早くFAを取ってください

Last-modified: 2020-12-25 (金) 06:20:47

2019年オフの祖父江大輔との契約交渉後の中日ドラゴンズ・加藤宏幸球団代表の発言。


経緯

祖父江はルーキーイヤーから6年連続30試合以上登板している便利屋リリーフであり、同僚の田島慎二や又吉克樹が竜の死体と化す傍らで安定した投球を続けていた。
2019年は44試合登板で3勝4敗3H防御率3.11と前年より若干登板数を落とした*1ものの、2019年の推定年俸である2900万からすれば十分な成績に見えた。
しかし契約更改の場でダウン提示を受け、祖父江はこれを保留。祖父江は交渉後の会見を拒否し、球団広報からコメントを出すに留まった。一方、祖父江との契約交渉後に加藤球団代表が取材を受け、その際に出た発言がこれであった。
報道機関によってニュアンスは異なるが「継続的な登板数(過去の実績)はFAを取れば評価する」と言う部分については共通している。


発言の問題点

  • そもそもFA権はNPBが認める選手の権利であり、それをまるで球団が支給するボーナスのような感覚で語っている*2
  • ルーキーイヤーの2014年から大きな故障もなくずっと1軍で働いている祖父江への年俸が低すぎる上、その低い年俸からさらにダウンというシブチンっぷり。
  • 田島や又吉、谷元圭介といった右のリリーフが軒並み竜の死体となる中、ビハインドの試合が主とはいえ安定した投球を続けてイニングを消化し、中日リリーフ陣の中では代えが効かないと言われる祖父江、ひいてはビハインドの試合、敗戦処理メインで登板するイニングイーターに対する評価の低さ。
    • ただし、2019年までの祖父江はビハインドの展開で好投してもその実績を買われ勝ちパターンで登板すると突然投球が不安定になる傾向があり(要は典型的な俺達)、この事情を知る中日ファンの中には評価UPされないのはやむを得ないとする向きもあった。しかし、2020年は勝ちパどころか代役クローザーを務めるまでになり8年ぶりのAクラス入りに貢献し最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。
  • デリケートな契約更改の話、それも揉めてる内容を球団代表が自分から記者に向かってベラベラと話している。その一方で保留しながらも球団に対する不満を言わない祖父江の公のコメントとの落差。
  • そもそも発言に選手に対するリスペクトが欠片もない。

この金額はもちろん言葉にすら誠意が無い放言はなんJ内外で大きく問題視され、改めて「不適切な球団」呼ばわりされてしまった。
2019年オフの中日はソフトバンクからFAした福田秀平の獲得に乗り出していたが、その福田のことについても加藤は「(行使)したら調査はするだろうね。年俸(推定3600万円)もあまり高くない選手だし」などとも発言している。このため「(祖父江に対する)この発言が福田の耳に入ったら中日には来てくれないんじゃないか」とFA戦線、果ては今後のドラフト戦略への悪影響を懸念する声も聞かれた。


年俸オークション

この発言が報道された後、中日スポーツが後出しで祖父江の推定年俸が2900万ではなく3500万だったと推定年俸を上方修正、さらには東京スポーツ4000万に更に修正しており、さながらネットオークションのように推定年俸額が上昇していく様から「祖父江の年俸はHop-upしている」と言われたり「人の年俸で遊ぶな」などと批判されている。
このため新たに「年俸オークション」というネタが生まれてしまった。

記事

中日・加藤代表 保留の祖父江とは継続的な登板数で「考え方に差」 44試合に登板もダウン提示か(スポニチ)

中日の加藤宏幸球団代表は12日、契約更改交渉後に報道陣の取材に応じ、チーム初の保留となった祖父江との交渉過程について説明した。
加藤代表は「考え方に差があった」とし「彼はここ3年ぐらいの継続的な登板数を評価して欲しいということ」と祖父江の意見を明かした。
その上で球団として「評価はするが、反映ポイントにない。それ(継続的な登板数)を評価して欲しいなら、早くFAを取ってくださいというのがこちらの主張」とした。
祖父江は18年に51試合に登板も、オフの契約更改では年俸は現状維持の2900万円。今季も44試合に登板したが、加藤代表が「マイナス」と話したように今季年俸2900万円からダウン提示を受けたとみられる。
加藤代表は「考え方が堂々巡りになるので、こちらから打ち切った」と保留は球団側からの提案だったとし「球団として考え方を変えるつもりはない」と話した。

ダウン提示に“保留第1号”の中日祖父江は会見場に現れず…加藤代表は「FAを取ってほしいと話した」(中日スポーツ)

40分をオーバーする交渉を終え、祖父江はこわばったような表情で出てきた。その顔が全てを物語っていた。今季の中日では育成を含む10人目で保留第1号。用意されていた記者会見場には姿を見せず、球団広報を通じて「1回目の交渉で、自分の中でも気持ちの整理ができなかった。一度、持ち帰って、気持ちの整理をしようと保留させていただきました」とコメントした。
今季の推定年俸は2900万円と思われていたが、実際は3500万円ほどだったようで、ダウン提示になったもようだ。加藤球団代表は「彼はここ3年間の登板数を評価してほしいと言っていた。心情的には評価するが、査定ポイントにはならない。(3年間を)評価するなら、FAを取ってほしいと話した」と説明した。
2019年の祖父江は中継ぎとして44試合の登板で3勝4敗1セーブ、3ホールド、防御率3.11。登板数とホールド数は前年より減った。5月は約1カ月間、2軍暮らしだったが、6月2日に1軍へ再昇格した後はブルペンを支えた。


周囲の反応

この報道にダルビッシュ有が一早く反応。

2019年のダウン提示どころか2018年の推定金額にすら苦言を呈し、その後に中継ぎの扱いについてこの日誕生した長女の報告を差し置いて動画を撮ってアップした
その他のダルビッシュの反応としては

とかなり中日に対して辛辣な評価を下している。

また一連のダルビッシュのツイートに対して又吉がハッシュタグ付きで反応(引用リツイート)、福もいいね、リツイートをしていたが、現在は取り消されている模様。

その後、2020年の正月特番である、『新春ドラゴンズ亭!』にてこの件は大野雄大と藤嶋健人によって早速弄りのネタにされており、祖父江も苦笑いしている。
 
さらにその後、中日スポーツが日本人メジャーリーガーの記事を書いた際、ダルビッシュの存在をなかったことにしてしまって謝罪記事を出すこととなり、この件で中日から疎まれているとネタにされた。

決着

11月19日に祖父江は2回目の交渉に臨み、100万円ダウンの3500万でサインした
 
なお、サイン後に自身の年俸について「自分も家族があるので、周りの方に言われることではありません」とコメントしているため、ダルビッシュを含め周囲が騒ぎ立てたのは祖父江本人にとっては相当迷惑だったのではないかという意見もあった。

その後

元々加藤球団代表は以前から余計な内容をマスコミに喋ることでファンからの評価は低く、翌2020年にもFA権を取得し夏場から無双していた大野雄大に前年の契約更改で複数年契約を提示していたことに対し「来年(=2020年)活躍したらFAの相場が上がるので縛っておきたかった*4」と発言していたことが報じられ顰蹙を買ったりしていたが、同年シーズンオフの契約更改になると前年の祖父江の一件とは比にならないレベルに悪化。
 
折からのコロナ禍による親会社・中日新聞社の減収に加え、大野の引き留めのために例年以上の出費をしていた*5ことも相まって球団自体が守銭奴と化し、一軍で実績を残せていないと見るや高卒ドラ1ルーキーの石川昂弥に「即戦力として獲った、活躍できなかったので減給した」と容赦なく減俸を突き付け*6、活躍した選手に対しても様々な理由から増給を渋った結果、契約更改開始から僅か2日で木下拓哉、福谷浩司、福敬登と保留者を3人も出す異常事態に発展*7*8。木下は会見の場でこそ冷静だったが怒り心頭な様子であり、福谷は球団に「将来のビジョンを明確にしてほしい」と伝える始末。
さらに取材に応じた加藤がマスコミに対し「今季に関しては球団の提示額をこれっぽっちも譲る気はない」「他球団は他球団、ドラゴンズはドラゴンズ。これで査定額を変えたら中日の基準が間違っていることになる*9」などといった攻撃的な発言を繰り返すなど、もはや球団が選手に銭闘を仕掛ける有様になり、ついにはプロ野球選手会から名指しでその発言内容に対する抗議文が提出されるに至った。
最終的には3選手とも2回目の交渉で契約を締結*10、交渉決裂による流出などの事態は免れている。

一方、前年の騒動の中心だった祖父江は最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得するキャリアハイの成績を残し、前年から倍増の7000万円を提示され一発サインしている。

関連項目



Tag: 契約更改 中日 絶許


*1 2018年は51試合登板2勝2敗17H防御率3.14。なお5位とはいえこの成績でも現状維持であり、去年ちゃんと年俸を上げていればよかったという声も多い。
*2 いわゆる「宣言残留」をした場合であっても発生する契約金を念頭にした発言だった可能性もあるが、「FAは選手側の権利」という大前提であること、また残留するか移籍するかを選ぶのも選手側であることから、球団関係者側から宣言残留を前提とする発言をするのはやはり不適切である。また、他球団ではあるが過去には宣言残留による契約金目当てでFA宣言したものの、球団側のスタンスにより残留が認められずやむ無く移籍することになった金本知憲(元広島→阪神)の例もあること(ただし年俸の減少は受け入れている)、また今回の交渉では将来的に祖父江がFAを取得した際に宣言残留を認めることを確約したとは言い難く、後に中日フロントの態度が変化し金本と同じパターンや祖父江の今後の成績次第ではこの人の二の舞になる可能性は否定できない。
*3 祖父江の2019年終了時点での登録日数は5年67日。最速で2021年には国内FA権が取得可能となる。
*4 この悪い予感は的中し、2020年の大野は沢村賞を獲得する大活躍を収める。
*5 一部では中日新聞グループが借金をしてまで資金を捻出したとも報じられた。
*6 前年にも高卒ドラ1ルーキーの根尾昂を容赦なく減俸している。両者は入団契約時の年俸が上限一杯の1600万円と高額だったため、そもそも最初の年俸が高すぎることが早速減俸に至った要因ではないか、減俸する位なら最初から年俸を抑えておけばよかったという意見もある。なお石川本人は減俸について「即戦力としての契約だったので仕方ない」と納得していた。
*7 ただし福谷に関しては、他球団の動向を見るために金額に関わらず最初から保留する予定であった事を本人がTwitterで明かしている。
*8 その割に2020年シーズン中一軍昇格がなかった藤井淳志には19年オフに21年までの複数年契約を結び、2020年オフは年俸を4200万円で据え置くという一貫性のない行動をとっている。
*9 更改2日目に保留した福谷と福の両者が、「他球団の査定の動向も見て判断したい」と発言したことに起因する。
*10 いずれも1000万円以上の増額。1回目に比べ金額の上積みなどはされていないが、査定面での問題が解決したことによる。
*11 「祖父江の年俸が上がらないのは登場曲の『宙船』に『お前』という歌詞があるから」というネタが発生した。