古き破壊者 ベルゲルミル

Last-modified: 2024-03-05 (火) 08:32:36

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※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。
 現在で該当スキルを使用することができません。
・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、
 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

ベルゲルミル.png
Illustrator:ケースワベ


名前巨神ベルゲルミル
年齢不明
職業メインフレーム製拠点殲滅用機動兵器プログラム

元々はメインフレームによって作られた機動兵器。現在は光の塔を守護する番人。

より与えられた使命を胸に聖剣使いと戦う。

スキル

RANK獲得スキル
1破壊の旋律
5
10
15


破壊の旋律 [CATASTROPHY]

  • ハイリスクハイリターンの極致の一つ。
    タナトス?のハイリスクハイリターン版。あちらと同様に事実上のソロ専用スキルである。
    くれぐれもマッチングで使用しないように注意。破壊するものは友情か
    • タナトスと同じマッチング禁止効果が付いているのは、最初の所有キャラ(古き破壊者 ベルゲルミル)の対応楽曲のアーティストの片方である目黒将司氏がペルソナシリーズに深く関わっているためであると思われる。
  • ボーナスが入る間隔は短いが、コンボ数あたりのボーナスは女神の試練よりも低く、強制終了条件もあちらより厳しい。
    • その間隔の短さも活きる場面は極めて限定的(ノーツ数が100の倍数より僅かに少ない場合等)なため、使い勝手としてはほぼ下位互換に近い。現在の利点は「スキル所有者を筐体で入手可能である(ただし+3まで)」ことぐらいしかない。
  • 何気にCHUNITHM初となる、強制終了条件とマッチング専用効果を併せ持つスキルである。マッチングはマイナス効果だが
GRADE効果
ゲージ10本必要条件:[+7]1940ノーツかつソロプレイ
共通JUSTICE以下20回で強制終了
20チェイン達成した場合ゲーム終了時にゲージが0になる
初期値20コンボごとにボーナス +1200
+1〃 +1250
+2〃 +1300
+3〃 +1350
+4〃 +1400
+5〃 +1450
+6〃 +1500
+7〃 +1550

所有キャラ【 古き破壊者 ベルゲルミル / 創始者 カイン

GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数
ノルマが変わるGRADEのみ抜粋して表記。
※水色の部分はWORLD'S ENDの特定譜面でのみ到達可能。

GRADE5本6本7本8本9本10本
初期値340
(17)
700
(35)
1100
(55)
1540
(77)
2000
(100)
2500
(125)
+1320
(16)
680
(34)
1060
(53)
1480
(74)
1920
(96)
2400
(120)
+2320
(16)
660
(33)
1020
(51)
1420
(71)
1860
(93)
2320
(116)
+3300
(15)
640
(32)
980
(49)
1380
(69)
1780
(89)
2240
(112)
+4300
(15)
600
(30)
960
(48)
1320
(66)
1720
(86)
2160
(108)
+5280
(14)
580
(29)
920
(46)
1280
(64)
1660
(83)
2080
(104)
+6280
(14)
560
(28)
880
(44)
1240
(62)
1600
(80)
2000
(100)
+7260
(13)
560
(28)
860
(43)
1200
(60)
1560
(78)
1940
(97)


ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 取り残されたものたち「我は、地上再生を果たすゲートを護るもの。其方が選ばれし者か、審判を下してやろう」


名前:巨神ベルゲルミル
年齢:不明
職業:メインフレーム製拠点殲滅用機動兵器プログラム

 セーレ・ヘイズと、再生者ディアンの激突。
 その戦いの結果、膨大なエネルギーを失った電子の
楽園は、領域を維持する事ができなくなってしまった。
 楽園を崩壊の危機から救う手立てはひとつ。
 この世界を構成する大きな力を分け与えられた
最古<オリジン>と混沌の器たちが中枢ユニットへと
還り、安定化を図る事であった。
 その後、両者は中枢ユニットの一部となり、長きに
渡る歴史に終止符が打たれたのである。

 神々の消えた世界。
 彼らが管理していた数多ある世界は、ひとつの世界へ
統合され、その中にある大地の一つ『超大陸エマーグ』
として生まれ変わった。
 大陸がどれ程の大きさなのか、その全容を知るものは
いない。
 この大陸に辿り着いた人々は、突然の状況に
困惑しつつも、やがて受け入れ、過酷な環境の中を
助け合いながら生きていく事となった。
 そんなエマーグに流れ着いていたのは、人間だけでは
ない。
 そこには、人々以外のものも流れ着いていたのだ。
 それは――フォノゼニスでの最終決戦を戦い続けて
いたプログラムたち。

 それらは皆、従うべき主を失い、自分自身の
存在意義すら見い出せずにいた。
 それでも彼らは、徐々に己の生きる意味と向き合い、
残りの生で何ができるのか模索してゆく。

 巨神ベルゲルミルもまた、エマーグへと辿り着いた
プログラムのひとつである。

 彼らがこの世界にとり残された意味とは。
 電子の楽園の行く末とは、何なのか。

 それは――楽園の神のみぞ知る。


EPISODE2 ネメシスが求むるモノ「フォノゼニスで展開される戦い、これより先へは、我を倒さねば進めぬぞ」


 メタヴァースの支配権を巡る争いは、
エテメンアンキがネメシスに制圧された後、勢いを
つけたネメシスがメインフレームの防備を突破し、
そのまま中枢都市フォノ・ゼニスでの決戦へと移行して
いった。
 都市を覆い尽くす程のネメシスの大群と、
都市の防衛機構と全戦力を駆使して防戦に回るしかない
メインフレーム。
 それは、文字通りの総力戦であった。

 戦いは熾烈を極めた。
 フォノ・ゼニスを制圧されれば後がない
メインフレームは、禁忌としてきた兵器――領域崩壊を
引き起こし、周囲を巻き込む自爆兵器や、制御が十分に
行き届かない大量破壊兵器などを使わざるを得なく
なってしまう。

 混沌の器率いるネメシスの大軍勢に反撃を行っている
ベルゲルミルもまた、メインフレームによって造られた
拠点殲滅用機動兵器のひとつである。
 高度な自我を与えられたベルゲルミルは、
リヒトツヴァイや防衛プログラムを率いて、防衛戦を
繰り広げていた。

 強力な兵器でネメシスを殲滅していく彼らだったが、
倒せど倒せど、ネメシスは際限なく出現してくる。
 そのため、他の戦線に加勢に行く事もままならない。
 「これ程の数を有するとは……。奴らは前もって
この決戦への準備を済ませていたか」

 メインフレームとて、決戦に備えていなかった訳では
ない。ただ、広がり続ける領域の管理に注力しなければ
ならず、ネメシスの行動に対して後手に回ってしまって
いたのだ。

 「今更、泣言など無意味だが。この数の前には……
趨勢を決するのも時間の問題か……」

 ベルゲルミルたちの視界の彼方では、混沌の器と
激戦を繰り広げているセラフィータとジェフティが
いる。
 セラフィータは混沌の器であるアレウスと、目にも
止まらぬ神速の戦いをし、ジェフティと
ヴェルゼビュートは互いに牽制し合いながら、
セラフィータたちの戦いを援護していた。

 「我々も負けてはいられぬな。皆の者、ネメシス共を
掃討するぞ」

 ネメシスの軍勢と衝突したベルゲルミルは、
その驚異的な膂力をもって、金色の雷槌を振り回す。
 高周波の振動を放つ雷槌に触れたネメシスは、即座に
光の塵へと変わっていく。

 「……ギギ、ヤツヲ、コロセ……ッ!」

 雷槌の威力を目の当たりにしたネメシスは、標的を
ベルゲルミル1機へと絞り、覆い尽くさんと殺到する。

 「数で圧倒した所で、『審判の雷槌』は止まらんぞ」

 次々と軍勢を消滅させるベルゲルミルの下へ、新たな
軍勢が出現した。
 幾度倒しても際限なく現れるネメシスと戦う中、
ベルゲルミルは彼らネメシスの目的について思案する。

 (ここまで奴らを駆りたてるのは、何だ……何故、
そうまでして……)

 そこへ、ベルゲルミルの思考を阻むように、戦線へ
ネメシスの代理構成体が姿を現す。放たれた攻撃を
黄金の体躯で受け止め、

 「その程度で、我は沈まぬ!」

 取りつくネメシスを雷撃で薙ぎ払い、ベルゲルミルは
ネメシスの軍勢に、屹然と立ちはだかるのだった。


EPISODE3 滅びゆく世界「我々には、争い合う以外にも、道があったのではないか……」


 ネメシスの猛攻は熾烈を極めていた。
 どれだけ塵へと帰しても、直ぐさま新たなネメシスが
現れる。間断なく降り注ぐ攻撃により、
ベルゲルミルの随伴機や防衛プログラムたちは
次第にその数を減らしてゆく。
 随伴機たちは破壊される寸前に自爆する事で、
より多くのネメシスを巻き込もうとするが、
その程度では数的優位は覆らない。

 「……このままでは、いずれ……」

 いざとなれば、フォノ・ゼニスの外殻に影響を与える
威力を持つ戦略級殲滅兵器を使うべきか。
 そんな考えがベルゲルミルの脳裏を過り始めたその時
――フォノゼニスの中枢で異変が起きた。

 何かを察知したセラフィータたち。
 彼女らは戦闘を止め、混沌の器と共に中枢へ向かって
いったのだ。
 ベルゲルミルはその光景を見上げ、

 (ネメシスの真意――それはメインフレームと同じ、
人類を地上へと返す事であろう。過程は違えど、その
本質は変わらぬ。相容れない存在であるばかりに、
戦うしかない……)

 自身の手を見つめて思案する。

 (頑なにぶつかり合う事が、本当に正しい事なの
だろうか? 我々には、違う道があったのでは……)

 そこまで思考した所で、ここで考えても今更変わりは
しない、とベルゲルミルは戦闘に専念した。

 「どれだけ群がろうが、我が雷槌の前には無駄な事」

 ――雷槌を振り上げたその時。
 中枢を発端として、大きな衝撃がフォノ・ゼニスに
奔った。そして、ベルゲルミルが疑問を差し挟む間も
なく、中枢が崩壊を始めたのである。
 ベルゲルミルのいる領域も、今まさに巻き込まれ
ようとしていた。

 「中枢で一体何が……」

 この崩壊は、中枢を特異点として、世界のすべてを
呑み込み、収束しようとしている。
 敵味方関係なく、光の渦の中へと消えていく光景。
 ベルゲルミルは、ただ眺める事しかできなかった。


EPISODE4 流れ着いた世界で「神々の喪われた世界。我がすべき事、それは――」


ベルゲルミルは、領域の崩壊に巻き込まれる中で、
世界を創造した神の姿を見た気がした。
 穏やかで、それでいて温かな声。

 「…………」

 神はベルゲルミルに何かを告げると、徐々に光の
一部となり姿を消した。

 「今の声……我に何を語り掛けていたのだ……」

 光の海を彷徨うベルゲルミル。
 流れ着いた先で彼を待っていたのは、数多もの世界が
ひとつに統一された、超大陸エマーグだった。

 目覚めた当初、他のプログラムと連絡も取れない
状況だったが、ベルゲルミルは大気の情報を読み取り、
この大陸がかつての電子の楽園である事を理解する。

 「そうか、あの戦いはもう――」

 ネメシスとの戦いは、終結していたのだ。
 空を見上げたベルゲルミルは、感嘆の声をもらす。

 「美しいな……」

 それからベルゲルミルは、損傷したその身体を
修復しつつ、まだ動く随伴機を放って世界の現状の
把握に務める事にした。
 調査の結果、分かってきた事がある。
 この世界は、多種多様な人間たちとメインフレームの
プログラムが共存し、そして、わずかではあるが末端の
ネメシスも生き残っている事が判明した。

 人々は突然の状況に混乱していたが、彼らを導いて
くれる者はもう存在しない。それぞれが生きる意味を
見出し、歩まねばならないのだ。
 そんな人類を前にして、生き残ったプログラムたちは
その根底にある使命感からか、人々を支えるべく共に
歩む道を選択してゆく。

 そのプログラムの中には、破壊兵器として作られた
者もおり、争いとは無縁の世界に己の存在意義を
見いだせずにいたのだ。

 新世界は美しい空がどこまでも続いているが、大地は
繁栄には程遠い状況で、どこまでも荒涼とした地が
続いている。

 そんな中、ベルゲルミルはふと不自然な現象を
目の当たりにした。
 大陸のあちこちに、天へと伸びる光の柱が並んで
いたのである。

 「あれは……転送ゲート、か?」

 それを認識した瞬間、ベルゲルミルの脳裏を、
光の海で出会った者の声がこだました。

 『代行者たちとは違った考えを抱く者に、
私は託したいと思う』
 「……我に、ゲートを守護しろと言うのか。
我にもまだ役目があるのならば、その神命、喜んで
引き受けよう」

 審判の鉄槌を握る巨神は、新世界で新たな誓いを
立てるのだった。


EPISODE5 争いの火種「我に与えられた新たな使命。創造主の期待に応えてみせよう」


 あらゆる世界がひとつに統一された新世界。
 そこでは人々とプログラムが混ざりあい、混沌とした
様相を呈していた。
 一時は荒廃した大地に絶望する人々であったが、
それでも彼らは諦めなかったのである。
 種族の壁を越え、プログラムと手を取り合い、一丸と
なって復興に向けて立ち上がったのだ。
 荒れ果てた大地は、急速に復興を遂げ、色を
取り戻してゆく。

 そんな中、旧世界の知識と人類の地上再生という
目的を受け継いだ一部のプログラムたちは、地上進出派
『レコンキスタ』と呼ばれる組織を結成する。彼らは、
自身の精神情報と、容れ物としての人の肉体との
一体化を図ったのだ。

 彼らを突き動かしたのは、地上への強い憧れと野心。
 転送ゲートの情報をプログラムから得た彼らは、
各地に点在するゲートへの調査を開始した。
 だが……彼らは地上への帰還はおろか、ゲートを
開く事さえできなかったのである。
 彼らには何が原因かも分からない。各地へ散って
いった面々は、一度ゲートの情報を集める事にした。
 その中で、北方にあるゲートだけ、門番のような者が
居るという報告があった。
 人の十数倍はあろうかという背丈と、金色に輝く
体躯と槌を持った異様な出で立ち。正に門番と呼ぶに
相応しい存在である。

 彼らは、その門番こそがゲートを開く鍵に違いないと
して、武器を取り一方的に攻撃を仕掛けたのだった。

 程なくして、北方ゲートでの戦いが始まる。
 レコンキスタは、メインフレームの技術や
自爆兵器などを駆使し、巨神に戦いを挑む。
 だが、そのいずれも巨神の黄金の装甲を貫く事は
できず、皆一様に雷槌の光を浴びて塵と化してしまう。

 「無粋な者共よ。我は、対話を欲しているだけだ」
 「クソ……この化物め……!」
 「俺たちは地上へ出たいだけだ、邪魔をするなッ!」

 彼らは、巨神の言葉を聞こうともしなかった。

 「愚かな……貴様らは、統合されたこの世界で、何を
見てきたのか。……度し難い」

 巨神の一振りは、抗う者たちを光の塵へと変える。
 虚ろ気に大地を見つめる巨神の嘆き。
 その声を聞き入れる者は、誰もいない。


EPISODE6 黄金の粛清者「何故人類は争いを欲するのか。過ちを犯さずにはいられないというのか」


 レコンキスタのゲートへの侵攻は絶え間なく続いた。
 「あの巨神を倒せば、人類再生の足掛かりとなる!
北方ゲートを解き放つぞ!」
 「奴は旧き文明の忘れ形見にすぎない。旧き者の首を
我々の手で討ち取るのだ!!」

 彼らは、ベルゲルミルを撃破する事が地上へ辿り着く
ために必要な条件なのだと信じ込んでいる。
 いつしかゲートの守護者は、人類再生を阻む、
世界の敵と認識され、憎しみを一身に受ける存在と
なってしまった。
 それは民衆を焚きつける口実にも使われ、彼らの数は
減る事なく、際限のない争いを生み出してしまう。

 アプスの谷の最奥、光の塔の周辺領域は、緑に溢れた
美しい景観が広がる場所であった。
 しかし、今はかつての面影は欠片も残されていない。
 谷はレコンキスタたちが用いた兵器の傷痕が散乱し、
緑は焼け落ち、激しい戦いの結果大地は汚染され
荒野と成り果てていた。
 そんなうら寂しい空間の中、ひとり、ベルゲルミルは
思う。

 「戦いに果てなど無い。人類は創造主が望んだ進化を
未だ果たせずにいる……」

 塵になる間際に聞こえた怨嗟の声。
 数多もの憎しみが、恨みが、ベルゲルミルの胸中を
何度も何度も駆け巡る。
 幾度滅せども、彼らは決して『対話』という道を
選ばなかった。

 「……ヒトは変わる事など、できはしないのだ」

 故に、ベルゲルミルは決意した。

 「神々が果たせなかった、真なるヒトの選定……。
我が代行者となり、能わぬ者は全て排除しよう」

 かつて世界の管理者が掲げた理想のもと、
ベルゲルミルは行動を開始する。

 「手始めに、我に幾度も刃を向けた愚か者たちを
殲滅しよう。そして、それを促す文明諸共、我が雷槌で
消し去ってくれる」

 間違った繁栄によって築かれた文明を導くために。
黄金の粛清者は、手始めにアプスの谷を
目指すレコンキスタたちを粛清することとした。


EPISODE7 調和を探す者「この新世界で起きた異変。私はそれを確かめに行かなければならない……」


 光の塔――メインフレームの基幹システムであり、
高次の次元と超大陸エマーグをつなぐ唯一の接点。
 それは、地上への再生を司る帰還プログラムへと
つながる転送ゲートでもあった。
 管理者が不在となった世界で、ゲートはあるがままの
姿を晒す。高次の空間より流れ来る膨大なエネルギーの
奔流は、その一部が可視化される事で、結果的に塔の
ような形で顕現していた。

 だが、当初は世界の至る所で観測できたソレは、
戦火の拡がりと反比例するかのように、徐々にその数を
減らしていたのである。

 「今この大陸で何かが起きている……ゲートを使って
みんな帰還しようとしているのね。でも、それだけでは
地上へ辿り着く事はできないわ」

 塔を一望できる丘で、空を見上げる女性がいた。
 女は蒼き剣を担いで丘を下り、小さな村へと向かう。
 若葉が風にそよぐ大地、ブルーノヴァ。
 そこでは天使の翼を持つ人々が地を耕していた。
 その天使たちは、世界を修復する事を使命として、
かつての楽園の管理者であるシエルとセラフィータから
生み出された小さな存在である。
 女がブルーノヴァに戻ると、天使たちは作業を
中断し、笑顔で出迎えてくれた。

 「あ、セーレ様だ! セーレ様、お帰りなさい!」
 「みんな、ご苦労様」

 柔らかな髪を優しく撫でつけ、セーレは天使たちに
笑顔で応えた。

 「セーレ様、塔の様子はどうでしたか?」
 「徐々にではあるけど……光が弱まっているわ。何か
異変が起きているのは間違いないわね」

 その言葉を聞き、天使たちは不安の色を濃くする。

 「では……この村を出て行かれるのですか?」
 「ごめんね、皆……私にはまだ、やらなくちゃ
いけない事があるみたい」

 その言葉を聞いた、まだ幼い天使は、悲しげな顔を
浮かべ、セーレにしがみ付いていた。

 「セーレ様、行かないで……」
 「もう……泣かないの。二度と会えなくなる訳じゃ
ないわ。私だって、この緑溢れる地をいつまでも眺めて
いたい」
 「じゃあ……!」
 「でもね、私たちにはこの世界を修復するという
使命があるの。だから、私はこの大地に残された……
異変は見過ごせないの」

 そう言ってセーレは、天使たちを優しく抱きしめた。

 「調査が終わったら戻ってくる。皆、元気でね」

 この世界を、かつてのような悲劇のない世界にする。
 決意を秘めた彼女は、確かな足取りでブルーノヴァを
後にするのだった。


EPISODE8 残されし者の使命「あなたも、私と同じなのね……なら。私は正さなくちゃいけない。あなたという存在を」


 フォノ・ゼニスでディアンとの死闘を制した後、
私――セーレ・ヘイズは、青き大地ブルーノヴァで
目覚めた。
 あの光の中で出会った人と、私がこの世界に残された
意味。それを確かめるため、私はこの世界を旅した。
 その旅路の中で、この世界にはメインフレームが
管理していたと思われる遺構が、点在している事を
知った。
 そして……この世界において、明らかに異質な存在を
放つ光の塔。
 あれの正体を、グランタクトが教えてくれた。

 あれは、この世界と地上をつなぐ再生プログラム。
 そこにある転送ゲートを通過すれば、人類は本当の
世界――地上へと帰還する事ができる。
 そこで気になったのが、それを起動する条件だった。
 メインフレームが定義するのは『より優れた人類種、
争いを捨てた理想の賢人』であるという事。
 それが今この時を生きる人々に適応されるかは、
分からない――

 そんなある時。
 とある情報が私の耳に入った。
 『レコンキスタ』と呼ばれる、人とプログラムの
融合体によって結成された勢力。彼らがゲートをくぐる
ために争いを起こし、人々に傷みを強いていると。

 ……折角、この世界が再生へと向かって歩み始めたと
いうのに。
 そんな奴らを、このまま放っておく訳にはいかない。

 ――正直なところ、私は、人から争いを奪う事は
できないと思っている。
 けど……ほんの少し、ほんの少しだけ優しさを持てる
ようになれるなら、ヒトは変われると信じてる。
 だから、私にできるのは、彼らと対話する事だけ
なんだ。

 私は、彼らが北の塔で争いを始めた事を聞きつけ、
塔へと急いでいた。
 北の地では、彼らが呼び覚ましたプログラムが、
もう起動しているという。それはメインフレームが
遺した遺産である可能性が高い。

 北の地――アプスの谷へ辿り着くと、レコンキスタは
既にゲートの守護者と戦闘を繰り広げている所だった。
 彼らはメインフレームの兵器を使って果敢に攻撃を
試みているが、黄金の身体には全くといっていい程、
傷が見られない。
 その一方で、守護者が振るう黄金の槌は、彼らを
一撃で灰燼に帰していた。
 それでもレコンキスタたちは、攻撃の手を緩めようと
しない。
 ……これは、もはや一方的な虐殺だ。

 「……見てられない」

 私は守護者とレコンキスタの戦いに介入した。

 「其方は……そうか、其方も我に歯向かうのだな」

 守護者は、山のような黄金の身体を震わせ、巨大な
槌を大地に叩きつける。そして、大地を揺らして
名乗りをあげた。

 「我はゲートを護りし者、ベルゲルミル。変わる
事すらできぬ愚かな人類を殲滅する者なり」
 「それがあなたの名前ね。私はセーレ・ヘイズ。
あなたと同じ、楽園からの迷い子」

 私は腰に収めた剣を抜き放ち、宣言した。
 この剣を『使う』のは、久しぶりだ。
 できる事なら使いたくはない。でも。
 目の前に佇む存在は止めなくちゃいけないんだ。

 「いいだろう、小さき者よ。その身で我に抗うと
いうのなら、挑むがよい」

 ――父さん、グランタクト。
 あなたたちの力、借りるわ!


EPISODE9 暴走する正義「『其方には力があるだろうに。何故動かぬ!』『それは私の役目じゃない。私のすべき事はッ!』」


 ベルゲルミルの咆哮が大気を震わせる。
 天を駆ける黄金の雷槌が、大地へと叩きつけられた。
 巻き上がる土煙は空を埋め尽くす程に舞い、アプスの
谷はその形を変えてゆく。

 「我に歯向かう者は皆、すべからく悪である。人類が
過ちに気付くまで、我が何度でも消し去ってくれよう」

 巨神は、幾度とない戦いの果てに、己の考えに
執着するようになっていた。
 その考えが間違いであると、気付けなくなる程に。

 「あなたがその力を振るい続ける限り、争いの火種が
尽きる事はない。あの決戦を生き残ったのに、どうして
それが分からないの!?」

 セーレは黄金の一振りを躱し続け、問いかける。

 「決戦を生き抜いたからこそだ」

 雷槌の一撃をくぐり抜け、足元へと移動し、斬撃を
浴びせる。
 だが、強靭な身体に傷は付けられても、その巨躯を
跪かせる程のダメージには至らなかった。

 「……硬いッ!」

 そこへ、ベルゲルミルが操る随伴機が飛来した。
セーレと同サイズのソレは、素早く回転しながら雷を
無差別にばら撒いてゆく。

 「くッ!!」

 無数の雷に阻まれ、セーレは思うように攻撃を与える
事ができないでいた。

 「それぐらいで! ハアァァァッ!!」

 輝きを強めたグランタクトを水平に構え、掛声と共に
放った一閃が飛び交う随伴機を薙ぎ払い、破壊する。
 グランタクトと、セーレの強さは健在であった。

 「……その力をもって、人々を導く事も可能だろう。
其方なら真に優れた人類を地上へと戻せる筈。だが、
何故其方はその道を選ばぬのだ!」

 ベルゲルミルは初めて感情を露わにし、怒りのままに
周囲へ雷撃をまき散らした。
 地形を造り変えてしまう程の雷撃が、周囲に無数の
火柱を生み出してゆく。
 炎獄の景色がセーレを包み込む。
 だが、立ち上る陽炎よりも、火柱よりも、蒼き輝きは
一層強く光り輝く。

 「それをするのは、私じゃないわ」

 剣の一振りで、セーレは火柱をうち払ってみせた。

 「ならば、誰が導くというのだ!」

 蒼い光を打ち消さんと、黄金の雷槌が迫る!
 怒号と共に、大地に激震が走った。
 その一撃は地割れを起こし、大地を縦に割り裂く。

 「これで終わりだな、小さき者よ。我は人類の
粛清を……」

 その言葉が続く事はなかった。
 セーレの神速の一閃が、雷槌を根本から両断して
いたからだ。

 「まだ潰えぬか! ならば、その身をもって味わえ、
神の雷を!」

 巨神の身体から放たれた雷が迸る。
 その雷霆(らいてい)の中、セーレは翔け抜けた。
 巨神が握り潰そうと伸ばした掌に着地すると、
セーレは電光石火のごとく回転し、その腕を斬り刻み
ながら駆け登ってゆく。
 そして、肩へと登りつめたセーレは、グランタクトを
突き立て告げた。

 「まだ答えてなかったわね。あなたの問いかけに。
私は誰も導かない。誰かに与えられたものなんかじゃ、
本当の意味で変わる事はできないから」
 「……ッ!」
 「それは自らの手で、掴み取るものよ!!」

 そう叫び、セーレは高く跳んだ。
 放たれた渾身の一撃は、巨神の胸に輝く
コアユニットに深い傷をつけるのであった。


EPISODE10 再生への道「『其方の求める答えとはなんだ』『それは、手を伸ばせば誰にでもできる事なの』」


 ベルゲルミルの巨体が、火花を散らしながら大地へと
沈む。横たわり、黄金に輝くその身体は今、光に
包まれようとしていた。

 「何故だ……其方の求める人類など、ヒトには
到底辿り着けるものでは……」

 ベルゲルミルは、コアユニットに立つセーレへ
向かって語り続ける。

 「其方とて、我が主よりその力を与えられてこそ……
其方こそが、地上への道を……何故……」

 セーレは巨神を一瞥すると、開かれていたゲートへと
進んだ。
 そして、ゲートに剣を突き入れると、グランタクトを
介して基幹システムに干渉を始めるのだった。

 「何を……する気だ……」
 「ゲートの起動条件を書き換えるの」

 セーレの瞳が蒼く輝く。
 そして、グランタクトを伝って、光はゲートへと
浸透していった。

 「私たち人間は、あなたたちが求めるような理想の
存在になる事はできない。そして、地上には私だけが
戻った所で、意味をなさないわ」

 ゲートの上空にそびえる光の渦を見上げ、セーレは
巨神に語り掛ける。

 「メインフレームが求める、ヒトの完全なる調和と
融和。それは理想にすぎない。だけど……」
 「…………」
 「もう少しだけ、ヒトは優しくなれるはずよ。痛みや
苦しみを完全に理解する事はできないけど、寄り添える
事はできる……」

 振り返ったセーレは、巨神へ近づくと柔らかな笑顔を
見せるのだった。

 「寄り添う、か……」

 戦闘時の鬼気迫る表情とは打って変わった少女に、
ベルゲルミルはかつて自身が思い描いたヒトの在り方を
想起する。

 「そう、か……我は一度は辿り着いた答えを、自らの
手で摘み取ってしまったの……か……」

 暴走した巨神は、ようやく自身の過ちに気付く。
 レコンキスタとの戦いにも、道はあったのでは
ないかと。
 辺りは既に陽が暮れようとしている。
 後悔に沈む声は、どこまでも物悲しく。
 夕陽に照らされた黄金の身体は、寂しげに鈍い光を
放っていた。


EPISODE11 つなぐ物語「……我は待とう。其方の意思を受け継ぎし者が現れる、その時を」


 己が雷槌で破砕した大地と、焼き尽くし、灰塵へと
帰してしまった人々。
 失ってしまったモノの大きさに、巨神は気付く事が
できなかった。
 巨神の胸元に腰かけたセーレは、穏やかな声音で
語りかける。

 「ベルゲルミル。傷つけてしまって、ごめんなさい」
 「……構わぬ。其方が阻止しなければ、我は
この世界を滅ぼしていたやもしれぬ」

 巨神がすべき事は、争いを生み出す事ではなかった。
 真に必要だったのは、ヒトの心を理解する事……。
 ベルゲルミルは、どこか自嘲気味に言葉を紡ぐ。

 「旧き人類の創造物から生まれた我もまた、ヒトの
業からは逃れられぬという事か……」
 「どこまでもヒトは争い合うものよ。それはきっと、
真なる人類であったとしても、ね」

 セーレの瞳は、深い悲しみの色に満ちているように
ベルゲルミルには思えた。

 「だからこそ、其方の言う『互いに歩み寄る心』が
必要なのだな……今の我なら、其方の考えも
理解できよう」
 「理解してくれて嬉しい。……さぁ、ゲートの
書き換えが終わったみたい」

 セーレが再びゲートの前に立つと、ゲートの光は
グランタクトの光と共鳴するように煌めき、やがて
消え去ってしまった。
 セーレは登りゆく光に想いを馳せる。

 「人はいつか……必ず地上へ帰るわ……必ず……」
 一途に希望を願うセーレの姿。
 ベルゲルミルには、その光景が眩しく思えていた。

 「私は、ううん、『私たち』は必ず地上へと帰る。
その時……私はもうこの世にはいないかもしれない。
けど、必ずあなたの願いを満たす者が現れるわ。
だから、その時を楽しみにしてて」

 満面の笑みを浮かべるセーレに、ベルゲルミルは
さも愉快そうに笑っている。

 「フ……随分と自信に満ちた笑みだ。だが、其方が
言うのなら、間違いはないのだろうな。ならば……」

 そう言って、ベルゲルミルは淡い光に包まれながら、
穏やかな眠りについた。
 雷槌の審判を受ける者の姿を、夢想し。
 少女の言う、その『時』が訪れるまで。

 「さよなら、ベルゲルミル……」

 セーレは光の中へと消えてゆく巨神を見届けると、
ひとり、アプスの地を後にする。

 「綺麗……とても……」

 見上げた空には、満天の星空が光り輝いていた。




■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


コメント

  • カードメーカーで欲しいキャラあって引いたけどベルゲルミルはスルーしてた。だけど今になってこいつメタバじゃんってなった。 -- 初心者? 2024-01-21 (日) 01:10:19