割れ

Last-modified: 2025-05-02 (金) 02:48:41
  1. 商用ソフトをコピーした非合法の海賊版をインターネットを通して販売・配布する、もしくは取得・使用すること。もっぱら「非合法な方法で無料でソフトを取得する」と言う意味で使われることが多い。語源はそのような行為を指す英単語「Warez(ウェアーズ)」のローマ字読み。
    それをする人間は「割れ厨」と呼称され非難される。一方で割れ厨の中には、正規品を正規の方法で入手している人間を「金を払って買う馬鹿な奴ら」と「購入厨」呼ばわりして開き直っている連中も存在する。
  2. 2022年~2024年に中日ドラゴンズ監督を務めた立浪和義非常に重要視していた、理想的なバッティングに必要な基本理論のこと。

本項では2.について説明する。

バッティングにおける「割れ」とは何か

トップを作る際にバットを持っている腕は後ろ方向へ、投手側に踏み出す足は前方に動いている状態」を指す。もっと大まかに「スイング時に上半身と下半身の間に『ねじれ』や『ひねり』が生まれている」「上半身と下半身が別の動きをしている」と説明されることも多い。

「割れ」という語源は定かではないが「身体が腹部を境に上下で「割れ」て、独立しているように見える」というのが通説。
この「割れ」があることで「ボールを長い時間見つめることになるので変化球に対応できる」「タメを作る分、スイングが鋭くなり力強い打撃ができる」「泳いだバッティングになりにくい」というメリットが生じる。程度の差こそあるものの、優秀な打者のスイングはほとんど「割れ」ができているとされている。

まさに「バッティングの基本中の基本」とも言え、プロ・アマ問わず様々な人間が使用する汎用的な野球用語である。
はずなのだが……

なんJ・なんGにおける「割れ」の扱い

立浪は現役時代から「割れ」に言及しており、173cmという野球選手としては小柄な体格ながらも、プロ通算22年で2480安打、NPB歴代1位の累計487二塁打という「三代目ミスタードラゴンズ」を襲名するにふさわしい素晴らしい打撃成績を残している。
引退後もインタビューやコラム等で打撃について言及した際は必ずと言っていいくらい「割れ」が登場し、変わらず重要視している様子が見られた。

そんな立浪は、現役末期に兼任コーチを務めたほかは代表などの臨時コーチにとどまり、指導者の道に進むことはなかった。しかし2021年オフ、ファンに待望されつつ中日ドラゴンズ監督に就任。中日の慢性的な貧打を改善するべく、自身の実績に裏打ちされた「割れ」理論を引っ提げて選手たちに打撃指導する姿が続々と報じられ、なんJ・なんGでも「割れ」が頻繁に話題に出るようになった。

ところが「割れ」という字面が、その実際の理屈と感覚的に直結しておらずわかりにくいためか、はたまた正岡民が多いせいか、一般的に使用されているフレーズにもかかわらず、スレ民からは「割れってなんだ……?」という反応が続出。ひどい場合「割れって立浪が作った造語じゃないのか」と言うスレ民まで出てくる始末。
「割れ」を把握しているスレ民からも、あまりにも「割れ」を意識しすぎている立浪の指導に疑問と不安の声が向けられるようになった*1
その不安は的中してしまい、中日の打撃は改善されるどころかシーズン打率.247・本塁打62・打点397・OPS.642といういつも通りの貧打のままで、6年ぶりの最下位に終わってしまう結果となった
 
その結果「割れ」は、コンパクト教右打ち教と同レベルのネタ理論扱いされてしまい、「割れ」を連呼する立浪は先述の1.になぞらえて「割れ厨」と揶揄されるようになってしまった。
また立浪が「割れが出来ていない」と指摘した選手は、これまた1.にひっかけられて「購入厨」と呼ぶ風潮も生まれてしまった。

「割れ」の出てくるコラムの例

立浪和義コラム「将来の四番・村上宗隆選手の可能性」
https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=095-20190513-01


トップに入ったときの姿勢は、弓を引く動作に似ていて、大きく引き絞ったほうがスピードが出て、遠くまで矢が飛びます。ここの距離が遠くなればなるほど、ボールをとらえるまでの距離が生まれ、上半身と下半身に適度なねじれが自然に作れますので、ボールに強い力を加えることができます。これは「割れ」とも言われるもので、いいバッター、特に長距離打者が共通して持っている技術です。

週刊ベースボールONLINE (2019年5月5日)


「割れ」の出てくる動画の例

3:14~

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立浪退任後の割れ指導評

立浪の後任として二軍監督から監督に就任した井上一樹は以下のように述べ、(理論自体の是非はともかく)「割れ」の指導が選手を萎縮させていたことを示唆している。

【独占】中日の井上監督は“立浪野球”の何をどう変えようとしているのか…「負の遺産とは言わないが『認められない』とあきらめた選手がいるのかもしれない」
https://www.ronspo.com/articles/2025/2025021001/2/


 立浪前監督は天才がゆえに選手との温度差が生まれた。
「立浪さんはハイレベルな野球を望んでいた。天才の立浪さんに『体を割ってから(打撃フォームのタメ)入らないと打てないよ』と言われたら『そうです』と言うしかない。でも、僕は這い上がる選手、コツコツと練習をしている選手に自分を重ねる自分がいるんです。これだけやっても認められないんだ、とあきらめた部分が去年の選手にはあったのかも。天才がゆえに(その固定観念を)植え付けられてしまった選手がいるのかな。失礼になるから、負の遺産とは言わないが、選手をそういった考えにさせてしまったことがあったのかなとは感じる」

また高橋周平を扱った『週刊ベースボール』のコラムでは、立浪や「割れ」への直接な言及はないものの「直近数年間は、やらされていた。納得とは遠く、周りの指示を聞き入れていた。それが出場への絶対条件だったから仕方がなかった」と報じられる。立浪の監督就任後度々噂になっていた選手への打撃フォームの強制が存在した*2ことが示唆されるとともに、立浪やコーチ陣と選手の間に不和があった事実が明らかにされた。


関連項目

Tag: 中日


*1 以前から立浪の打撃指導者としての資質は疑問視されており、有名なエピソードとしてWBCの打撃コーチになった際、中田翔のフォームをすり足打法に改造したところ打率自体は上がったのだが中田の持ち味である長打力が失われてしまい、中田が「長打が出る気がしない。足を上げた方が安心感がある」と不満を公言したというものがある。そもそも代表チームのコーチが勝手に代表選手のフォームをいじるということ自体、その選手の所属チームを怒らせかねない行為である。
*2 立浪と京田陽太との間にあった不和もそれが原因とされている。