くない霊が住み着いてるって! 人を呪ったりしてるんだって! こわいこわいこわいぃ~~っ!!」

 「ゆ、幽霊など、いるわけがなかろう!」

 「ないよぉ! 暗黒魔導士様が言っても説得力ないよぉ!」

 そうして進むこと数十分、進行方向に人影のようなものを見つけたイングリットは歩みを止めた。

 「誰か居るデース」

 「えっ、もしかして幽霊さん?」

 「ギャーッ! やっぱり悪霊出てくるじゃん! 放課後退魔アクションだよ、宝刀獅子王なんてないよ!! アイロン! アイローーーーン!」

 「きっと若さの泉デース!」

 約2名よくわからないことを口走ると、その人影は地団太を踏んで叫びだした。

 「誰が悪霊じゃ! 無礼者!」

 「そうですわ! 失礼ですわ!」

 人影は江戸アイドルのコテツと、その後ろからひょっこりと顔を出して一行を睨みつけるひばりであった。

 その姿を見たアイリは、杖を2人に向ける。

 「あ~! 江戸の……えっと……お姉ちゃんを返して!」

 「キーッ! 全ッ然名前覚えやがりませんわ! 最近の若者は物覚えが悪すぎるチュン!」

 「コンコン、まぁそう構えるでない。わしらは戦いに来たわけではないのじゃ」

 身構えるひばりを片手で制して、コテツは含みのある笑みを一行に向ける。

 「わしらはただ、オタクが安らげる世界を、場所を作りたいだけなのじゃからな」

 そう言うと、コテツは踵を返して背中越しに一行へ言葉を発した。

 「ついてくるといい」

 暗闇へと姿を消すコテツ。

 ひばりは一行にあっかんべーと下を出すと、コテツを追って行く。

 どうせ引き返すこともできないのだ。

 5人は顔を見合わせて頷くと、真っ暗闇へと足を踏み出した。


EPISODE4 阻止臨界点オタクポイント「ボタンひとつで地上がオタク色に染まっていく。強大な力を前に、アイリたちは言葉を失った」


 コテツの後を追うアイリたち。その先には、某特務機関に負けずと劣らない巨大なブリッジがあった。

 「こ、こんな場所がアキバの地下にあったなんて」

 「まさに秘密基地デスね……!」

 驚愕している5人をよそに、コテツは大型のモニターを見つめて不敵な笑みを浮かべる。

 モニターには、地上のどこかが映し出されているようだった。

 「予定にはなかったがやむを得まい。強制オタク化を目の当たりにすれば、少しは考えも変わるじゃろう……とくと見るがよい!」

 威勢良く声高に叫ぶと、コテツは大きな赤いボタンを力強く押した。

 直後、ブリッジが――いや、魔大陸自体が大きく揺れる。

 「オタクの理想を掲げるために、オタク帝国成就のために……江戸よ、わしは帰ってきたッ!」

 「にょわ~~~!?」

 「はわわー! な、何をしたんです★!?」

 大きな揺れにバランスを崩す5人。中でもイングリットは鋼太郎を巻き込んで盛大に転んでいた。

 「のぉ゛おおお゛おおっっっ♥ お゛~~~♥♥」

 「Oh……ソーリー、コタロー」

 唐突な揺れと金髪美少女によるダイレクトなボディタッチは、鋼太郎に多大なダメージを与え、一瞬でその意識を刈り取ってしまう。

 鋼太郎の絶叫が響く中、桃子は大型モニターに映し出された映像に、目を見開いた。

 「あれって……もしかしてヨコハマ!?」

 そう、映し出されていたのはヨコハマの街並み。

 魔大陸アキハバラの下部に設置された巨大なスピーカーから発せられる毒音波による精神汚染。

 一般人やリア充の多いその街が、洗脳兵器である『オタク・ハイロウ』の餌食となっていたのだ。

 慌ててトイッターを確認する桃子。

 お台場や千葉の有名娯楽施設と、ほとんど同じような状態になっていることがわかる。

 範囲内にテレビ局があったからだろうか。24時間すべて深夜アニメを放送する放送欄の画像が流れてくるなど、被害は甚大であった。

 「ヨコハマが……堕ちた……」

 「なんてひどいことを……!」

 衝撃を受けるアイリたち。

 そんな5人の反応を見て、コテツとひばりは高らかに笑うのだった。


EPISODE5 世界征服オタク「コテツの最終目的。それは、パリピ施設を洗脳し、日本を統一することであった」


 「見たか! これが『オタク・ハイロウ』の力!」

 大型モニターに映し出されたヨコハマの地を眺めながら、コテツは愉快そうに声を上げた。

 「さすがはツクダ電機製。威力は申し分ないわ!」

 「ツクダ!? だからあんな超エキサイティンッな威力だったのか……!」

 アキハバラが浮上するなど様々な事象を見てきたが、製造元に今までで一番の衝撃を受け、桃子はガクリとうなだれる。

 「しかも、発射の度につくだたんのクリアファイルが大量にばら撒かれるのじゃ。イケておるじゃろう? そなたらにも記念にやろうではないか」

 バサリと雑にばら撒かれるクリアファイル。

 その1枚を手に取ったアイリは、何とも言えない表情を浮かべた。

 「かわいい……けど、追加で貰える特典がこれだけとか貧弱すぎんよ……せめてアクキーとかさぁ……」

 口ではそんなことを言いつつ、桃子は床に散らばったクリアファイルを数枚集めて懐にしまい込む。

 貰えるものは貰っておくに越したことはないのだ。

 とれびも「ユリアちゃんの分も~★」と余分に拾っているのを見て、アイリはハッと我に返った。

 「クリアファイルはどうでもいいの! 今すぐお姉ちゃんを返して!」

 アイリたちの目的は、捕らわれているユリアたちの救出である。

 コテツを前に一瞬でも他のことに気を取られてしまったが、アイリはオーディンステッキをコテツに向けた。

 つくだたんを披露してごきげんだった様子のコテツは、座っているゲーミングチェアをくるくると回すのをやめ、アイリを見やる。

 「まだわしらに同調せぬか。だが聞くといい、つるぺたロリ魔法使いの少女よ」

 「だっ、誰がエターナル胸ぺったん娘よ!」

 「そうデス! アイリに失礼デス!」

 アイリを庇うようにして頬を膨らませるイングリット。だが、当のアイリは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

 歳はひとつしか離れていないはずだが、戦力の差は歴然である。

 「まだ成長するもん」とポツリと呟きながら、アイリはイングリットのたわわに揺れるものを睨みつけた。

 そんなぶうたれる2人を無視して、コテツは言葉を続ける。

 「わしらはこれから、東海道をオタク化しながら西へと向かう。最終目的はそう! 日本の中心と言うべき場所にあるパリピ施設『ウニバーサルスタジオ』じゃ!」

 「う、ウニバーサルスタジオですって!?」

 コテツの宣言に、またもや驚愕する一同。

 『ウニバーサルスタジオ』は西のパリピ施設としては大きな場所である。

 東の有名娯楽施設がオタク化されてしまった今、ウニバーサルスタジオを洗脳してしまえば、パリピを無力化できるといっても過言ではないだろう。

 そしてそうなってしまえば、オタクが日本を統一したことにもなるのだ。

 「さぁ、西に向けて発進じゃ! 頼んだぞ、ステファン!」

 魔大陸の制御をしている人物だろうか。

 コテツがそう指示を出すと、アイリたちを大きな揺れが襲った。

 オタクによる日本統一のために、魔大陸は西へと向かう。


EPISODE6 西日本まで何マイル?「オタク化を阻止しようと鋼太郎を飛ばすアイリ。しかし、事態は思わぬ方向へと進んでいく」


 トイッターでは、ヨコハマの被害と魔大陸が西へと進み始めたことが話題となり、混沌の様相を呈していた。

 「あぁ、もう滅茶苦茶だよ!」

 「次なる標的は今度こそ湘南じゃ!」

 スマホで確認をしている桃子をよそに、次の餌食となる地名がコテツの口から告げられた。

 「だ、ダメ! これ以上やらせるわけには!」

 「コテツお姉さまの邪魔はさせませんわ!」

 再び『オタク・ハイロウ』の発射ボタンを押そうとするコテツに向かうアイリ。

 しかし、その前にひばりが割って入ってきた。睨み合い火花を散らす2人。

 「鋼ちゃん! アイリちゃんを助けてあげて!」

 「え゛ぇえぇええんおお゛っ! り゛ゃ、りゃめにゃのぉぉっぉ♥♥」

 ドンっととれびに背中を押された鋼太郎は、睨み合っているアイリとひばりの間に突如として現れた。

 突然のことに混乱しているのか、美少女とはいえ睨み合いに割ってはいってしまったからなのか、鋼太郎は怯えた様子で身体をビクンと震わせる。

 「そうだ! 鋼太郎さんの力、お借りします! 浮遊せよ身体! レディコーパス!」

 何かを閃いたアイリが呪文を唱えると、鋼太郎の身体が淡い紫色の光につつまれ、浮かび上がった。

 「ちょっ! マジですの!?」

 「すごひっ♥ すごいょぉぉお♥ おほおおぃぅっ♥ こたろ、とんに゛ゃうぅぅっん゛ん゛♥♥」

 浮かび上がった鋼太郎は、ひばりを軽く飛び越えてコテツへと一直線に向かう。

 鋼太郎はコテツへと直撃し、『オタク・ハイロウ』の発射は阻止できるはずだった。

 「ぬっ!?」

 だが、不意に魔大陸が大きく揺れ、鋼太郎はあらぬ方向へと逸れてしまった。

 コテツも揺れに驚き、反射的にボタンを押してしまう。

 本来ならば湘南海岸へと発射されるそれは、魔大陸を襲った揺れの影響かまるで関係ない方向へと放射された。

 「うぇ……揺れすぎて……ヴェ……今度はなんだってばさ……」

 度重なる激しい揺れで、桃子は床にうずくまりながら呟く。

 あと一歩でゲ〇インになってしまいそうなのだが、腐っても元アイドル。人前でマーライオンにならぬようすんでのところで踏み止まっていた。

 そんな桃子の背中を、イングリットが優しくさする。

 「彼奴らめ……もう来おったか!? ヌマヅは既にアイドルオタクの聖地! 無駄にエネルギーを消費してしまったではないか!!」

 『オタク・ハイロウ』が誤射された先は、オタクたちが聖地巡礼を楽しむ地ヌマヅ。

 強制的なオタク化としては効果は薄く、コテツは歯ぎしりをした。

 そんな中でもう一度強い衝撃が魔大陸を震わせ、ブリッジに悲鳴が響く。

 その衝撃でアイリの集中力が途切れ、浮遊魔法が解けた鋼太郎。床に落ちると「う゛ッ♥」と鈍い声を上げるのだった。


EPISODE7 終わりの空「立て続けに大きく揺れるアキハバラ。そしてその上空から、チャラい声が降り注ぐ」


 魔大陸が激しく揺れる中、ひばりはコテツの身体にひしと抱き着いていた。

 「い、いったい何が起こっているんですの!?」

 「再び我らに立ちはだかるか、パリピめッ!! ひばりよ、ついてくるのじゃ!」

 モニターを睨みつけて言葉を吐いたコテツは、身体に引っ付いていたひばりを連れ、アイリたちに目もくれずに地上へと通じるエレベーターに乗り込んだ。

 「パリピって言っていたけど……嫌な予感がするンゴ、うぇ……」

 「モモコ、あんまり喋らない方がいいデース」

 何が起こっているのかまるでわからないアイリたちは、コテツが最後に睨んでいたモニターに視線を移す。

 そこには、アキハバラ電波会館の建物に、巨大なミラーボールがめり込んでいる映像が映し出されていた。

 そしてその映像に、ここに来る前に戦った楠子の姿もあった。

 「おぬしらー! 早く逃げるにゃーッ!! パリピが……パリピが来ちゃうにゃーッ!!」

 楠子は建物の屋上から、地上に居るオタクたちへと必死に避難を呼びかけているようだった。

 だがしかし、イマイチ状況を掴めていない5人は、モニターの映像を見ている他ない。

 その頃、地上へと上がりUGXに向かうコテツとひばり。

 「お、お姉さま……大丈夫ですよね……?」

 「案ずるな、ひばりよ。ここはオタクの聖地……パリピに後れを取ることなど……」

 ない。とは言い切ることはできずに、コテツは歯噛みする。

 幼い頃、外で遊ぼうとしても仲間はずれにされ、笑われ続けた日々。

 読んでいた本を取り上げられ、周囲に見せびらかされ、顔から火が出るかと思うほどに恥ずかしい思いもした。

 中でも、凧あげはトラウマである。痛凧を作って揚げて遊んでいるところを見つかった上に指をさして笑われ、挙句の果てには喧嘩凧と称してズタズタにされたのだ。

 その時の悔しさは、文字通り死んでも忘れることはできなかった。

 ひばりの不安を拭おうと思っていても、パリピたちによるオタク迫害の歴史が、コテツの頭の中を走馬灯のように駆け巡る。

 ――そして。

 コテツたちの思いを裏切るかのように、アキハバラの上空を大量のプライベートジェットが埋め尽くした。


EPISODE8 ばえ色シンフォニー「アキハバラの地に降り立つパリピたち。オタクくんたちは、成す術もなく逃げ惑う」


 突如としてアキハバラの上空を覆いつくした大量のプライベートジェット。

 その入り口が開くと、そこにはパリピがスマートフォンを片手にオタク色に染まったアキハバラを撮りまくっていた。

 「ウェーーーイ!!!」

 さらに、それだけでは飽き足らないパリピたちは、パラシュートを背負いアキハバラの地へと降下し始めたではないか。

 「パネェ! マジパネェ!」

 「映える! 映える!」

 そんな怒号のような声を上げながら、パリピたちはオタクの地へと降り立ってしまった。

 電飾で着飾りしたパリピ仕様のワンボックスカーも続け様に降下され、アキハバラを爆走する。

 突然目の前にパリピが現れ、オタクは思わず尻もちをついてしまう。

 「オタクくんさぁ……なんでこんな楽しそうなこと黙ってるわけ? そういうことするから仲間はずれにされるんだよ?」

 「オタクくん、顔真っ青だけど大丈夫? あ、いつも通りか! ギャハハ!」

 「な、何、しに、来たんだ……」

 パリピを前に顔面蒼白のオタクは、それでも声を絞り出した。

 いつも草を生やしてばかりのオタクだが、今この状況で草を生やす余裕はない。

 しかし、そんな掠れた声を聞いて、パリピたちはギャハハと笑い声をあげる。

 草を生やされてしまったのは、オタクの方だった。

 「え、今なんて言ったのオタクくん?」

 「ギャハハ! 言ってやんなよ、可哀相じゃん。これでも精一杯なんだから!」

 必死に声を出したオタクだが、それでもパリピの圧には敵わず笑われ、目に涙を浮かべてしまう。

 「それ以上はやめるにゃん!」

 そんな時、どこからともなく声が響くと、オタクとパリピたちの間に、楠子が割って入った。

 オタクは楠子に目を輝かせ、パリピたちはヒュウと口笛を吹く。

 「ここは拙者に任せて、早く逃げるにゃん」

 「は、はいぃぃぃっ!」

 一瞬の躊躇いもなく、脱兎のごとく走り去るオタク。

 そんな姿を見て、パリピたちはやはり笑う。

 「何あれ! 女の子に助けられるとかオタクくんさぁ!」

 「オタクくんとかどうでもいいっつの。それよりこの子、チョーイケてんじゃん」

 ターゲットをオタクから楠子に替えたパリピたちは、片手にスマホを携えてジリジリと楠子に迫る。

 「そ、それ以上近づいたら、痛い目を見ることになるにゃん!」

 「にゃんだって、カワイー! そういうキャラなの?」

 「キミみたいなカワイイ子、初めて見たわ! これから暇? オレたちと楽しい事して遊ばない? あ、レインやってる?」

 威嚇してみても、何も感じないのかパリピたちは楠子に迫る歩を緩めない。

 仕方ないと戦おうと楠子が決めたその瞬間。パリピたちのスマホからフラッシュが瞬いた。

 「にゃッ!?」

 「おホッ! セクシーショット撮れちゃいました~!」

 「や、やめりゅにゃ~~~!」

 パリピたちは、そのスマホで楠子の写真を連射していた。

 フラッシュが瞬き、自分を撮られ続けた楠子は、次第に興奮が頂点へと達してしまう。

 「それじゃスリーショットいくよ~! ホラホラ、笑って笑って!」

 「ピースもしよっか! ダブルピース! ウェーーーイ!」

 「んにゃぁ~!」

 両脇をパリピに囲まれてしまった楠子は、抵抗もできずに乗せられてダブルピースを作ってしまう。

 そして、パシャリと撮られた楠子は、恥ずかしさのあまり目を回してその場に倒れこんだ。

 パリピたちは目を回して倒れた楠子に飽きてしまったのか、楠子を放置してアキハバラの地を踏み荒らしていく。


EPISODE9 パリピ・ユーフォリア「パリピの猛攻は止まらない。一瞬にして、アキハバラはシブヤと化してしまった」


 プライベートジェットから投下されたワンボックスカーは、大音量のダブステップを発しながらアキハバラの地を爆走していく。

 走ったところからパリピ色に染め上げられ、貼ってあったポスターが無残にも散っていった。

 四方八方から大音量で鳴り響くダブステップは、コテツたちがアキハバラに流していた古風な音楽を掻き消し、オタクたちの脳を破壊していく。

 そして、脳を破壊されたオタクたちはパリピの意思に飲み込まれ、同調してしまったのだ。

 そのオタクたちは『オタク・ハイロウ』によって強制的にオタクにさせられた、いわばニワカオタクたち。

 強いもの、楽しいものにすり寄るマイルドヤンキーと化した彼らは、次第にパリピと同じようにナチュラルボーンオタクを襲い始める。

 UGXにたどり着いたコテツとひばりは、モニターに映し出されたそんな光景を目の当たりにして、顔を青くしていた。

 「どうして、オタクがオタクを襲うんですの!?」

 「恐れていたことじゃ……」

 コテツは握り拳を震わせながら呟く。

 「『オタク・ハイロウ』によって洗脳した人間たちは、順応性が高くなっておるのじゃ……あえて悪く言うなら、流されやすい人間!」

 「パリピの強い空気に当てられればこうなることは予想しておったが……こうも簡単に染まるとは……!」

 パリピに毒されたオタクが、1人、また1人とナチュラルボーンオタクをパリピに引きずり込んでいく。

 その光景は、まさにパンデミックとでも言うに相応しいものだった。

 コテツが怒りを露わにする中、パリピはダブステップの他に、さらにGプレイカードをアキハバラに投入し始める。

 息を吐くようにばら撒かれるそれは、1枚1枚が最高額のカード。

 10連ガチャを大量に回せるそれは、ナチュラルボーンオタクたちの目の色を変えてしまう。誇り高きオタクたちも地に膝をつけることになってしまった。

 今まさに、オタクが敗北した瞬間である。

 そんなオタクたちを眺めギャハハと笑いながら、パリピたちは街中であるにも関わらず豪勢なバーベキューを始めていた。

 立ち込める肉のジューシーな香りと煙。

 街の至るところで酒を浴びるように飲む人々。

 オタクの聖地と言われたアキハバラの面影は今はなく、ハロウィンのシブヤに匹敵するカオスが生み出されていた。

 「みなのもの、静まれ! 静まるのじゃあ!」

 UGXからアキハバラの街全域に渡る放送で、オタクたちに呼びかけるコテツ。

 だが、放送はパリピの爆音ダブステップによって掻き消されてしまい、オタクたちに届くことはない。

 「くっ……やはりオタクは、パリピに屈するしかないというのか……!?」

 悔しさのあまり、放送機材を殴りつけてうなだれるコテツ。その隣で、ひばりは床にへたり込んで涙を流し始める。

 どうすることもできない地獄絵図を前に、江戸のアイドルの心は折れようとしていた。


EPISODE10 スクリーミング・ショウ「ユリアを助け出す方法がわからず頭を抱える一行。その時、魔大陸を大きな爆発が襲った」


 その頃コテツたちの秘密基地では、アイリたちが大型モニターに映し出された蹂躙されたアキハバラの街を見て、青ざめていた。

 「あわわ……アキバが大変なことになっちゃった!」

 「タイヤが通ったところからパリピ色に……これはまさかアキバクリーン作戦だとでもいうンゴ……!?」

 映し出された阿鼻叫喚に、とれびと桃子は思わずひしと抱きしめ合う。

 「あ、アキバが大変なことになってるけど、もしかして今なら……!」

 映像を見ていたアイリは、ハッと我に返るとオーディンステッキを構える。

 「アイリ何をする気デス?」

 「ここに来たのはお姉ちゃんを助けるため! 鋼太郎さん、もう一度力、お借りします! 浮遊せよ身体! レディコーパス!」

 「らっら゛めぇええええええッ♥」

 アイリは鋼太郎にもう一度浮遊する魔法を唱えると、魔大陸を制御しているであろうオペレーターたちにぶつけていく。

 突然の凶行に、オペレーターたちは一瞬で無力化されてしまった。

 「これでよし!」

 「お゛ッ♥」

 全員気絶させたことを確認すると、アイリは魔法を解く。空中で浮遊魔法の効果がなくなった鋼太郎は、再び床に落ちると鈍い声を上げ、痙攣した。

 「こ、これからどうするデスか!?」

 「それはその……桃子さ……我が眷属の桃子よ! 貴様の頭脳でどうにかするのだ!」

 「なんて無茶ぶりなの!? えぇと……?」

 急に話を振られた桃子は、オペレーターが使っていた制御パネルを眺め、

 「……こんなのどうにかできる気がしないンゴねぇ」

 一瞬で匙を投げた。

 元アイドルで現ヒキニート。

 少々機械に強くても、街ひとつを空へと打ち上げ、人間を洗脳する兵器の操作ができるかと言われると、それはまた別の話である。

 「任せてくださ~い! とれび、こういうのは得意です!! いっくぞ~★」

 突然桃子の横からとれびが飛び出したかと思いきや、何かを制御パネルに勢いよく振り下ろす。

 豪快な音を立てて部品と火花がが飛び散ると、制御パネルはうんともすんともいわなくなった。

 「きゃー!?」

 「って何してんのォ~~~ッ!?」

 とれびが制御パネルに叩きつけたのは、どこにあったのか鋼太郎が愛用しているギター。それは何故か傷ひとつついていない……。

 制御パネルは破壊されたが、いくつもある中の1つが壊れただけに留まった。

 状況に変化はひとつもなく、桃子はとりあえず胸を撫で下ろす。

 「うーん、この……どうすればええんじゃあ!?」

 「そんな……どうすればお姉ちゃんを……」

 八方塞がりのまま、頭を抱える桃子たち。

 しかしその時、状況は一変する。

 どこからか爆発音が聞こえ、魔大陸が何度目かの大きな揺れに襲われる。

 その爆発音が聞こえてきたのは、アイリたちが居るブリッジのすぐ近く。

 アキハバラの危機に、新たに動こうとする人物が居た。


EPISODE11 OTAKU CHILD「アキハバラの危機に立ち昇る一筋の光。オタクを救う大天使が、今降臨する」


 「また揺れ……ヴッ……」

 震源地がすぐ近くだったこともあり、今までの揺れよりも強い衝撃を受けてしまったアイリたち。

 桃子は振動に耐え、尊厳を守るために口を押えてうずくまった。

 「今の揺れ……というか、爆発はなんデス!?」

 「ぐっ……この反応は、まさか……!」

 「「「誰!?」」」

 アイリの攻撃によって気を失っていたオペレーターの1人、コテツにステファンと呼ばれていた人物が、身を起こして制御パネルを操作した。

 すると、モニターに『オタク・ハイロウ』の制御装置が映し出される。

 もくもくと立ち込めていた煙が晴れていく。

 そこには、制御装置に取り込まれていたユリアが居た。

 「お、お姉ちゃん!?」

 映像を見て驚きの声を上げるアイリ。

 しかし、アイリの声は聞こえていないようで、ユリアの反応はない。

 やがてユリアの身体が真っ白な光に包まれると、モニターは白一色に塗り潰されてしまう。

 同時に、アキハバラ中のスピーカーにユリアの声が響き渡った。

 「オタクの楽園たるアキバに、なんてことしてくれんのよぉおおおおお!!」

 オタクたちには聞き慣れた声。

 アキハバラの女神にして、オタクの平穏を願ったアイドルの声だ。

 「お姉ちゃん……無事だったんだ……!」

 その妹のアイリも、その声を聞いて安心したのか瞳から涙を流していた。

 ユリアの声が響くと同時に、地上でも異変が起こっていた。

 なんとかパリピの侵攻を止めようとしていたコテツとひばり。気絶していた楠子を助け出していると、一筋の光の柱が現れたのだ。

 「なっ、なんですのあれは!?」

 「またパリピが何かやらかしたにゃん!?」

 警戒し、また泣き出しそうな顔をするひばりと楠子。

 だがしかし、コテツは目を見開いて光の柱を凝視する。

 「あれは……神人……! 我らオタクの、救いの神じゃ!!」

 光の柱が消え、姿を現す1人の少女。

 白き翼を広げ天使の姿をしたユリア。

 それはまさしく、オタクを救う大天使の覚醒――

 その瞬間であった。


チュウニズム大戦

レーベル難易度スコア
スキル名/効果/備考
♥グミンADV0 / 200 / 400
レーベルターボ(♥■♠★チェイン)
自分と次のプレイヤーは、出すカードが♥、■、
♠、★でCOMBOした時、CHAINとなる。
備考:♥グミン/■メタヴ/♠アニマ/★シビュ



■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


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