【SS】「絶」兎達のひっでぇ冒険

Last-modified: 2024-04-26 (金) 00:43:22

プロローグ

ここはグレビレアの首都、レミエティアの街角。
人気の少ない建物群のここ、その向かいの水路に、ある喫茶店が。
ガランガラン
ワルア「いらっしゃいませ~」
「兎之巣」。知る人ぞ知る不思議な喫茶店。
maririon「ふう...よいしょ」
そこに一人のお客が来店。綺麗に丸く整えられたゴールドのベリーロングヘアーをたなびかせながら、彼女はカウンター席につく。
maririon「ブラックコーヒーLサイズを一杯いただけますk」
ワルア「当店大きさは規定されていませんよ」
maririon「あっあっ...じゃ、ブラックコーヒーを多めで頂けませんか...?」
ワルア「50lam追加ですがよろしいですか?」
maririon「だ、大丈夫ですよ~」
焦りながら話すmaririに、ワルアは親切丁寧に答える。
この店、入った者は必ず「何か力の空気を感じる」と口を揃えて言うらしく、彼女はその噂を聞きつけ来店してきた。
ワルア「はい、どうぞ~」
maririon「ありがとうございます~」
専用の大きめのカップに入れられた、黒の深淵を覗かせつつ、白き湯気を放つブラックコーヒー。
その豆の生産地は謎に包まれている。
グッグッ
熱いためか、ゆっくり口にコーヒーを滑らせ、舌に乗せつつ飲み込んでいく、穏やかな表情の彼女。
グッグッ
四回目の飲み込みのそのとき!彼女の表情は、異変の目へと変化した!
maririon「こ、これは...!!」
何も頼んでもいないのに、異常なまでの酸味感を獲得できるその味。
あの黒の深淵のその通りの恐ろしいまである深さのコク。
そしてもう一つ、その完璧なる味に、自身の記憶も、反応した。


maririon「き、貴様は...!」
RIoPainter「お前、コーヒーが好きだったよな」
自身とは最も似て非なる存在の前に屈する、ボロボロの状態のmariri。
RIoPainter「ほらよ、これ、お前が一番好きなやつだろう」
差し出されたのは、紙コップに入った一杯のコーヒー。
maririon「くっ...!」グビグビッ
彼女は敗北感に苛まれながらも、その一杯を頂く。


それは、今味わったこのコーヒー。そのものだった。
maririon「ふう...」
半分を残しカップをカウンターに戻す彼女。その後すぐに、目線はワルアの方向に向いた。
maririon「店長」
ワルア「はい?」
真剣な声色と眼差しとは反対に、ワルアは温かい声と笑顔で立ち向かう。
mairirion「【ウォーターシップ・ダウン】って...知っていますか?」
ワルア「さあ。それは一体、どんな組織なのでしょう?」
その一言は、店長の健やかな笑顔に陰りを付けた。

メタ説明

第1話「おうちが安全だと誰が断言したっ!?!?神かっ!?!?」

ワルア「コーヒーですわ」
RIoPainter「ありがとう」
ジュール「わーい:)」
ここは兎之巣本部のキッチン。
ウォーターシップの一部面々にとって、今の昼下がりの時間はブレイクタイムである。
グッグッ
RIo「ふうっ」
喉が乾いていたのか、出されたコーヒーは1分と経たず半分の量に減っている。
ワルア「相変わらず飲みっぷりがいいですわね」
ブレイクタイムというのは、英国式と米国式を織り交ぜるという全方向を敵に回す彼女のルーティンだが、相方であるジュールが一緒に飲み始めたのを
きっかけとしてか、今ではウォーターシップの初期から参加する面々においては定番となっている。
ジュール「やっぱりワルアっちのコーヒーはいいコーヒーだね~」
彼女らにとってブレイクタイムを過ごす最大のキーアイテムは「コーヒー」。
どんな場所でも、どんなときでも、彼女達に、コーヒーを片手に太陽に照らされる世界を見ることは絶対的な日課である。
ワルア「二杯目淹れますか?」
RIo「頼む」
おっと、解説をしている間に、RIoはコーヒーを飲み干したようだ。
大人の風格を見せる彼女だが、以外にもブラックが飲めない。対策として、高品質牛乳で割ったカフェラテを飲むことでコーヒーの味を微妙に楽しむのが一番らしい。
RIo「ふむ...この時間だが、他のやつはどこに行ってるんだ?」
せっかちなRIoとは対照的に、どこまでも味わって飲んでいたジュールがカップを口から離す。
ジュール「ドラエゴのやつはまた金属研究してて出てこないし、レイブル達はグレビレアに出張、ベルゼも今日収穫なんだってさ」
RIo「おや、忙しくないのは私達だけか、ははっ」
軽い笑いを浮かべながら、彼女はまたコーヒーを口に運ぶ。今度は飲む量が少ない。
元々暇人の集まるウォーターシップ・ダウンにおいて、ここまで皆が忙しないのは珍しい日だった。

ゴンゴンッ
RIoが丁度二杯目のコーヒーを飲み終えかけ、アフタヌーンティーの要領でスコーンに手を出そうとしたタイミングでノックが掛かった。
ワルア「あら?こんなところに一体誰がノックを?」
ここ兎之巣本部は、ドラエゴによって生成された巨大な世界群にひっそりと秘匿され、厳重警備も敷かれた極秘の場所である。
入口こそ多数あるが、ノックはその中でも最も外世界から侵入が困難な正面玄関からであり、きちんと”ノック”までしているのだ。
ワルア「はーい」
ワルアはこういうときに一般人を装うポイントマンを勝手出る。なぜだかは他のメンバーもよくわかっていないという。
ガチャ
maririon「ハァ...ハァ...ハァ...」
そこに居たのは、2日前に上界の喫茶店で見た顔だった。
体中ボロボロになってはいたが。
ワルア「え!?」
RIo「なっ!?」
ジュール「おおぉ!?」
全員微妙に違う反応。だがその中でもRIoは、戦闘体制の準備をしている。
maririon「やっと見つけましたよ貴方を!!!」
玄関に居たワルアを吹き飛ばし、maririは不敵な笑みを浮かべながら突撃してくる。
ジャギィン
文字通りシンクロの如きタイミングで互いは箒型武器を召喚しそれを鍔迫り合う。
パワーさえ互角だ。
RIo「どうやってこの場所を!」
maririの次の行動を予測しながら彼女は質問する。
mariri「見つけたんですよ!喫茶店という入口を!」
そう言いながら隙間を縫うように蹴りをかまそうとするが、予期していた彼女は最低限の行動で回避し、maririはそのまま転げ回る。
mariri「ぐっ!!」
...そのまま、壁に激突した。
RIo「...」
ジュール「...」
「鈍臭いな」という言葉が最も似合う、呆れた姿勢と表情で二人は硬直してしまった。




RIo「なぜ私を付けに来た」
結局その後、maririとRIoは直談。
RIoとしては、maririがわざわざ拠点を探し当ててまで自身を探しに行く理由がわからず、質問を投げかけた。
maririon「貴方でしょ!またアリスさんをさらっていったのは!!」
RIo「アリス?」
なぜアリス?彼女は首を傾げた。
【アリス・I・ワンダーランド】。ウォーターシップの構成員殆どが敵対視しているシヤの唯一無二の末裔であり、
確かに何かを知っている可能性に賭けて彼女をさらっていったことはあった。
だが、結局何も手に入らず、聞き出せもしなかったので、最終的に元の場所へ返したのだ。
RIo「彼女を連れ去ってなど居ないが」
ジュール一人座っている後ろのリビングのスペースを少し見た後彼女は言う。
mariri「あれ?そうなんですか?」
敵であるRIoの言葉にあっさり納得するmariri。
昔からものははっきり言っているRIoが、こういうときに嘘をつくとも思えない。
本当のことを言いつつ、ボコボコにしてくるのがいつものオチだったことから来ている。
mariri「では、一体何処に...?」
悩みこみながら視線を向けてくるmaririに対しRIoは直ぐ様断りを入れる。
RIo「私は手伝わないからな」
mariri「知ってますよ、私も貴方の助けなどいりません」
犬猿の仲、ハブとマングースとは、きっと二人のことを言うのだろう。
ジュール「むぅ...」
そう、ジュールはリビングの傍から座って考えていた。
ゲロゲロ、ゲロゲロ
突然、コミカルなカエルの声が部屋中に響き渡る。
RIo「ん?」
いち早く反応したのはRIo。ポケットを漁る。
RIo「どれどれ...?ん、レイブルか...」
その正体は彼女のスマホの着信音だった。かわいい。
RIo「...もしもし」
レイブル「もしもし!?」
返ってきた声は、受話器越しからでもはっきりと分かるほど焦りを感じる声だった。
RIo「ど、どうした?ずいぶんオドオドしているようだが...」
レイブル「と、とりあえず今から来てくれ!!」
会話のキャッチボールとは?それほどにレイブルは焦っているようだ。
RIo「ど、どこに?」
レイブル「グレだよグレ!!みんな連れてっ!!!早く!!」
RIo「わ、わかった。だ、だが...なぜそんなに急いでるんだ??」
急かす彼女になぜそうなのかと彼女は聞くと、レイブルは少し間を置いて答えた。
レイブル「なぜか撃ち落とせないミサイルが来てるんだよっ!!!」

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