■ 第3節 第1小節 みっつの道-名捨て人ふたり
南の島にいる人物に、ルーヴランスは
会いに行かねばならないらしい。
いったいその人物とは?
ルーヴランスの狙いとは?
■ プルゴノルゴ島・南海岸
(海岸の片隅に隠れるようにいる一体の戦車)
???:……ギチギチギチ……
ウォーマシンは、なにかに気づいたようだ。
???:……ギ、ギチギチギチ……!!!
(ルーヴランス登場)
Louverance:[Your name]殿、
あれほど私ひとりに任せてほしいと
懇願したというのに、来てしまったのですか。
Louverance:あなたが冒険者となったのは、
人の秘密にいたずらに首をつっこむ性分だからと
いうわけですね……。
Louverance:しかしそれにしては、
人が良すぎるようではありませんか?
Louverance:このようなものに隠れ住み、
人との絆を断とうなどと考える輩には、
話し合いなど意味のないこと。
(両手剣で戦車を一刀両断するルーヴランス)
(中から3体の黒マンドラ出現)
???:なにするんじゃ。
わしが苦労してやっと手にいれた戦車、
ぶっこわしちまうなんざ……
???:オニじゃ!
???:アクマじゃ!
???:人デナシじゃ!
Louverance:マンドラゴラにしゃべらせて
ごまかそうとしても無駄ですよ。
Louverance:聞いているのでしょう!
ブッキーチェブキー!
Louverance:私は、サンドリア大聖堂より
遣わされた使者ルーヴランス・ミスタル!
すみやかに姿をあらわしなさい!
(一羽の鳥を連れてタルタルが登場)
Vukki-Chebukki:……やれやれ、
サンドリアでくたばるような
タマじゃあないとは思っていたが……。
Vukki-Chebukki:フン、その剣さばき、
忘れるはずもない。わしはだまされんぞ。
Vukki-Chebukki:すぐに、その剣を捨てろ。
Vukki-Chebukki:おかしなことをすれば、
あの鳥がサンドリア王城に飛んでいき……
王立騎士団に、おまえが生きていることを
知らせると思え。
Louverance:フフフ。
あいもかわらず、無駄に用意がいいですね。
年をとって臆病に輪がかかりましたか。
Louverance:だがもう一度、よく聞きなさい。
ワタシの名は、ルーヴランス・ミスタル。
Louverance:ミスタル家は、フランマージュの
暗殺にて一文字失ったとはいえ、騎士団の間では
いまだ武勇高き伯爵家。
Louverance:その人脈を使えば、アナタが放つ
知らせなど、どうにでもなるのです。
観念するんですね、ブッキーチェブキー。
Vukki-Chebukki:なんじゃと?
そのように名高い伯爵家の子孫が
なぜこのようなことに……?
Vukki-Chebukki:誇りだけでは、
腹が膨れぬことでも諭したか?
Louverance:それは、誇りをもたぬ
タルタルらしい考えですね?
Louverance:……逆ですよ。
ワタシの高尚にして壮大なる正義の実現に
手を貸すように諭したのです。
Vukki-Chebukki:正義の実現だと?
Vukki-Chebukki:うぐぐ、
おまえのひとりよがりの正義とやらは、
タブナジア侯国とともにとっくの昔に
滅びたはず……
Louverance:確かに、タブナジア侯国には
20年あったいまだに、獣人軍が残した魔物どもや
怨念めいたものが徘徊しています。
Louverance:しかし、ミルドリオンが
礼拝堂にはった結界のおかげで、地下運搬道は
どうにか守られ……
Louverance:その運搬道に築かれた砦に、
タブナジアの生き残りが暮らしていることが
わかったのですよ。
Vukki-Chebukki:な、なんじゃと?
それは本当なのか!?
Louverance:こんなところにくすぶって
いなければ、アナタの耳にも届いたことです。
Louverance:既にタブナジアの生き残りが
ジュノまで出向き、わざわざジュノの要人を
街に呼び入れましたからね。
Vukki-Chebukki:ジュノの……?
Louverance:やつらはさっそく、
救助活動の名目をかかげ、
我が者顔で乗り込んできましたよ。
Louverance:そして、タブナジアの
生き残りが気づかないのをいいことに
礼拝堂を荒らしていった……。
Vukki-Chebukki:……そうか。
しかし、良かった。そのおかげで、
最悪の事態とはならなかったわけじゃ。
Vukki-Chebukki:過去の遺物など
わしらにも彼らにも必要のないもの。
今、彼らを救ってくれるのならば、
なにもかもジュノにくれてやればいい。
Louverance:しかしそれで本当に、
タブナジアの生き残りたちは救われると言えますか?
Louverance:あの戦いでアナタは妻子を失った。
生きのびた者たちも皆、大切なものを失い、
心に大きな傷を受けていました……。
Louverance:彼らは今まで、じっと
魔物どもの影におびえながら、小さな砦で
息を潜めてくらすほかなかった。
Louverance:しかも、この状態を呼び込んだ
裏切り者たち当人は、タブナジアの存在を忘れ去り、
のうのうと生きているのです。
Vukki-Chebukki:……。
Louverance:このままでは、
そんな彼らに、タブナジアの生き残りたちは
頭を下げ、感謝の涙を流すことになります。
Louverance:そんな姿を、
黙って見ている気なのですか?
真実を知るものだというのに?
Vukki-Chebukki:だからといって、
なにができるというのじゃ!?
まさか、彼らに真実を教えよと!?
Louverance:ええ。
ワタシはそのつもりです。20年前の大戦の裏で
組み立てられた、連合軍の黒い企みをね。
Louverance:そして共に手を取り合い、
タブナジアの復興を目指そうと呼びかけます。
Vukki-Chebukki:な、なんじゃと!?
Vukki-Chebukki:タ、タブナジアの復興など、
おまえひとりにできるわけがない!
Louverance:フフフ……
その目安がついたからこそ、
ワタシは戻ってきたのですよ?
Louverance:タブナジア侯爵家の跡継ぎは
既に我が手中。復興のための資金や戦力は、西国の
ある資産家からいただく手はずになっている。
Louverance:……ただ、西国の資産家は、
タブナジア大聖堂が永い年月をかけて集めた
知識と遺物に金をかける価値があるとしています。
Louverance:それらはすべて
ミルドリオン枢機卿が持ち去ってしまい
今はその行方がわかりません……。
Louverance:ですからワタシは
アナタに尋ねにきたのです。
Louverance:その知識と遺物の源である
神都アル・タユへの道を。
Louverance:アナタがたは、
タブナジア大聖堂から神都アル・タユへの道を
探るようにと密命を受けていましたからね。
Vukki-Chebukki:た、たしかにその通りじゃ。
しかしわしらでも、さすがに神都アル・タユまで
至ることはできなかったのじゃ!
Louverance:それではなぜ、
タブナジア大聖堂はアナタの口をふさぐよう
ワタシに頼んだのでしょうね?
Louverance:それはアナタが
なにかをつかんだからに他ならない。
Louverance:さぁ、選びなさい!
その口を閉ざすか、その生を閉ざすのか!?
Vukki-Chebukki:待て待て!
わかった教える!
Vukki-Chebukki:わしらが突き止めたはな。
その道が100年前に一度、開かれたということじゃ!
本当にそれだけじゃ!
Louverance:100年前に一度……?
???:ワシが知るのは
それですべてじゃ。ワシはこれでサヨナラじゃ!
(ブッキーに代わり鳥がしゃべりはじめる)
Louverance:!?
Louverance:やれやれ。
本当に逃げ足が早い。しかし、聞くべきことは聞け、
知るべきことはしることができたようです。
Louverance:「再生の鏡」の力で見えた石像。
あれは、タブナジア大聖堂の宝物庫にあった
男神の石像です。
Louverance:もしやあれも、神都アル・タユより
もたらされた遺物なのでしょうか?
ならばおそらくウィンダスの博士が……
■ 石の区・ヨランオラン博士邸
Yoran-Oran:なに?
タブナジアにあった石像がどこからやって
きたものか、その話を聞かせてほしいと?
Yoran-Oran:前にも言っただろう、
あれにはシュ・メーヨ海の土がついていた。
だからあれは、海の底にあったものだ。
Yoran-Oran:……と、待てよ?
そっちは気にするなと言われたが、そういえば
あの像には、北グスタベルグの土も付着していた。
Yoran-Oran:今思えば、なぜ2種類の土が
ついていたのだろうか。ううむ???
End