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概要
名称 | ゾンビウイルス |
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よみかた | ぞんびういるす |
正式名称 | 細胞増殖誘引性ヒト凶暴化ウイルス |
せいしきなよみかた | さいぼうぞうしょくゆういんせいひときょうぼうかういるす |
生息場所 | 主にゾンビの体内 |
分類 | |
レルム | リボウィリア Riboviria |
界 | オルソルナウイルス界 Orthornavirae |
門 | ネガルナウイルス門 Negarnaviricota |
亜門 | ハプロウイルス亜門 Haploviricotina |
綱 | モンイウイルス綱 Monjiviricetes |
目 | モノネガウイルス目 Mononegavirales |
科 | ラブドウイルス科 Rhabdoviridae |
属 | リッサウイルス属 Lyssavirus |
種 | 細胞増殖誘引性ヒト凶暴化ウイルス Cell Growth Inducing Human Aggression Virus |
ジェノタイプ | 狂犬病ウイルス・古代性細胞増殖誘引レトロウイルス・エボラウイルスを確認の他、その他未知の遺伝子を確認 |
遺伝的多様性 | 人工的変異体を除き1種のみを確認 |
治療法 | 確立済 |
ゾンビウイルス(正:細胞増殖誘引性ヒト凶暴化ウイルス)とは、リッサウイルス属に属するレトロウイルスの一種である。
細胞増殖誘引性と神経系再生、死者の蘇生・感染生物の凶暴化が有名な特徴であり、ゾンビ発生の起源とされている。
目次
分類学的特徴
遺伝学的特徴より、狂犬病ウイルスから数百万年前に分化したとされている。
永久凍土から発見された古代性細胞増殖誘引レトロウイルスをその根本的起源としていると考えられ、遺伝子の水平伝播が見られる。
顕著な細胞傷害性はエボラウイルス類から獲得しているとされ、おそらくかつてはサルを宿主としていたと考えられている。
形態
形態はカプシドタンパクの累積やエンベロープの獲得量によってややことなり、円形から楕円形まで幅広い。
闇属性魔法が封入されている*1ため、カプシド内は黒く見える。
歴史
その歴史は古く、ゾンビの存在自体は数万年前の大昔から確認されている。
...ある國の村に「ぞむび」なる怪物が居たりと聞きし。「ぞむび」は食人の人種なりて、その容貌は血みどろに腐りたり。「ぞむび」に噛まれたる人間も「ぞむび」と化し、いずれは群れになり給ふ。... ...そのおそろしき容貌やいかに、わが心にねむりし恐怖を目覚ましにけり。 逃げやうと足が動きたまへば棒を踏み、音が出れば怪物は我が方を見たり。怪物はうめき声をあげつつ、のそのそとこちらに歩ききたり。 逃げ切れども、二度と村に行かぬとわれ心に誓いたり。 --「怪物伝」
古くから人間との間でアウトブレイクやそれが発展した全面戦争が起きたりもし、その様は現在も歴史書に残っている。
問題となっていた戦争は問題となっていた区域のゾンビを統べるようになったゾンビ王との和解によって解決しており、ゾンビの問題はあまりなくなったが、何らかの理由でゾンビ王の管轄外となったゾンビによる小規模なアウトブレイクは和解後も続いた。
弓矢やその後の銃火器発展はこれの関与するところも大きく、ゾンビの存在は魔物とともに歴史上重要である。
数万年後、ウイルスという存在自体が発見された翌年の1837年、抗生物質が効かないゾンビ病の「細菌説」に不信感を抱いたキタジョーアイランドのウイルス学者であるボーダイノウイルス=ゼンブミツケルジョーによりウイルス本体が確認された。
電子顕微鏡写真からはエンベロープの存在が確認され、防疫へ大きく関与した。
この頃に開発された初期型のワクチンはウイルス体を高濃度のエタノールに浸し、不活化したものをウサギに投与した血清であり、効果は高いとは言えなかったものの、ゾンビ咬傷からの逃れられない怪物化から救われる希望となった。
数年後、ウイルス本体を利用する高性能な不活化ワクチンが開発されると、ゾンビ咬傷の予後ははっきりとよくなった。
病態
咬傷部にもよるが、1-2週間の潜伏期間があり、その後初期症状に移るが、進行すればするほど予後が悪くなる*2ため、ゾンビに噛まれた場合はすぐにワクチンを接種する必要がある。
潜伏期間は次のような症状が現れる。
・咬傷部の発疹・痛痒さ
・咬傷部の化膿、上皮組織の壊死(皮が剥ける)
・咬傷部の麻痺
これ自体は咬傷による細菌の侵入と捉えられることも多いが、やはり痛いため、この段階で病院に駆け込む人が多い。
初期症状は5日間程度継続し、神経系・血管内におけるウイルスの増殖が原因で発生する。ウイルス自体は脆弱であるため、この段階でも十分治療が可能であり、現在の医療技術であれば後遺症はほぼない。
・麻痺部位の拡大 ・発熱 ・嘔吐
・血液凝固不全 ・発汗 ・下痢
急性期はウイルスが中枢神経系に侵入したときに発生する。急性期自体が三段階に分けられ、これがそれそれ1日間程度継続する。
急性期第一期(発現期)
・軽度認知障害 ・発話障害
・軽度の凶暴性 ・混乱
・さらなる発熱 ・麻痺
・組織の緩やかな壊死
急性期第二期(狂乱期)
・顕著な凶暴性
・神経細胞壊死による知能の低下と原始的思考への回帰*3
・肉体組織のさらなる壊死とそれに伴う高度作業能力の低下*4
・細胞分裂ー再分化促進による肉芽組織生成 ・急性の内出血 ・脳の萎縮
・光への嫌悪 ・空腹感*5 ・唾液の過剰分泌 ・肝不全 ・失禁
急性期第三期(昏睡期)
・てんかん発作 ・けいれん ・急性脳炎
・髄膜炎 ・血圧低下 ・呼吸困難
・昏睡 ・壊死の進行 ・瞳孔散大
この段階で治療しても、神経学的な後遺症は回避できない。
第三期の進行中に患者は死に至る。
無治療の場合の死亡率は99.9%を越えるが、ワクチンを接種している場合は無治療でも30%程度に落ち、十分早く治療を行えば1%未満に抑えることさえできる。
死後、脈拍の停止と周囲の細胞死を検知*6すると、ウイルスはそれ自体に持っているOct4,Sox2,Klf4の遺伝子を顕在化し、ランダムに一部残存細胞を幹細胞化し始める。
この後、くわえてユビキチン誘導性の細胞分裂誘引因子を起動し、周囲の細胞死によって開放された養分によって高速で分裂を開始させる。この際、嫌気呼吸が起動されるようにSQR遺伝子が発現するため、酸素がない条件下でも細胞が機能できるようになる。
分裂した組織は次第に分化して元の組織を形成し始め、次第に未知の機構*7によって主に脊髄に対して開始パルス発生を誘引して心臓機能や肺機能の自律をある程度復旧し、生命活動を復旧させる。
これにより次第に脳機能が回復*8し、低度の活動を行えるようになると宿主は目覚め、活動を開始する。
このとき、個体差によってごくまれに筋肉や脳機能が高くつく場合があり、これは多くの場合群れのリーダー格になったり、ごくまれに人間に溶け込んだりする場合がある。ゾンビ王もこれを起源とするアルファでないかと言われているが、詳細は不明である。
高度な脳機能を持たないため、狂乱期と類似した形でゾンビは空腹に突き動かされながら人を襲い始める。襲われ、その外傷で死んだ人間には、ウイルスが自己増殖のためにその人間を救うように働きかけるため、ウイルスは免疫系の麻痺をいいことに潜伏をすっ飛ばして神経の軸索を介しての移動を行い、早ければ数分間でゾンビ化を開始する。
すでに死んでから長時間が経過した遺体はウイルスを投与してもゾンビ化することは少なく、腐敗した死体はほぼ100%ゾンビ化しない。
実在する腐敗したゾンビはウイルス体の闇属性魔法が何らかの理由で強化されたものだと考えられており、ネクロマンサーやブラッドムーンの影響が考えられるが、通常は発生しない。特殊な場合の発生も基本的には既存ゾンビの進化が原因である。
また、焼却された遺体も復活することはできないため、火葬は遺体処理に有効である。これは主要臓器*9に与えられたダメージが大きすぎるためである。
栄養状態が悪すぎる場合もゾンビ化できない。血液のロスが多すぎるものも流石に栄養供給が間に合わなくなるため、普通は復活しない。一度ゾンビ化したものを殺したときに復活しないのはこれらが主要因である*10。
治療
おもにワクチン投与、抗ウイルス薬投与によって行われる。
外傷の応急処置後、ワクチンを注入し、隔離病棟で観察する。
ウイルスはプロウイルス化する方向で進化しているため、ウイルス遺伝子を発見し次第破壊する「Cas9療法」も確立されており、それなりの効果を上げている。
ほか、エンベロープウイルスであるため、エンベロープ生成を阻害するために一時的に小胞作成タンパクI(COPI)の発現を阻害するSar1-GTPaseのアロステリック阻害薬投与もよく用いられる。
ゾンビ化してしまった人間は現状治癒の件数が極めて少なく、危険であるため、残念ではあるが処分することとなっている。
なお、満腹中枢の活性化阻害作用があるため、食人・凶暴化を阻止するために鎮静剤と過剰なグルコースが点滴によって投与される。
防疫
エンベロープウイルスであるため、界面活性剤の利用及びこまめな消毒が極めて有効である。体液が付着した箇所を石鹸や合成洗剤で洗い、消毒液を散布すればほぼ完全にウイルスを死滅させることが可能である。手などに付着した場合は高濃度の界面活性剤溶液に手を突っ込み、五分程度放置すればウイルスは完全に死滅する。
また、ウイルス体自体は極めて脆弱であるため、部屋などの防疫については、オゾン発生機やイオンフィルタ付きの空気清浄機を設置するとよい。
切り口などにウイルスが付着すると感染の恐れがあるため、ウイルス取扱者および除染関係の人員はワクチン接種の上、ガスマスクおよびゴムスーツを着用することが推奨されている。ゾンビとの戦闘の際にも体を覆うことは重要であり、粘膜は保護しなければならない。その点メガネは有利である。
生活環
単孔類や有袋類、齧歯類、水棲哺乳類を除く哺乳類及び一部の鳥類(カラスなど)にのみ感染するということがわかっている。
特に、脱酸素化されたヘモグロビン中酸化鉄(III)とアザニドイオンで錯体を形成することで嫌気呼吸と幹細胞化を促進するサイトカインの補酵素を生成しているため、ヘモシアニンを利用する生物には応用すらできない。
汚染された体液が粘膜や傷口といったところから体内に侵入することで感染する。物理的には弱いウイルスであるため、直接上皮組織を貫通することはできない。
また、抵抗力が非常に強い場合・抗体を持っている場合(ワクチン接種や生まれつきの素質、感染後の生還者など)はウイルスが個体の耐性に負けてしまうため、発症しない。
知的生命体のうち、ヒトウオ及びその他の魚類・半魚系人種、イカやタコの仲間、爬虫人、大半の鳥人、新人類はこのウイルスが無効であるため、噛まれてもキャリアとなることなく平気でいられる。
魔力が強い株は厄介で、抵抗力が多少強くても発症したりする場合があり、回復魔法の応用で損傷が激しいゾンビも復活するようになる。
逆にゾンビがその魔力を獲得*11し、ゾンビウイルスを排出してしまう場合があるが、これがクレイゾンビの起源である。
逆にウイルスがゾンビから魔力を獲得しすぎると腐食性および毒性が強くなりすぎてしまい、トキシックゾンビが生成する。
ゾンビの生態について
ゾンビは一般に群れて行動する。比較的能力の高いアルファの周囲にグループを作り、複数人で狩りを行う。
群れで行動する習性があるため、基本的にこの優先順位は低いものの、飢餓状態が継続した場合、共食いが発生する場合がある。基礎代謝量が多いため、長時間飢餓が続くと呆気なく死んでしまうからである。飢餓状態のゾンビは攻撃性が通常状態と比べて大幅に増加する。
ゾンビは視力や筋力が低いため、あまり遠くにいる人間を襲うことはないが、近くにいる動く物体があれば、たとえ鳥であろうと車であろうと襲う*12。他の生物が食べていたものは餌として認識し、とりあえず口に入れるため、ゾンビのレントゲン写真をとると歯ブラシや石、草などが見つかる場合さえもある。
闘争・逃走反応が発現している狩りの状態では恐怖心が薄れるため、火器に多少発砲されても平気で襲いかかってくるが、そうでない状態に閃光弾などを利用して急な光や音を発すると、一目散に逃げていく場合がある。
光に敏感であるため、狩りは基本的に夜に行うが、昼であっても、その場で見えたものであれば狩るため、いつの時間帯も注意が必要である。
また、音に敏感であるため、銃声やサイレンが聞こえた場合はそこに近づく習性がある。うまく使うとゾンビの群れを焼夷弾などで一網打尽にできるよ。
ゾンビの心理学
ゾンビは一般に知能が低く、群れ・さまよい・攻撃し・捕食する、という単純な作業を継続するのみであると認識されることが多いが、それは誤りである。
実際、ゾンビは確かに原始的で狂暴な存在ではあるが、それにとらわれることは望ましくない。
ゾンビとは、そもそも基本的にはもともとある一定の一個人の脳機能が著しく低下し、新陳代謝が大きく増加した影響で常に空腹状態となった挙句凶暴化した存在である。つまり、本質的には脳に強い衝撃を受けて高次脳機能障害となった人間と違いはないのである*13。
このため、ゾンビの中には生前行っていた動作を無意味に繰り返すものが存在する。これはかろうじて残っていたニューロンが己の使命を全うし、あわよくば脳機能を回復せんとして必死に行っている、いわば死ぬ直前のうわごとなのである。
例えば、もともと射撃の名手の警官であったゾンビがいたとする。そのゾンビが「狙撃」という動作を行うほどに知性があるかは別として、ゾンビは生前やっていたことを元に条件反射的に拳銃を「握る」ことを覚えている。これはその段階ですでに消失している掌握反射とは別である。また明確に目標を認識した上で「射撃」を行う場合がある。これは生前の辛うじて残っている記憶と、学習した「銃には殺傷能力がある」という事実を総合的に処理して、最も的確な判断を脳が下しているのである。これは高度な思考であるが、実は通常の魚類などにもみられることである。
また、ゾンビも快楽物質には反応する。ハエの神経系でも見られることであり、ごく普通のことであるが、ゾンビもまた神経系を麻痺させ泥酔させる「酒」に嗜好性を持ち、モルヒネやヘロインといったオピオイド*14にも反応することがわかっている*15。これは正常な報酬伝達系を持つことをも意味する。これらはすべて餌に麻薬を混ぜる対照実験で証明されている。
加えて、ゾンビに「教育」を施すことも可能である。これらはゾンビの報酬伝達系を利用して覚えさせる「犬のしつけ」方式、条件反射で勝手に覚えさせる「パブロフのゾンビ」方式、丁寧に優しく教えてあげることでゾンビの貧弱な大脳辺縁系にゆっくりと理解させる「子供の教育」方式に分けられ、やり方によっては人を襲わないゾンビを教育することも可能であるが、時間がかかりすぎる。
声帯自体は基本生きているため、簡単な言語*16を教えることも可能である。人が話している言語を真似ることもあり、ぎこちないものの言葉の判定は可能な程度音程を真似ていることから、声帯の操作方法は理解しているものと思われる。やはりレベル的には高次脳機能障害が正しいのか。
これらはそれぞれの主な例である。
- ゾンビにフォークとスプーンの使い方を教える実験(「犬のしつけ」方式)
鶏肉および羊の脳味噌を与え、食器を使って食べようとした際にそのまま食べさせ、手で食べようとした際に電気ショックを与えるようにすると、ゾンビは言われなくとも食器を使って食べるようになった。
- ゾンビににおいなしで梅干しと肉の区別をつけさせる実験(「パブロフのゾンビ」方式)
ゾンビにまず梅干しと肉を与え、それぞれ食べさせる。すると梅干しは酸っぱいので唾液を多く出すが、肉にはそれが必要ないのでそのままになる。このような学習をさせた状態で、梅干しの画像を見せるとゾンビははっきりと大量の唾液を分泌するようになったが、肉の画像を見せた時にそれはなかった。
- ゾンビに加減算を教える実験
ゾンビにグルコース剤と鎮静剤を投与したうえでゾンビと信頼関係を築き、丁寧に指を使って足し算および引き算のやり方を教えると、報酬なしで3週間程度の時間を要しくりあがりのない足し算と引き算ができるようになった。
これによってゾンビは腐っても(激寒)人間であることが判明し、人権問題が提起されたが、さすがに認められなかった。
また、ゾンビの行動学研究に着目してみれは、沈静状態でのゾンビの行動パターンは幼児のそれに類似することが判明している。
鎮静剤投与および満腹中枢刺激状態のゾンビに玩具を与えると、ゾンビはどういうわけかそれで遊び、あろうことか笑うのである。いまだゾンビの感情についてはわかっていないが、すくなくとも食欲のみの「興奮」に左右された神経系ではなく、感情に「マイナス」「プラス」があることが示唆されている。
また、空腹状態のゾンビは一般にメラトニンを生成せず、ほとんど眠ることはないが、鎮静状態では睡眠する場合があることも特徴的である。
知性が発達したアルファではさらにこれを上回り、最上位のゾンビ*17では人並みになることさえある。
これらの研究結果に希望を抱き、最近ではゾンビの理性および知能を取り戻す実験も行われている。
もしかするとゾンビが人に戻れる日も近いのかもしれない。
ウイルス体内の魔法
ウイルスの応用
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