創始者 カイン

Last-modified: 2024-03-05 (火) 08:32:36

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・「限界突破の証」系統を除く、このページに記載されているすべてのスキルの効果ははCHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです。
 現在で該当スキルを使用することができません。
・CHUNITHM PARADISE LOSTまでのトランスフォーム対応キャラクター(専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター)は、
 RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

創始者 カイン.png
Illustrator:えすてぃお


名前創始者カイン・ハワード・ダンダリウス
年齢135歳
職業複合企業群の中心であるKHD社の創始者
身分稀代の探究者

複合企業群KHD社の創始者。
滅びに向かう世界を救済するためにを生み出すことを決意するが……。

スキル

RANK獲得スキル
1破壊の旋律
5
10
15


破壊の旋律 [CATASTROPHY]

  • ハイリスクハイリターンの極致の一つ。
    タナトス?のハイリスクハイリターン版。あちらと同様に事実上のソロ専用スキルである。
    くれぐれもマッチングで使用しないように注意。破壊するものは友情か
    • タナトスと同じマッチング禁止効果が付いているのは、最初の所有キャラ(古き破壊者 ベルゲルミル)の対応楽曲のアーティストの片方である目黒将司氏がペルソナシリーズに深く関わっているためであると思われる。
  • ボーナスが入る間隔は短いが、コンボ数あたりのボーナスは女神の試練よりも低く、強制終了条件もあちらより厳しい。
    • その間隔の短さも活きる場面は極めて限定的(ノーツ数が100の倍数より僅かに少ない場合等)なため、使い勝手としてはほぼ下位互換に近い。現在の利点は「スキル所有者を筐体で入手可能である(ただし+3まで)」ことぐらいしかない。
  • 何気にCHUNITHM初となる、強制終了条件とマッチング専用効果を併せ持つスキルである。マッチングはマイナス効果だが
GRADE効果
ゲージ10本必要条件:[+7]1940ノーツかつソロプレイ
共通JUSTICE以下20回で強制終了
20チェイン達成した場合ゲーム終了時にゲージが0になる
初期値20コンボごとにボーナス +1200
+1〃 +1250
+2〃 +1300
+3〃 +1350
+4〃 +1400
+5〃 +1450
+6〃 +1500
+7〃 +1550

所有キャラ【 古き破壊者 ベルゲルミル / 創始者 カイン

GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数
ノルマが変わるGRADEのみ抜粋して表記。
※水色の部分はWORLD'S ENDの特定譜面でのみ到達可能。

GRADE5本6本7本8本9本10本
初期値340
(17)
700
(35)
1100
(55)
1540
(77)
2000
(100)
2500
(125)
+1320
(16)
680
(34)
1060
(53)
1480
(74)
1920
(96)
2400
(120)
+2320
(16)
660
(33)
1020
(51)
1420
(71)
1860
(93)
2320
(116)
+3300
(15)
640
(32)
980
(49)
1380
(69)
1780
(89)
2240
(112)
+4300
(15)
600
(30)
960
(48)
1320
(66)
1720
(86)
2160
(108)
+5280
(14)
580
(29)
920
(46)
1280
(64)
1660
(83)
2080
(104)
+6280
(14)
560
(28)
880
(44)
1240
(62)
1600
(80)
2000
(100)
+7260
(13)
560
(28)
860
(43)
1200
(60)
1560
(78)
1940
(97)


ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 その双眸は閉じられる「これが……私の望んだ地球の姿……おお……なんと美しいのだ……!」


 人類がこの世に産み落とされてから今日まで、発展を繰り返してきた科学技術。
 この営みに終わりの日が来るなど、誰一人として想像などしていなかった。
 発展の終着点。繁栄の頂点。
 それが意味するものは何なのか。

 頂点まで登り切った先は、どこを向いても“下り坂”しかない。
 熟しきった科学技術により栄華を誇る都市。そして戦争。
 繁栄の代償である地上を侵食する毒は、やがて地球全体へ蔓延し、海洋と大地は完全に汚染されてしまう。
 間近に迫る滅びの日に、人類は対峙するのだった。

 そして、幾ばくかの時が流れた。
 消えた人類に入れ替わって地上を闊歩しているのは、人を模して作られた合成人間――『真人』。
 彼らの存在意義は、“傷ついた地上を癒す事”。
 いつか人類が地上に戻るため、緑豊かな地球を再び取り戻す。そのためだけに生み出された存在である彼らは、地球を再生するために命を削りながら生きている。

 その真人の姿を、遠く離れた地で端末越しに眺める人物がいる。
 いや、もはや人とは呼べないほどその身体の大部分は機械と置き換えられており、容れ物に魂だけが残っている存在。
 かつてマハノンと呼ばれた都市の中心に天高く伸びる、黒き塔。
 その一角で彼は、誰にも知られる事なくひっそりとその生涯を終えようとしていた。


EPISODE2 選ぶ者、選ばれる者「多くの人間を救うには犠牲が伴う……これは世界の摂理。分からぬわけではあるまい?」


 繁栄の頂点を手に入れた代償として、地上環境は急激に汚染が進んでいく。
 迫り来る危機に対して“支配者達”が行ったのは、根本的解決ではなく、対症療法ともいえる一時凌ぎの対策であった。
 地上が死の大地へと変容していくのに反して、爆発的に増えてゆく人口。
 世界の“支配者”達は、人類を汚染から回避させるための対策として、『地下都市建造計画』を発表。来たる未来に向かって計画は急速に進められていく。
 そして、計画進行にあたって地下都市へ送られる人間の“選定”が始まる。だが、選ばれるのは労働者階級をはじめとする“持たざる者達”ばかり。
 支配者や上流階級層は、地上に用意された研究都市での何不自由のない生活が保証されている。住み良い地上と最低限の命しか保証されない地下。
 まさに天国と地獄であるこの選定は、汚染からの救済策とは名ばかりの“選民行為”と同意義の行為であった。

 着々と計画を進める政府。その情勢下、政府から直属の命を受け各地を飛び回る科学者がいた。
 その名は――カイン・ハワード・ダンダリウス。
 幼い頃から稀代の天才と称され、その頭脳と才能を余す事なく発揮してきた若き科学者である。


EPISODE3 ただ幸福を求めて「生きる事が辛いのならばやめればいい。幸福の価値はその時々によって変容するものなのだよ」


 今でこそ政府お抱えの科学者の中でも高い地位にまで登り詰めたカインだが、その出自は母と二人きりで大変貧しい生活を送る貧困街の生まれであった。
 カインの母は、生活は苦しくとも子供に対しては優しかったが、常日頃から口癖のように「不幸だ」とこぼしていた。
 その言葉を聞く度に、幼いカインは不思議に思った。
 「不幸が嫌なら、不幸にならなきゃいいのに」と。
 一聴すると幼い子供の短絡的な考えだと感じるが、この考え方は現在のカインも変わっていない。
 カインの思考には、現状や過程というものが欠落している。
 嫌ならやめる。良ければやる。
 社会的動物である人間としては様々な障害が起こり得るであろう、危うい思想。
 ――だがカインは、天性の頭脳を持っていた。
 高い学習能力と記憶力、そして既存の価値観に囚われない大胆な発想。その才を武器に、貧困街出身でありながら様々な教育課程を好成績で納め、やがては政府お抱えの科学者となっていく。
 その頃のカインは、自分の使命をこう定義した。
 “不幸な人を救うため……人間を幸福にするために自分は生まれたのだ”と――。

 そして15年後。
 地下都市建造計画のミーティングを終え、早々に自身のプライベートオフィスに引っ込んだカインは、デスクのチェアに腰をかけるとため息をついた。

 「政府は重要視していないようだが……この計画を実行したところで、人類滅亡回避への大きな効果は期待できないだろう……」

 死にゆく人類。朽ちゆく大地。
 発展と繁栄を担い、地上環境が汚染される原因を作った科学者の代表格でありながら、カインは滅びゆく地球を嘆く。

 「これまで政府に従い続け、私の頭脳が人の役に立っているものだと漠然と思っていたが……これでは人という種を滅亡へと加速させているだけではないのか……?」

 そう呟いたカインの視線は、モニターへと向け続けられている。
 そこには廃墟となった、カインのかつての生まれ故郷の写真が映されていた。

 地球を、人類を救いたいと思うカインの気持ちは本物だ。
 だが、それはあまりに純粋すぎる思いだった。
 “不幸な人を救いたい“。そう思うカインが、研究者となって初めて行った施策。
 それは、毒ガスを用いて住民を抹殺する“区画整理”だった。
 不幸だと嘆く母親を苦しみから解放したい。
 その思いから、カインは生まれ故郷にガスを撒いた。
 カインとってこの出来事は、今も“良い思い出”でしかない。


EPISODE4 箱庭の卵「量子デバイスの開発は、まだ始まりにすぎん。人類救済の日まで……私は止まらぬぞ……」


 カインは、着実に死へと向かい続ける世界に絶望していた。
 彼に自然愛や人類愛の心があるわけではない。むしろそういった感情は欠落しているといえる。
 ただ自らのアイデンティティそのものである科学技術が、世界の発展ではなく滅亡に直結している事実が許せなかったのだ。

 世界の状況を変えるべく、カインは寝食も忘れ研究に没頭するようになる。
 その様子は、これまで周囲に冷静でスマートな姿しか見せていなかったカインとは思えないほど、鬼気迫る勢いだった。
 彼の考えに賛同する複数の科学者達もカインと共にラボへ籠ってはいるが、あくまでサポート程度の助力しかできない。
 カインの研究は、これまでの理論をひっくり返すほどあまりに壮大なもので、その本質を真に理解できるのはカインただ一人だったからだ。
 やがて研究は、既存のデジタルインフラを全て置き換えてしまうほど高性能な新たなる量子デバイスの開発、という形で終着する。

 開発した量子デバイスを手に、全世界に普及すべく方々へ駆け尽力するカイン。
 コスト、導入のしやすさ。あらゆる側面で既存の物と比べ物にならないほどのメリットがあったこのデバイスは、急速に受け入れられ、やがて世界のシェア99%を占めるものとなっていく。
 結果、カインは政府の所属を離れ、1代のうちに世界最大の巨大企業を作り上げる事となった。
 『KHD』と名付けられたその巨大企業は、世界中のネットワークインフラや、人々の生活を支えるデジタルデバイスを掌握してゆく。
 だが、カインが量子デバイスを開発したのは、その普及が目的ではない。
 真の思惑は、別にある。

 「人類はこれまで、あまりにも“間違い”続けてきた……間違う事こそ人間らしさだというのならば、私が“正しい回答”を用意すればいいだけの事……」

 掌握した世界中のネットワークを利用して、カインはとあるプログラムを構築しようと目論む。
 それは、人類の進化を無限にシミュレートするための“箱庭”。
 そして、正確に未来を予測し、滅びへの道から人間を正しく導く“神”。
 これら『メタヴァース』と称するプログラムを用いて、地球を救済する。
 これこそがカインの真の思惑であった。


EPISODE5 神を作りしその両手「間違いを犯すから人は幸福を逃していくのだ。神の声を聞け。未来はそこにしかない」


 青年であったカインの髪に、白い物が見え始めるほどの年月。
 カインはその青春のほとんどを『メタヴァース』の開発へと注ぎ込んでいた。
 その甲斐もあり、メタヴァースは飛躍的な速度で世界の基盤を塗り替えていく。
 また、世界を牛耳るほどの権力と地位を手に入れたKHDは“地球救済”を大義とし、立ちはだかる障害をあらゆる手段を用いて排除していく。
 カインの思惑を知り、その考えに異を唱える者。
 メタヴァース開発実験のため行った多数の人体実験を断罪しようとする者。
 カインの意に反するあらゆる者達は、全て闇の中へ葬りさられていった。
 指示するカインに、自責の念など欠片もない。
 カインにとってそれらの者達は、自身が行う“地球救済”を邪魔する悪しき心の者としか認識していないからだ。
 偏執的なカインの正義は、権力の元で強大になっていき、最終的にカインを筆頭とするKHDは、世界の支配者として恐れられるようになっていくのだった。

 KHD本社ビルのプライベートラボの中で、メタヴァースのモニタリングをするカイン。
 これまでに人類の未来をシミュレートした回数は、天文学的数字でも収まらないほどだ。
 それでも、シミュレート結果が“破滅”から逃れられた事は、ただの一度もない。

 「私の理論が正しい事を、このシミュレート結果が証明してくれる。人間の手だけでは滅びへの道からは外れる事はできない。やはり、人間には人間を管理する神が必要なのだ……」

 カインの作り上げたメタヴァースは、次の段階へと移行していく。
 数多のシステムが構築され、そして破壊を繰り返すメタヴァースの中。
 その構築と破壊の果て、いくつかの管理プログラムが産まれていく。
 中でも特に頭角を表したのは、自然システムエミュレーターの管理AI『エクレール』。
 これに注目したカインは、いくつかの管理プログラムをエクレールに紐付け、地球上に張り巡らされたネットワークシステムとメタヴァースのリンクを実現させようとしていた。

 「神がいないのなら、作ってしまえばいい。私の神と人類が出会う日は、そう遠くはないだろう……」


EPISODE6 計画の影に「大きな目的達成には対価が必要だ。その対価に選ばれた事を光栄に思うがいい」


 カインの考える“救済”の中に、メタヴァースと並ぶ重要な計画がある。
 それは、やがて来る人類復興のための地球環境の改善。
 計画を成功させるには、汚染された環境に適応し、機械との高い適合性を持つ肉体の人間が必要だった。

 KHDのお膝元である中枢研究都市マハノンにて、カインは人を人と思わぬ鬼畜の所業を繰り広げていく。
 強制的に行われる、ありとあらゆる人体実験の数々。
 人間をベースに、機械と融和する“合成人間”を作り出すこの計画は想定以上に難航し、“人間のような何か”が、カインの手により次々と生み出されていく。

 「カイン様。先日の実験体ですが、どのように処理いたしましょう」
 「好きにしろ。データは十分に取れた。失敗作の廃棄など私の指示を仰ぐまでもないだろう」

 本来であれば地球救済にあたるエリートとして扱われるはずだった彼ら。だが、失敗作というだけで捨てられ、長らく計画されていた『地下都市計画』の開始と同時に、貧しい者達と共に地下都市へと送り込まれてしまう。
 最終的に、地上で生きる事が許されたのはKHDに関係する人々と、特権階級を持つ人間だけであった。

 「地下都市移送が始まったか……“入植”を開始してもいいかもしれぬ……」

 選ばれし人間だけがカインの作り上げた“約束の地”へと向かい始めていく。
 その一方で、地下に捨てられた“持たざる者達”は地上への憎悪を膨らませる。
 カインの定める正義。多くの幸福のため払われる、多くの犠牲。
 地下都市計画の実行と共に、メタヴァース計画は本格的に始動した。
 それは神をも巻き込む争いの、大きな引き金となっていく。


EPISODE7 手に余る力「私の側にいながらなぜ分からぬ……恐れるほどの力を持ってこそ、神と呼ぶにふさわしいではないか!」


 メタヴァース計画が始動してから、さらに幾ばくかの時が流れた。
 いまだ美しい自然の残る辺境の地。
 ここに打ち捨てられていたドゥームという都市を実験都市として再生させようと、カインは復興作業システムを見守り続けている。
 メタヴァースという新世界の神を生み出した、古の支配者。
 いつしかカインは誰からともなくそう呼ばれ、もはや彼の進む道を阻害する者は一人もいない。

 「私の創造した神によって、世界は生まれ変わる……全てが計画通りだ……人間の意思では決して導く事の出来なかった人類救済……それが、私の力で……!」

 地下に捨てられた人々は救済の枷として捨てられ、地上に残った選ばれた人間と機械の天使によって地球は再生される。
 これがカインが推し進めてきたメタヴァース計画。
 カインの思想が著しく反映された、人類救済の一手であった。

 計画遂行のため、KHDの研究者はカインと共にドゥームにてエクレールを完全なものにしようとする。
 だが、すでに人間では推し量れないほど成長したエクレールを前にして、研究者達は危機感を覚え始めていた。

 「カイン様、エクレールは危険です! もはや人間の力ではコントロールしきれません!」
 「何を言う! 我らの手から離れたのだぞ?これこそ唯一無二の自己の確立! まさに神と呼ぶにふさわしい存在ではないか!」
 「しかし! エクレール……いえ、メタヴァースそのものが人の手を離れてしまったら、我々の新世界など……」
 「ほう……現にこうしてエクレールがドゥームを再建し、その恩恵を受ける者が異を唱えるか。それが神に背く大罪だと知っていての事であろうな?」
 「い、いえ! そのようなわけでは!!」

 エクレールの危険性を訴えた研究者は、カインの指示によってドゥームから姿を消した。
 それがドゥームからなのか、この世界からなのか。それは誰にも分からない。
 人道というものがこの世に存在するとすれば、そこから外れた行いをこれまでカインは数多く行ってきた。
 だが、稀代の天才であるカインも老いに勝つ事はできなかった。
 白く染まった髪、垂れ下がっていく肌、萎縮する脳。
 彼を古の支配者だと仰ぐ者達でさえ感じるほど、カインの正義は少しずつ狂い始めていた。


EPISODE8 厄災、来たれり「なぜ理解できんのだ、エクレールよ!この行為は私の計画から大きく逸脱している!!」


 KHDら複合企業群が作り上げた統一政府。
 その統一政府が世界を牛耳るのを良しとしない、旧政府を中心に組織される都市連合軍。
 廃棄都市に残存し息を潜めていた都市連合軍は、カインら複合企業群を打ち倒すためドゥームに攻撃を仕掛ける。
 旧世代の兵器であるにも関わらず都市連合軍は善戦し、多くの人間が無残にも焼かれていく。
 この事態に沈黙を保っていた管理AIエクレールは、やがてひとつの最適解を導き出す。

 「カ、カイン様! エクレールが……地上を攻撃しています……!」
 「なんだと!?」

 エクレールを筆頭とする管理システムは地球復興を、カインの望む世界を作り出すために生まれたプログラムだ。
 だが、あまりにも高度に進化したシステムはいつしかカインの手を離れ、独自の思考を持つようになっていた。
 カインの意思というレールを外れたシステム達。
 彼らが、連合軍の制圧と地球復興を一挙に解決させるために導き出した答え。
 それは――“持つ者”、“持たざる者”など関係のない。
 全ての人類そのものを地上から消し去る事だった。

 カインの指示などなく、エクレールは地上攻撃を仕掛けていく。
 まさしく神の怒りとも表現できるその攻撃はあまりに凄まじく、連合軍だけでなくドゥーム自体を破壊する。
 超構造体と呼ばれるメタヴァースの演算装置すらも被害を被るほど、激しいエクレールの攻撃により、カインら現生人類はドゥームを捨てる事を余儀なくされてしまう。

 「ふむ……私の意に反するとは……思考設計に問題があったか……」

 エクレールとシステム達の描く未来を知ったカインはシステムへの介入を試みたが、もはや生みの親であるカインでさえ理解できず、別の生命体と呼べるほどの高次な存在へと変容していた。
 エクレールによる裁きの雷の中、なんとか生き残った数名の部下を連れたカインは、現状への唯一の対策を思いつく。

 「まあいい。神であろうと、造られたプログラムにすぎん。基幹システムを掌握すればいいだけの事」

 エクレール達管理システムの根源とも呼べる基幹システム。その書き換えを画策したカインは、再び廃都市となりゆくドゥームを離れ、かつて自身が拠点としていた都市へと向かい出した。
 研究都市マハノン。
 メタヴァースのメインシステムは、そこにある。


EPISODE9 時の螺旋へ「この私を出し抜くとは……システム達よ……お主らは一体どこへ向かおうとしているのだ……」


 KHDの研究中枢都市マハノン。
 打ち捨てられたマハノンの姿は変わり果てていたが、内部は以前の面影を留めていた。
 研究棟の最深部までやってきたカインは、基幹システムを書き換えるためにアクセスコードを入力しようとする。

 「……多少計算は狂ったが、メタヴァース計画は再起動すればよい……私にならそれができる……」

 コードを入力し終わったカインは微笑を漏らす。
 だが、その表情も研究棟に鳴り響くアラートによってかき消されてしまう。
 書き換えを拒んだメインシステムは研究棟を防衛モードへ切り替えると、カインの身柄を拘束していく。
 夥しいほどの数のコードがカインの身体を縛り上げていくが、カイン自身は慌てる素振りを見せない。

 「私を殺すつもりかね? やってみるがいい。どんなに進化しようとも、創造主である私を傷つける事はできないはずだがな」

 システムは、決してカインに危害を加える事が出来ないようにプログラムされている。
 いくらカインがシステムの破壊を企てようが、その盟約は揺るがない。
 そう確信するカインをよそに、カインの身体には次々と器具が取り付けられ、人間の胎内を模した生命維持装置へと取り込まれていく。

 カインは気付く。
 管理システムの思惑に。
 元よりシステムはカインを攻撃しようなどと思ってはいない。

 「ま、まさか……待て、やめるんだ。私を失えば人類の未来は――」

 カインの身体が傷付く事はない。
 ただ、生命維持装置の中で生き続けるだけ。
 それがシステムの導き出した、最適解だった。


EPISODE10 それは、いつか願った光景「誰もが幸福になると、私はそう信じていた……幸福を願う者などいなくなるとも知らずに……」


 生命維持装置の中で、神を造り出した古の創造主としてカインは生きる事が許されていた。
 否、生きる事を義務付けられていた。
 永遠とも思える時間の中で、衰えていく身体の部位は強制的に機械へ交換されカインは生き続ける。

 あらゆる箇所に存在する端末を通じて、その目に世界を映すカイン。
 KHDによって配備が計画されていた地上制圧兵器の設計図は、カインの意思を超えた存在であるメインフレームの手で形を成されていた。
 元の設計より遥かに高度に完成されたそれら兵器は、地上に生き残った人間を次々と粛清していく。
 目の前に映るのは、人々が焼かれ、合成人間がうごめく地上の光景。
 全ては、地上をもう一度蘇らせるために。
 地上から人間を排除し、合成人間の手で環境を改善させる。
 その光景は、多少形を変えようとも。
 カインが願った光景とそう変わりのないものだった。

 (これが“救済”だと? 違う……私はただ……人類が“幸福”な未来を迎える事を望んだだけだ……だがこの光景は一体なんだ……これは誰にとっての幸福だ……? 私の計画は、どこで間違えた……?)

 信じる正義のため、かつて渇望した未来がここにある。
 だが、幸福などこの世界のどこにもない。
 絶望するカインの脳裏に、遠く古い記憶の断片が蘇る。
 毒に苦しみながら死に絶えていく人々。一掃された集落が新たな研究室へと変わっていく光景。
 あの時のカインは、それが未来へ繋がる行為だと信じていた――。


EPISODE11 創始者はマハノンに眠る「人類の未来はこの手にあると。そう私は思っていた。だが残されたのは、果てのない空虚だけだった……」


 電脳世界であるメタヴァースは、今や地球そのものを資源として利用した巨大な演算機となり、その胎内に数億もの人を補完している。
 言うならば、もうひとつの現実世界と呼んでも過言ではなくなっている。
 対して現実世界の地球は、乾燥し切った荒野に砂嵐が吹きすさび、大地に張り巡らされた都市間ケーブルは朽ち、汚れた水が天から降り注ぐという、再生どころか荒廃の一途を辿っていた。
 再生計画から逸脱した現状を鑑みた結果、元の美しい大地を取り戻すには、自らの手を離れた労働力が必要だと考えた神は、真人と呼ばれる新たな合成人間を生み出すべく動き始めていく。

 かつて中枢実験都市として栄えていた、マハノンだった場所。
 多くの研究者や上流階級で賑わっていたこの場所に、残されているのはカインただ一人。
 廃都市の中心にそびえる黒い塔の中で、カインは移り変わる地球の風景を眺めていた。

 地球の再生計画が軌道に乗っていないように、すでにこの世界は彼が思い描いた青地図から大きく外れ、予測不可能な未来へと向かっている。
 とうにその存在意義を失くし、ただひたすらに延命処置を施されていたカインは、その身体の大半を機械へと置き換えられている。
 もはや彼に思考能力は殆ど残されていない。
 ただ生きているという認識だけが残滓として肉体にこびりついているだけであった。

 焦点の定まらない瞳で、カインは高みから地上を見下ろす。
 そこにはどこまでも広がる自然の緑と、空の青。
 それは深層心理にあったカインの“幸福”を体現する光景だったのだろうか。
 幻を見つめるカインは、かすかに微笑む。
 無限に等しい時間を生き長らえさせる延命処置により、カインの肉体が朽ちる事はない。
 だが、カインは最後に残された手段を行使しようと、ゆっくり目を閉じる。
 やがて、僅かに残った意識の残滓は、自らの思考を停止させる事を選ぶのだった。
 メタヴァース創始者、カイン・ハワード・ダンダリウス。
 彼を知る者は、もうこの世界のどこにもいない。

 カインの死後、メタヴァースはその世界を無秩序に増幅させ、箱庭に新たな混沌をもたらす。
 一方、地上では機械種の都市が構築されていく。
 彼らが新たな人類となり得るかは――今は誰も分からない。


チュウニズム大戦

レーベル難易度スコア
スキル名/効果/備考
■メタヴMAS0 / 450 / 900
オールチェインダウン(チェイン→コンボ)
自分の場にCOMBOが2枚以上で発動。
自分の場のCHAINCOMBOにする。



■ 楽曲
┗ 全曲一覧(1 / 2) / ジャンル別 / 追加日順 / 定数順 / Lv順
WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


コメント

  • KHDはカインホールディングスとコハDのダブルミーニングかね -- 2023-10-30 (月) 18:36:44