■ 第3節<望むはあらゆる答え>
エシャンタールがジュノ大公宮へ戻り、
とうとう真龍討伐の軍が発つ。
しかしそんな中、プリッシュとウルミアは
あるひとつの出会いから、あるひとつの
答えを導き出そうとしていた。
■ ジュノ大公宮・親衛隊詰所
Pherimociel:冒険者ならば耳が早かろう!
エシャンタール様がお帰りになったぞ!
Pherimociel:これでやっと、ジュノ戦闘艇隊が
真龍討伐のために発つことができる!
Pherimociel:現在、全船体の最終確認段階だ!
邪魔にならないよう、大人しくしているんだぞ!
Makki-Chebukki:うぇーん!
Kukki-Chebukki:うぇーん!
Cherukiki:うぇーん!
(大公宮の廊下を泣きながら歩いていく3タルが見える)
Pherimociel:まったく騒がしいな。
あのタルタルたちは、戦闘艇を盗み出し、
ジュノから乗り出した罪で処分されたのだ。
Pherimociel:上官命令だったなどと言っているが、
そのナグモラーダ様も、アルマター機関にて
懲罰が検討されている。
Pherimociel:なんでも分別をなくし、
やってはならない行為をしたとか……。
(廊下を駆けていくウルミアが見える)
Pherimociel:ん?
あの女性は、おまえの知り合いではなかったか?
(大公私邸前で3タルに追いつくウルミア)
Ulmia:あなたたち!
Ulmia:どうしたの? いったいなにがあったの?
Ulmia:ほら、泣いてばかりじゃわからないわ。
困っているのなら、私たちに相談してごらんなさい?
Cherukiki:おいらたち、
もう、おしまいなんだ。
Kukki-Chebukki:おいらたち、
もう、じえんどなんだ。
Makki-Chebukki:おいらたち、
ジュノから出ていかなくちゃならないんだー!
Ulmia:まぁ、どうして?
あなたたちのことは、彗星のごとく現れた
実力あるタルタルたちだと噂されていたわ。
Ulmia:それなのに……
なにか、大きな失敗をしでかしてしまったの?
Makki-Chebukki:ううん、
おいらたち、ちゃんとアメとムチ、
騙しと裏切りのテクニックを駆使して……
Kukki-Chebukki:地元の人に
わいろを渡したり、上官を見限ったり……
Cherukiki:出世街道まっしぐらの
将来有望な官僚の卵になれてたのに……
Prishe:俺がジュノに現れたから、
ジュノから逃げださねぇとならねぇんだってさ。
Ulmia:プリッシュ!?
Prishe:なんだよ、だらしねぇなぁ!
そんなんじゃ、おまえたちにタブナジアのことを
頼もうと思った俺がバカみてぇじゃねぇかよ。
Prishe:しっかりしねぇとブッとばすぞ!
タブナジアのみんなのこと、ウルミアのこと、
よろしく頼むな!
Makki-Chebukki:お? おお?
Prishe:なんにもいわねぇで
飛び出しちまって悪かったな、ウルミア。
Prishe:それに[Your name]、
ありがとよ、俺の心配してくれてよ。
Prishe:あんまり時間がねぇけど、
できるだけ説明してやる。謁見の間に来てくれ。
Ulmia:プリッシュ……?
・イベント終了後に話しかけると
Pherimociel:あのプリッシュという少女、
先ほど、謁見の間に入っていったようだが……、
もしや拘束されてはいないのか?
Pherimociel:ジュノ戦闘艇の準備で、
ジュノ大公宮には、要人はほとんど残っては
おられない。いったい誰が許可したのだろう?
■ ジュノ大公宮・謁見の間
(ウルミアとPCを迎えるエシャンタールとプリッシュ)
Esha'ntarl:お久しぶりです、ウルミア。
これまで苦労をかけましたね。
Ulmia:ミ、ミルドリオン枢機卿さま!?
Ulmia:いったい、これは……?
Esha'ntarl:ウルミア。
今は、多くを説明している時間がありません。
Esha'ntarl:けれども、どうしても今、
あなたがたに伝えておかなくてはならない
ことがあります。
Esha'ntarl:私の本当の名は、エシャンタール。
Esha'ntarl:1万年の昔、
5つ目の母なるクリスタルを抱く都市……
神都アル・タユに生まれた、古代の民です。
Esha'ntarl:タブナジアを訪れたナグモラーダ、
そして今のジュノを統治しているアルマター機構。
彼らもまた、永い眠りより覚めたばかりの古代の民。
Esha'ntarl:しかし私は、彼らとは違い、
あるまがつみの結果として、永遠の命を
授かっています。
Ulmia:!?
Esha'ntarl:私は、この永遠の命を使い、
セルテウスと霊獣が交わしたある契約を
果たすことを誓いました。
Esha'ntarl:それは、1万年の後に「定めの地」に
生まれ落ちると予言された「定めの子」……
……「世界の終わりに来る者」を葬ること。
Esha'ntarl:そのときが来るまで
私は、永い時をかけて準備をしてきました。
Esha'ntarl:それはとても永い旅でした。
Esha'ntarl:あらゆる地を巡り、
あらゆる知識を求め……
Esha'ntarl:多くの出会いに慰められ、
多くの情に励まされ……
Esha'ntarl:けれどもその後、
私は、ある場所で教えられました。
Esha'ntarl:「世界の終わりに来る者」を
ただ倒すだけでは、その者の闇はいつかふたたび、
別の人間として生まれ落ちてしまう。
Esha'ntarl:その循環を断ち切るためには
その闇そのものを断ち切らなくてはならない。
Esha'ntarl:人の命を生み出し、人の命が還る場所。
母なるクリスタルの御許から……。
Esha'ntarl:そのために、
「世界の終わりに来る者」は
人として死をなすのではなく、
神として死をなす必要があった。
Esha'ntarl:だからこそ私は「神の歌」を使い、
男神の降臨を試みようと思いたったのです。
Ulmia:復活と……、
そして、死……?
Prishe:でもな、
結局、それはなされなかったんだ。
Prishe:なぜなら洗礼の儀式で、俺は……
(回想・タブナジア礼拝堂での洗礼の儀)
(洗礼の箱の輝きに撃たれ、プリッシュの胸から光が溢れ出る)
Prishe:……あの頃の俺は、
もう俺の中にあった「虚ろなる闇」に
操られていたんだと思う。
Prishe:俺は物心ついたときから、
タブナジア大聖堂に入って、人に楽園の扉を
開かせなくてはならないと思っていた。
Prishe:けれど、運がわりぃことに、
あの洗礼の箱が、俺の中にあった「虚ろなる闇」に
反応して、この魔晶石に封じ込めちまったんだ。
Prishe:俺の世界は大きく変わっちまったぜ。
人の心も読めるようになって、ミルドリオン様と
同じように不死身になっちまった。
Ulmia:そういうことだったのね。
プリッシュは、「世界の終わりに来る者」
だったけれど……
Ulmia:今は違うのね?
「世界の終わりに来る者」ではないのね?
Esha'ntarl:……。
Ulmia:まさか……
まだ、そうだというんですか? プリッシュは?
Esha'ntarl:霊獣バハムートの態度が示すは、
「世界の終わりに来るもの」がいまだにある
ということ。
Esha'ntarl:しかしこの20年、私はここより
ヴァナ・ディール全土を監視してきましたが、
プリッシュ以外に「世界の終わりに来るもの」
がいるとは……。
Prishe:やっぱりバハムートは、
俺が男神として完全に死ぬことを望んでるんだ。
Prishe:ディアボロスは、教えてくれた。
俺は「世界の終わりに来る者」だったってこと。
Prishe:この魔晶石とともに死に、
母なるクリスタルから解き放たれなくては
ならねぇってことをな。
Ulmia:そんな!? そんなことって!?
Prishe:聞いてくれ、ウルミア。
俺たちは、けっこういいとこまで来てるんだぜ?
男神を降臨させるための歌も、4つまで聞いた。
Prishe:最後の5つ目の歌さえわかれば、
バハムートの前で証明できる……!
Ulmia:やめて、プリッシュ!
なにを言っているかわかっているの!?
Ulmia:男神にその身を捧げるだなんて、
そんな恐ろしいこと、許されるはずがない!
きっと他にも方法が……!
Esha'ntarl:安心しなさい、ウルミア。
プリッシュは、連れていきませんよ。
Esha'ntarl:「石の記憶」の最後の歌。
その旋律を知るものはもはやなく、
男神を打ち滅ぼす武器もない。
Esha'ntarl:私たちは、
ジュノの全勢力をかけて竜族と戦うのみ。
Esha'ntarl:人が生き残るためには、
もはや、この選択を取るほかありません。
Prishe:でも、ミルドリオン様! 俺は!
Wolfgang:エシャンタール様!
ジュノ戦闘艇隊全船、出発準備、完了しました!
Esha'ntarl:私は行かなくてはなりません。
雲海の果て、天路の果てへ。
Ulmia:ミルドリオンさま!
Esha'ntarl:……ここもいつ
火の海となるかわかりませんよ。
プリッシュ、ウルミア。
Esha'ntarl:船を用意させましょう。
タブナジアへ戻りなさい。
Esha'ntarl:そして、守るのです。
あなたたちのいちばん大切なものを。
Prishe:ちくしょう!
だめだ、だめだ、これじゃあ!
ここで命をかけなきゃ、女がすたるってもんだ!
Ulmia:プリッシュ!?
Prishe:[Your name]! ウルミア!
Prishe:おまえたちなら
ぜったいできるって俺にはわかってる!
Prishe:今のおまえなら、
男神になったこの俺をぶっ倒せるし……
Prishe:5つ目の歌を知っているやつは
記憶を失っちまってるけど、セルビナにいるんだ!
Prishe:だから、頼んだぜ!
ウルミア! [Your name]!
Prishe:5つ目の歌を探してきてくれ!
いいな! ぜったいだぞ!
Ulmia:……いやよ、プリッシュ!
待って、プリッシュ!!!
Louverance:ウルミアさん、
話はすべて聞かせていただきましたよ。
Ulmia:ルーヴランスさん!?
Louverance:これぞ女神のお導きでしょう。
セルビナにいる記憶を失っている女性のこと。
私はよく知っています。
Louverance:しかも、その記憶を
蘇らせる方法も、我が手中に……。
さぁ行きましょう、セルビナへ。
・イベント終了後に話しかけると
Pherimociel:ナグモラーダ様が連れてきた
3人のタルタルたちは、エシャンタール様の
お力あって、恩赦を受けることになったそうだ。
Pherimociel:ただ、一度、
アルマター機関に目をつけられた者は、
よほどのことがない限り、出世は望めん。
Pherimociel:ジュノ生まれでもない彼らが、
もともと出世できるとは思えんがな。
Auchefort:なんですって?
セルビナに記憶を失った女性がいるかと?
Auchefort:そう聞かれましても
私にはわかりかねます。冒険者であるあなたの方が、
よっぽど外の世界をお知りでしょう。
■ セルビナ織工ギルド
Mathilde:あら? あなたがたは?
Ulmia:もしかして……
あなたは、エメリーヌ!?
Ulmia:私は、ウルミアよ!
ほら、聖歌隊で一緒だった!
Mathilde:……?
Mathirlde:ごめんなさい。
私、小さいときのことは覚えていないの。
Mathilde:でもきっと、人違いですね。
私はエメリーヌではなくて、マチルド。
ここ織工ギルドの娘なんです。
Ulmia:あ、ええ、そうなんですか。
私こそ間違えてしまってごめんなさい。
Ulmia:昔、私と一緒に聖歌隊に通っていた
エメリーヌに似ていたのでつい……。
Ulmia:……あの、ところで、
あなたに弟さんは?
Mathilde:弟……。
はい、いました。いましたけれど……
あの戦争のために、離れ離れになってしまって。
Mathilde:でもきっとどこかで
元気に生きている……。そんな気がします。
Ulmia:変なことを
きいてしまってごめんなさい。
では、私たちはこれで……
Louverance:いえ、
最後にもうひとつだけ。
Louverance:あなたが知っているはずの、
ある歌を聞かせていただけませんか?
Mathilde:え?
歌、ですか?
Louverance:あなただけが知っている歌です。
思い出してください。
Louverance:タブナジア大聖堂……
ミルドリオン枢機卿……「神の歌」と呼ばれる歌……
Louverance:その5つ目の歌を……。
(フラッシュバックするマチルド=エメリーヌの記憶)
(オークとデーモンの居並ぶ中、闇のプロトクリスタルの前へと連れていかれる)
伝説はこう終わる……。
……すべては……から始ま……のだ……
Ulmia:今のは……
なにかの魔法だったのですか……?
Louverance:「再生の鏡」という
盗賊なら誰でも知っている名器です。
故あって、私の手元に戻ってまいりました。
Louverance:それよりも、
ウルミアさん、今の曲、もう歌えますね?
Ulmia:でも私、まだあの歌を歌うつもりは!
Louverance:ウルミアさんは
悪いことばかり考えがちのようですね。
Louverance:もしかしたら
その歌を使う必要はないかもしれませんよ。
Ulmia:え!?
それは、なぜですか!?
Louverance:プリッシュさんの封印の証、
胸にあるという魔晶石を見たら、霊獣バハムートも
納得するかもしれないということですよ。
Louverance:それに、タブナジアの魔石。
あれを手放すは惜しい……
Ulmia:ルーヴランスさん?
Louverance:プリッシュさんに
尋ねてみたいことがあります。ウルミアさん、
プリッシュさんを迎えに、ジュノへ戻りましょう。
Louverance:[Your name]さんは、
先にバストゥークへと戻っていてください。
End