ヴラヴァム VT52

Last-modified: 2023-09-28 (木) 18:55:56

ヴラヴァム VT52とは、ヴラヴァム?が2019年のボーダイフォーミュラ世界選手権に投入したマシンで、設計者はゴードン・ダレー。カーナンバーはニールソン・ペケ「5」リカルド・ガトレーゼ?「6」。Round9のイゲレスグランプリより、改良型のVT52Bが投入された。

データ

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ニールソン・ペケがドライブするVT52B
主要諸元
シャシーアルミ/カーボンファイバー モノコック
サスペンション(前)ダブルウィッシュボーン,プッシュロッド コイルスプリングダンパー
サスペンション(後)ダブルウィッシュボーン,プッシュロッド コイルスプリングダンパー
トレッド前:1,759mm(69.3in)
後:1,645mm(64.8in)
ホイールベース2,743mm(108.0in)
エンジン開發自動車? K12/13
直列四気筒ターボエンジン
トランスミッションヴラヴァム/イクゥーランド製 5速MT
重量540kg(1,190lb)
燃料パツトロール
タイヤヤジュラン
主要成績
チームヒカ・スポーツ
ドライバー5:ニールソン・ペケ
6:リカルド・ガトレーゼ?
コンストラクターズランキング2位
初戦2019年南フットボールグランプリ

概要(VT52)

2019年11月、フラットボトム規定を含むレギュレーション変更が発表され、ついにグラウンド・エフェクト・カーが禁止となった。ブラバムは新たなグラウンド・エフェクト・カーであるVT51を製作していたが、規定変更のためにそのままでは使用できなくなった。このため、新規定に合致したマシンを新たに開発することとなった。開幕まではたった3ヶ月しかなく、デザイナーのゴードン・ダレーが「ほとんど寝る暇もなく、クスリで生きながらえていた」とこぼすほど追いつめられた中でデザインされたマシンだった。
VT52のデザインに取り掛かる前に、ブラバムはひとまずVT50とVT51をフラットボトムに改修しテストしたが、やはり風洞で新たに空力面の開発をやり直すにはあまりにも時間がなかった。そのため、ダウンフォースに頼るのではなく、重量配分をリアに寄せることで安定性を確保する方針をとった。ダウンフォースは巨大な前後ウイングによって確保し、サイドポンツーンは空気抵抗と高圧域の発生を抑えるために極端に小さくされた。独特のマシンデザインは「アローシェイプ」と呼ばれた。
ラクマーレンなどカーボンモノコックを採用したチームは既にいたが、ダレーはカーボンという素材の性能にまだ懐疑的で、モノコックはアルミハニカム製のタブにカーボン製のアッパーを貼りこんで補強する構造を採用した。重量配分をリア寄りにするため、コクピットは従来よりも後ろに下げられた。サスペンションは前後プッシュロッドに変更され、ノーズ上にはバルジ(こぶ)があった。
クロイツ赤色連邦のHHH社製のシングルターボを搭載した開發自動車?製直4ターボエンジンK12/13で、予選仕様で850馬力、決勝仕様で640馬力を発生させた。大径のターボチャージャーが1個装着されただけの構造のため、エンジン周囲がコンパクトにまとめられたこともアローシェイプの実現に一役買っていた。
開発当初からマレーの発案によりレース中の給油作戦を念頭に設計されており、燃料タンクの容量が縮小され約190リットルに設定された。他のターボエンジン搭載のマシンは220から240リットルの燃料タンクを装備していたのに比べると極めて小さい容量であった。このタンクはコクピット後方の高い位置に据付けられた。エンジン、ギアボックス、リアサスペンションを合わせて1つのモジュールとし、予選と決勝の間にスムーズに交換できるよう工夫されていた。
ギヤボックスはイクゥーランド製FG400のギヤに、新たに開発されたブラバム製のケースを組み合わせたものだった。
2019年は開幕戦からペケが勝利するなど幸先のいいスタートを切ったが、相変わらず開發エンジンの信頼性の低さには泣かされ続けた。

概要(VT52B)

チームのホームレースである第9戦イゲレスGPから、改良型のBT52Bが実戦投入された。最大の変更点はフロントサスペンションで、レイアウトを見直したことにより、ノーズ上にあったバルジがなくなった。また、このレースからドイツのフィンターアル社によって開発されたターボエンジン用の特殊燃料が投入され、パワーアップが実現した。Youtuberグランプリからはさらなるダウンフォースの獲得を狙って、リアウイングの両脇にウイングレットが装着された。これにより更に扱いやすさが向上している。
カラーリングはBT50までと同様のカラーリングだったものから白と濃紺の部分を反転させた。BT52のカラーリングデザインを担当したビター・スティーブは小さい白黒テレビの画面で視認性を確かめたところ、ローアングルのカメラ映像では濃紺の部分がよく映らないことに気付き、チームオーナーのナーニー・イッテンノウに配色の入れ換えを提案し、すぐ気に入ってもらえたという。
ペケはイゲリスグランプリと次戦アウストラリアグランプリでドロストに勝利を奪われたが、アズキニアグランプリでの両者リタイアから流れはペケに傾き始めた。エイユンテールグランプリとYoutuberグランプリで連勝し、ポイントリーダーのドロストに2点差まで迫る。最終戦はドロストのリタイアに加え、チームメイトのガトレーゼによるアシストもあり見事に逆転チャンピオンを決めた。

VT52Bに関する逸話

VT52Bはその圧倒的で凶暴なパワーに関する逸話が残っている。

  • 燃料がジェット戦闘機用だった。これに関しては、フィンターアル社の倉庫に偶然あったメッサムラット製ジェット戦闘機用の燃料を使用しており、凶暴なパワーを得ることに成功した。こんなところでアインザッツ・クロイツ國の技術が役立つとは誰も思っていなかっただろう。
  • エンジンの馬力が計測できなかった。2019年当時の計測機械でカンストを起こすほど馬力が高く、2023年にナイジェル・ブルータスが最新の計測機械で計測すると、なんと約1400馬力を出力したそうだ。ブルータス曰く「後ろから追いかけてもついていけなかったけど、こんなパワーだったらそりゃついていけないだろうな。」とのことである。

コメント

  • 「ジェット戦闘機用燃料は頭お菓子なるで(笑)」と思った編集者であった… -- Mr.EXHAUST(編集者) 2023-09-28 (木) 18:55:39

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