帰れコール

Last-modified: 2024-11-15 (金) 05:39:52

親会社の鉄道を使ってファンが球場から帰路に着くことをネタにした野次。「電車野次」などとも呼ばれる。

概要

日本のプロ野球球団の親会社は古くから鉄道会社が多いことが知られている*1*2*3。鉄道会社は経営地盤が安定しており比較的予算が捻出しやすいため、球団経営に手を出しやすかった*4。また、鉄道会社は専用球場が建築できる広い土地を自社沿線に所有していることが多く、球団を保有し球場を建設すればファンが応援に行くために自社の鉄道を使ってくれる*5*6というメリットがあった。
こうした理由でこれまでに多くの鉄道会社が球団経営に乗り出していた。

このうち、近鉄バファローズ・南海ホークス・阪急ブレーブスの3球団は、同じパ・リーグ、同じ関西私鉄という競合関係にあり、この3球団のファンを中心として相手チームや相手ファンに対する野次、または自虐として球場からの帰宅時に乗る電車に絡めて野次るパターン(電車野次)が生まれ定着した*7

(相手チームピッチャー交代時)
「さよなら、さよなら○○(相手のピッチャー名)○○電車で早よ帰れ!」
(相手チームの選手がエラーをした時)
「やった、やった、またやった! ○○やった、またやった! ○○電車で早よ帰れ!」
(チームが勝った時)
「勝った、勝った、また勝った! 弱い○○に、また勝った! ○○電車で早よ帰れ!」
(チームが負けた時)
「負けた、負けた、また負けた! 強い○○に、また負けた! ○○電車で早よ帰ろ!」

この他、阪急ファンによる「悔しかったら阪急沿線に住んでみい!」*8など球団固有のネタもあった。

早く帰れコール

鉄道系球団同士の間のある意味内輪ネタとして互いに交換する電車野次とは異なり、単純にムカついた相手に帰れとの中傷を浴びせるファンがいる。電車野次は賛否両論あるが、感情に任せた帰れコールは言うまでもなくマナー違反である。例として以下のようなものがある。

甲子園

1992年の高校野球選手権大会・星稜高校対明徳義塾高校の試合で発生した、星稜高・松井秀喜5打席連続敬遠の際には、第3打席から「弱虫コール」、「卑怯者コール」、「勝負コール」が、試合終了後に観客から勝利校の明徳義塾に対して校歌をかき消さんばかりの「帰れコール」が沸き起こり、敬遠の是非とともに観客のマナー問題として大変な物議を醸した事が有名である*9

2021年7月9日の阪神-巨人戦(甲子園)で阪神ファンによる帰れコールが起きた。これは阪神側の応援席であるライトスタンドにいた巨人ファンが、2-0で阪神リードの5回表の場面でゼラス・ウィーラーがホームランを打った際に共に観戦に来ていた阪神ファンの友人を挑発したことに周囲が反応したことによるものである*10

ヤフードーム

2012年9月9日、福岡ソフトバンクホークスと対戦した千葉ロッテマリーンズが敗れて8連敗を記録。
同カードの最終戦ということもありエール交換のために待機をしていたロッテファンに対し、ソフトバンクの応援団から
早く帰れ、マリーンズファン!
走れ走れ、マリーンズファン!

と、まさかのエール交換拒否コールが起こった。
ホークス応援団は前年にも9連敗コール騒動を起こしていた事から、なんJ内外でも「まるで成長していない」*11という意見が多く見られ物議を醸した。

現在の電車野次

  • 京セラドーム大阪、ほっともっとフィールド神戸におけるオリックス対ソフトバンク戦
    • 阪急・近鉄という関西私鉄2社の流れを汲むオリックスは一年を通して電車野次を見る事のできる唯一の球団であり、南海の流れを汲むソフトバンク応援団がそれに応酬する形で電車野次を発動するというやりとりが伝統として存続している。なお、毎年この両球団は公式イベントとして復刻試合も行っている*12*13*14
  • 阪神甲子園球場における阪神対ソフトバンク戦
    • パ・リーグの伝統文化であるが故にソフトバンク側のみが勝手に行なっている。

で聞くことができる。イニング途中での投手交代時や選手がエラーした際*15の発動が主体。
稀にリプレイ検証に失敗した際にも発動される。

余談

  • 鉄道会社系のチームの韋駄天選手に対して「○○特急*16」と呼ぶネタもある。
    例)
  • 珍しい例として、横田真之*19(元ロッテ→中日→西武)はロッテ時代、神奈川県・川崎を本拠地*20とする球団の選手にもかかわらず「近鉄電車ではよ帰れー!」と、それも味方から帰れコールをされることがあった*21*22

関連項目

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*1 現行では阪神タイガース(阪急阪神HD・阪神電気鉄道)、埼玉西武ライオンズ(西武HD・西武鉄道)の2球団のみ。過去には京成電気軌道(大日本東京野球倶楽部)、近畿日本鉄道(近鉄バファローズ)、阪急電鉄(阪急ブレーブス)、南海電気鉄道(南海ホークス)、東京急行電鉄(東急フライヤーズ)、西日本鉄道(西鉄ライオンズ)、日本国有鉄道(国鉄スワローズ)も球団保有。ただし国鉄スワローズは日本国有鉄道が直接球団を持っていたわけではなく、関連する団体(財団法人交通協力会など)によって球団を運営していた。
*2 なお阪急電鉄に関しては、ブレーブスをオリックスに売却してから18年後(2006年)の阪急・阪神統合に伴って阪神タイガースの親会社となり、再び球団経営をすることになった(詳細はこちらも参照)。経営統合以降は(ブレーブス時代はライバル球団だった)阪神タイガースを公式に支援しており、2023年の日本シリーズで阪神対オリックスのカードとなった際には阪急電鉄公式Twitterも阪神日本一を祝福した(このため、阪急時代からのオールドオリックスファンからは困惑の声が挙がることも)。また戦前から戦後まもなくにかけてジャイアンツの前身を保有していた京成電鉄はグループをあげて無節操な状態にある(詳細)。
*3 鉄道会社以外で球団親会社に多いのはマスメディア企業とIT関連企業、及び食品メーカーである。マスコミが親会社となっているのは現行では読売ジャイアンツ(読売新聞社)、中日ドラゴンズ(中日新聞社)、東京ヤクルトスワローズ(第2位株主がフジメディアHD)、横浜DeNAベイスターズ(第2位株主が元親会社のTBS)。IT関連企業は横浜DeNAベイスターズ(DeNA)、福岡ソフトバンクホークス(ソフトバンク)、東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天)の3つである。また食品・飲料品メーカーは東京ヤクルトスワローズ(ヤクルト)、北海道日本ハムファイターズ(日本ハム)、千葉ロッテマリーンズ(ロッテ)でこれも3つである。
*4 現在は広島東洋カープや北海道日本ハムファイターズが独立採算制やそれに近い経営形態をとっているが、昔は球団の赤字を親会社が補填しなければ球団経営は到底不可能だった。セ・リーグ初代王者の松竹ロビンスやパ・リーグ黎明期に存在した高橋ユニオンズは独立採算制だったが、いずれも経営難から戦力が確保できなくなり前者は旧・大洋ホエールズと、後者に至っては大映スターズさらに毎日オリオンズと二段階合併した。
*5 さらにファンが応援に行きやすい自社の鉄道沿線に住んでくれれば永年顧客が増えることになる。
*6 阪神は甲子園球場の近隣にあった系列遊園地の阪神パークと駐車場を共用していたが、2003年3月の阪神パーク閉園を期に球場用の駐車場を持たず電車やバスでの来場を呼びかけている。
*7 なお阪急は近鉄や南海以外の球団にも(沿線(特に明石以西)は田舎扱いされることが多い)「山陽電車ではよ帰れ!」とコールしていた。
*8 阪急電鉄沿線(特に神戸線・宝塚線沿線など)は高級住宅地があることで有名。
*9 この他に明徳への抗議として大量の応援用メガホンがグラウンドに投げられたことも有名である。そしてそのメガホンを片付けたのは星稜高というオチまでついている。
*10 このような事例を受けてか、阪神球団は2022年から甲子園及び京セラドーム主催試合において右翼外野席を「阪神タイガース専用応援席」にすると発表した。当該席では他球団を応援することはもちろん、他球団の帽子や服装の着用・応援グッズの使用も禁止され、従わない場合は払い戻しなしの退場もありうるという厳しい規則が設けられる。
*11 元ネタは漫画「SLAM DUNK」の台詞。
*12 ソフトバンクは大阪神戸問わず南海で扱われるが、オリックスは大阪の場合は近鉄、神戸の場合は阪急で扱われる。
*13 阪急復刻試合やリクエストに失敗した監督が阪急・オリックス系列出身の場合(例:福良淳一)は大阪でも阪急で扱われる。
*14 オリックス側はこの伝統の一環として攻撃中に相手がタイムを取った際、近鉄時代に使用していた「はよやれ」コールも復刻している。なお、このコールはソフトバンク戦のみならず西武戦でも復刻している。
*15 例:オリックス3失策「阪急電車ではよ帰れ」厳しいヤジ
*16 快速急行や特別快速なども使われる。
*17 ファミスタにおける近本特有の特技名。ちなみに直通特急は親会社の阪神電鉄に実在する列車(山陽姫路駅から阪神大阪梅田駅間で運行されている)である。ただし、平日朝の大阪梅田行きは甲子園駅を通過する。
*18 ベンチ後ろの応援ボードにその文字が掲載されていた。
*19 読みは「よこたまさし」。横田慎太郎(元阪神、2023年逝去)の父。
*20 1978年~1991年。
*21 その際、漫才師・坂田利夫(故人)のギャグを捩った「アホの横田」コールを同時にされることも多かった。
*22 なお近鉄は関西私鉄でありながら路線網自体は中京圏の名古屋まで伸びているが、神奈川まで帰るとしても名古屋までしか戻れないので理不尽なまでに何度も乗り換えを強いられることになる。