小仏 凪／僕らの学園フェス編

　イロドリミドリのキーボード担当。
　切れ味鋭い物言いでリハの空気をピリッと引き締める、イロドリミドリのサブリーダー！
　クラシックピアノで養った音感と理論的視点で、二年生だてらにバンドの屋台骨を支える大黒柱。

　人見知りで落ち着いた性格もあってか、慣れていない人にはちょっと冷たく見える時もあるけど、バンド思いでメンバーのこともよく気にかけている。
　学校生活は生真面目かつ模範的で、他メンバーのちゃらんぽらんな雰囲気とは合わない部分もある…
　ものの、それも含めてバンドへの愛着だと捉え、自分のかけがえのない居場所だと感じている。
　何をやらせてもことごとく上手い、ガチのゲーマー。

　軽音同好会の発足以降は、イロドリミドリのみならず、軽音の良心としても存在感を発揮する、小仏凪。
　部活の定例会で見せるような、事務方の細々とした仕事の几帳面さは相変わらず。

　元々は人見知りで、イロドリミドリの結成時もちょっとしたことがあったものだが…
　ＨａＮａＭｉＮａから七々瀬が離脱した時にも、なるや白奈と共に１年生たちに寄り添う様子を見せるなど、
後輩ができてからは、何かと話を聞いてあげたり、何かを手伝ったりする役に回ることが多い。
　…というか、イロドリミドリの先輩三人に対してもそうなのだから、後輩に対しては当然か。

　ちなみに、シンセ研で同学年の小夜ちゃんとは気が合う（似たようなタイプ…？）のか、件の襲撃事件以降も話している時が多いよう。
　ＤＴＭの心得がある凪なので、小夜ちゃんの作る音楽や、その技術には興味をそそられるのかもしれない。

なる「はい、というわけでね。今日はよくお集まり頂きました」
　…挨拶はいいけど。オンライン打ち合わせの会場がスマホのネット麻雀、なんて聞いたことないよ？
なる「や、こないだはちょっと結論割れちゃったっしょ？　こういうリラックスした場の方が、なんかいいかなって」
白奈「あは、リラックスし過ぎかも、ですけどね」
　白奈ちゃんまで誘って、根回しがいいというか…ちなみに白奈ちゃん、麻雀打てるんだ？　ちょっと意外。
白奈「私はちょうどこの間、なるちゃんに教えてもらって。ルールも役も、まだまだうろ覚えですけどね」

　とにかく。じゃあ、半荘１回戦は付き合ってあげるから、そのあとはゆっくり、打ち合わせの続き。いい？
白奈「半荘？　って、なんですか？」
なる「初心者のしろにゃには馴染みないかもだが、要するに１試合のことな。ほら、ちゃんなぎってゲームなんでも詳しいからさ」
凪「よ、余計なことは言わないように！」

凪「うーーーーーん」
　…さて。
　いい手は入ったけれど、対面のなるちゃんが親番。
　性格的に流れを掴ませると怖そうだし、速攻を仕掛けて流したいところではあるけど…
　捨て牌を見るに、早い段階でのテンパイが濃厚だし、早上がりでは分が悪そうだ。
　上家の白奈ちゃんも不気味なところ、ここは慎重に…
なる「トリ前は決まりなんだけどな～。トリがね…」
白奈「会長も推してくれてるし、やっぱりフェスのタイムテーブル、Ａ案に戻す？　凪ちゃん？？」

　はっ…いけないいけない、これは一応打ち合わせだった。真面目にやら…あ！
凪「それポン。…えっと」
　安めではあるけど、これで私もテンパイ…手の速さでは互角以上のはず。これなら…
なる「あたしはＢ案も好きなんだけどな～。トリ前はあのセッションが…ってちゃんなぎ？ 聴いてる？？」
凪「へ？　何？？？？？」

　はあ…２着、は置いておいて。
　私とした事が、勝負にかまけて議題の話を聞いてないなんて…恥ずかしいところを見られてしまった。
白奈「最初は、打ち合わせって口実で凪ちゃんを誘っただけ、だと思ってたけど…なんだか、新しいアイデアまで出ちゃったね」
なる「ねー。肩肘張らずに関係ないこと喋りながらやるからかな。バンドの打ち合わせも、次ここでやる？」
凪「だめだよ、これじゃ全然集中できないもん…勝負にも、話にも…」
なる「まあまあ、それはさておき。こないだ意見割れた話もまとまったし、安心したら眠くなってきたが」
凪「え？　あ、終わる感じ？」
白奈「おっ！　凪ちゃん、は続けちゃう？」
なる「そりゃね！　２着のちゃんなぎは続けたいっしょ」
凪「あ、いや、そういうことは…その」
なる「まあまあ！　ちゃんなぎがそう言うなら！　ちゃんなぎが言うなら喜んでやる！」
白奈「凪ちゃんのお願いなら、ね」
凪「ああ、もう！　どうしてそうなっちゃうの？」