プロマシアの呪縛/第5章~第8章/悠久の名を求め

Last-modified: 2012-06-17 (日) 18:45:42

■  第4節 第1小節 悠久の名を求め

 後日談 ルーヴランス編


■ 南サンドリア・カッファル伯爵邸

Hinaree:冒険者さん。
 お久しぶりです。……あら?

Louverance:冒険者
 やっと見つけたぞ!
 今までいったいどこにいたのだ!?

Louverance:ギルド桟橋で
 おまえに伝言したこと、
 きちんとヤツに伝えたか!?

Louverance:カッファル伯爵夫人様、
 あなたの平穏な時間をかき乱して申し訳ない。
 しかし私にとっては、生死に関わる重要なこと。

Louverance:……冒険者、
 おまえなら知っているはずだ!
 卑しき血流れるヤツはどこだ!?

Hinaree:卑しき血?
 ルーヴランス、もしやあなたが言っているのは、
 赤い仮面の男のことですか?

Louverance:!?
 ヒナリー叔母様、ヤツは、
 まさか、あなた様に何か!?

Hinaree:落ち着きなさい、ルーヴランス。
(脇に控えるエルヴァーンの修道士を指して)

Hinaree:実はこの方、
 赤い仮面の男からあなたへの
 伝言を申し付かったそうなのです。

Louverance:いったい、何て!?

Hinaree:「ウルガラン山脈にて待つ。
 騎士として誇りある戦いを望む」と……。

(聞くなり部屋を駆け出るルーヴランス)

Hinaree:あんなに頭に血をのぼらせて。
 ルーヴランスは大丈夫でしょうか?

Hinaree:ウルガラン山脈まで、
 彼のことを追いかけてくださいませんか?
 
 
■ ウルガラン山脈入り口
(入るなり剣戟の音。見上げた崖上で2人のルーヴランス?が対峙している)
(真のルーヴランスが繰り出した両手剣技を受け、赤色の仮面の男倒れる)

Louverance:はっはっはっは!
 ようやくこの技が決まったぞ!

Louverance:もし生まれ変わりがあるならば、
 次には僧侶にでも生まれ変わるといい!
 この世で犯した罪を償うためにな!

Louverance:おまえのおかげだ、
 礼を言う、Your name。

Louverance:ヤツめ、私のことを
 なめきっていたようだ。

Louverance:しかし私は、昔の私とは違う。
 ドレッドドラゴンに敗北したときから
 修行をしなおした。生まれ変わったのだ!

Louverance:……それもすべて
 世界の平和を守るため!

Louverance:闇の王を追い、
 黒き神を追った私は、彼らの上にのさばる
 謎の存在「世界の終わりにくる者」に
 挑まなければならん!

Louverance:おっと、余計なことを
 言ってしまったようだ。「世界の終わりにくる者」
 については、この私に任せておきたまえ。

Louverance:では、またどこかで会おう。
 私がこの世界を救うときに、また。
 
 
■ 南サンドリア・カッファル伯爵邸前

(先日ヒナリーの脇にいた修道士が立っている)

Meransarget:これはこれは。
 あの騎士の方、大変なけん幕でしたから
 血が流れるのではないかと怖れておりました。
 ご無事で戻られたようでなによりです。

Meransarget:え?
 相手の方は命を落とされたと?

Meransarget:それは痛ましい。
 その方のために、私が祈りを捧げましょうか?
 
祈ってもらう?
 ・はい
 ・いいえ
 
(・はいを選択)
Meransarget:フフフ……
 その方の御魂は、あなたにこう
 おっしゃっておりますよ。

Meransarget:「ギルド桟橋に仕掛けた罠を、
 おまえが無惨にうち破りさえしなければ
 私は死ぬ必要もなかったものを……」と。

Meransarget:やれやれ、
 おまえの無反応さには呆れるな。
 俺の芝居は退屈か?

Meransarget:仕方ないか。
 今まであったことを思えば、おまえが
 ちょっとやそっとのことで驚くはずも
 ないからな。

Meransarget:では再会を祝そう。
 このくだらない世界に、ダラダラと続く日常に。

Meransarget:まったく、腹立たしいな。
 俺たちが命がけで切りひらいた運命は、
 まるで予定通りだったかのような平穏さだ。

Meransarget:容赦なく狂わされたのは、
 俺たちの運命だけ。ことが予定通りに進んでいれば、
 西国からタブナジア復興の援助をもらえる手はず
 だったんだが……

Meransarget:目をつけていた
 「タブナジアの魔石」は、プリッシュの手で
 男神に打ち込まれて消えてしまった。

Meransarget:加えて、枢機卿の正体が
 ああだとわかった今では、奴を敵にまわすは
 これ以上ない愚策となった。

Meransarget:それに、皆が望む楽園、
 アル・タユの地をこの目で見てしまった俺には、
 楽園の扉への興味も失せたよ。

Meransarget:……しかしまぁ、いい。
 これ以上、奴の名を名乗らずに済むように
 なるだけマシだ。

Meransarget:凡庸な人間になりきるは楽だが、
 身のほど知らずの愚か者になるのは苦行だからな?

Meransarget:おまえも奴と
 何度か会ってわかっただろう? ミスタル家に
 生まれつく者は皆、熱血で目立ちたがり屋……

Meransarget:そのうえ愚か者だ。
 なにしろ、奴はミスタル家を貶めるもととなった
 「決闘」を二つ返事で受けてたったんだぜ?

Meransarget:……なに?
 だからこそ、あんな芝居で片がついたわけだと?

Meransarget:そうだな。
 俺の望みを叶えるためには、名を変え、
 今一度、再出発すればいいだけのことだ。

Meransarget:「再生の鏡」さえあれば、
 私にはどのような罪も見ることができる。
 どのような者でも俺に協力することだろう。

Meransarget:タブナジア復興、
 侯爵家の再建、騎士団の新生。
 そして……

Meransarget:レヴメルの名が復活する。

Meransarget:Your name、
 俺も奴も、ひとつだけ似ていることがある。

Meransarget:歴史に「名」を残すまで、
 決して諦めぬということだ。

Meransarget:では、失礼するよ。
 さようなら、Your name。
(歩み去る彼の行く手に、彼の帰りを待つ団員たちが見える)

End


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