大本営

Last-modified: 2023-05-17 (水) 18:36:41

特定の球団の提灯記事に定評がある新聞のこと。機関紙ともいう。

概要

プロ野球とメディアの関係は切っても切り離せないほど密接で、かつては鉄道会社と並ぶ球団親会社の代表格だった*1
また21世紀に入ってからは各球団が地域密着を推し進めるようになり、それに呼応する形で地元メディアが地元球団との関係を深めていくのが盛んになっていく。
それゆえ、特定球団の報道を過度に優先するスポーツ紙が一部に存在し、他球団の優勝といったビッグニュースを差し置いて贔屓球団の些細なニュースを一面に持ってくるなどの過剰な贔屓報道がなされることも多い(特にデイリーやブロック紙)。
なお、日刊スポーツやスポーツニッポンのように特定の球団に肩入れしないスタイルの新聞も存在する。

新聞別の贔屓球団

紙名力を入れている球団備考
スポーツ報知読売ジャイアンツ読売新聞社系列の報知新聞社発行。地方版では稀に他球団が一面を飾ることがあるがそれでもジャイアンツが中心である。
デイリースポーツ阪神タイガース
広島東洋カープ(広島版)
横浜DeNAベイスターズ(関東版)
神戸新聞社発行。自らブレないデイリーと称するほどの言わずと知れた阪神の機関紙。そのインパクトからか「大本営の象徴的存在」として他の大本営的な報道機関が○○のデイリーに例えられることがある。ただし飛ばし記事も多数あり。広島版は広島東洋カープの、関東版は横浜DeNAベイスターズの大本営ともされている。ただし、関西では読売系の報知と東京スポーツを除き、どこのスポーツ紙も年中阪神一色であり*2、他のスポーツ紙に比べて阪神贔屓が突出しているというわけではない。
サンケイスポーツ阪神タイガース(大阪版)
東京ヤクルトスワローズ(関東版)
横浜DeNAベイスターズ(関東版)
産経新聞社発行。地方色豊かであり、例えば大阪版では阪神タイガースの報道に力を入れており、「虎将」「虎総帥」のワードを初めて使い、デイリーが追随する展開となるなどデイリーを脅かす存在になっている。関東版ではフジサンケイグループの一員であるヤクルトと並び横浜DeNAベイスターズについても特集紙「BAY☆スタ」の発行などを行うため大本営扱いをされている。なお、各球団ごとに専用Twitterアカウントがある*3が、上述の事情からヤクルトとDeNAのそれには特に力が入っている。
中日スポーツ・東京中日スポーツ中日ドラゴンズ中日新聞社発行。中日新聞スポーツ欄の補完としての役割を果たしているため中日新聞・東京新聞と併読する人が多いのが特徴。中日新聞・東京新聞とともに、日刊ゲンダイや朝日・毎日両新聞すらドン引きする極左っぷりから、こと政治ネタに関しては非常に好き嫌いが分かれる。
西日本スポーツ福岡ソフトバンクホークス
埼玉西武ライオンズ
西日本新聞社発行。宮崎と鹿児島を除く九州5県で販売されているローカル紙。ソフトバンクフロントと懇意であり、飛ばし記事が極めて少ないことが特徴。またその歴史的経緯*4から、現在でも埼玉西武ライオンズ関連の報道がソフトバンクと並行して行われており、こちらも飛ばし記事の少なさでその信頼性からニッカンに次いで西武の本営(ないし大本営)扱いとされている場合も多い。2023年3月末をもって紙媒体発行を終了、Web版「西スポ Web OTTO!」に移行した。
道新スポーツ北海道日本ハムファイターズ北海道新聞子会社の北海道新聞Hotmedia発行。前述のサンケイスポーツと提携しているが紙面の殆どがサンスポと同じものになっており、道スポオリジナル記事は基本的に2-3ページで実質的にはサンケイスポーツ北海道版。それ故関東版サンスポと一面が同じなこともしばしばあり「ブレなさ」は上記より少し劣るが基本的に一面は日本ハム関連が大半を占める。2022年11月をもって紙媒体発行を終了、Webに完全移行。
中国新聞広島東洋カープ中国新聞社発行の一般紙。かつては中国スポーツというスポーツ紙があったが僅か1年余りで廃刊。そのためかデイリースポーツ社との関係も深い。カープが本拠地で勝利すると号外が発行される。
河北新報東北楽天ゴールデンイーグルス河北新報社発行の一般紙。楽天のみ「東北楽天」と地域名を必ず入れる。逆に他球団は地域名を入れない。web版には特集コーナーを設けており、本拠地楽天生命パーク宮城のイニング間でたまに河北新報の野球ニュースが流れることがある。
千葉日報千葉ロッテマリーンズ千葉日報発行の一般紙。上の河北新報同様、web版には県内スポーツとしてロッテコーナーがあり、ロッテのみ「千葉ロッテ」と地域名を必ず入れる。

「大本営」から転落した新聞

かつての神奈川新聞は「ベイスターズの大本営」としての地位を築いていたが、球団のTBSへの身売り以降関係が悪化。
取材力の低下から飛ばし記事が増えるようになり、一例としては三浦大輔FA宣言の際に「三浦阪神移籍」の誤報を飛ばしたうちの一社が神奈川新聞だったことが挙げられる。
DeNAになってからはその傾向がさらに顕著に。特にオフシーズンはほぼ毎年監督の無根拠な批判記事*5を掲載したり、ドラフト1位予想を尽く外し続ける*6はた山ハッチを載せ続けるなどの醜態を晒しているため、ファンからはもはや大本営扱いは受けていない。



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*1 新聞が親会社のものとして読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズ、サンケイスワローズ(サンケイアトムズ)、毎日オリオンズ、西日本パイレーツ、テレビ局が親会社のものとして横浜ベイスターズ(TBS)がある。
*2 東京版で関西パ球団関連の記事が一面の時でさえ、同日のい関西版では阪神一面だったことも、一方で2005年のパ開幕翌日の紙面は報知が巨人、他が軒並み阪神オープン戦の結果の中、唯一公式戦初試合の楽天の勝利を一面にしたのがデイリーだった、ということある
*3 日ハムのみ提携先の道新スポーツがアカウントを持っている。
*4 元々西日本新聞はセリーグ球団として西日本パイレーツを保有していたが、読売とモメた末、パリーグへ鞍替えして西鉄クリッパーズに吸収合併されて西鉄ライオンズが誕生したこと、それまではデイリースポーツを販売していたが、長らく野球不毛の地である九州へ向けてライオンズを支えるために(本当の意味での大本営として)西日本スポーツが創刊された経緯がある(結果的に九州に西鉄ライオンズを根付かせる事に成功しており、年配を中心に九州に西武ファンがある程度多い理由の1つでもある)。
*5 記事はソース不明の推論、以前に自分で出した記事と矛盾する言い分(例:「育成のために若手使え」⇔「勝つためにベテラン使え」が同じ年に出る)なども含まれることも多く不評を買うことが多い。
*6 DeNAは情報統制が強く各スポーツ紙に情報が漏れにくいため、他紙も含めてドラフト1位の的中率は低いのだが、神奈川新聞は珍しく1位指名を公言した際にも予想を外すという有様である。