中日ドラゴンズ・金丸夢斗のこと。
ルーキーイヤーの2025年に安定感のある成績を残しながら、チームの貧打などによる絶望的なムエンゴと負け運に苦しめられ、一向にプロ初勝利を飾れないでいる姿へ同情する愛称として広まった。
概要
関西学生リーグで72イニング連続無自責点を記録するなど優秀な成績を残し、2024年3月には大学生ながら侍ジャパントップチームの強化試合・日本vs欧州代表*1に出場した関西大・金丸夢斗は、同年秋のドラフトで4球団競合の末に中日が交渉権を獲得。
ルーキーイヤーは大学4年生時の腰痛が考慮されて二軍スタートとなり、5月5日のDeNA戦で一軍初登板初先発。この試合では6回2失点と試合を作るも、打線が1点に抑えられプロ初黒星を喫した。
その後も援護に恵まれなかったり、援護に恵まれた日に限って自身や救援陣が打ち込まれたりし、最終的に8月までプロ初勝利を挙げることができない状況が続いていた。
このため金丸が投げるたびにスレが立てられ、さらに「夢斗」からとうすこスレ*2の「ゆめちゃん」が連想され絵文字や独特の定型文といった文化が流入。「🤥」や「🥺」が金丸を表す絵文字として用いられるようになり、金丸には「チュニ丸ゆめちゃん」というあだ名が付けられるに至った。
また、金丸の両親は初勝利を見届けるために有給を使って登板試合を見に来ており、有給が次々と消えていく様もネタにされた。
一軍初登板からプロ初勝利までの金丸夢斗の成績
| 日付 | 相手 | 球場 | 試合結果 | 投手結果 | 投球回 | 投球数 | 被安打 | 奪三振 | 失点 | 自責点 | 援護点 | QS/ HQS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 5月5日 | DeNA | バンテリン | 敗 | 敗 | 6 | 92 | 5 | 8 | 2 | 2 | 1 | QS |
| 5月16日 | 巨人 | 東京ドーム | 敗 | - | 6 | 83 | 3 | 7 | 1 | 1 | 2 | QS |
| 5月27日 | ヤクルト | 神宮 | 敗 | - | 6 | 85 | 3 | 4 | 1 | 0 | 0 | QS |
| 6月5日 | ソフトバンク | みずほPayPay | 敗 | 敗 | 6 | 107 | 5 | 7 | 4 | 4 | 0 | |
| 6月13日 | 西武 | ベルーナ | 勝 | - | 6.1 | 110 | 7 | 6 | 1 | 1 | 1 | QS |
| 7月1日*3 | DeNA | 横浜 | 敗 | 敗 | 7 | 118 | 5 | 5 | 3 | 3 | 2 | QS |
| 7月8日 | 巨人 | 山形 | 敗 | - | 7 | 107 | 5 | 4 | 2 | 2 | 3 | HQS |
| 7月21日 | DeNA | バンテリン | 敗 | 敗 | 8 | 112 | 8 | 6 | 1 | 1 | 0 | HQS |
| 7月31日 | 巨人 | バンテリン | 勝 | - | 5.1 | 94 | 7 | 4 | 6 | 6 | 3 | |
| 8月7日 | 阪神 | バンテリン | 勝 | 勝 | 8 | 116 | 6 | 6 | 3 | 3 | 8 | QS |
- 5月5日 DeNA戦
プロ初登板初先発。4回に2失点するもそれ以外は得点を許さず、6回2失点と試合を作る。しかしDeNAの先発・ケイも8回1失点の好投を見せ、そのまま1-2で敗戦。金丸はプロ初の黒星。 - 5月16日 巨人戦
前回登板に続き6回を投げ、ソロによる1失点のみに抑える好投。しかし味方打線も巨人先発・赤星優志を前にソロの1得点のみに抑えられ、勝ち負けつかず。試合は金丸降板後の8回に上林誠知がこの日2本目となる勝ち越しソロを放ち勝利したかと思われたが、その裏に吉川尚輝の逆転3ランが飛び出し2-4で敗戦。 - 5月27日 ヤクルト戦
4回に味方のエラーで1点を献上するも、6回を投げ自責点0。相手先発のランバートは6回3安打5四死球と本調子とは言えなかったが、味方打線の拙攻が続き援護点0に終わる。
その後8回にブライト健太が同点タイムリーを放ち金丸の負けを消したが、その裏に味方のエラーも絡んで勝ち越しを許し敗戦。
なお金丸の勝敗には影響しないが、この試合の8回には川越誠司の逆転2ランがファールと誤審されている。 - 6月5日 ソフトバンク戦
この年交流戦優勝したソフトバンク相手に初回から4失点。それでも2回以降は修正し、自己最多の107球で6回を投げきった。
打線は相手先発・大関友久を前に7回まで無得点に抑えられ、2試合連続の援護点なし。7回に梅野雄吾が炎上し一時0-8となり、打線が反撃するも及ばず結局4-8で敗戦。金丸は2敗目。 - 6月13日 西武戦
7安打を浴びながらも粘りの投球を見せ、6.1回1失点と試合を作る。しかし相手先発・髙橋光成も8回1失点の好投を見せ勝ち負けつかず。
試合は1-1のまま延長戦に突入するが、10回に岡林勇希が勝ち越しタイムリーを放ち、金丸に勝ちこそつかなかったものの初めて金丸の登板日に勝利した。 - 7月1日 DeNA戦
登板間隔が長く空いたためか初回から3点を失ったが、2回以降は無失点に抑え自身初めて7回を投げ切った。
打線は相手先発・東克樹から2回に2点を奪うも、その後は沈黙し3-2で敗戦。金丸は3敗目。 - 7月8日 巨人戦
2回と5回に味方がソロで援護するも、金丸も4回・7回に失点し2度追いつかれる。それでも7回2失点と自己初のHQSを達成すると、直後の8回に上林誠知に勝ち越しソロが生まれ、7試合目の登板にして初の勝ち投手の権利が舞い込む。打線は9回にも1点を加え、4-2と2点リードで9回裏を迎えた。
ところが、代役守護神*4の清水達也が炎上。1点を失ってなおも1死1,2塁の状況で丸佳浩に逆転サヨナラタイムリースリーベースを浴び、5-4で敗戦。もちろん金丸の勝ちもサヨナラとなり、彼の初白星を見届けようとしていたスレは打たれた清水、そしてその場にいない松山への罵声で溢れかえった。
同時に、呆然とした中にもどこか自嘲と諦めが混じったような何とも言えぬ面持ちをして初白星消滅と敗戦を受け入れようとする金丸の姿がカメラに抜かれ、視聴者の同情を誘った。8回表、上林の11号ソロで勝ち越す
9回裏、丸の逆転サヨナラタイムリーで初白星が消滅し、表情が一変。実況も「金丸、呆然!」と絶叫した。
loading... - (7月17日 阪神戦)
打線が上向いた中日は、上記の敗戦の翌日である7月9日から5連勝中と勢いに乗って金丸の先発試合を迎えたが雨天中止*5。
間の悪いことに中日は翌日から再び連勝を重ね、最終的に7連勝を記録している。 - 7月21日 DeNA戦
初登板以来の本拠地登板、そしてシーズン前半戦最後の登板。金丸は自己最長となる8回112球1失点の熱投を披露するも、中日打線は2度目のマッチアップとなったDeNA・東に8回無失点の好投を許す。
チームはそのまま0-1で完封負けし、金丸は4敗目。 - 7月31日 巨人戦
後半戦最初の登板。初回から1失点し、同点に追いついて迎えた4回表には甲斐拓也に3ランを浴びるなど、5.1回6失点の炎上でマウンドを降り、悔し涙を流す。
しかしその後打線が3点ビハインドを追いついて金丸の黒星を消し、延長10回にボスラーがサヨナラ犠牲フライを放ってチームは勝利。 - 8月7日 阪神戦
10試合目の登板。相手先発はドラフト同期の伊原陵人。初回・2回とリードした直後に2度追いつかれてしまうが、この日は序盤から打線が奮起。3回に一挙3点のリードを奪うとその後も断続的に加点し、最終的に8点の大量援護を金丸にプレゼントした。
金丸も5回以降は2安打無失点に抑え、8回3失点で勝利投手の権利を得てマウンドを降りる。そして9回表はメヒアが締めて中日が勝利。金丸はようやくプロ初勝利を挙げた。
8月7日にプロ初勝利を記録するまでに初登板から94日・登板(および両親の有給消化)回数10回*6を要してしまった*7。
2025年の最終的な成績は96回2/3を投げて防御率2.61とルーキーとして堂々たるものだったのにも拘らず、勝敗では2勝6敗と敗戦が先行してしまった。また金丸と同じくドラ1ルーキーだったものの1軍初登板が金丸より遅れたDeNA・竹田祐に勝ち数を抜かれた*8こともファンの哀愁と笑いを誘うなど、相手打線だけでなく度々野手陣や救援陣にも阻まれながら孤軍奮闘する金丸の姿は3年連続最下位を経た監督交代後の中日における新たな笑いの種となってしまった。