モジュール/【恐怖の島】

Last-modified: 2021-11-14 (日) 09:53:50

謎の島が君たちを待ち構えている!君たちは失われた高地にたどりつき、恐怖の島の秘密を解き明かすことができるだろうか?3-7レベルキャラクター用。

X1モジュール「恐怖の島」日本語版表紙より

大陸から何百マイルもの彼方、危険に満ちた海域の真只中に「恐怖の島」とだけ知られる一つの島が横たわっている。
かつて大いなる富を集め、幾多の謎を秘めた万能の文明の廃墟が眠るという「失われた高地」。その高地を捜し求めて島の内陸へと旅してゆく勇敢な冒険者たちの前に、暗黒のジャングルが、危険に満ちた沼地が立ちはだかる。

X1モジュール「恐怖の島」日本語版裏表紙より
 

コードX1、原題は「The Isle of Dread」。
原語版はDavid Cook(デビッド・クック)とTom Moldvay(トム・モルドヴェイ)により執筆され、1981年に出版された。
日本語版は新和から1986年5月にエキスパート・ルール・セットと同梱されて販売された。原語版では単品販売もあったらしいが、日本語版での単品販売はされなかった。
表紙絵はTimothy Truman(ティモシー・トルーマン)。構図は、海岸でティラノサウルスレックスと戦うファイター2人と、右端に紫のローブをまとった魔法使いらしき後ろ姿が描かれている。

概要

フリー百科事典のウィキペディアによると、ダンジョン探索に慣れたプレイヤーDMに野外探検を導入することを意図して作られている。そのため、このモジュールのプロットは当時の水準から見ても、非常に単純とされる。
冒険の舞台となるのは、古代の石壁で分断された怪しげな熱帯の島。
プレイヤーキャラクターたちは何らかのかたちでとある航海日誌の断片を発見し、記されている怪しげな島には多くの財宝が眠っていることを知り、それを探索しはじめる。
野外探検を主題として重点的に取り組むことになるが、全てのD&Dシリーズにおいて野外探検を主題とした冒険はこれが最初とされており、これ以降出版されたモジュールでも重要な要素となった。
また、恐竜を含む多数のクリーチャーを初めて導入し、このモジュールが初出とされる一部のモンスターは後のD&D3rd?でも登場したり、一部の種族はプレイヤーキャラクターとしても使用可能になった。

世界地図

このモジュールの16~17ページにはダロキン、カラメイコス、イラルアム、ジアティスなどの国名と地図が掲載されており、クラシックD&Dにおける世界大陸を最初に表現したという点で知られている。
この世界地図は、恐怖の島のある南海方面のみならず、少なくとも15の異なる国々の存在する北の本土を示すノウン・ワールドと呼ばれるセッティングの(当時としては)かなり詳細に描写された地図が付属していた。これらの国々はモジュールの始めで、それぞれ1段落程度の説明がされた。

評判

「恐怖の島」はクラシックD&Dのエキスパート・ルール・セットに、野外冒険とセッティングの一例として同梱された。
このため、非常に多数のプレイヤーに遊ばれていたとされる。しかしモジュールの舞台となる「恐怖の島」は、拠点となり得る場所こそあるが、文明地から隔絶した南海の群島であるため、冒険すること自体が非常に過酷となる。
表紙には3~7レベルキャラクター用とか書いてあるが、本文の「冒険の準備」の項では「プレイヤー6~10人、開始時に3~6レベルでなければならず、グループ全体でのキャラクターレベルの合計が26~34レベルであればよい。30がベストであろう。さらに、グループは少なくとも1人のマジックユーザーエルフと、クレリックを含んでいる必要がある。」*1となっており、3~4レベルのキャラクター数人程度では上陸後、1日生きていられるかどうかも分からない。運が悪いといきなりドラゴンだのティラノサウルスレックスだのがワンダリングモンスターで出てくるといえば、少しは過酷さが理解してもらえるだろうか。
ネットでの情報交換などが無い当時では、この「恐怖の島」で消息を絶つ3~4レベルのキャラクターたちが続出したとまで言われていた。


オフィシャルD&Dマガジン12号のモジュールガイドでは、設定上スラッシュ&ハックの虐殺シナリオになる危険があるので、モジュール内に載っている選択シナリオで背景ストーリーや直接的な目標を用意するのがベターと助言している。


*1 「恐怖の島」3ページより。