ジーン・ザイン

Last-modified: 2024-03-07 (木) 17:24:23

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通常欠片の後継者
ジーンザイン.png欠片の後継者.png

Illustrator:厳井崚


名前ジーン・ザイン
年齢U N K N O W N
身分逃亡プログラム
所属元メインフレーム
  • 2019年10月24日追加
  • CRYSTAL ep.Iマップ7完走で入手。<終了済>
  • 入手方法:2022/10/13~ カードメイカーの「CHUNITHM CRYSTAL」ガチャで入手。
    カードメイカー再録歴
    • 2021/8/5~9/1「失った仲間へ。それは、償いか。決意か。?」ガチャ
  • トランスフォーム*1することにより「欠片の後継者」へと名前とグラフィックが変化する。
    PARADISE LOSTまでのトランスフォーム仕様
    • 専用スキル「V.O.X.オーヴァーライド」を装備することで「欠片の後継者」へと名前とグラフィックが変化する。
    • CRYSTAL PLUS以降、RANK25にすることで装備したスキルに関係なく上記のグラフィックを自由に選択可能に。
  • 対応楽曲は「Nijirate Fanatics」。

荒廃したメタヴァースの最果てで一人佇むプログラム。
かつてNEOと呼ばれていた存在であったようなのだが…?

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1英霊の魂×5
5×1
10×5
15V.O.X.オーヴァーライド×1


英霊の魂 [ABSOLUTE]

  • 道化師の狂気の亜種。
    やや複雑なゲージ上昇条件を持つが、要するに「JUSTICE以下40回、もしくはATTACK以下5回でゲージ上昇効果が切れる」ということである。
  • 競合スキルにハローワールドヴァーテックス・レイがある。前者はJUSTICE以下50回(ないしは40回)で強制終了するリスクはほぼないものの、強制終了条件に確率が関わっておりやや不安定な点、後者は専用スキルで取り回しが悪い点で差別化が可能。
  • 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
    • PARADISE ep.IVマップ5(PARADISE LOST時点で累計1275マス)クリア
プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境と最大GRADEの関係

プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し+2
あり+5
PARADISE以前
(~2021/8/4)
GRADE効果
理論値:156000(8本+4000/28k)[+2]
理論値:165000(8本+13000/28k)[+5]
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
共通JUSTICE以下50回で強制終了
初期値JUSTICE以下が40回未満かつ
ATTACK以下が5回未満の時
ゲージ上昇UP (250%)
+1〃 (255%)
+2〃 (260%)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+3〃 (265%)
+4〃 (270%)
+5〃 (275%)

所有キャラ【 ジーン・ザイン / 姫月 るーな (全員1,5,10) 】

V.O.X.オーヴァーライド [CATASTROPHY] ※専用スキル

  • コンボエッジ・カルテットが突然変異を起こした何か。詳細は下記参照。
  • 強制終了条件がMISS3回と[CATASTROPHY]としてはかなり緩めだが、10本到達には2400コンボを達成しての完走が必要なので、使いこなすのが厳しいスキルであることには変わりない。
  • 関連キャラつながりからか、VOX・オーバーライドと同音だが、性能については似ても似つかない完全な別物である。
    GRADE効果
    10本必要条件:2400コンボ達成(?)
    初期値最大コンボ数に応じて
    ゲーム終了時にボーナス 最大 +202500
    MISS判定3回で強制終了
詳細な効果(ほぼ確定)

詳細な効果(ほぼ確定)
下記調査結果からボーナス条件は800の倍数コンボごとに+67500のボーナスが入る模様。

最大コンボ数に応じてゲーム終了時にボーナス
800コンボ +67500 / 1600コンボ +135000 / 2400コンボ +202500
MISS判定3回で強制終了

検証ログ

以上の情報から、800コンボごとにボーナスが増えていくとみられ、順当に考えるならば2400ノーツのFULL COMBOで10本達成となる模様。

ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
・・・50・・・・・・100
スキルスキル

STORY

ストーリーを展開

EPISODE1 SPEC:ジーン・ザイン「NEO……確かにそう呼ばれていたこともあったな。今の俺はジーン。ジーン・ザインと呼んでくれ」


 ここは、とうの昔に人間はもちろんメインフレームさえも管理を放棄して去っていった、荒廃する最果ての領域。俺はそこを一人漂っている。
 孤独なんか感じない。むしろ、手前勝手な主張をぶつけ合う無意味な争いに巻き込まれずに済んで、せいせいしているくらいだ。
 メタヴァースの人間は、バックアップとアストラルコピーさえあればいくらでも再誕<コピー>することができるが、俺は構成情報の欠損が多いため、その手は使えないらしい。
 つまり、俺の命は有限。
 ならば、自分の死に場所くらいは自分で選びたいと思うのが当然じゃないか?
 こんな最果ての地でひとり自由を謳歌しているのは、自らの選択の結果というわけだ。

 それに……俺は“一人”だが“一人じゃない”。
 俺はかつて、人間とプラグロムという別々の個体だった。
“俺”と“俺”は、不思議とウマが合って、利害が一致して融合することに……ああ、くそっ。ややこしいな。
 俺は俺。生い立ちなんてどうでもいいこと。
 NEO……GENE。どちらも古い名だ。
 そうだな……新たに『ジーン・ザイン』と名乗ることにするか。
 俺に名前など必要ないのは分かっているが……まあ、他愛もない暇つぶしってやつさ。


EPISODE2 戦争が残した絞りカス「音響空間VOX。俺はここに留まり続ける。なぜかって? それが俺の仕事だからさ」


 長い長い……それこそ時間という尺度では測りきれないほど長い戦いの歴史。
 その歴史の成れの果ては、メタヴァースの荒廃だった。
 ほとんどの領域から人間は消え、放棄された領域は末端プログラムひとつさえ存在しないほど荒廃した。
 人間は今、メインフレームが管理する中枢エリアに残されたものだけになっている。

 領域が放棄された当初、メインフレームに見捨てられたプログラム達はわずかな力を振り絞って必死に生き抜こうとしていた。
 だが、メインフレームへの協力者は塵一つ残さないというネメシスの襲撃を受けたプログラム達は次々と姿を消していき、虚無空間だけが残されたのだった。
 末端のプログラムのほとんどが、この世界にもう人間なんて残っていないと思うくらいに、この世界は変わり果ててしまった。

 最外周部の辺縁に安置された音響空間の管理を行っていたプログラムであるNEOも、そんな見捨てられて孤独を味わい続けた奴のひとり。

 NEOの認識範囲内にある領域は、かつて賑わいを見せた世界の残骸が浮かぶだけの『絞りカス』だ。
 音を操るNEOは、途方もない年月をかけ、今日も音響パルスを発信する。
 絞りカスになった虚無空間で一人きり。
 いつか誰かに届くように、と。


EPISODE3 神に選ばれし者「戦う力が欲しいか、って話だったが……やつらを前に拒否権なんて無かったのさ」


 メインフレームを滅ぼすために生まれたネメシスの力は、今や肉薄どころか戦況をその手に掌握しつつある勢いであった。
 防戦を強いられるメインフレームはこの状況を打破しようと、成長するプログラム『MIR』シリーズの
研究を推し進めていく。
 人間の肉体をベースに代理構成体を作り出す、禁忌ともいえるこのプログラムに対し、当然メインフレーム内では反対する声が多くあがっていた。
 だが、日々圧力を増すネメシスに対抗するには、その力を利用せざるを得ない状況だった。

 そして、メインフレームは管理下にある数多の人間から素養のあるものを確保し、最新鋭のMIR適合処置を施していく。
 この日もまた、メタヴァース初期入植者であったひとりの人間が見出され、代理構成体へと改造されていく。
 彼の名は、GENE。
 メタヴァースの神々に生を弄ばれる、造られた兵士の一人。


EPISODE4 秘密裏の実験体「死んだ方マシ、なんて思える位ひどいもんだった。おかげで立派なメインフレームの犬になれたけどな」


 兵士として戦うことは、GENEにとって本意ではない。
 だが、彼の家族はメインフレームの元に格納されている。メインフレームが具体的にそのような言葉を口にすることはなかったが、その事実は家族を人質として囚われていることと同義であった。

 拒絶する手段を持たないGENEは、なすがままに代理構成体として様々な機能をその身体に施されていく。
 中でもこれまでのMIRシリーズと決定的に違う能力は、メインフレームが保管していたティフォン達の構成データの一部バックアップを利用することで得た『最古』に匹敵する力。
 この力と引き換えに、GENEは本来設定された寿命よりも遥かに短命になってしまった。
 また同時に、万が一の造反時に即座に起動する自壊装置を施され、徹底的にメインフレームに管理されるという運命を背負ってしまう。

 施術を指揮したのは、『最古』の一人である再生者ディアン。
 このあまりに危険な計画は、実質人体実験を兼ねた強制兵士化であり、他の最古達の使命に反するものだ。
 これが明るみになれば他の最古に反対されることを分かっていたディアンは、GENE達の存在を隠蔽しつつ計画を進めるのだった。


EPISODE5 メインフレームの真意「なるほど。あくまでも実験体だったということか。だが俺は生きる。逃げ続けてやる」


 メインフレームの尖兵として、戦闘を繰り返すGENE。
 代理構成体となってから間もなく最前線で苛烈な任務を与えられ、摩耗するGENEの身体には少しずつ、だが確実にエラーが蓄積されていた。
 そしてとある戦闘の最中、積もり積もったエラーはMIRプログラムに誤作動を引き起こし、組み込まれた最古由来の力が暴走してしまう。
 混濁する意識の上、天地が高速回転するような強烈な眩暈と制御できぬ己の肉体。
 ついには機能停止となり、戦闘領域から死角となる空間ポケットに落下する。

 「お、俺は一体……? ここは……どこだ……?」

 近くで戦闘をしている様子はない。
 取り残されたことに気付いたGENEは、ファクトリーに帰還しようと立ち上がろうとする。

 「ぐうっ!? クソ……深手を負い過ぎたか……」

 自己修復能力を持つMIRシリーズだが、受けたダメージが大きすぎた。かろうじて意識を取り戻したものの、肉体の修復は間に合わずボロボロであった。

 戦闘の気配はないが、依然危険領域であることに変わりはない。ある程度肉体が修復するまで待機することを選択したGENEは、自身の置かれている状況を改めて述懐する。

 「ふっ……『プログラム高適合素養体』なんて、最低なハズレクジを引いてしまったものだな……」

 代理構成体として戦い始めてから、家族の安否を確認することもできていない。メインフレーム管理下のファクトリーで保護されている、そう聞いてはいるが……。
 もはや人ならざる者へと生まれ変わったGENEはこの先家族と再会できる日は来ないだろうと確信していた。
 自分が戦う事で、家族が己の様な地獄を味わうことはない。
 ディアンの白々しい言葉を信じ、ここまで戦ってきたのだった。

 「何はともあれ、早急に帰還せねば……」

 その時、空間ポケットのわずかな断裂からメインフレームの探索BOTが姿を現すやいなや、耳障りな機械音を鳴らす。

 「対象ヲ発見。速ヤカニ処置シマス」
 「ビーコンが生きていたか。回収に来てくれるとはありがたい」

 だが、帰還のための助け舟と思い腰を上げたGENEに、BOTは突然攻撃を仕掛ける。
 浴びせられる猛攻を何とか凌ぎきるが、なおもBOTは淡々と『任務を処理』しようと追いかけてくる。

 「なぜだ? なぜ俺が狙われる!?」

 損傷した肉体の痛みに耐え、必死に逃げ回りながら頭を巡らせる。

 「……なるほど。あくまでデータ採集が目的の実験体は、もう用済みというわけか」

 まだ反撃はできないが、逃げながらもなんとか領域移動ができるまでは回復したGENEは、BOTを振り切って飛び立った。
 メタヴァース領域の、遥か奥の奥を目指して。


EPISODE6 二人の邂逅と融合「NEO、これから俺とお前は一心同体だ。お前は嫌がるだろうが……なに、すぐ終わりは来るさ」


 ディアンに騙されていたことに気づき、全てから逃げ出したGENEは、最外周部に程近い最果ての領域に辿り着く。
 メインフレームから捨てられたこの領域は、残骸と塵だけが果てしなく続くうすら寂しい空間。だが、GENEは不思議と心が落ち着くのを
感じていた。

 「ここで穏やかに死を待つのもいいかもしれないな……この身体も、もう長くは持たない」

 代理構成体に調整された際、短命に設定された寿命だが、先の戦闘で深手を負ったことによりその命の炎はさらに弱まっている。
 全てを自覚しているGENEは、この領域を己の墓と決め、穏やかな余生を送ることに決めた。

 人間は回収され何もなくなったかのように見える最果ての領域だったが、メインフレームに見捨てられた管理プログラムがただ一人取り残されていた。
 ただの暇つぶし、興味本位でGENEはそのプログラムへ話しかける。

 「お前は、何者だ」
 「ッ!? こいつは驚いたぜ……まだ人間が残っていたのか」
 「人間……? ふふっ、こんな姿になった俺が人間か」
 「何を笑っていやがる」
 「いや、こっちの話さ。それはそうと、随分と口の悪いやつだ。気に入った」

 そいつは『VOX』の管理プログラムとして働いていたが、構成内容にイレギュラー要素があったためメインフレームに回収されず放置されていたようだ。
 その出自にどことなく自分を重ねたGENEは、『NEO』と名前をつけ、時折アクセスしては憎まれ口を叩き合う、という奇妙な友情を育んでいった。
 NEOは優秀なプログラムだ。少々個性的なセンスの持ち主でもあるが、まぁそれはいいだろう。

 代理構成体となってから初めて穏やかな時間を過ごすGENE。
 だが、そんな安堵の地である最果ての領域へウイルス群が侵入したのをきっかけに、束の間の平和に終わりが近づく。

 「敵性反応? 数は2……3……5……6、このパターンはネメシスか。狙いは俺では無いようだ。とすると……NEOか」

 ウイルス自体はそれほど強力なものではないが、少々やっかいなプログラムを持っていた。
 メインフレームの庇護がない今のNEOは苦戦するだろうと判断したGENEは、救出に向かうことにする。

 「俺のタイムリミットに合わせて襲撃してくるなんてな。これが『運命』っていうやつか?」

 目前に迫る死。家族も世界も、何も守れなかった男は、せめて一人くらい、自己満足に過ぎないというのはわかっていたが、助けたいと思っていた。

 まとわりつくウイルスを無視して、VOXを無理やりこじ開けNEOにアクセスする。

 「NEO、生きているか。助けてやる」
 「貴様かGENE……余計なことを……するな」
 「いいから聞け。NEO、今から俺のイミュレーターを送ってやる」

 GENEの提案は、自身を構成する情報の全てを記したプログラム、平たく言えば遺伝子のコピーを譲渡するというものだった。
 襲ってきたウイルスはプログラムを攻撃するタイプ。人間の遺伝子情報を持つものには無力になるという算段だ。
 提案に乗ったNEOは自らのポートを開き、GENEから受け取ったデータと同化していく。

 イミュレーターを渡したGENEの肉体は間も無く消滅する。
 だが、NEOはまだその事実に気づいていない。
 GENEは同化しながら、その意識が消える僅か刹那。妻と娘の幻を見た。

 (俺の命……すまない、最期まで勝手だったな……)

 二人は融合し、双方の記憶を受け継ぎ新たな個体として生まれ変わった。
 後にジーン・ザインと名乗ることとなるその個体は、無事ウイルスを撃退し、新たな命の旅に出る。


EPISODE7 ジーンと名乗る融合体「タイムリミットはもう目の前まで来ている。今から神共と殴り合う気はさらさらないね」


 NEOとGENEの融合体は、どちらの記憶も受け継いでいる。
 NEOの肉体をベースにしてはいるが、あくまでも新たな人格として生まれ変わった彼は、かつての記憶から『ジーン・ザイン』と名乗ることに決める。
 人でもない、プログラムでもない、半人半機の存在……。

 幸か不幸か、引き継いだのは記憶だけではなかった。
 融合前、GENEが代理構成体になるため施された処置による力は、ジーンにも引き継がれてしまう。

 今も中枢領域で繰り広げられるメインフレームとネメシスの戦争。

 「このままここで朽ちるか、それとも神々に刃向い革命を起こすか? どうせ何もかも終わるんだ。ここでじっとしていたほうがマシさ」

 この戦争の結末は、メタヴァースの終わりだと確信するジーンは、かつてのGENEやNEOと同じように最果ての地で静かに待つことを選んだ。
 不安定な最外周部で時は加速する。まともなプログラムであれば自然死するほどの周期、ジーンはたった一人取り残される。
 しかし、因果はジーンに安寧をもたらしてはくれない。
 メインフレームの苦戦は続き、世界の半分を飲み込まんとするネメシスの猛攻。
 さらに激化していく戦争と憎しみの連鎖がもたらすものが、この最果ての地へ再び訪れるのだった。


EPISODE8 血の共鳴「この共鳴感覚……俺はあいつを知っているのか?まさかそんなはず……あってはならないことだ」


 ジーンのいる最果ての地へやってきたのは、メインフレームのBOTを引き連れた、代理構成体の少女であった。

 「敵性反応だと? 加速時間による情報肥大でこちらの観測は不可能だと思っていたが……」

 その反応を感知したジーンは面倒なことになったと舌打ちする。

 「くそっ、何故バレた? 見たことのない代理構成体だが……とにかく見つかるとマズイ」

 以前NEOが仕掛けたアタックのせいか、居場所を特定された原因は分からないが、どうにかやり過ごしたいジーンは残骸の影に隠れて息を潜めることにした。
 それに対し少女は、圧倒的火力で領域内の残骸全てに対し無差別攻撃を仕掛け、ジーンを炙り出す。

 「逃げ場なし、か。やり過ごすのは無理そうだ……Are you Ready? やってやろうじゃないか」

 ジーンは自身と同じ代理構成体である少女と対峙する。
 少女は僅かに目を見開き、そして呟いた。

 「見つけた……このプログラムパターンは、GENE……」
 「確かにそう呼ばれていたこともあった。だが今は違う。お前のことも知らない」
 「戯言を……私の家族を、そして平穏を奪った恨み! 忘れたとは言わせない!!」
 「恨み? 何を言っている? 俺には何のことか……くっ!」

 ジーンの言葉も聞かず、少女はジーンへ襲いかかる。
 咄嗟に回避行動を取るも、常に後ろを取られて引き離せない。

 (こいつは、まさかMIRシリーズか? しかし……なんだこの嫌な感覚は……)

 首にまとわりつくような違和感を覚えるジーンをよそに、距離を詰めた少女の剣が振り下ろされる。
 上半身をひねりながらなんとかそれを受け止めたジーンは、ギチギチと鍔迫り合いのまま少女に問う。

 「お前は一体」

 言いかけた瞬間、重なり合う互いの武器から衝撃波が走り、ジーンと少女は弾き飛ばされる。

 (今のは共鳴……俺とあいつの生命波形が近似しているだと……?)

 何かに気付き始めているジーン。そして、困惑する少女。

 「貴様、何をした」
 「何もしちゃいないさ。それより、俺を始末するつもりなんだろう? 名前くらい名乗ったらどうなんだ」
 「……いいだろう。私の名はセーレ。それがお前を殺す者の名だっ!!」

 名前を聞いたジーンは一瞬動きを止めた。
 ジーンの中のある、GENEの記憶が叫んでいる。

 ──セーレ。懐かしい名前だ。
 そうか。お前もこんな姿になってしまったのか。
 支配者たる最古に従うしかなかった自分をずっとだまして、家族は無事だと思い込んでいた……。
 救われるはずなどなかったのだ……心のどこかでこうなることはわかっていた。

 剣先を鳴らし再び斬りかかろうとする少女。
 彼女はGENEの血を分けた実の娘、セーレであった。


EPISODE9 父親らしいこと「まさか俺と似たような運命を辿ってるなんてな……。待っていろ。俺が今から救ってやる」


 「さっきから、ちょこまかとッ!」

 素早い剣撃で攻撃をしかけるセーレを前に、ジーンはサブアームを使ったトリッキーな動きで躱していく。
 反撃の余地があるにも関わらず逃げ続けるだけのジーンの態度を『侮辱されている』と捉えたセーレは、怒りと共に固有能力『モデュレイト・ヴァーテックス』を展開する。
 鈍く、陽炎のように揺らめく光が身を包んだ瞬間、これまでにないスピードで高速移動するセーレ。視認速度を遥かに超えたその動きは、さながらストロボ照明を浴びたようにコマ送りになる。

 「隠し玉か……!」

 これまで以上の実力を持っていたことに面食らうジーン。
 代理構成体として互いの能力にはそれほど大きな差は無いが、相手を翻弄する動きが得意だったおかげでこれまでは器用に逃げ続けることができた。だが、こうなると話は別だ。反撃しなくては一方的に始末されてしまうだろう。
 しかしジーンには攻撃を躊躇う理由がある。セーレがGENEの娘だと知ってしまったからだ。

 (GENEは俺で……俺を救ってくれた恩人だ。傷つけるようなことはしたくない……)

 自身の稼動限界ギリギリまでの出力を放ちながら、ジーンは逃げ続ける。

 やがてセーレの放つ剣撃がその背中に近づき、いよいよ一太刀浴びてしまう……と覚悟を決めたその瞬間。

 「あ? アガァァァァッッ!!?」

 突如セーレは叫び出し、身をよじらせ頭を掻き毟る。

 「あれは……活動限界を迎えたのか? いや、しかし……」

 固有能力を使用するには肉体への負荷が掛かる。だが、本来ならセーフロックが掛かっているはずで、ここまで苦しむようなことはないはずだ。

 「自壊装置による条件付けか……大方メインフレームに何か細工をされたのだろう」

 泡を吹き、苦しみ続けるセーレ。
 彼女を……娘を救いたい。
 ジーンは自分の心が凪いだ海のように穏やかになるのを感じていた。

 「父親らしいこと、か」

 ジーンはそう呟くと、ゆっくりとセーレに向かって近づいていく。
 泣く赤子に『心配ないよ』と諭すような、優しい表情を浮かべながら。


EPISODE10 抱擁と罠「どっかのクソに取り付けられた悪い虫を退治してやるのは……親の役目ってやつだろ」


 少しずつセーレの元に近寄りながら、ジーンは声高に話しかける。

 「その痛み、尋常じゃないことは分かるさ。メインフレームのクソ共は容赦がないからな」

 一歩、また一歩と踏みしめる。

 「逃走防止のためか、お前の中には自壊装置が埋め込まれている。恐らくは俺を捉える任務に時間制限がかけられていたんだろう」
 「アグゥッ! ア……アアアアッッ!!」

 痛みと苦しさで掻きむしった頭から血が流れ出すセーレ。
 その様子を憐れみのような、それでいて優しい眼差しを向けていたジーンが手を伸ばした。

 「……俺が救ってやる。クソ共に振り回される奴を見るのはもうたくさんだ」
 「グガアァァッッ!! うる……っさい!!」

 そう叫び、滅茶滅茶に剣を振り回すセーレ。想像を絶する痛みのせいで、ジーンの言葉は届いていない。
 その剣を気にすることなくジーンはさらに歩み寄り、肩で受け止めた。

 「ぐっ……」

 凄まじい剣撃。たった一撃であるが、自身にとって致命傷になったとジーンは冷静に理解しつつも、さらに腕を伸ばし、セーレの肩を掴んだ。
 そして、そのまま引き寄せ力強く抱きしめる。

 (VOXの再構成機能……自壊機能を除去できるはずだ、俺なら……!)

 しばらくジーンの腕の中で暴れていたセーレだったが、ジーンにVOXを打ち込まれると、糸が切れたように全身を弛緩させた。脂汗をかき、半覚醒状態ながら、その顔には安堵の表情が見て取れる。

 「ハハッ……、うまく……いったか? オールジャスティスってとこか……」

 一か八かの賭けではあったが、目論見通り自壊装置は除去された……そう安心したのも束の間、セーレのプログラムが異常活動を始める。

 「な、何だ……これはっ!? 構成データが……消去されていくっ!?」
 メインフレームはセーレに対し、用心深く多段階の自壊装置を施していた。最後にかけられていたのは『完全消去』のプログラムであった。
 ゆっくりと構成データを失い、無に還ろうとするセーレ。
 その身体を抱きしめたまま、ジーンは天を仰ぎ咆哮する。

 「何が神だ! これのどこが神の所業かっ!? 人間を自分の都合で作り変えるものが人間を救うなどと……そんな神がいるものかっ!!」

 その声は、メタヴァースの神を名乗るメインフレームに届くことはなかった。


EPISODE11 かつてそうしたように「気にするなGENE、お前は俺の恩人だ。きっと俺だって同じようにしていただろうよ」


 セーレを救う可能性は、まだ残されている。

 「かつて俺が俺にそうしたように……イミュレーターを送ってやる」

 イミュレーターを転写することで、それまでのセーレの構成データは別の物に変化する。そうすれば、セーレは機能の対象から外れ自壊は止まる。
 これはジーンが良く知った手段、GENEがNEOに施したものと同じだった。

 「父親と同化するってのは気味が悪いかもしれないが……我慢してくれよな」

 ビットデータとなって分解していくジーンの肉体は、ぼんやりと発光し幾多の螺旋になる。それはセーレの身体を優しく包み込み、再構築していく。
 ジーン・ザインとしての意識を失う寸前、ジーンはまるで絵本を読み聞かせるかのように呟いた。

 「戦いなんてどうでもいい……逃げて逃げて……お前は生き続けろ……」

 そして、ジーンの命の光はその肉体と共に消えて無くなった。
 最果ての領域。一人きりで漂うセーレは目を覚ます。

 「ここは……それに、この感覚はなに……?」

 NEOとGENEの時とは違い、遺伝子データの多くを共有していたセーレは、同化はしたが大きく姿を変えることはなかった。だがしっかりと、NEOと、そしてGENEの記憶は引き継いだ。
 意識を取り戻した瞬間、その記憶は濁流になってセーレの頭に流れ込んでくる。

 「おとう……さん、なの?」

 セーレは理解する。
 これまで自分が自分のものだと思っていた記憶。
 ネメシスの代理構成体が家族を皆殺しにした、という記憶は全て、メインフレームによって植え付けられていた偽の記憶だったと。
 そして、討伐を命じられ先ほどまで戦っていた相手が、実の父の成れの果てだということも。

 「お父さん……う……あ……うわああああああっ!!」

 セーレは絶叫した。新たな業を背負って。
 真実を知るということは幸福なのか、それとも違うのか。
 今のセーレにはまだ分からない。
 だが、ひとつだけハッキリと理解していることがある。

 「終わっていない……私の戦いは……まだ何も終わっていないッ!!」

 本当に憎しみを向けるべき先がどこなのか。
 確信したセーレは最果ての領域で吠えるのだった。




■ 楽曲
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WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN / LUMINOUS
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧


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*1 『PARADISE LOST』まではRANK 25、『NEW』以降はRANK15で開放