スタッフ/【寺田憲史】

Last-modified: 2023-10-12 (木) 00:23:51

FF1~3のシナリオを担当した人。本業はアニメの脚本・演出家。
スクウェア(当時)にいた友人に誘われてFFのシナリオを書くことになった。
FF2の小説版FF3の漫画版など、アニメ以外でも結構活動している。
4の製作時に製作陣と対立し、FF製作から離れた。


小説版などもかなり緻密にシナリオが書かれており、設定の変更などがあるものの非常に読みやすい作品となっている。3までのシナリオも評価が高く、現実的ではないだろうがナーシャ氏と共に戻ってきて欲しいスタッフだと思う。


FF6以降のシナリオがわかりやすい人形劇風であるのに対し、氏の書くFF3までのシナリオではちょっとした演出に様々なドラマが仕組まれている。
どちらが好みかは人によりけりだが、氏の深妙なシナリオに心打たれる人は多かったであろう。


FFのシナリオに参加するにあたって、坂口博信からは「ゲームで人を泣かせたい」ということを語られたという(2015年のインタビュー)


2001年には、寺田氏は雑誌「ゲーム批評」から取材を受け、FFから離れた経緯を語っていた。
それによれば、FF3までは、シナリオやキャラクターについて、綿密な話し合いをくり返して作り上げていたが、
そのうちにシナリオのことをよく知らない人が作品全体に対しての権限を持つようになったことで
滅茶苦茶になったため、「あとはご勝手にって感じで離れた」という。

この発言を読むと、FF3の次の作品にもある程度関わっていたが、途中から離れたようである。
途中まで関わっていたそれが、お蔵入りになったFC版FF4なのか、それともSFC版FF4だったのかは不明。

  • マシリトこと鳥嶋和彦氏の影響もあるのかも。
    FF3リリース後、坂口氏に対してFFはDQの最高のライバルたれという願いを込めて痛烈な批判交じりのアドバイスを与えて激励し、それを受けて発奮したFFスタッフ一同がそれまでとは異なった路線を模索して制作されたのがFF4だったとのこと。
    その過程で寺田氏が目指すFF像との乖離が生じて袂を分かつことになったという可能性も考えられる。

客観的な事実として、FF4企画が動いていたであろう90年ごろから発売後の92年までの長期間に渡って悠久の風伝説の漫画原作を手掛けている。FF4後もスクウェアと関係が悪かった様子は特に感じられない(本作は2008年に電子版で復刻されており、FF関連商品で寺田の名が残る数少ない作品となっている)。


スクウェアとの関わりは2000年に発刊した自伝『ルーカスを超える』で詳しく書いている。高校時代の友人の斎藤哲という人がスクウェアで営業をやっており、銀座に移ったころに坂口博信ら若いスタッフと共に飲みに行くようになった。その後日に坂口からシナリオ依頼を受けた、という経緯になっている。
渡されたゲーム素材の中にあった「クリスタル」をシリーズのキーとして使うことを提案したのは自身だとしている。
現在のFFにクリスタルが使われているのかは分からないとしつつも、スクウェアやFFシリーズに対する不満、そして降板の理由は特に書かれていない。
むしろ坂口博信に対しては本書の時点でも高く評価している記述があり、「ゲームで泣かせてみたいんですよ」と言われた話は本書にも出てくる。
スクウェア以外でのゲーム業界の仕事に対しては、タイトルやメーカーを伏せつつも具体的な不満も結構書いており、比べるとかなり好意的な書き方をしている。

本書は問題の「ゲーム批評」のインタビューの前年に刊行されている。1年の間に寺田氏の心境に変化があったのか、このときは本音を書いていないだけなのか…
後年のインタビューや講演でもスクウェアのことは特に悪く言っておらず、振り返るとゲーム批評のインタビューのほうが異質なのだが。

  • なお本書では出会った当時の坂口博信を「学生」としているが、これは誤認でも言葉のあやでもなく事実であり、FF1当時の坂口博信はいまだ大学に籍があった。
  • FF2の小説で、クリスタルはゲームと違い重要なアイテムとして登場しており、寺田氏の思い入れを裏付ける。
  • 営業の斎藤氏については、坂口博信のインタビューでも言及がある
  • なお中世ファンタジーに忍者が出るゲームについては、かなり難色を示している。これも坂口博信から聞かされた話としているが、FFも対象に含むと思われる。
  • 当時のゲーム批評はアンチスクウェアで有名であり、問題のインタビューも当時の新作であるFF10をダシに批判・擁護人を呼んで対立させるという、あまりお行儀の良くないことをやっている中でのものである。
    FF4から離れた理由としてそのようなことは言ったのだろうが、大げさに盛られてる可能性も否定できない。