灰飾 カナエ

Last-modified: 2024-03-05 (火) 08:32:36

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※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。
 現在で該当スキルを使用することができません。
・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、
 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

灰飾 カナエ.png
Illustrator:マシマサキ


名前灰飾 カナエ(はいかざり かなえ)
年齢23歳
職業勝負師
  • 2021年7月21日追加?
  • PARADISE ep.Ⅳマップ2完走。<終了済>
  • 入手方法:2022/10/13~ カードメイカーの「CHUNITHM PARADISE」ガチャで入手。
  • 対応楽曲は「Dark Diver」。

超人的なギャンブルの才能を持った女性。
ただひたすらに自分を楽しませるギャンブルを求めて渡り歩く。

モデルは『賭ケグルイ?』の蛇喰 夢子?と思われる。
STORYも同作を意識したものとなっている。
また、ギャンブルをテーマとしたストーリーということで、ストーリーの全体的な元ネタは『賭博黙示録カイジ』と『賭ケグルイ』を組み合わせようなストーリーとなっている。

ストーリーの元ネタと思われるもの
  • キャラクターのビジュアル
    上述の通り『賭ケグルイ?』の蛇喰 夢子?
  • 各ストーリーのタイトル
    『賭ケグルイ』のサブタイトルは『○○女(たち)』という命名規則となっており、これを踏襲したものになっている。
  • 皇愛グループ
    債務者を集めたギャンブルを開催する、ギャンブルに負けた債務者を奴隷のように働かせるという描写から、『カイジ』シリーズに登場する大手ファイナンス企業「帝愛グループ」からか。
    富川と兵島は「カイジ」のキャラクター「利根川」と「兵藤」であると思われる。
    なお、「カイジ」とストーリーのキャラクターでは実際の役職が逆転している。
  • 第1ゲーム、カードを使ったじゃんけん
    「カイジ」シリーズに登場するギャンブル「限定じゃんけん」。
    おおよそのルールはストーリー中のものと変わらない。
  • 第2ゲーム、テンアウト
    『賭ケグルイ』に登場したギャンブル「ニム零式」からか。
    こちらも上記のじゃんけん同様、おおよそのルールは原作・ストーリー中共に変わりはなく、ディーラーのギルブレス・シャッフルを利用した勝ち筋も、ディーラーに抗議する敗者もおおよそ原作の展開通り。
  • 最終ゲーム、インディアンポーカー
    『賭ケグルイ』に登場したギャンブル「2枚インディアンポーカー」であると思われる。
    ルールはもちろんのこと、カナエ・新崎が行った通しも、富川・兵島が行ったイカサマも原作通り。
  • 血を賭けたギャンブル
    ギャンブルで血を賭けるという描写は色々見られるが、対戦相手が「カイジ」が元ネタのキャラであることを考えると同じ作者の『アカギ ~闇に降り立った天才~』で行われた「鷲巣麻雀」か。
    100ml=100万円という血液のレートも数値上では同じ(原作では10ml=10万円)だが、原作の貨幣レートは昭和40年時点でのレートとなっているため、血液1ml辺りのレートはあちらの方が高い。

スキル

RANK獲得スキル
1ゲージブースト・パラダイス
5
10
15


スキルinclude:ゲージブースト・パラダイス

ゲージブースト・パラダイス [NORMAL]

  • ゲージブースト・プラスの亜種。同様に初期値でもゲージ6本が可能。
    • 「ATTACK以下20回未満またはMISS10回未満」のため、どちらかの条件を満たしていればゲージ上昇UPの効果を得られる。
    • ゲージブースト・プラスと比較して、ATTACK以下20回のノルマが加わったことでゲージ上昇効果がより維持しやすくなった。代わりに、消滅後のダメージ軽減効果はなくなっている。
  • 譜面に依存しない5~6本用スキルとしては早期に入手でき、PARADISEから始めたプレイヤーにとってはもちろん、汎用スキルが充実していないプレイヤーにとっても即戦力になる。
    • PARADISE ep.Iで入手する場合、必要なマス数が少ない代わりに課題曲のノルマが難易度問わず4本なのがネック(この前に入手しているナイが持っている鉄壁ガードで抜けるのは始めたてのプレイヤーには厳しいかもしれない)。少しマス数は多くなるが、PARADISE ep.IIIの方が課題曲のノルマが軽いため、入手しやすい。
  • 筐体内の入手方法(PARADISE ep.IV実装時点):
    • PARADISE ep.I マップ2(PARADISE時点で25マス/累計30マス)クリア
    • PARADISE ep.III マップ1(PARADISE時点で55マス)クリア
    • PARADISE ep.IV マップ2(PARADISE LOST時点で320マス)クリア
GRADE効果
理論値:114000(6本+12000/24k) [+3]
初期値ATTACK以下20回未満または
MISS10回未満を達成している場合
ゲージ上昇UP (175%)
+1〃 (180%)
+2〃 (185%)
+3〃 (190%)
+4〃 (195%)
+5〃 (200%)
+6〃 (205%)
+7〃 (210%)

所有キャラ【 遠夜 灯 (1,5) / 水戸 雫 (1,5) / 灰飾 カナエ

ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 憧れの女「鮮やかで、華麗で、輝いていて。彼女みたいになりたくて、勝負師を目指したんだ」


 勝負師という職業がある。
 それはギャンブルを生業としている人々のこと。

 ギャンブルには、上下関係も法律も関係ない。
 大人も子供も分け隔てなく、同じ土台で勝負する。
 そう、ギャンブルだけは常に平等だ。

 だが勝負師はそのギャンブルにおいて才能を発揮し、勝利を掴み取る。
 そんな勝負師の中でも、都市伝説のように語り継がれる人がいた。

 ――『灰飾カナエ』。

 齢も行かない少女の頃から、その勝負師はギャンブルですべてを奪い続けている。

 かくいう僕も、そのギャンブルに助けられた一人だ。

 父さんが会社同士のトラブルに巻き込まれて多額の借金を背負わされそうになり、ギャンブルをすることになった。
 だけど、相手にはイカサマ上等の悪名高い勝負師が現れたんだ。
 一回、ニ回とゲームをして、膨らんでいく負債。
 でも、そこに彼女が現れた。
 彼女――灰飾カナエは父さんの代打ちとなり、そのまま圧倒的な実力で完膚無きまでに勝利したのだ。
 その姿は鮮烈で、華麗で、輝いていて。
 今でも僕の脳裏に焼き付いている。

 親には散々反対されたけど、そのすぐあとに僕は勝負師の道を歩み始めた。
 あんなギャンブルをしてみたい……そして、自分の力で同じような人を助けてあげたい。
 灰飾カナエのように……なりたい!

 そうして3年。
 僕――新崎麗は駆け出しの勝負師として、代打ちをしたり知り合いの賭場を手伝ったりでなんとか生計を立てている。

 そんな矢先のことだ、僕が彼女に再会したのは。

 パッとしない仕事の中で運良く訪れた大きな勝負。
 この時の僕は、そこでまさかあんなめちゃくちゃなギャンブルに巻き込まれるとは、思ってもいなかった。


EPISODE2 都市伝説の女「皇愛グループ主催のギャンブルパーティー。そこで僕は、憧れのあの人と再会を果たした」


 新崎麗は真夜中にも関わらず港を訪れていた。
 わざわざ真冬の冷たい潮風に晒されにきたのには、当然ながら理由がある。
 ホテルや工場など様々な経営を行っている、日本でも最大規模の企業――皇愛グループ。
 その会長である富川が、ギャンブルパーティーを開催するというのだ。
 主催の富川には、黒い噂が絶えない。
 債務者に一発逆転を煽ってギャンブルをさせ、イカサマで全てを奪い尽くす。さらに返せなくなった者を奴隷として働かせているという。
 勝負師として、ギャンブルで人を不幸にするなんて許せない話だ。
 あの時の灰飾カナエと同じように――そんなことを考えていると、人だかりが見えた。

 「あっちかな?」

 人だかりの前には、ドラマにでも出てくるような、巨大な客船があった。
 その中にひとり、またひとりと、消えていく。
 果たして帰って来ることはできるだろうか。
 そんな不安を抱えながら、列に並ぶ。
 するとすぐに順番がきた。

 「招待状の提示をお願いいたします」

 新崎は黒いスーツにサングラスをかけた男に、招待状を渡す。
 中身を確認した黒服の案内でエレベーターに乗り、4階へ向かうと、通路の突き当りに受付があった。
 おそらく、あの先が会場だろう。
 受付では星型のコイン3枚と封筒を手渡された。
 封筒はパーティが始まる前に開ければ、退場になるという。

 「今宵はお楽しみくださいませ」

 新崎は受付の奥へ進み、扉を開く。
 そこは、まさに上流階級御用達のパーティー会場といった様子だった。
 ざっと見回した限り、黒服を除けばここにいる参加者は100人ほどだろう。
 ドレスやスーツに身を包んだ紳士淑女。
 それに混じって、身なりのよくない者もいる。

 「……こういうグレード分けみたいな雰囲気は、あんまり好きじゃないんだよな」

 同じような格好の人が集まって、パーティの開始を待っているのを見て、新崎はそんなことを思う。
 何気なく会場を見回してみると、部屋の隅にどこか見覚えのある女性がいることに気がついた。

 (あの人……ま、さか……!?)

 艶のある長い黒髪に大きな瞳。
 薄い桜色をした唇は美しい弧を描く。
 あの時よりも成長しているけれど、灼きついた記憶が間違おうはずはない。

 「灰飾……カナエ……!」

 新崎が名前を呼んだのと、彼女が振り向いたのは、ほとんど同時だった。
 彼女はそのままゆったりとした足取りで新崎の元へ歩いてくる。
 だが、そんな新崎は微動だにできず、ただ彼女を見ていることしかできなかった。

 「今、私の名前を呼びましたね?」

 目の前で動いた唇に、僕はようやく意識を取り戻す。

 「その、以前お見かけしたことがあって……ぼ、僕のこと覚えていませんか!?」
 「もしかして……ナンパ、でしょうか?」
 「い、いえ、違うんです! 以前、あなたに助けてもらったことがあって!」
 「う~ん……どうでしょう? そういうことは、数えきれないほどありますから」
 「あ、あの日助けてもらったのがきっかけで、僕は勝負師になったんです!」
 「まぁ、そうなんですね」

 まさかこんな所で灰飾カナエに会えるとは思っておらず、新崎は感激に胸を震わせていた。
 もう少し話をしたい――そんなことを考えていたが、スピーカーから小さなノイズが聞こえ、咄嗟に身構える。

 「本日はお集まりいただきありがとうございます!」

 それは、勝負の合図。

 ――ギャンブルが、始まるのだ。


EPISODE3 妖艶な女「用意された3つのギャンブル。カナエさんと手を組めば、きっと」


 「私は今宵のギャンブルでホールマスターを仰せつかっております、兵島といいます。では初めに富川会長から、一言ご挨拶をお願いいたします」

 ステージの上でマイクを握る黒服の案内で壇上に現れたのは、羽織袴を身にまとった老人。

 「この世のすべてはギャンブルで決まる。勝者はすべてを得、敗者はすべてを失う。ギャンブルとはまさに、人生の縮図よ!」

 富川は、自分の持つステッキをステージの上でタンと突くと、会場は静寂に包まれた。

 「勝利し富を得るか、敗北し生きる価値すらないゴミと成り果てるか! 今宵は貴様らの生き様を存分に楽しませてもらおうぞ! カッカッカッ!」
 「あれが……富川会長……!」
 「それではご説明しましょう。本日ご用意しているギャンブルは3つ。それぞれギャンブルの勝者には賞金が与えられます。さらに、最も獲得賞金の多かった参加者には、特別に我らが富川会長とのギャンブル権が与えられるのです!」
 「カッカッカッ! ワシに勝利した暁には、全財産の半分を譲ろう!」

 会場にざわめきが広がった。
 そして、ざわめきは徐々に興奮の色に染まっていく。

 「富川の財産……それって……」
 「国家予算に匹敵すると言われています。その半分ですから、一生を遊んで暮らせるどころか、おつりまできちゃいますね」

 想像もつかないほどの巨大な額に、誰もが目の色を変えている。
 そんな参加者たちを、富川はステージの上から下衆な笑みを浮かべ見下ろしていた。

 (こうやって人を踊らせて、その様を食い物にして楽しむ……これが、富川のやり方か!)

 新崎は怒りに震え、拳を強く握りしめる。
 勝たなければならない。そんな使命感を持ちながら。

 「それでは第1ギャンブルを開始させていただきます。最初のギャンブルはじゃんけん!」
 「じゃんけんだって?」

 黒服が部屋の至る所にポストのような投入口が開けられた台をいくつも並べていく。

 「初めにお配りした封筒を開封ください」

 指示通りに封筒を開けると、グー、チョキ、パーが描かれた3種類のカードが4枚ずつ、計12枚入っていた。
 兵島の背後のスクリーンに、ルールが表示される。
 カードを用いてじゃんけんをして、星型のコインを奪い合うのだ。
 勝てばコインを得られ、負ければ奪われる。あいこならコインの数は変動しない。
 制限時間30分の中で、コインを3枚以上確保しつつカードを使い切れば『勝者』となり、所持しているコイン1枚につき100万円を賞金として獲得できる。
 途中でコインがなくなるか、ギャンブル終了時に勝利条件を満たしていなければ脱落。

 (つまり、このコインがチップということか)

 兵島がギャンブル開始を宣言した瞬間、会場内が喧騒に包まれた。

 (無暗にカードを使えば自分の首を絞める。単純な運だけでは勝ち残れないようになってるんだ……!)

 だが、新崎は冷静に分析していた。

 (味方がいればほぼ確実に勝てる手段が……そうだ!)

 新崎ははやる気持ちを抑えながら、未だにその場から動いていないカナエへと向いた。

 「灰飾さん、勝つために僕と手を組みませんか?」
 「ん~……どうでしょう? 私には貴方と手を組むメリットがないように思いますが」
 「うっ……で、でも、味方を作っておいて、損はないかと……!」
 「一理ありますね。ですが、あなたが信頼できる人間なのか、私には判断ができかねます」
 「た、たしかに……」

 新崎とカナエは、3年前に一度会っただけで、カナエはそのことを覚えていない。
 それで信用を勝ち取ろうなど出来るはずもなかった。
 するとカナエは少し考える素振りをすると、何か閃いたとばかりに小さく笑った。

 「ではこうしましょう。あなたのコインを1枚、担保として私に預けてもらいます。裏切らなかったら、最後に返してあげますね。それでいかがでしょう」
 「……それであなたの信用が得られるなら」
 「ふふ、それともうひとつ」

 カナエは新崎のネクタイを掴み、そのまま引っ張る。
 少しでも動けば触れてしまいそうな距離まで、互いの顔が近づく。
 突然のことに新崎は顔を赤くしながら、わずかに視線をそらした。

 「これから先、いついかなる時も私の指示には従うこと。それが条件です」

 これは悪魔の囁きだ――そう、新崎は理解していた。
 だが、相手は灰飾カナエ。
 新崎が富川の元へ辿り着くためには、間違いなく彼女の力が必要になる。

 「…………わかり、ました」

 選択肢はあってないようなものだった。
 その返答に、カナエはネクタイから手を放して口角をつり上げる。

 「取引成立ですね。ええと……お名前を伺っても?」
 「新崎です。新崎麗」
 「では新崎さん。よろしくお願いしますね」
 「……よろしくお願いします、灰飾さん」
 「もぉ、仲間となるんですから、カナエと呼んでくれなくては。先ほど言いましたよね? 私に従うと」
 「……カナエ、さん」

 満足したように、カナエは屈託ない笑顔を浮かべる。

 「では、私たちもそろそろ始めましょうか」
 「それなんですが、僕に考えがあります」


EPISODE4 化かす女「このギャンブルには必勝法がある。けど、カナエさんの不穏な動きはいったい……?」


 真ん中にカードの投入口が開けられた台に、カナエと新崎は向かい合って立つ。

 新崎の考えはこうだ。
 まず、互いに出す手を宣言し合う。
 例えば新崎がグー、カナエがパーを宣言し、その通りにカードを出す。
 新崎のコインはいったんカナエに渡るが、次にカナエが負ける手を互いに出すのだ。
 それを繰り返せば、最終的にコインの変動はない。

 「なるほど、よく考えられていますね」
 「いやぁ、それほどでも」

 カナエが両手の人差し指を交差させる。

 「でも、もっと簡単な方法がありますよ」
 「えっ?」
 「では実践しましょう。新崎さん、グーのカードを全部台の上に置いて、他のカードはしまってください」

 新崎は、言われた通りグーのカードだけを台の上に置いた。
 カナエも同じように場に出す。

 「この4枚のカードを互いに交換します。ちゃんとグーが4枚あるか、確認してください」
 「……あります」
 「そして、今手元にあるこの4枚でじゃんけんです」

 「チェック」 互いに出すカードを顔の前に出し
 「セット」 続いてカードを裏側で台の上に伏せる
 「オープン」 最後に伏せたカードを同時に開いた

 両者ともグーのカードを出し、あいことなった。
 使ったカードは台の真ん中にある投入口に破棄する。

 「あいこの場合はコインの変動はなくて……カードが破棄されるだけ!」
 「これを繰り返せば、ノーリスクで終わらせることができます」

 新崎は改めて尊敬の念を抱く。
 それからは同じ手を繰り返す。
 制限時間に余裕を残しながら、互いの手札は4枚のチョキのみとなっていた。
 残るカードを交換したところで、新崎は参加者の男性が黒服と揉めているのを視界の端に捉える。

 「離せ! 俺はまだ負けちゃいない!」
 「脱落者は別室へとお連れすることになっています」

 男性の両脇を黒服が抱えると、出入口とは違う扉へと連れ去られていった。

 「今のは……?」
 「見たところ債務者の方だったようですね。先ほどスーツを着た方が別の扉へ案内されていたようですが……」

 新崎は唾を飲み込む。

 「カナエさん、あの扉を見てきてもいいですか?」
 「時間には余裕がありますから、構いませんよ」

 カナエの許可も下り、新崎は先ほど男性が
消えていった扉へと近づこうとした。
 しかし、当然のように黒服たちに阻まれる。

 「やっぱり、そう簡単には近づけないか……あれ?」

 カナエのもとへ戻ろうとすると、新崎はカナエが他の参加者の男性と話している姿を遠目に見た。
 何を話しているのかと首を傾げるが、男性はすぐに離れしまう。

 「カナエさん、今の人は?」
 「いえ、なんでもありません。じゃんけんを再開しましょう」

 引っ掛かりを覚えるが、じゃんけんは進んでいく。
 そして、残るカードは互いに1枚だけとなった。

 「これで最後ですね」
 「ところで新崎さん。突然ですが、私のこのカードがチョキでなかったら、あなたはどうしますか?」
 「え?」

 質問の意図がわからず混乱する。
 だが、先ほどの光景がよみがえった。

 (まさか……さっきの人と交換していた……!?)

 それであれば質問の意図もわかる。
 新崎の手の中にある1枚のチョキのカード。
 それに勝てるカードに交換されていたとしたら。

 (負けて……コインを取られ、脱落……!)

 ドッと汗が噴き出した。
 焦りからか、呼吸が浅くなる。

 「私とじゃんけんをしますか? しませんか?」

 今から他に対戦相手を捜す余裕はない。
 だが、このままじゃんけんを続けるには不安が大きかった。

 (くそっ……どうしてこんな選択肢を……言わなければ、僕はそのまま負けて――)

 そこまで考え、ハッとする。

 (もしかして、これはブラフ……! カードを交換したと思わせて、本当はしてないんだ!)

 覚悟を決め、新崎はカードを裏向きで台に置いた。

 「いいんですか?」
 「はい。僕はカナエさんを信じます」
 「わかりました」

 小さく頷いて、カナエも同じようにカードを置く。

 「ふふっ、あははっ!」
 「え……?」
 「いえ、すみません。私なんかを信用するなんて、新崎さんはお人好しですね」

 その言葉に、新崎は目を見開く。
 サーっと自分の血の気が引いていくのがわかった。
 カナエが身を乗り出して、新崎のカードを表返す。

 カードの絵柄は、チョキ。
 そして――

 「新崎さんは、勝負師には向いていませんね」

 ゆっくりと、カナエのカードが表返された。


EPISODE5 誑かす女「第2ギャンブルの相手は……子供!?」


 第1ギャンブルのじゃんけんが終了し、新崎は気が抜けてぐったりと床に座り込んでいた。

 「ごめんなさい、試すような真似をして」

 近くで聞こえた声に新崎が目を向けると、カナエがしゃがんで顔を覗き込んでいた。

 「いや……これくらい、どうってことないですよ」

 照れ臭さに正面から見ないよう気をつけながら、新崎は乾いた笑みを浮かべる。
 まったく、さすがは灰飾カナエだ。
 そうやって、すぐに人を誑(たぶら)かす。
 最後のじゃんけんでカナエの開いたカードはパー。
 新崎は勝ちを拾った。カナエの目論見通りに。

 「これで少しでも信用を勝ち取れたのなら、よかったです」

 安堵が感じられる新崎の言葉に、カナエはニコリと微笑んで返した。

 「第2ギャンブルの準備が整いました。皆様には皇愛グループが用意した勝負師とギャンブルをしていただきます! 席はスクリーンをご覧ください」

 その案内に新崎はあたりを見回してみせる。
 すると、会場に四角形のテーブルがいくつも設置されていることに気づいた。
 そして、次のギャンブルでも新崎とカナエが同じ卓になることも。

 「よし……カナエさんと一緒です」
 「ふふ……でも、勝者が1人のみのギャンブルだとしたらどうします? 新崎さんとはそこでお別れになってしまいますね」
 「こ、怖いこと言わないでくださいよ……」

 可能性としては十分考えられることだ。
 新崎のそんな心配をよそに、カナエは笑顔で手招きをしてみせる。

 (勝負師に向いてないって言われたのは堪えたけど……カナエさんの役に立てるくらいには頑張ろう)

 今の自分にできることをしよう。
 新崎は考えをそう改めてカナエの後に続いた。

 テーブルに到着すると、そこには2人の少女がいた。
 顔も体型も同じ、双子と思しき少女たち。
 唯一異なるのはその髪型。ヨミと名乗った元気な方がショートカット。リミと名乗った物静かな方が2つおさげを垂らしている。

 「キミたちが対戦相手? ボクはヨミ、よろしく~」
 「……リミです、よろしくお願いします」
 「ええ、楽しいギャンブルにしましょうね」
 「よ、よろしく」

 カナエは笑顔で接しているが、新崎は戸惑いを隠せずにいた。

 (瓜二つって……双子? いや、それよりも、用意された勝負師って、この子たちなのか!?)

 「皆様、どうぞお座りください。私がこの卓のディーラーを務めさせていただきます」

 褐色肌に仮面をつけた女性が新崎たちにそう促す。
 カナエと新崎、ヨミとリミがそれぞれ向かい合って席に着いた。

 「第2ギャンブルは、テンアウト。ルールをご説明いたします」

 ディーラーが箱の封を切ってカードの束を取り出す。
 テーブルに表向きに置くと、扇状に広げた。

 「使用するのは専用の特別なカードです。0~3がそれぞれ10枚ずつ、計40枚の束を1デック。これをシャッフルし、4枚ずつ配ってギャンブル開始となります。プレイヤーは順番に1枚ずつ手札を場に出していきますが、場の数字の合計が10以上になった場合、最後にカードを出したプレイヤーの負けとなります」
 「だからテンアウトなんだね~」

 ヨミが緊張感のない声をあげる。
 次に、ディーラーは1枚のチップを取り出した。

 「使用するコインは、皆様50枚になるよう貸出。ここではペア同士のギャンブルを3ラウンド行い、コイン総数が多いペアの勝利となります」

 強制的に1人5000万円の借金を負う。
 負けた時のリスクが突然跳ね上がり、新崎に緊張が走った。
 一方で、新崎以外の3人は特に動揺を見せない。

 「ふふん、あっという間に負かせてあげるよ」
 「そう簡単にいくでしょうか?」
 「……勝つのはわたしたち、です」

 3人が睨み合う中、ディーラーは紙の束を回収し、新しいカードの箱を取り出す。

 「あれ? それは使わないんですか?」
 「私は中立を絶対に保ちます。公正のため、デックは3回戦とも未開封の新しいものを使用し、毎回同様にランダムに手札を配ることをお約束します」

 箱の封を切り、新しいカードの束を出す。
 それを慣れた手つきで数回カットすると、新崎に10~30の適当な数字を提示するよう促した。
 新崎が19と答えると、ディーラーがデックの上から19枚を別の山として裏で重ね、2つの山をリフルシャッフルでひとつの山とした。

 (ずいぶん念入りなシャッフルだ……でも、不自然な点はない気がする)

 新崎はそう結論付けて、配られた手札を確認する。

 (0が2枚に後は1と3! 場の合計が増えない0は多いほど有利だから、めちゃくちゃ強いぞこの手札!)
 「なるほどなるほど」

 カナエもきっといい手札だったのだろう。
 次に参加費として、新崎たちは卓の真ん中にコインを1枚ずつ置いていく。

 「上座の灰飾様から、反時計回りにベッティング願います」
 「そうですね……小さく張るのもつまらないですし、ベット20枚」
 「……私もコール、です」

 カナエとリミが20枚ずつコインを卓に置いた。
 いきなり半数近くのベット数に、新崎は困惑する。

 「さぁ、次は新崎さんの番ですよ」
 「……こ、コール!」

 ここで立ち向かわずどうする、と新崎は声を張った。
 すかさずヨミも卓上にコインを投げる。

 「ボクだけ仲間ハズレにしないでよね。コール!」

 全員がコインを20枚ベット。
 ディーラーが確認すると頷いた。

 「これより1回戦を開始いたします!」


EPISODE6 煽る女「手札を公開させて、不利な状況を作ったのに、カナエさんは何に気づいているんだ……?」


 1回戦は何事もなく、ヨミの番で合計が10以上に達したために終了した。

 「負けちゃった~。運いいね、お姉さんたち」

 思いのほかあっさり勝てたことに、新崎は心の中で素直に喜ぶ。
 しかし、カナエは不満げに口元を尖らせていた。
 ヨミがそれに気づき、ニヤニヤしながら声をかける。

 「不満そうだけど、どうかした?」
 「手を抜くだなんて、どういうつもりですか」
 「……バレてた、ですね」
 「そ、そんなことしていいのかい? 仮にも皇愛グループの勝負師だろ?」

 敵を心配するような新崎の言葉に、双子は顔を見合わせると声を出して笑った。

 「いいのいいの。だってこっちはもてなす側だよ? 1回くらいは勝たせてあげなきゃ、可哀相じゃん」

 あっけらかんと言うヨミに、新崎は絶句する。
 しかし、カナエは納得したように頷いていた。

 「お心遣い感謝します。ですが、次からは本気でお願いしますね」

 カナエの好戦的な様子に、味方であるはずの新崎も威圧されてしまう。
 明らかに空気が変わったのを肌で感じたのだ。
 ディーラーからカードが配られ、確認した新崎は表情を歪ませた。

 (2が1枚に1が3枚!? もしかしてこの手札……弱いっ!)

 新崎の手番で9が回ってくれば敗北は確定。
 ベッティングでは、リミが20枚ベットしている。
 ここは降りた方が無難。
 そう思い宣言しようとするが。

 「新崎さん、手札を見せてくれませんか?」
 「え? は、はい」
 「お待ちください。特定のプレイヤーに向けての手札公開は反則行為となります」
 「では全員に向けてであれば構いませんか?」
 「さ、さすがにそれは……!」
 「いえ、それであれば平等です」
 「ほら、大丈夫でした。さぁどうぞ、新崎さん」

 促された新崎は緊張にゴクリと喉を鳴らす。

 (手札を公開するのはどう考えても不利になる……まさか、僕を切り捨てる気なんじゃ……?)

 そこまで考えて首を横に振った。

 (……いや、僕は決めたんだ。カナエさんを信じる。だから、自分にできることをするしかない!)

 決意を固め、新崎は手札をテーブルへと置いた。

 「あはっ、本当に見せちゃったよ!」
 「ある意味ではハンデのようなものです。相手はまだお子様のようなので」
 「あ?」

 小馬鹿にするように笑っていたヨミの笑顔が凍る。

 「ですよね、新崎さん?」
 「ぼ、僕に言われても……」

 カナエはそんな新崎に笑いかける。
 新崎は苦笑を返しながら、コールを宣言した。
 続けてヨミとカナエもコールし、2回戦はリミの手番からのスタートだ。

 「馬鹿にしたこと後悔させてやる。リミ!」
 「……うん。2、です」
 「僕は……」
 「新崎さん、2を出してください」
 「は、はい」

 新崎が指示通りのカードを出そうとした、その時。

 「兄ちゃんさぁ、ホイホイ言うこと聞いていいの?」
 「え?」
 「あれ、もしかして気づいてない? 兄ちゃんを切り捨てて1人で勝とうとしてるんだよ?」

 ヨミの言葉に、一度振り払ったはずの不安が新崎にまとわりつく。

 「このまま言いなりになってたら、負けて借金地獄になっちゃうよ?」
 「ぐっ……」
 「人生は、ギャンブルは自分で勝利を掴んでこそ。ほら兄ちゃん、一緒にこの性悪お姉さんを倒そう!」

 ヨミの惑わすような言葉。
 それを聞きながら、新崎はふとカナエを見た。
 2つの瞳が真っ直ぐに新崎を射抜いている。
 手を取るべき相手が誰か。
 迷う必要などないのだ。

 「……断る」
 「は?」
 「断る! 僕は裏切ったりなんて、絶対にしない!」

 新崎がそう言って2のカードを場に出すと、ニィッ、とカナエの唇が弧を描く。

 「なぁ~んだ、もう調教済みか。つまんないの」
 「いいえ、面白くなるのはここからですよ」
 「どのみちお姉さんたちは負けるんだ。さっさと終わらせちゃお」

 ヨミはポイと3のカードを投げる。
 合計は7でカナエの番に繋がった。

 「ふふっ、急いては仕損じてしまいますよ?」

 ゆっくりとした動作で、カナエは0を場に出した。
 合計値は変わらず7。

 「カナエさん、0を……!」
 「大丈夫、心配いりません」
 「……強がっても無駄。1、です!」

 自分の手番が9で回ってこなかったことに安堵し、新崎は1を出す。
 だが、ヨミが高らかに0を出し、カナエの手番。

 「ほらほら、早く0出しなよ。もしかしてないの?」
 「……残念、私の負けですね」

 困り顔で、カナエは手札をテーブルに公開した。
 2が1枚に3が2枚。
 それを見た瞬間、ヨミが笑い声をあげた。

 「あんなに煽ってたのにこのザマ! やっぱり少し手を抜いてあげた方がよかったかなぁ?」
 「それには及びません。ギャンブルは正々堂々。でなければ楽しくないですから。ね、新崎さん?」
 「そ、そんなこと言ってる場合じゃ……!」

 まさかカナエが敗北を喫するなんて。
 信じられない出来事に新崎は動揺するが、カナエの公開した手札を見て違和感を覚えた。

 (……どうして場が7の時に2じゃなくて0を出したんだ?)

 新崎の手番に9を回したくなかったのだろうか。
 妙に引っ掛かり、新崎はカナエを見やる。
 悔しがる素振りは見せず、それどころか楽しそうだ。

 (もしかして、カナエさんはわざと負けた……?)

 何のために。
 思わず問いかけてしまいそうになるが、それより先にカナエが口を開いた。

 「次でディーラーさんの鮮やかなシャッフルを見れるのも最後ですか。少し寂しいですね」


EPISODE7 嘲る女「このギャンブルに隠された仕掛け。カナエさんだけが気づいていた」


 最終ラウンド。ディーラーからカードが配られた。

 (カナエさんがわざわざディーラーに言及したから何かあるのかと思ったけど……気になる点はない。見落としているのか……?)

 考えに耽っていると、カナエに名前を呼ばれる。
 新崎は慌てて手札を公開した。
 2が2枚に1と0が1枚ずつ。

 (0があるだけマシか。それにしても……)

 新崎は双子に視線を向ける。
 特に何かを仕掛けている様子もなく、先ほどの勝利で気分をよくしているように見えるだけだ。

 (まだギリギリ僕たちが勝ってる。ここは堅実に)

 ベッティングでは、新崎は3枚のコインをベット。

 「兄ちゃん、男ならもっとドーンと賭けなよ! レイズ、20枚!」

 対して、ヨミが煽るように笑いながらベットした。
 思いもよらぬ枚数に、新崎はすがるようにカナエの顔色を窺うが――
 そこには、恍惚とした表情を浮かべながら場を見つめるカナエがいた。
 わずかに傾げた顔に添えられた指が、目尻から頬へ、頬から唇へと伝う。
 新崎はその動きをつい目で追ってしまい、もはや声をかけることも忘れて見入っていた。
 そんな視線に気づいているのかいないのか、カナエは小さく目尻を緩めると、声高らかに宣言する。

 「そうですよ。もっとギャンブルを楽しまないと! 私は所持コインすべてでレイズします」
 「な、何言ってるんですか!?」

 これには新崎だけでなく、双子も驚いた様子。
 だが、すぐにヨミは口元を歪めた。

 「自分から負けにくるなんて馬鹿だよねぇ!」
 「そうですよ! なんでこんな……!」
 「安パイを取って勝っても楽しくないじゃないですか」

 返ってきた言葉に新崎は唖然とした。

 「一度のベットで逆転できる。その緊張感があるからこそ、ギャンブルは楽しいんです!」

 破顔してカナエが叫ぶ。
 圧倒されて、新崎はそれ以上口を開けなかった。
 ヨミとリミは視線を合わせて頷くと、コールを宣言。

 「さぁ、新崎さんはどうしますか?」

 また選択肢。
 だが、新崎は迷うことなく宣言した。

 「僕も、コールです!」

 正面のカナエが満足そうに笑みを浮かべる。
 そうして、ラストゲームが始まった。

 「新崎さん、2を出してください」

 指示通りのカードを場に出す。
 続けてヨミが3を提示した。

 (これで場は5。カナエさんが3を出せば8だ。1を持っていなければ0を出さざるを得なくなるはず!)

 勝利に王手をかけられると、新崎は口元を緩める。
 その直後、カナエが声をあげて笑い始めた。
 双子はムッとした表情でカナエを見た。

 「何がおかしいのさ?」
 「いえ、ヨミさんとリミさんは、最後まで気づかれなかったんだ、と思いまして」
 「……どういう意味、です?」

 小首を傾げてリミが尋ねる。
 新崎も不安げな視線をカナエになげかける。

 「新崎さん、そんな顔をせずとも大丈夫ですよ。このギャンブル、私たちの勝ちですから」
 「え?」
 「何言ってくれちゃってんの? 場の数はまだ5。いくらでもあんたらを負かす機会なんて――」
 「いいえ。このラストゲームは、新崎さんが始めに2を出した時点で、既に勝敗は決していたんですよ」
 「「はぁ!?」」

 思わず、新崎とヨミの声が重なった。
 ギロリとヨミに睨みつけられ、新崎は顔を逸らす。

 「ではタネ明かしをしてあげましょう。勝負の分け目は、ディーラーのカードの配り方に気づけるかどうか」
 「……どういうこと、です?」
 「ディーラーは、3回戦ともギルブレス・シャフルというシャッフル法を用いていたんです」
 「ギルブ……?」

 聞き慣れない単語に、新崎は首を傾げた。

 「スペード、ハート、クラブ、ダイヤとスートを繰り返すよう並べたデックを無作為にカットして、好きな枚数裏向きに重ねて2つの山を作り、リフルシャッフル。そうすることで、このデックは一見ランダムですが、4枚ごとに必ず4つのスートを含む並びとなるんです」
 「そ、それでどうなるんでしょう?」
 「わかりませんか? 3回戦すべて、0~3が各4枚ずつ配られた状態だったんです。だからこそ、新崎さんに手札を公開させていたんですよ」
 「……僕の手札がわかれば、カナエさん視点で8枚カードがわかるから、双子の手札もおのずと絞れる」
 「ついでにもう1つ教えてさしあげましょうか」

 言いながら、カナエは自分の手札をテーブルに表で並べる。
 2が2枚と1と0が1枚ずつ。新崎と同じ手札だ。

 「ご覧の通り、手札が少し偏っているんです。それがわかれば勝ち筋を導き出すのは容易。だから、初手で決着していたんですよ」
 「そ、そんなのズルじゃん!」

 ヨミがテーブルを強く叩きながら立ち上がった。

 「ディーラーが仕組んでたなんて、こんなの無効だよ!」
 「私はあくまで公平に取り仕切ったまで。灰飾様の仰ったように、このギャンブルはカードの配り方に気づけるかどうかがキモとなっており、それを含めたギャンブルとなっております」
 「こんなの、ノーヒントで気づけるわけ――」
 「あら? ヒントならディーラーが最初に仰っていましたよ? 『デックは未開封のものを使用する』『同様にランダムに配る』と。そこから何かあると推察するのは当然のことでしょう。私もつい、最後に塩を送ってしまいましたし」

 新崎は、先程カナエがわざわざディーラーに言及した理由に、ようやく合点がいった。
 ヨミは反論の言葉もないのか、荒々しく席に座る。

 「騙し騙され、出し抜いた方が勝者となる。だからいいんじゃないですか。ですが、あなた方2人は張り合いに欠けましたね」

 笑みを浮かべて、カナエが場に2のカードを出す。
 リミが震える手つきで、1のカードを置いた。
 続けて新崎も1を出し、合計値は9でヨミの手番。

 「なんでこんな……ボクたちが負ける? やっと金持ちに近づけたっていうのに……!」
 「よ、ヨミ……」
 「さぁ、潔く負けを認めるか、0を出して少しだけ足掻くか、選んでください」

 無慈悲な選択肢をカナエはつきつける。
 どちらを選んでも、敗北は変わらないのだから。

 「う、ぐっ、あああああっ!」

 叫びながら、ヨミが勢いよく立ち上がる。
 反動で椅子が床に倒れた。

 「……灰飾カナエ……お前はいつか、ボクが必ず潰してやる……!」
 「お待ちしていますよ。その時はもっと楽しいギャンブルを見せてくださいね」

 ヨミは憎しみのこもった目でカナエを睨みつけ、叩きつけるようにカードを場に出した。
 合計値は12。
 その瞬間、勝敗は決した。


EPISODE8 仕掛ける女「すべてのギャンブルを終えて、ようやく本番がやってきた」


 第2ギャンブルに勝利し、新崎は安堵の息を漏らす。

 「あの子たち、これからどうするんだろう?」

 負けたことがよほど屈辱的だったようで、ヨミとリミは早々にどこかへと消えてしまった。
 去り際に憎悪に満ちた目を向けられたのを思い出し、新崎は身震いする。

 「新崎さん、今回もありがとうございました」
 「え?」
 「先ほど勝てたのは、新崎さんが私を信頼してくれたからこそです」
 「はは……それはどうも。その、僕のほうこそ、力になれてよかった」

 照れくさそうに頭を掻くと、カナエは口元を緩めた。

 「新崎さんは本当に優しい人ですね」
 「そ、そうかな?」
 「ええ。勝負師は相手を信じず、疑い、騙すことが必要不可欠。だというのに、新崎さんはまるでそれをしない。それどころか、対戦相手までをも心配する。やはりとことん、勝負師には向いていませんね」
 「……はは、自分でもそう思ってきました」
 「でもそれが、あなたのいいところです。この短期間でそれが十分わかりました。ふふっ、次も私の手となり足となってくださいね」
 「そ、それは褒められてるんですか……?」

 屈託ない笑みを向けられて、新崎も笑みを浮かべる。
 カナエにそんなことを言われて、満更でもなかった。

 そして続く第3ギャンブルは人間ポーカー。
 1人1枚トランプが配られ、制限時間5分の中で5人を揃え、作った役によってコインが得られるのだ。
 カナエと新崎はそれぞれマークの違う10のカードを得て、フォーカードを作ることに成功し勝利を収めた。
 これにより、カナエと新崎のコイン数は同じ。
 つまり、富川とのギャンブル権を得ることになった。

 「すべてのギャンブルを終え、頂点に立ったのは灰飾カナエ様、新崎麗様の2名! おめでとうございます!」

 兵島のアナウンスが会場内に響き渡る。

 「灰飾様、新崎様はどうぞこちらへ」

 黒服に囲まれ、2人は別室へと案内される。
 連れてこられたのは、煌びやかな装飾がされた個室。
 そこには富川が椅子に座って待ち構えていた。

 「カッカッカッ! まさかここに2人もくることになるとはの!」
 「コインの数が同じだったためお連れしました。申し訳ございません」
 「よい。ギャンブルの結果であれば、何人でも構わん」

 富川がしゃがれた声で笑いながら、ステッキを新崎たちに向ける。

 「これから行うのは、一世一代の大博打! せいぜい楽しませ――」
 「そのことですが、私からひとつ提案してもよろしいでしょうか」

 富川が眉をひそめた。
 何を言い出すのかと、新崎はひやひやしながらカナエを見やる。

 「富川会長はご老体の身。そろそろ隠居なされてはいかがでしょう?」
 「……何が言いたい?」
 「財産、半分と言わずにすべてお譲りすることはできませんか?」
 「ほぅ……ワシのすべてを寄越せと申すか」
 「賭けるものが大きければ大きいほど、ギャンブルは楽しい。人生はギャンブルだと豪語する富川会長が、まさかこれを受けないなんてことないですよね?」
 「カッカッカッ! 生意気な娘よ!!」

 カナエと富川。2人の笑い声が重なる。
 カンッ、とステッキが床を叩いた。

 「よかろう。もちろん貴様もすべてを賭すのだろう?」
 「ええ、もちろん。私たちの命を賭けましょう」
 「……って、僕も!?」

 思わぬ展開に新崎は声をあげた。

 「私たち、これで運命共同体ですね」

 新崎は呆気にとられる。
 そこに、富川の笑い声が響く。

 「カッカッカッ! よくぞ言った! ならばよし! 貴様らの命も! ワシの財産も! すべては運否天賦に委ねられた! さあ、どちらが天に愛されているか、勝負しようではないか!」


EPISODE9 命を賭ける女「負けたら血を抜かれる……! でも、ここまできて負けるわけにはいかない!」


 最後のギャンブルが始まった。
 勝負の内容はインディアンポーカー。通常1枚の数字の大きさを競うが、今回は2枚で行う。
 使用するのはジョーカーと絵札を除いた40枚のトランプ。2枚ずつ配布され、1枚目は自分のみが確認し、2枚目は他のプレイヤーのみに開示する。この2枚でできる役を競うのだ。
 役は数字が揃う「ペア」、マークが揃う「マーク」、それ以外の「ブタ」の順で強い。同じ役の場合、合計値が多い方が勝者となる。
 参加者はカナエ、新崎、富川と、公平性のために兵島を加えた4人。四角形のテーブルに着いた。
 そして、このギャンブルの特殊ルール。

 「ベットするのは金ではない。血じゃ!」
 「――なっ!?」

 富川の宣言に新崎に動揺が走った。

 「じわじわと血を抜かれ、命を削りながらのギャンブル。カッカッカッ……心が踊りはせんか?」
 「ええ、滾ってしまいますねぇ!」

 恍惚とした表情でカナエが頷く。
 レートは100ml=100万円=1チップ。
 各々10チップ持った状態でスタートし、敗北時に自分がベットした枚数分の血が抜かれる。
 勝敗は誰かがプレイ不可と判断された場合のみ。
 すべてを賭けたギャンブルが、今始まる。

 (負けたらチップ1枚でも血が100ml抜かれる
……迂闊にベットできないな……)

 第1ターンは富川の親で始まる。
 全員にカードが配られ、それぞれ1枚目を確認。2枚目を頭の上に掲げた。

 「最初から降りるなどありえん。1枚ベットじゃ」
 「コール、1枚です」

 富川、続いて兵島がチップを置く。
 おののく新崎の横で、カナエもチップを取っていた。

 「私もコールしましょう」
 「カナエさんまで……」
 「初めから降りてもつまらないですからね」
 「カッカッカッ! そうこなくてはのぅ! 守りに走ってはワシには勝てんぞ!」
 「ぐっ……僕は降ります。フォールド」

 迂闊に勝負に出られず、新崎はフォールド。
 全員の宣言が終わると、手札が公開される。
 カナエと兵島の役はブタ。
 だが、富川はクローバーのマークが揃っていた。
 富川の勝利がディーラーによって言い渡されると、待っていましたと言わんばかりに、黒服が採血セットを敗者のテーブルへと置いた。
 腕に針が刺され、血液が吸い上げられる。

 「カナエさん!」
 「ふふふっ、まだ大丈夫ですよ」

 このまま血液を抜かれ続ければ命にかかわる。
 だというのに、カナエの口元は歪にほころぶ。
 それを見て、新崎はゾッとした。
 第2ターンでは富川以外がフォールドし、増減はなかった。
 続く第3ターン。

 「なかなかいい手がきました。ここで勝負といきましょうか。ベット1枚です」
 「強気で結構! じゃが、それは蛮勇かもしれんぞ。レイズ、3枚じゃ!」
 「ふふっ、それでは私も。レイズ、3枚」
 「そんな無茶な!?」

 カナエの合計ベットは4枚。
 つまり、負ければ400mlもの血液を失う。

 「面白い、乗ってやろうではないか! コール1枚!」

 新崎と兵島はフォールドを宣言。
 カナエと富川のカードが開示される。

 「カッカッカッ! ワシの運も侮れん! 3と4のマークじゃ!」
 「ふふっ、奇遇ですね。私も5と10のマークです」
 「やった、カナエさんの勝ちだ!」

 初めて富川の表情がピクリと動く。
 負けたことで血を一気に400ml抜かれたというのに、富川の表情は未だに平静を保っていた。
 第4ターンの親は新崎だ。

 (カナエさんの勝利で、富川の流れは止められた。ここは僕も勝負に出て流れを作るんだ!)
 「ベット1枚!」

 新崎が勇んでチップを置いた。
 続けて富川とカナエがコール、兵島はフォールドだ。

 (やれる……やるんだ! 少しでも富川を削って、カナエさんの勝利に繋げるために!)
 「レイズ3枚!」
 「フンッ、小娘の後であれば有利に立ち回れると思うたか! 笑止! フォールドじゃ!」

 その宣言を聞いて、新崎は内心でほくそ笑む。

 「貴様らが互いに通しを行っているのは必然! でなければ、先ほど小娘が勝負に出るはずがないじゃろう! 見え透いた愚策よ!」
 「ふふっ、フォールドです」

 カナエが小さく笑いながら宣言した。
 新崎も口元を震わせている。

 「なんじゃ、小娘?」
 「あぁすみません。あまりに思い通りだったもので」
 「フンッ。小僧、早くカードを開示せんか」

 ゆっくりと、新崎はカードを表返す。

 「……なんと!」

 現れたカードは、スペードの3とハートの1。
 ブタであった。


EPISODE10 負けない女「ついに迎えた最終局面。僕らなら、きっと勝てる……!」


 本来であれば勝ちえないはずのブタ。
 しかし、新崎はブラフで勝ちを得た。
 この1勝は大きい。

 「ワシを出し抜くか! 見事!」

 再び富川の血液が失われる。
 だが、当の本人はまるで堪えていない。

 「私たちが通しをしていると言っていましたが、それはあなたもですよね?」

 ぶしつけなカナエの言葉に、富川の眉が動く。

 「兵島さんでしたか。伏せたカードの置き方でマークを伝えるなんて、誰が見ても気づきますよ?」

 兵島はうろたえながら自分の手元にあるカードを隠した。

 「も、申し訳ございません!」
 「よい。むしろ、この程度のイカサマを見抜けんようでは、ワシの相手が務まるわけもない」
 「カードの向きなんて変えなくても、こうすればわかりやすいのに」

 カナエは新崎の手を取ると、その手のひらに人差し指を走らせた。
 2人はテーブルの下で、こうして互いにカードを教え合っていたのである。

 「全員がイカサマをしているようですが、私はそれをどうこうするつもりはありません」
 「カッカッカッ! 後悔しても知らんぞ?」
 「ブラフ合戦、望むところです」

 カナエと富川。2人の視線が火花を散らした。

 (イカサマはほとんど通用しなくなった。つまり、ここからは完全に読み合いの勝負……!)

 煽り煽られ。
 騙し騙され。
 嘘で塗りたくられたギャンブルが繰り広げられる。
 回を重ねていくごとに、苛烈さを増していく。

 (この2人……なんでこんなに楽しそうなんだ……!?)

 血を奪い、金を奪い合っている。
 だというのに、カナエも富川も、狂気に満ちた笑みを浮かべていた。
 激しい攻防に、新崎と兵島は完全に蚊帳の外だ。

 だがしかし、不意に訪れる決着の時。

 「ふふっ……顔色が悪いですよ? もう限界ですか?」
 「ぐぅぅ……ワシをここまで追いつめるとは、やりおる……」

 カナエと富川は、互いに800mlもの血液を失っている。
 意識も朦朧としていることだろう。
 迎えた第10ターン。
 カードが配られると、富川は高らかに宣言した。

 「ベットじゃ!」
 「こちらもコールです!」

 両者とも、賭けられる限界までチップを積み上げていく。
 新崎はカナエを見やる。
 何か声をかけようかと思ったが、逆に笑みを向けられて息を飲んだ。
 新崎と兵島は共にフォールド。
 そして、ついに最後の勝負が決する時がきた――!

 「クハハハ! ワシの勝ちじゃ小娘ェ!」

 富川が立ち上がり、カードをテーブルに叩きつけた。

 「ここで8のペア!?」

 富川の手に新崎は驚愕の声をあげた。
 勝てる手は、9以上のペアのみ。
 カナエは静かに顔を伏せた。

 「カッカッカッ! ここまでようやった。じゃが、一歩及ばなかったようじゃなぁ!」
 「ふふっ……そう、これでお終いです!」

 カナエがカードを捲る。

 「なっ……!?」

 カナエは2枚のカードを富川につきつけた。

 「9のペア、私の勝ちです!」
 「馬鹿なッッッ!?」

 富川が目を見開く。
 勝ちを信じて疑わなかったのだろう。
 静かに椅子に座り込んだ。

 「ぐぬぅぅぅぅぅ……おおおおおぉぉぉぉ!! 貴様こそ、真の勝負師! その手腕、見事……!」

 そう絶叫すると、富川は顔をテーブルに突っ伏したまま、微動だにしなくなった。

 「カナエさん! 勝った! 勝ったんだ!!」

 新崎は喜びで勢いよく椅子から立ち上がる。
 だが、勝利した安堵で緊張の糸が切れたのか、血液を失ってしまったからだろうか、新崎の全身から力が抜けていった。
 意識もまどろみ、沈んでいく。

 ――ありがとう、新崎さん。

 意識を完全に手放す直前、そんな言葉が聞こえた気が
した。


EPISODE11 運命の女「僕は勝負師には向いてない。けど、彼女のそばで、力になりたいって思ったんだ」


 富川を打ち負かした後、気を失った僕が目を覚ますと、そこは病院だった。
 医師によると、どうやら失血と疲労で丸1日寝ていたらしい。
 起きて最初に聞いたニュースは、富川が皇愛グループの会長を辞職したというもの。
 カナエさんに全財産を譲った結果なのだろう。

 特に入院する理由もなく、僕はすぐに病院を後にすることになった。
 あの夜の一件でわかったけど、僕は勝負師に向いていないのかもしれない。
 そう、彼女のような勝負師には。
 足を洗うとして……それから何をしよう。
 そう思いながら病院を出ると――

 「こんにちは、新崎さん」

 長い黒髪をたなびかせて、笑みをたたえた美女がそこにいた。

 「か、カナエさん! どうしてここに!?」
 「そろそろ目が覚める頃だと思い、迎えにきました。あれから大変だったんですよ? 新崎さんを病院に運んで、皇愛グループに行って……」
 「そ、そうだったんですね……」
 「ええ。社内取締役として不正を摘発しました。今頃皇愛グループはてんやわんやです」
 「取締役って……ど、どういうことですか?」
 「富川から全財産を譲り受ける。それはつまり、皇愛グループの経営権も渡されたということですから」
 「ということは……」
 「私が皇愛グループのトップです」
 「えぇっ!?」
 「これから皇愛グループは、少しずつクリーンな企業に生まれ変わりますよ」

 思わず僕は表情を引きつらせた。

 「じ、じゃあ、勝負師は……やめるんですか!?」
 「そんなわけないじゃないですか。私がギャンブルから手を引く時は、この命が失われる時だけです」

 その返答を聞いて、少し安堵する。
 けど、あの夜のようなギャンブルを続けるなら、いつかは命を落としかねない気がする。
 でも、僕がそれについて口を出す資格はない。

 「そういえば、迎えにきたって……?」
 「あら、忘れました? 『これから先、いついかなる時も、私の指示に従う』と取引したではないですか」

 ……あれって、会場だけのことじゃなかったのか。

 「でも、僕は勝負師に向いてないって……」
 「ええ。ですが、私はけっこうあなたの実直なところを買ってるんですよ」
 「え?」
 「私はあなたの思うような人間ではありません。ただ楽しいギャンブルを求めているだけですから」

 正義感で立ち向かっているわけじゃない。
 それは近くで見ていてよくわかった。

 「取引をここで止めたいというのであれば、残念ですが仕方ありませんね」

 それでも僕は、憧れのこの人に――

 「でも新崎さん、今無一文ですよね? 治療費は私の方で出しましたし」
 「うっ……」
 「なけなしのお金で招待状を手に入れたのに、あの日得られたお金は一銭もないんですから。子犬のように路頭に迷われてしまうかも……」

 そう、カナエさんの言う通り。
 退院したはいいものの、頭を抱えていたんだ。

 「実は、あの時の賞金の一部が私の手元にあるのですが」
 「そうなんですか!? じゃあ――」
 「あまりに大きい金額ですし、こういうのはいかがでしょう?」
 「……?」
 「これからも私に協力していただき、その見返りとして毎月少しずつ賞金をお渡ししていく、というのは」
 「それって、給料制ってこと!?」
 「そうとも言いますね。あまりに大きなお金を手にすると、人が変わったり付け狙われたりしますから。ふふ、念の為です」

 屈託ない笑顔を向けられてしまった。
 元から断るつもりはなかったけど、そもそも僕に選択肢なんてなかったようだ。
 それにこの人はまだ、僕と一緒にいたいという意思を伝えてくれている。
 憧れの勝負師であり、こんなにも魅力的な彼女を、一番近くで見られるなら、タダ働きでもなんでも、どんと来いだ。

 「わかりました。どこまでもお供します」
 「では、契約成立ということで。それでは退院祝いに何か食べに行きましょうか。何か希望はありますか?」
 「……にく……肉が……食べたいです……」
 「では、新崎さんの賞金から引いておきますので、お好きなだけどうぞ」
 「えっ? 退院祝いの奢りじゃないんですか!?」
 「ふふ……」

 ――カナエさんについていけば、きっとまた波乱万丈なギャンブルに巻き込まれるんだろう。
 でも、それでいいんだ。
 ただ追いかけるんじゃない。
 いつか隣を歩ける日がくるまで、僕は歩き続けよう。
 この――運命の女(ファム・ファタル)と。


チュウニズム大戦

レーベル難易度スコア
スキル名/効果/備考
●リレイEXP0 / 330 / 660
ユニオンブレイク(前回レーベルミス)
次のプレイヤーは、前回と同レーベルの
COMBO/CHAINMISSとなる。

■ 楽曲
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WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


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