「寄付行為」を表す英単語(donation)。
なんJでは元オリックス・小松聖、さらに小松が行った「ONEアウトドネーション」の寄付ルールをNPBの投手に適用した場合の金額およびそれを指標に流用したもの(=小松式ドネーション(KD))を指す。
概要
小松は2011年から2016年(引退)まで、「ONEアウトドネーション」として
- 1アウト(1/3投球回)につき1000円
- 勝利投手・ホールド・セーブ1個につき1万円
- リーグ優勝・日本シリーズ優勝・タイトル獲得で10万円
というルールで愛犬団体に寄付を行っていた。
2011年の寄付額
しかし2011年の小松は怪我で開幕に出遅れると、5月10日の一軍復帰初登板で1/3イニングで1本塁打を含む5失点の大炎上。翌日に二軍降格すると同年はその1アウトのみでシーズンを終え、寄付金は(0を除いた)理論上最小額の1000円ということになってしまった*1。
当然ながらプロ野球選手の寄付金額としては非常に安いものであり、このことはシーズン中から下記リンク先に登場する「なぜ、小松聖はドネーションするのか?」を用いてネタにされた。
試算、そして指標化へ
2011年の小松のドネーションは散々な結果に終わってしまったが、その後なんJで「他の投手が小松と同じルールで募金したとしたらいくらになるか?」という試算を行ったスレが立つ。
小松聖式計算法 投手成績
結果先発・中継ぎ・抑えの各部門を平等化しつつチーム貢献度を示す指標として絶妙なバランス*2であることが判明、計算の容易さも相まって「小松式ドネーション」という投手の評価指数として一躍有名になった。
プロ野球の各種データを取り扱うサイト「プロ野球ヌルデータ置き場」や「nf3」でも「KD」として投手指標の一つとして使われている。2021年にはBaseball channelでこのKDが大真面目に記事になった。
なお、評価式は以下の通り。
KD = (投球回 × 3) + (勝利 + ホールド + セーブ) × 10
実際にはKD×1000円が(小松式による)その投手が行うべきドネーションの金額となる。
例
目安としてKD=530付近で先発の規定投球回程度の投手、600以上でチームの主戦先発・主力リリーフ級、700以上で両リーグでも傑出した代表級選手、850以上なら球史に残るレベルの酷使無双大活躍といえる。
例を挙げると、
名前 | 年度 | 投球回 | 勝利 | ホールド | セーブ | KD | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
金田政彦 | 2002 | 140.2 | 4 | -- | 0 | 462 | 最優秀防御率(2.50)だが、規定ギリギリで勝ち星に恵まれないと低く出てしまう。 当人の最高記録は1999年(188回11勝)のKD=654 |
髙橋優貴 | 2021 | 140.2 | 11 | 0 | 0 | 532 | KD=530付近の一例。 規定付近で10勝程度だとこのぐらいの数字が出る良い例。 |
ライアン・グリン | 2008 | 163.1 | 7 | 0 | 0 | 560 | キャリアハイ。 最多敗(14敗)だが、2007年(155回9勝8敗、KD=555)よりKDは上。 |
門倉健 | 2006 | 154.1 | 10 | 0 | 0 | 563 | 10勝しても10敗する投手はいらないと言われたシーズンの記録。 当人の最高記録は2005年(197.2回11勝)のKD=703 |
宮西尚生 | 2012 | 60 | 2 | 39 | 0 | 590 | |
帆足和幸 | 2011 | 168.2 | 9 | 0 | 0 | 596 | KD=600付近の例その1。 当人の最高記録は2008年(174.2回11勝)のKD=634 |
馬原孝浩 | 2006 | 67.1 | 2 | 1 | 38 | 612 | KD=600付近の例その2。キャリアハイ。 |
一場靖弘 | 2006 | 193.2 | 7 | 0 | 0 | 651 | キャリアハイ。 14敗での最多敗他ワースト8冠記録を抱えるが、KDではしっかり評価できる好例。 |
平井克典 | 2019 | 82.1 | 5 | 36 | 0 | 657 | シーズン登板数歴代2位。 ホールドや勝利に絡む所以外でも投げていたり、ワンポイント登板も多く投球回が稼げなかったせいか、後述の登板数1位の久保田と比べるとKDもあまり伸びなかった。 |
小松聖 | 2008 | 172.1 | 15 | 3 | 0 | 697 | KD=700付近の例。実際に翌2009年開幕前に行われたWBC代表に選ばれている。 キャリアハイだが寄付開始前なので、当人といえどこの額で寄付はしていない(はず)。 |
菅野智之 | 2018 | 202 | 15 | 0 | 0 | 756 | 去年(187.1回17勝、KD=732)より勝ち星が2つ減って負け星が3つ増えたが、投球回が大きく伸びたのでそちらよりKDは上。 |
三浦大輔 | 2005 | 214.2 | 12 | 0 | 0 | 764 | キャリアハイ。 勝ち星に恵まれない印象の三浦も、このようにKDなら貢献度が高い事が分かる。 |
斉藤和巳 | 2006 | 201 | 18 | 0 | 0 | 783 | キャリアハイ。 2003年の20勝が鮮烈だが、投球回(194回)の差でKD=782とわずか1届かず。 |
デニス・サファテ | 2017 | 66 | 2 | 3 | 54 | 788 | |
藤川球児 | 2007 | 83 | 5 | 6 | 46 | 819 | 2年前の2005年にもKD=817(92.1回7勝46H1S)を記録している。 |
久保田智之 | 2007 | 108 | 9 | 46 | 0 | 874 | シーズン登板数歴代1位。 |
ダルビッシュ有 | 2011 | 232 | 18 | 0 | 0 | 876 | |
浅尾拓也 | 2011 | 87.1 | 7 | 45 | 10 | 882 | 2009年(113.1回7勝33H6S、KD=800)、2010年(80.1回12勝47H1S、KD=841)に続き、3年連続800オーバー。 |
田中将大 | 2013 | 212 | 24 | 0 | 1 | 886 | |
遠藤一彦 | 1984 | 276.2 | 17 | -- | 0 | 1,000 | 日本プロ野球界でKD4ケタに到達した最後の記録。 |
権藤博 | 1961 | 429.1 | 35 | -- | -- | 1,638 | 2リーグ制後の最高値。 |
野口二郎 | 1942 | 527.1 | 40 | -- | -- | 1,982 | 日本プロ野球界最高値。 |
チャールズ・ラドボーン | 1884 | 678.2 | 59 | -- | -- | 2,626 | メジャー最高値・野球界最高値。 |
といった数字になる。
しかしいくらKDが高くても、ルール通り実際に寄付を行ったのは小松本人だけである。
寄付金額
数値は公式サイトのアーカイブに基づく。結果が伸びなかった年には、小松は本来の金額を大幅に上回る寄付を行った。
なお優勝やタイトル獲得による10万円の加算はなかった。
年 | アウト | 勝利 | ホールド | セーブ | 寄付金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2010 | 237 | 5 | 2 | 0 | 307,000 | プロジェクト開始前だが寄付。最高額。 |
2011 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1,000 | プロジェクト開始。最低額。 |
2012 | 193 | 3 | 2 | 0 | 243,000 | |
2013 | 118 | 0 | 1 | 0 | 128,000 | |
2014 | 11 | 0 | 0 | 0 | 158,000 | 計算上は11,000円。 |
2015 | 43 | 0 | 1 | 1 | 221,000 | 計算上は63,000円。 |
2016 | 10 | 0 | 0 | 0 | (不明) | 計算上は10,000円。 シーズン中に引退表明し、金額が記載されないままサイト閉鎖。 |
余談
ONEアウトドネーションのサイトには小松のオフィシャルブログのバナーが貼られているが、一時「小松聖」ではなく「小島聖」と誤記されていた(のちに修正)。
小松の活動に影響を受けたかは不明だが、その後大隣憲司や則本昂大など「1イニング1万円」といった同様の寄付活動を行う投手が多数現れている*3。
関連項目
外部リンク
http://www.onelove.cc/komatsu/index.htmlプロ野球選手 小松 聖 ONEアウトドネーション(リンク切れ)- 小松式ドネーションランキング
Tag: オリックス